凡人エンジニアの生存戦略#JTF2020 #JTF2020C髙市 智章 (Tomoaki Takaichi)Jul, 25, 2020 JTF2020
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自己紹介@Takaichi00tomoaki.takaichi.5・髙市 智章(タカイチ トモアキ)・Java / Node でのシステム開発・CI / CD・Container / k8s・アジャイル開発実践共著: クリーンなコードへのSonarQube即効活用術http://u0u0.net/RSvx
❏ 自分の新人時代をふりかえる❏ こんなつよつよな人がいる世界でやっていけるんだろうという不安❏ この業務をやっていて、本当にこれからも生きていけるようなスキルが身につくのだろうかという恐怖❏ 新人の頃はそんな思いから「こんなんじゃだめだ!」と自分にも他人にもピリピリしていた本日お話すること
❏ 現在の状態をふりかえる❏ 新人時代の不安や恐怖は拭いきれないが、少なくともピリピリはしていない❏ ネガティブな性格は変わっていないもしれないが、以前ほど悲観してはいない❏ どのようにこの状態まで遷移したか、自身の行動をふりかえり、これからの生き方についても考えていきたい❏ あくまで私の経験をおはなしするが、何か一つでも同じような悩みを抱えている皆様の参考になれば幸い本日お話すること
社会人1年目 ~ 2年目の不安
❏ 「ここの環境にいて本当に大丈夫なんだろうか」という不安❏ 配属先は「これからは社員中心で開発していこう」という過渡期だった❏ 決して最先端でキラキラした技術を使った開発ではない❏ セキュリティの厳しさや使う技術にも制限がある❏ 身近な一歩先をゆくエンジニアの先輩もいない業務内容 / 環境による焦り
❏ エンジニアとして活躍している方々は「楽しくて仕方がない、ずっとでもやっていられる」という方が多い❏ しかし自分はプログラミングなどが楽しくて楽しくて仕方がないというわけではない❏ エンジニアのスキルアップに関して突発的な努力はできるが、それが苦痛なので継続できない活躍されているエンジニアの方とのギャップ
❏ 自分の場合は「生活の糧だから」が一番の答え❏ 大学で「なにかためになることをしたい」と始めたゲーム開発、Web 制作のアルバイトがきっかけ❏ それが仕事となるならとエンジニアを目指すことに決めた❏ 雇用主が雇いたいと思うような人間にならなければ生活できなくなってしまうのではという不安そもそもなぜ仕事をするのだろう?
どうしたらいいだろうか?
とある勉強会に参加してヒントを得る❏ まつもとゆきひろさんの「プログラマー勉強方法」❏ 知名度とその人の価値は可換である❏ 人は知らない人を尊敬はしない❏ アウトプットを行うことで周りとの差別化ができる知名度 価値
とある勉強会に参加してヒントを得る自分を知ってもらうことで価値が上がるそのためにはわかりやすい成果(=観測可能な成果) を出せばいい例え優秀でなくても誰か見ていてくれて雇ってくれるかも精神的安定!!見られていなくても成果がポートフォリオになって自分を売り込めるかも
❏ SNS (Twitter / Facebook)❏ 技術ブログ (Qiita)❏ コード公開 (Github)❏ LT / 登壇 (SpeakerDeck)❏ ブクログ (読んだ本の公開)❏ 執筆公開するチャネルを考える
公開することへの障壁を乗り越える❏ 幸い自分の中には公開することへのためらいはあまりなかった❏ 「できるようになってから」ではいつになってもやらないことを肌感覚でわかっていた❏ パーキンソンの法則...「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」❏ 「Done is better than perfect」
公開することで知識を深める発表する内容に責任が生まれる理解を深め知識を広げなければならない
公開することでニーズを知る❏ 話してみると意外と反響があった、という経験や知識があるかもしれない❏ 自分の場合は Java のテスティング、CI / CD の考え方など❏ 自分では当たり前と思っていることも、周囲からみたら貴重な知識になるかもしれないという発見
しかし継続ができない
行動を継続化させたい❏ 観測可能な成果は継続的に出し続ける必要がある❏ 継続的に成果を出すことで「この人は~をしている人だ」と認識してもらうことができる❏ しかしこのような努力というのは苦痛なので、気を抜いたり仕事が忙しくなるとおろそかになりがち
行動を継続化させる ~ ふりかえりを実践する ~❏ 「【若手向け】成長を加速させる「一人のふりかえり」を学ぼう」とう勉強会に参加する❏ そこでの「ふりかえりは成長の加速装置」という言葉が印象に残った❏ 「ふりかえりなら習慣にできるかもしれない」と、定期的にふりかえりを実施していくことを決断画像は以下から引用:https://anchor.fm/furikaerisuruo/episodes/ep-1-amPodcast---viva_tweet_xhiguyume-Podcast-ea1lk9
行動を継続化させる ~ ふりかえりを実践する ~❏ 毎日 / 週 / 月 / 四半期 / 年 単位でふりかえりを実施
❏ ふとある動画が目に留まる❏ 人間は退屈な作業でも、「今日は~時間これをやった」ということを記録し、グラフ化することで努力を継続することができる(参考動画:努力出来ない人が努力出来るようになるには?)❏ この動画をはじめ、習慣に関するいろいろな動画をふりかえりの時に記録していた行動を継続化させる ~ 習慣を継続する ~
❏ 習慣化する個数を6個まで定める❏ 目標を限りなく小さくする (例) 運動を1分やる / 英語を1分勉強する❏ やり始めるための障壁を下げることができる。人間はやり始めるとやる気が出るという特性を活かした方法❏ 「どうにでもなれ効果」を発動させないようにする❏ 一度決めた習慣をサボってしまうと、やけになって他の習慣も守らなくなってしまう❏ 実施した習慣は記録してグラフ化する行動を継続化させる ~ 習慣を継続する ~
❏ 実践してみると意外と効果が現れた行動を継続化させる ~ 習慣を継続する ~
行動を継続化させる ~ Write Code Everyday ~❏ 習慣化の一つに「Github にコードを公開する」を取り入れ、結果的に Write Code EveryDay を実践できるようにもなった (参考資料: エンジニアとしてこの先生きのこるために)
ここまでのまとめ
❏ 観測可能な成果を出せばその人の価値につながっていく❏ 例え知名度は高くなくても誰か見ていてくれるかもしれない、自分を売り込める材料になるかもしれない❏ これには能力がある、優秀であるといったことに依存していない❏ さらにこれを習慣化すれば、「いま会社をほっぽりだされても生活はできる」という精神的安定に繋がっていくどのように不安に立ち向かうか
人間の特性を知る
❏ 例えば「ある行動を習慣化させたい!」 と心には思ってもなかなか実行できなかった❏ 嫌なことを努力してやるというとき、人間はコルチゾールという物質が分泌されて行動が抑制されるようになっている❏ 頑張って続けていても、一回失敗してしまうと「どうにでもなれ効果」が発動して他の習慣まで続かなくなってしまう❏ このように精神論で頑張るのではなく、人間の特性を知ることで、適切なアプローチができる物事は結構あるのではないか?人間の特性を知るということを考える
特に意識している人間の特性
他人と比較をすると幸福度が下がる❏ Facebook の利用を1週間やめると幸福度は 18% 上がる(参考文献: 他人と比べて不幸になる【比較癖】の治し方)❏ 「あの人に比べて自分は全然 ×× のスキルがない」と比較をしてもただ幸福度を下げるだけ❏ 今の自分のスキルを考え、「仕事にありつけるためにはもっとこのスキルを伸ばそう」といった考えをしたい❏ 比較は過去の自分に対して行う
❏ これを自己防衛本能という❏ (参考資料: 成長を加速させるふりかえり実践ワークショップ)❏ よって人の良い部分は意識的に目を向ける必要がある❏ 「人間には自己防衛本能がある」ということを知っておくだけでも、普段から人の良い部分を見るような意識付けをすることができるのでは人間は悪いところに目が行きやすい生物である
長所に目を向け、長所を伸ばす❏ 社会人のスキルに100点満点はない。1000点にも10000満点にもなる可能性がある。❏ (まつもとゆきひろさんの「プログラマー勉強方法」より)❏ その人の長所を自覚させ、それを伸ばしていくほうが価値は上がる❏ しかし人間には自己防衛本能が備わっているためどうしても欠点ばかりを指摘しがち❏ アスリートの方が数学はさっぱりだからといって、数学の勉強をしたとして費用対効果は高いだろうか
❏ 「成功の循環モデル」はダニエル・キムが提唱したループ図。組織として成果を上げていくためにどのような観点でカイゼンに取り組むべきかのフレームになる(出典: カイゼンジャーニー)好循環サイクル:(関係)お互いに尊重し一緒に考える(思考)気づきがあり面白い(行動)自分で考え、自発的に行動する(結果)成果が得られる(関係)信頼関係が高まる悪循環サイクル:(結果)成果が上がらない(関係)対立が生じ、押しつけや命令が増える(思考)面白くなく受け身になる(行動)自発的・積極的な行動が起きない(結果)さらに成果が上がらない成功の循環モデルを意識する関係の質思考の質行動の質結果の質○ 良い起点× 悪い起点
「なんでこんなこともできないんだ」は禁句❏ この言い方は「結果の質」が起点になっている典型例❏ 自分も最初は同じことができなかったはず。自分は今までにそうしたことは一度もなかったか?❏ 全てを完璧にこなせる人など存在しない。人によって得手不得手は異なるのに、自分の得意なことを押し付けることに意味はない❏ 現状を受け入れ、その人の特性に適した指導法や指摘の方法を考えていくような接し方をしていきたい❏ (参考文献: #RSGT2020 テックリードは未来の話をしよう / Tech Lead in Scrum)
最善を尽くしたのだからこれで良かったのだと割り切れるように行動する❏ 人間には後知恵バイアスというものがある❏ ふりかえる際、ふりかえった地点の知識量で考えてしまうため、「なんでもっとこうしなかったんだ」と考えてしまう❏ 「見積もりが甘かった。もっとしっかり見積もっていれば...」 というのは正しいふりかえりだろうか?❏ 後悔があってもただ悔しがるのではなく「あのとき最善を尽くしたのだからこれでよかったのだ。 次はここを改善して、これからも最善を尽くしていこう。」と考えられるようになりたい
まとめ
まとめ❏ この発表では「エンジニアとしてこのままで生きていけるんだろうか」という不安をどのように対処しているかをお話した❏ ただ漫然と不安になる / 頑張るのではなく、人間の特性を知り、その人間が生きていくのに適した生き方を考えていくことでこうした不安は少しでも解決できるのでは
❏ 定期的にふりかえりをしてみる❏ 習慣にしたいことは以下のルールにしてみる❏ 目標はしょぼく❏ 記録をして「ゲーム感覚」に❏ 自分・他人の長所を意識的に考えてみる❏ 狭い範囲でも長所を伸ばせば市場価値につながる❏ 続けられそう、長所だと思う分野で観測可能な成果を出してみる❏ 人間のいろいろな特性を調べてみる今日から始められること
ご清聴ありがとうございました