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自動車業界からもコントリどんどん行こうぜ!

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October 22, 2025

 自動車業界からもコントリどんどん行こうぜ!

2025/10/21-22に大阪で開催されたLinux Foundation Japan Community Days 2025 Osakaでの講演資料です。AGL OSPO-EGにおける、企業でのOSS推進活動について、2日目のオートモーティブ組み込みトラックでお話ししました。
https://www.linuxfoundation.jp/events/2025/08/lf-japan-community-days-2025-in-osaka/

自動車業界からもコントリどんどん行こうぜ!
~AGL OSPO-EGの紹介とサーベイ結果分析より~

上記イベント公式ページからのコピーです。

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October 22, 2025
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Transcript

  1. 2 About Me Masanori Itoh – 伊藤 雅典 (いとうまさのり) 

    Affiliation TOYOTA MOTOR CORPORATION ✓ Digital Information and Communication Dept. InfoTech Div. ✓ Open Source Program Group (Toyota OSPO) → AGL OSPO-EGに参画  Works ✓ R&D for Connected Vehicle Systems • E2E Observability, Standardization, Diagnostics, … ✓ OSPO Operations  Keywords ✓ Operating System, Cloud Infrastructure, etc. ✓ https://github.com/thatsdone ✓ https://www.linkedin.com/in/masanori-itoh-6401603/ ✓ https://speakerdeck.com/thatsdone ★ここにアップ予定
  2. 3 Agenda 1. ふりかえり~Why OSS Matters?~ 2. OSPOとは 3. AGL

    OSPO-EGとは 4. サーベイについて 5. まとめ 6. 参考:AGL OSPO-EG成果:「OSSコミュニティ活動の幻想と現実」
  3. 4 ふりかえり~Why OSS Matters?~  なぜOSSなのか? ➢ もはや「安いから」ではない ➢ 「優位性のあるビジネス開発手段」と言える

    そうすると… ➢ 「組織的かつ戦略的なOSSの管理」が必用 ✓ ※LF Japan福安さんの講演資料(参考2.)より  では、どうOSSに取り組むのが良いのか?企のためのオープンソース ガイド ➢ ベストプラクティス → OSPOによる One Stop な推進体制  参考 1. 企業のためのオープンソース ガイド ✓ https://www.linuxfoundation.jp/resources/open-source-guides/ 2. Linux Foundation 企業のためのオープンソースガイド (LF Japan福安さん) ✓ https://speakerdeck.com/ossaj/linux-foundation-qi-ye- falsetamefalseopunsosugaido
  4. 8 AGL OSPO-EGとは:Overview  目的 ➢ 究極の目的は「自動車業界のエンジニアに生き生きと活躍してもらう」こと  体制 ➢

    遠藤(Co-Lead(Toyota)), 伊藤(Co-Lead(Toyota)), 石井(Primary Contributor(PAS)) ➢ 隔週で定例打合せを開催  これまでの経緯 ➢ ‘24/07 AGL AMM (All Member Meeting) Summer (Berlin)にて設置提案 ➢ ‘24/11 キックオフ ➢ ‘24/12 ALS/OSSJ 2024で正式発表 ➢ ‘25/03 「上位管理者説明向け資料」、「現場エンジニア向け啓蒙資料」の公開 ➢ 現在 「自動車業界におけるOSSコントリビューション阻害理由の調査」実施中‘x(g
  5. 9 AGL OSPO-EGとは:Charterより  Charter (憲章) ➢ オープンソース・プログラム・オフィス(OSPO)専門家グループの目的は、自動車業界全 体にオープンソースのベストプラクティスを広めることです。 ➢

    OSPO-EGの活動は以下を含みます: ✓ 自動車業界における「アップストリーム・ファースト」開発モデルの課題についての オープンな議論を促進する ✓ オープンソース利用時のビジネス環境上の制約(輸出規制や独占禁止法など)への対応 について議論する ✓ 企業が自社のOSPOを立ち上げることを支援・促進する ✓ 課題やベストプラクティスを共有する場を提供する ✓ 共通の課題に対するベストプラクティスを文書化して公開する ✓ AGLコミュニティ外の企業に働きかけ、参加を促す ✓ メンバー企業がAGL-UCB(および関連プロジェクト)にコードを貢献することを促進する https://lf-automotivelinux.atlassian.net/wiki/spaces/OSPO/pages/17826235/Charter から翻訳
  6. 10 AGL OSPO-EGとは:これまでの成果  “OSS & OSPO Promotion Slides for

    Automotive Companies” (v1.0, Jun.24, 2025) 「自動車業界におけるオープンソース(OSS)とOSPOの推進について」 → 上位管理層向け説明資料  “The Illusions and Truths of Participating in OSS Communities” (v1.0, Jun 2025) 「OSSコミュニティ活動の幻想と現実」 → 現場エンジニア向け啓蒙資料 ✓ 成果物のライセンスはすべてCC-BY-SA 4.0
  7. 11 AGL OSPO-EGとは:これまでの成果  上位管理者向け説明資料 第1章:オープンソースの重要性 1-1. ビジネスにおけるオープンソースの重要性 1-2. 自動車業界におけるオープンソース

    1-3. オープンソースの二本柱:「利用」と「貢献」 第2章:「機会」 自動車業界でオープンソースを活用する理由 2-1. エコシステム 2-2. コストメリット 2-3. 人材 第3章:「管理」 なぜ企業はOSSのリスクを管理する必要があるのか 3-1. 長期サポート 3-2. 機能安全 3-3. サプライチェーン管理 第4章:「戦略」 なぜ自動車企業にOSPOが必要なのか 4-1. OSPOとは何か? 4-2. 自社にOSPOを設置する価値 第5章:「ベンチマーク」 自動車業界におけるOSPOの事例紹介 11 なぜOSSが重要で 投資する価値があるのか? 自動車業界にとっての OSSのメリット OSSのリスクにどう 取り組むべきか? OSPO : 現状のベストプラクティス 自動車業界における OSPO設置事例
  8. 12 AGL OSPO-EGとは:次のステップ  サーベイ 「自動車業界におけるOSSコントリビューションを阻害する要因調査」  目的 ➢ 「自動車業界からのOSSコントリビューションが少ない」という現実をカイゼンするため、

    その根本原因を知りたい ➢ 属性や複合要因ごとの分析を行い、具体的な阻害要因を洗い出した上で、対策を立案・実行 する  現状 ➢ いったん’25/9/27で節目とし、合計62件の 回答を得た ✓ 英語: 25、日本語: 35、中国語: 2 ➢ まだ偏りがあるため、中国本土向けのサーベイ システム利活用や、各種イベントでの拡散に より’25末位まで実施予定 ➢ 既存回答分は分析に着手
  9. 13 AGL OSPO-EGサーベイ:4言語対応! A Survey on the Barriers to OSS

    Contributions in the Automotive Industry https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdZ1VInvBj72zV6CCTSSU0misi4Az2T9j2ggtawutMLX3b_YA/viewform (English (Google Forms)) 汽車產業中阻礙開源軟體貢獻的因素調查 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdPboiNYj9KbzKY_s8UsqC_pxrz2uZUL4BYbNfjqTs0KfJLBQ/viewform (Traditional Chinese (Google Forms)) 自動車業界におけるOSSコントリビューションの阻害要因に関する調査 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeYM4q8DUy0S0D2aV6f5QEittTIZ0b5bekGT_-BNhcPIBmDPA/viewform (Japanese (Google Forms)) 汽车行业中阻碍开源软件贡献的因素调查 https://shanghaiopen.feishu.cn/share/base/form/shrcnMVgP53Cyk7JA2oTnqPLwNc (Simplified Chinese (Feishu for the Mainland China))
  10. 14 AGL OSPO-EGサーベイ:質問項目  属性 ➢ 業界、所属組織の規模、職種、勤務地域  サーベイ質問項目 1.

    スキルに関する質問 2. 知識に関する質問 3. 言語の障壁に関する質問 4. 時間の制約に関する質問 5. 文化に関する質問 6. ルール、プロセスに関する質問 7. 社内におけるプラクティス共有に関する質問 8. 管理者の理解に関する質問 9. ITシステムの制約に関する質問 10. 予算の制約に関する質問 まずYES/NOで「問題がある」場合 にYES、次に自由入力で具体的な 問題点を入力 まずYES/NOで「問題がある」場合 にYES、次に自由入力で具体的な 問題点を入力
  11. 15 AGL OSPO-EGサーベイ:初期分析結果  初期分析結果 ➢ 日本語回答だけ、ネガティブな (≒問題があると言っている)回答が多い  もしかして

    ➢ 日本は世界でも類をみないOSSコントリビューションするには最悪の場所?((((;゚Д゚))))  落ち着いて考え直すと ➢ 事実:日本語回答は自動車OEMが多い(≒伝統的な大企業が多い) ➢ 仮説:他地域と比較すると、日本ではコミュニティ参加にあたって求められる技術的レベル 感の想定が高すぎる?(≒心理的な自主規制) ➢ そのほか 日本語 日本語以外
  12. 16 AGL OSPO-EGサーベイ:初期分析結果  今後の分析 ➢ 手分けして以下の2面から分析アプローチ予定 ① 統計的手法に基づく分析 ✓

    主にYES/NOの回答を用い、クラスタリング等の手法を用いて、直観的に気付きにくい 傾向を発見する ② 仮説ベースの分析 ✓ これまでの経験・議論から仮説をたてて、Free Textの回答から傾向や要因を導き出す ➢ 統計的手法と仮説ベースの分析の結論をつきあわせつつ、複合的に分析してくる  12月のOSSJ/ALSでは、まとまった結果を報告(予定)
  13. 18 Links 18 AGL OSPO-EG ホーム (LF Confluence (英語)) https://lf-automotivelinux.atlassian.net/wiki/spaces/OSPO/overview

    AGL OSPO-EG 成果物 (LF Confluence (英語)) https://lf-automotivelinux.atlassian.net/wiki/spaces/OSPO/pages/397082627/Publications メーリングリスト: 以下から参加できます https://lists.automotivelinux.org/g/agl-ospo-eg から参加できます Discord:以下から参加できます (ospo-egチャネルをチェック!) https://discord.gg/ZztCaVeQVG
  14. 21 OSSコントリビューションの具体的な紹介 「OSSコミュニティ活動」「コントリビューション」のいろいろ 「え?これでよいの?」と思える程度でも、立派な「コントリビューション」と言えます。 1. 実際使ってみる【初級】 2. 不明点、新しい動作実績、機能追加要望等をMLやForumで質問/報告する 【初級】 •

    「テストに協力する」という意味もある • 「機能追加要望」は「ユースケースの紹介」という意味もある 3. イベントで発表する【中級~上級】 • レベル感/内容は、ユースケースの紹介、新機能の提案、構造の説明...等さまざま 4. 不具合を見つけたらバグレポートする【初級~中級】 • 事象の報告だけなら【初級】、解析までできれば【中級】 5. 不具合を自分で修正してbug fix patch を投稿する【中級~上級】 6. 自分の研究開発成果を新規公開する/新機能を実装してcontributeする【上級】 7. 開発者コミュニティに参加する【だいぶ上級】 8. 投稿されたパッチのreview を担当する (いわゆる core dev) 【かなり上級】 9. 開発者コミュニティ運営に参加する【かなり上級】 10. 特定のプロジェクトのリーダーを務める【かなり上級+】 11. コミュニティ全体の運営に参加する【超上級】 • Technical Committee等、全体の運営にかかわる決断を行う場への代表者。
  15. 22 「コントリビューション」の誤解と幻想 「OSSコミュニティ活動」「コントリビューション」のいろいろ 「え?これでよいの?」と思える程度でも、立派な「コントリビューション」と言えます。 1. 実際使ってみる【初級】 2. 不明点、新しい動作実績、機能追加要望等をMLやForumで質問/報告する 【初級】 •

    「テストに協力する」という意味もある • 「機能追加要望」は「ユースケースの紹介」という意味もある 3. イベントで発表する【中級~上級】 • レベル感/内容は、ユースケースの紹介、新機能の提案、構造の説明...等さまざま 4. 不具合を見つけたらバグレポートする【初級~中級】 • 事象の報告だけなら【初級】、解析までできれば【中級】 5. 不具合を自分で修正してbug fix patch を投稿する【中級~上級】 6. 自分の研究開発成果を新規公開する/新機能を実装してcontributeする【上級】 7. 開発者コミュニティに参加する【だいぶ上級】 8. 投稿されたパッチのreview を担当する (いわゆる core dev) 【かなり上級】 9. 開発者コミュニティ運営に参加する【かなり上級】 10. 特定のプロジェクトのリーダーを務める【かなり上級+】 11. コミュニティ全体の運営に参加する【超上級】 • Technical Committee等、全体の運営にかかわる決断を行う場への代表者。 「コントリビューション」=「新規公開」と考える人が多いように見受けられますが、こ れはほんの一部です。新規公開はインパクトも大きいですが、最初からこれだけ目 指すのは 「事前検証等をせずにいきなり商用開発にかかるのとあまり変わらない」 のでおすすめしません。
  16. 23 OSSコミュニティ活動の現実 「OSSコミュニティ活動」「コントリビューション」のいろいろ 「え?これでよいの?」と思える程度でも、立派な「コントリビューション」と言えます。 1. 実際使ってみる【初級】 2. 不明点、新しい動作実績、機能追加要望等をMLやForumで質問/報告する 【初級】 •

    「テストに協力する」という意味もある • 「機能追加要望」は「ユースケースの紹介」という意味もある 3. イベントで発表する【中級~上級】 • レベル感/内容は、ユースケースの紹介、新機能の提案、構造の説明...等さまざま 4. 不具合を見つけたらバグレポートする【初級~中級】 • 事象の報告だけなら【初級】、解析までできれば【中級】 5. 不具合を自分で修正してbug fix patch を投稿する【中級~上級】 6. 自分の研究開発成果を新規公開する/新機能を実装してcontributeする【上級】 7. 開発者コミュニティに参加する【だいぶ上級】 8. 投稿されたパッチのreview を担当する (いわゆる core dev) 【かなり上級】 9. 開発者コミュニティ運営に参加する【かなり上級】 10. 特定のプロジェクトのリーダーを務める【かなり上級+】 11. コミュニティ全体の運営に参加する【超上級】 • Technical Committee等、全体の運営にかかわる決断を行う場への代表者。 これらも「コミュニティ」に対する立派な「コントリビューション」です。 しかも、自社にメリットもあります。
  17. 25 留意しておくべきことがら  会社員として ➢ 機密情報を混入させない ✓ 技術的な一般論に落とし込んで報告/共有する  (広い意味での)コミュニティの一員として

    ➢ 「提案」を持ちこむにあたってのTPOに従う ✓ 「新規機能の追加」や「既存機能の仕様変更」の場合、「ユースケース(メリット、必要性 等)」「仕様、設計の妥当性」を丁寧に説明する ✓ いきなり説明もなしに修正(PR)を送り付けるのはむしろマイナス ➢ 類似/関連分野のコミュニティとの関係考慮 ✓ 「完全に新規ツールの公開」の場合、「仲間づくり」が重要 ➢ 「ライセンス」「利用許諾条件」に注意する ✓ 通常は各社の法務・知財担当部門がドキュメントを作っています
  18. 26 留意しておくべきことがら  ソフトウェア技術者として ➢ Git (ツール)やGitHub等の開発プラットフォーム関連 ✓ ログやコメントは英語で書く –

    日本語等のローカル言語は多言語対応部分に限定すべき ✓ commit logの整理(PRを出す前に) – 複数の趣旨の修正をまとめて大きなcommitにしない » 小さめの修正ならissueに対応して1 commitくらいが妥当 – typoの修正等、中間作業状態のcommitは1つにまとめる ✓ commit logには充分な説明を書く – Issueへのリンク ✓ プロジェクトごとの権利表示の流儀に従う – 例:DCO(Developer’s Certificate of Origin)のため Signed-off-by: をつける » https://developercertificate.org/ » https://gt-h6k.jp/git-dco/ [ja] ➢ …