先端技術がもたらす地方の新しい働き方、暮らし方

 先端技術がもたらす地方の新しい働き方、暮らし方

徳島文理大学の公開授業、「集客交流産業論」の講演スライドです。

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Satoru Takeuchi

December 09, 2020
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  1. 先進技術がもたらす地方の新 しい働き方、暮らし方  Dec 9th, 2020 武内 覚 1

  2. 自己紹介 • 職業 ◦ ソフトウェア開発者@サイボウズ(東京本社所属) ◦ ソフトウェアに関する書籍や記事の執筆 • 勤務地 ◦

    自宅。新型コロナ禍より前からフルリモートワーク • 所在地 ◦ 石川県小松市 • 徳島県との縁 ◦ 3世代前は徳島県の大歩危、小歩危あたり 2
  3. 自宅付近 3

  4. 大歩危、小歩危 
 
 
 
 
 
 
 
 京浜にけ

    - 投稿者撮影, CC 表示-継承 3.0, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=2204987による
 4
  5. 価値観 • ソフトウェア技術だけで食べていきたい • 自分の専門知識を可能な限り多くの人に伝えたい • 仕事より家族優先 • 面倒だから出勤したくない •

    人間が少なくて自然が豊かなところで暮らしたい 5
  6. 目次 • 私の働き方、暮らし方 • 新しい働き方を可能にした技術 • 技術以外の要因 • メッセージ 6

  7. 特徴 • 日本中、世界中の人と仕事をしている • 自由度の高い働き方をしている • 地方でフルリモートワークをしている 7

  8. 仕事内容 • サイボウズが提供するWebサービスを支えるインフラシステムの開発 ◦ プロジェクトメンバと共同開発 • 上記システムの一部となるオープンソースソフトウェア(OSS,後述)の開発 ◦ 世界中の企業の開発者と共同開発 8

    サイボウズが提供する Webサービス(ここで利益を得る) インフラシステム (ここは利益にならない ) 私が開発しているOSS 使う ユーザ
  9. プロジェクトメンバの仕事場 • 首都圏の各自の家 • 近畿地方の各自の家 • 石川県のわたしの家 9

  10. 社外技術者の仕事場 • 北米のどこか • 東欧のどこか • インドのどこか • その他たくさん 10

  11. 勤務形態 • 会社との契約 ◦ フルリモート ◦ 週30時間労働(一日あたり6時間相当) ◦ 月~金の10時~16時はプロジェクトメンバとのやりとりのため仕事 ◦

    残りは海外在住の社外開発者とのやりとりのために朝晩に活動することが多い • 上記の条件になった事情 ◦ 子供の送り迎え(8時半登園、16時降園)は自分の役割 ◦ 周りに人がいると集中できない ◦ 他のやりたいこと(執筆など)のための時間もとりたい 11
  12. 目次 • 私の働き方、暮らし方 • 新しい働き方を可能にした技術 • 技術以外の要因 • メッセージ 12

  13. 情報技術の進化 • 以下のものが低コストで個人に手に入るようになった ◦ 高速インターネット回線 (光回線、4G回線、Wi-Fiなど) ◦ 高性能情報機器(PC、スマホ、タブレットなど ) ◦

    高品質なコミュニケーションソフト (Zoom, Google Meetなど) 13 ソフト PC ソフト PC インターネット
  14. その結果どうなったか • 物理的なものを介さずに情報だけやりとりすることが増えてきた ◦ 手紙を出す→メールを送る→LINEを送る ◦ 紙の本を買う→電子書籍をダウンロードする ◦ DVDでソフトウェアのインストール →ネットワーク経由でインストール

    • 「技術的には(後述)」特定の場所にいなくてもできる仕事が増えてきた ◦ 代表的なものがソフトウェア開発 • 場所に依存する仕事も依然ある ◦ 警察官: リモートで犯人を捕まえられない ◦ 消防隊員: リモートで火は消せない 14
  15. なぜ情報技術が安価に使えるようになったのか? • 大きな理由の一つがOSSの利用の普及 • OSSの特徴 ◦ ソフトウェアのソースコードにアクセスできる ◦ ソースコードを変更できる ◦

    変更したものを再配布できる • 世界には現在数千万個以上のOSSが存在している • 多くの企業がOSSを活用している ◦ Google: Android ◦ Apple: iPhone(iOS) 15
  16. よくあるOSSの活用方法 • 直接利益が得られない部分 ◦ OSSを使う ◦ 場合によっては他のユーザと共同開発 ◦ 寄付をすることも •

    直接利益を得られる部分 ◦ 自社だけで作る ◦ ソースコードは公開しない 16 大量のOSS 企業 A B C 使う 使う&寄付 使う&開発 内製ソフト
  17. OSSを使わない場合の投資 17 利益が得られる部分 利益が得られない部分 (2社共通) B社 利益が得られない部分 (A社固有) 利益が得られる部分 利益が得られない部分

    (2社共通) 利益が得られない部分 (B社固有) A社
  18. OSSを使う場合の投資 18 利益が得られる部分 利益が得られない部分 (2社共通) B社 利益が得られない部分 (A社固有) 利益が得られる部分 利益が得られない部分

    (2社共通) 利益が得られない部分 (B社固有) A社 OSS化によりコスト削減
  19. 利益が得られる部分に投資を増やせる 19 利益が得られる部分 利益が得られない部分 (2社共通) B社 利益が得られない部分 (A社固有) 利益が得られる部分 利益が得られない部分

    (2社共通) 利益が得られない部分 (B社固有) A社 利益になるところに投資を増やす 値下げにも繋がる
  20. 複雑なシステムのソフトウェア開発コスト 20 OSSを一切使わない場合 OSSを最大限に使う場合 利益が得られる部分 (内製) 利益が得られない部分 (内製) 利益が得られる部分 (内製)

    利益が得られない部分 (OSS) 利益が得られない部分 (内製)
  21. OSSの開発スタイル • 特徴 ◦ 世界中の会社の技術者が開発 ◦ 何をしているかは公になっている • コミュニケーションツール ◦

    Github, Slack, Zoom, メーリングリストなど • 言語 ◦ 英語が圧倒的に多い。ものによっては中国語だったり日本語だったり • 開発作業の例 ◦ https://github.com/rook/rook/issues/6530 21
  22. わたしが情報技術の進化から受けた恩恵 • リモート開発をする技術的条件はすべて手元にそろっていた ◦ 高速インターネット、高性能情報機器、ソフトウェア • どういう能力があるかが公になっていた ◦ 得意技の一つがOSS開発だった 22

  23. 目次 • 私の働き方、暮らし方 • 新しい働き方を可能にした技術 • 技術以外の要因 • メッセージ 23

  24. 世界は技術だけでは回っていない • 他にも様々な要因が ◦ 信頼できない人を雇えない。ましてリモートワークなんてさせられない ▪ 能力はあるのか?(前述)サボらないのか?人格はまともなのか? ▪ : 日本で正社員を雇うのは、滅多なことではクビにできないので高リスク

    ◦ 需要と供給 ◦ 会社の制度、経営陣の意識 ▪ 欲しい人材が望む条件を提示できる制度、無ければ制度を変える意識が必要 • 自分の場合を例に、どういうことか説明 24
  25. 既存の人間関係が活きた 1. 当時人材を探していた現職のプロマネと自分が間接的に繋がっていた 2. 求めている人材像に私がマッチすると元同僚から情報が伝わった 25 わたし(当時無職) 前職 現職 プロマネ

    お互い知らない 元同僚 信頼 信頼
  26. 実際に仕事をして信頼を得た 1. まずは技術顧問(外注エンジニア)としてフルリモート勤務で雇われた ◦ 信頼する人の信頼があるとはいえ、実力が未知数なのでまずは外注として雇われたのだろう ◦ 専門分野についての質問に月に数回答えるコンサルティングをした 2. 数か月無難にこなしたので社員にならないかと誘われた ◦

    これなら社員にしても役に立つと判断されたのだろう 26
  27. 需要と供給 • サイボウズがたまたま私が得意とする分野に詳しい人材を求めていた ◦ 私がどれだけ優秀でも、求めていない人材であれば雇われない • たまたま同じ時期にもっとよい候補者がいなかった ◦ 他に私と同じことができて長時間働けてオフィス勤務ができる人がいたらどうだったか? •

    優秀なら求める条件の職を得やすいが、需要がなければどうにもならない 27
  28. 会社の制度、経営陣の意識 • サイボウズは優秀な人材を採用するために多様な働き方を許容していた ◦ https://cybozu.co.jp/company/work-style/ ◦ いつどこでどのように働くかは自分で決める ◦ 副(複)業も可能 •

    「技術的には可能」な働き方の普及を阻害していた主な要因 ◦ 経営陣にとって多様な働き方の提供をするかどうかの判断は難しい ◦ 制度を変えるのは大変 ◦ 変えて失敗だとさらに大変 ◦ 古くからある大きな組織ほど昔ながらの制度が残り勝ち 28
  29. 新型コロナウィルスによって状況は変わった • 多くの業務がフルリモートで回るインフラ、制度が強制的に整備された • 今年度は新人がいきなりフルリモートも当然という状態 • 事態の終息後に揺り戻しはあるだろうが労使共に選択肢が広がった • いいこと ◦

    地方からよい条件で働ける可能性が増える • 大変なこと ◦ 「都心部に行けばいい仕事にありつける」が通用しなくなってくる ▪ 地方から出ない人とも競争になる ◦ 自律して仕事する能力が最初から求められる ▪ 先輩にとってもF2Fよりケアしにくい 29
  30. 目次 • 私の働き方、暮らし方 • 新しい働き方を可能にした技術 • 技術以外の要因 • メッセージ •

    まとめ 30
  31. 自分を知り、他の人に伝られるようになりましょう • 以下のことについて考える ◦ 何ができるのか ◦ 何をしたいのか ◦ どうすればできるようになるのか •

    足りないところを訓練して強化する ◦ 「どうすれば訓練できるかは千差万別なのでアドバイスできないです ◦ やるとうまくいくとは限らないが、やらないとどうにもならない • それを他の人に(しつこくしない程度に)伝える ◦ 就職活動時に人事にアピールできる ◦ 知り合いがチャンスを運んできてくれるかもしれない ◦ 知り合いの知り合いの採用 (リファラル採用)は今後ますます増加見込み ◦ 人事にとって面接以外に何も情報がない人は扱いに困る 31
  32. 外の世界と繋がってみましょう • 企業のインターンシップに参加してみよう ◦ 現在はオンラインでやっているところが多い ◦ 既に腕に覚えがあるならばそれをアピールする絶好のチャンス • なるべく興味のある分野のコミュニティに参加してみよう ◦

    多くのコミュニティ、勉強会などがオンライン化されている ◦ 以前より地方在住者のハンデが小さくなっている ◦ 誰とも繋がっていなければ誰にも知られない • 自分を利用しようとしている人を見つけたらやんわりと離れましょう ◦ 気弱な態度でいるとつけこまれます 32
  33. 悪目立ちはやめましょう • 目立てばいいというものではない • とくにインターネット上の悪評はあっというまに広まるし、消せない • 無礼に振舞った相手と採用担当社がどういう形で繋がっているかわからない 33

  34. 就活は運の要素が強いので駄目なときは駄目 • やりたいことができるポジションがなければ誰にもどうにもならない • 面接官との相性もある • その日のコンディションもある • 一度の成否に一喜一憂しないように 34

  35. 誤解してはいけないところ • 企業が欲しいのは「自由な働き方をしたい人」ではなく「働いてくれる人」 • 「自由な働き方をしたいから御社を志望しました」は困る • そうではなく「自分は何ができるか」をアピールするとよい • 企業が望む人材であればあるほど有利な条件で働ける可能性が上がる 35

  36. おわり Any questions? 36