1,000億円の資金を確保しました。 コミットメントラインを得るということは、 あらかじめ約束した期 間、 金額の範囲内でいつでも銀行から借入が実施できるという ことです。 1,000億円という金額は、 万一、 年間通して30%程度の 売上規模の減少が発生したとしても、 概略計算上、 十分に耐えら れるだけの追加資金です。 一方で、 国内だけでなく、 海外拠点に おいてもファクタリング (債権流動化) の活用を検討、 推進すると ともに、 グローバルな余剰資金の回収と活用を目指します。 資金流出の抑制 十分な資金確保の一方で、 資金流出の抑制を徹底します。 そ のために、 まず設備投資額を200億円以下に抑制します。 この 範囲で徹底的に必要最小限の投資内容を吟味しますが、 能力 増強の新規投資は原則凍結し、 スループット向上を実現する生 産改革投資や既存設備のオーバーホール、 フレキシブルな段取 り対応を優先します。 さらに、 棚卸資産については、 補修事業の 売上増を目指して戦略的に補修在庫を増やす一方で、 OEM在 庫の削減により、 全体の棚卸資産回転率は2020年3月期の3.6 回転を目標にします。 執行役 CFO (最高財務責任者) 十河 哲也 総括 2020年3月期は、 新型コロナ影響前の2月に実施した第3四 半期決算説明会において、 売上高6,800億円、 営業利益100億 円という見通しを公表していました。 しかしながら、 第4四半期 においては新型コロナウイルス感染症拡大が大きく影響し、 売 上高が見通しを大幅に下回る6,515億円という結果になりま した。 一方、 営業利益については特に経費や人件費という固定 費の徹底的な削減により最大限の挽回を図り、 71億円という 水準を確保しました。 ただし、 当期純利益についてはマイナス 440億円というNTN史上最悪の数字を計上しました。 その大 きな要因は、 営業外費用として、 再生の見通しのない中国、 韓 国における不採算な合弁事業の整理損18億円の計上に加え、 特に、 減損290億円を含む特別損失342億円を計上したこと であります。 減損について 基本的に当社においては、 将来的に大きく採算の悪化が見 込まれる事業所や会社に対して、 それぞれが有する設備の平均 残存償却期間 (7~8年程度) における将来の事業計画を監査 法人に説明、 討議、 合意した上で、 それぞれが生み出す事業価 値 (創出するフリー ・ キャッシュフローと土地、 建屋売却可能額 の現在価値) が、 それぞれの有形固定資産簿価より低い場合、 その差額を減損するという方針です。 したがって、 減損とは、 そ の事業が生み出す事業価値が、 その事業活動のための有形固 定資産の簿価にも満たないということであり、 2019年3月期に 当社単独と関係会社5社を含む国内にて170億円の減損を実 施しました。 景気の変動による販売減、 為替、 鋼材価格、 関税 等の外部要因だけでなく、 グローバルに競争環境が変化、 激化 する中、 当社全体、 特に当社国内の競争優位性が徐々に劣化 し、 事業価値を生み出せない状況になっているということです。 2020年3月期は特に国内の事業所、 関係会社を中心に、 海外と の費用負担の正常化、 赤字商品の値上げ、 撤退、 補修事業への 対応強化等、 それぞれの事業価値向上を目指した対策を推進 することにより、 2期連続の大きな減損は無いという見通しでし たが、 最終的に、 監査法人とも協議のうえ、 減損の判定において は新型コロナウイルス感染症の影響を反映せざるを得ないと いう判断にて、 国内220億円、 海外70億円、 計290億円の減損 を計上しました。 なお、 2020年3月期の減損290億円は、 2021 年3月期は当社全体の平均にて売上規模は新型コロナ影響前 の事業計画における売上高から20%下落する、 2022年3月期 ではまだ100%売上高が回復しない、 その後の償却残存年数に おいても売上高の増加はなく一定とする、 という極めて保守的 な前提条件で計算したものであり、 今後の減価償却費の負担 減が年間35億円となります。 財務体質改善に向けた残された課題 2020年3月期は前年同期比にて、 固定費において人件費で 69億円、 経費で92億円の削減、 比例費において原価低減による 36億円を含めて31億円の削減を実施しましたが、 規模減少の 影響マイナス339億円が極めて大きく、 営業利益は大幅に下落 しました。 まず、 原価低減額が年々減少傾向にあるため、 特にグ ローバル調達の推進により、 どれだけ比例費低減できるかが一 つ目の課題です。 さらに、 規模減少の影響については、 為替と売 価の影響を除いた販売規模の減少額は624億円、 一方でNTN 全体の比例費率は55%、 したがって限界利益率は45%である ため、 規模の利益への影響額はマイナス280億円となります。 た だし、 2020年3月期は売上高減少に伴い、 徹底的な棚卸資産の 削減を実施したため、 生産規模は870億円の減少となり、 規模 の影響がさらに加算されマイナス339億円となりました。 2021 年3月期もさらに大幅な販売減少となる中、 キャッシュフロー対 策としてさらなる棚卸資産の削減を徹底するため、 利益へのマ イナス影響が極めて大きくなることが想定され、 人件費、 経費等 の更なる固定費削減がどれだけできるかが二つ目の課題です。 特に本社経費については、 今後の戦略本社化とシェアードサー ビス化に向けた徹底的な見直しが必要です。 また、 売価レベル が前年同期比でマイナス25億円となっていますが、 これは自動 車OEM事業だけでマイナス58億円の値引きとなっています。 特 にOEM事業の利益率低下が顕著になっている状況下、 いかに 値引を抑えて値上ができるか、 熾烈な価格競争から抜け出す技 術やサービス面からの差別化が三つ目の課題です。 上記の課題対応と並行して、 2020年3月期より導入した 「企 業価値創造に向けたグローバルな投資の判定、 および業績評 価 ・ フォロー体制の徹底 ・ 強化」 を継続していきます。 1 NPV、 IRRによる投資判定基準の徹底、 定着化による企業 価値向上に直結する投資の選別、 フォロー体制の強化 2 EVA、 ROICによる業績評価の徹底、 定着化による各事業、 各地域、 各社の企業価値創出状況のモニタリング、 および課 題の明確化と対応体制の強化 3 上記 1 、 2 を通して、 事業別、 地域別、 各社別に、 お互いが密 接に連携しながらも、 それぞれが自らの企業価値最大化に 向けて、 自律的に最も効果的な施策を迅速に実施できる学 習組織をグローバルに構築 ▪ 2020年3月期決算について ▪ 営業利益増減 ▪ 危機対応期間における重点施策について グローバル企業としての 持続的成長を可能にする 経営基盤の確立に向けて ݄ظ ௨ظ Ӧۀརӹ ԯԁ ݄ظ ௨ظ Ӧۀརӹ ԯԁ نӨڹ ԯԁ ചՁϨϕϧ ԯԁ ҝସ ԯԁ ܦඅԯԁ ʢঈ٫අԯԁɺ ͦͷଞԯԁʣ ݄ظ௨ظ ʢ࣮ʣ 74݄ظ௨ظ ʢ࣮ʣ ˚ԯԁ ਓ݅අ ԯԁ ൺྫඅ ԯԁ རӹ૿ՃཁҼ ʢԯԁʣ རӹݮগཁҼ ʢԯԁʣ ▪ 減損損失の内訳 •2020年3月期 減損損失 290億円 ・ 国内 220億円 NTN単独 127億円 関係会社 8社 93億円 ・ 海外 70億円 米州地区 1社 55億円 欧州地区 1社 15億円 •2019年3月期 減損損失 170億円 ・ 国内 170億円 NTN単独 53億円 関係会社 5社 117億円 ▪ 連結損益 2019年3月期 実績 2020年3月期 実績 売上高 7,336 6,515 営業利益 269 71 (営業利益率) (3.7%) (1.1%) 経常利益 222 △17 特別損益 △193 △323 親会社株主に帰属する 当期純利益 △70 △440 為替レート US$ 110.9 108.7 EURO 128.4 120.8 単位 : 億円 NTN再生へのストーリー CFOメ ッセージ 23 24 NTNレポート 2020 NTNレポート 2020 N T N を 知 る N T N 再 生 へ の ス ト ー リ ー 事 業 戦 略 E S G 戦 略 財 務 報 告 会 社 ・ 株 式 情 報