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TinyTroupeで人狼ゲームやってみた!

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March 14, 2026

 TinyTroupeで人狼ゲームやってみた!

Microsoft製 マルチエージェントシミュレーションライブラリであるTinyTroupeを使用して人狼ゲームのシミュレーションをおこなってみました。その時の知見を共有します。

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March 14, 2026
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  1. ueponx 上田 茂雄 / Ueda Shigeo @ueponx 上田茂雄 uepon日々の備忘録 所属

    中京テレビ放送 ICT推進部 名城大学 非常勤講師 愛知大学 非常勤講師 京都精華大学 非常勤講師 名古屋工業大学 修士(社会工学)2026年3月修了 コミュニティ • IBM Champion 8年連続受賞(2026含む) • Nagoazu運営 Azure User Group Nagoya • SeeedJP UG運営 IoT / Maker Community Skills & Interests IBM Champion Node-RED IoT / Raspberry Pi AI / LLM RAG / GraphRAG ナレッジグラフ RDF / Neo4j MCP / AI Agent 放送システム watsonx Azure ローカルLLM
  2. 2 / 7 TinyTroupeとは Microsoft製 マルチエージェントシミュレーションライブラリ LLMでペルソナを持つエージェント(TinyPerson)を作成し、 仮想環境(TinyWorld)内でエージェント同士を対話させるPythonライブラリ GitHub ★

    7,000+ MITライセンス v0.6.0(2025年) 対応 LLM OpenAI / Azure(推奨) Ollama(実験的) 想定用途 顧客インタビュー フォーカスグループ 広告評価 ✦ 本来は「善意の対話者」同士の自由な対話をシミュレーションするツール
  3. 3 / 7 AI × 人狼ゲームの背景 人狼知能プロジェクト(AIWolf) • 2013年から続くAI研究のグランドチャ レンジ

    • 不完全情報 × コミュニケーションゲーム • 将棋・囲碁とは異なるAI課題 • 「推定+思考」と「コミュニケーション」の 両方が必要 実験について TinyTroupeの仕組み 各エージェントは別々のAPIコールで動作 → 内部状態は分離されている ただし 非対称性をゲームとして機能させるには プロンプトや設定の十分な設計が必要 要素 完全情報ゲーム(将棋等) 人狼ゲーム 情報構造 全情報公開 非対称(役職を秘匿) コミュニケーション 不要(手を指すのみ) 自然言語での議論が必須 求められる能力 探索・評価 推理・欺瞞・説得
  4. 4 / 7 ローカルLLMへの切り替え デフォルト構成 OpenAI API Azure OpenAI (クラウド型LLM)

    壁にぶつかる 従量課金コスト レート制限(TPM) 429エラー頻発 ローカルに変更 Ollama + gpt-oss:20b WSL2 + RTX 4090 → → 技術的なポイント • TinyTroupe v0.6.0のOllamaクライアントにバグ → OpenAI互換モード(/v1)で回避 • WSL2からWindows側Ollamaへの接続: ip route でホストIP取得 + OLLAMA_HOST=0.0.0.0 • 環境切り替えスクリプト: source ollama_activate_env.sh でconfig.ini自動生成 • RTX 4090版: WSL2上にOllamaをインストール、ローカルGPUで直接推論(レート制限なし)
  5. 5 / 7 盛大に失敗した結果 ゲーム文脈が崩壊 「人狼」を哲学的な「人間とは何か」と解釈。 風や雨について詩的に語り始める。 投票が完全に破綻 宮崎駿・宮本武蔵・山田太郎に投票。 ゲーム参加者の名前を挙げられない。

    同調・オウム返しの連鎖 全員「観察しましょう」で合意し続ける。 対立・疑惑・反論が一切発生しない。 役職行動の欠如 人狼が嘘をつかない。占い師が占わない。 3人の発言を入れ替えても違和感なし。 3回の試行すべてで人狼ゲームとして成立する議論は実現できなかった
  6. 6 / 7 構造的な課題 情報の非対称性を活かす設計の不足 各エージェントは別々のAPIコールで動作し、内部状態は分離されている。しかし、その非対称性をゲームとして機能 させるには、プロンプトや設定の十分な設計が必要。デフォルトの仕組みだけでは不十分だった。 ハルシネーション+同調 他エージェントの発言に引きずられ 全員が同じ方向に流れる。

    対立構造が生まれない。 トークン消費が膨大 1エージェント1回: 5,000〜7,000トークン 3人最小構成の1日分: 約54,000トークン 5人3日間: 約462,000トークン レート制限の壁 → ローカルGPU必須の領域 バックエンド レート制限 評価 Ollama Cloud(Free) 日次上限あり / 429頻発 マルチエージェントには不向き OpenAI API(Tier 1) 200K TPM 3人が限界、5人は困難 ローカルGPU(RTX 4090) 制限なし TinyTroupeに最適
  7. 7 / 7 まとめ・学び 01 人狼ゲームには 十分な設計が必要 各エージェントの内部状態は 分離されているが、非対称性を 活かすにはプロンプトの作り込み

    が不可欠。 02 マルチエージェント = トークン爆発 エージェント数 × ターン数 × トークン数でコストが乗算的に 増加。ローカルGPUが必須。 03 TinyTroupeの 得意・不得意 協調的な自由対話には最適。 対立・欺瞞・ルール進行の ゲームには設計が合わない。 今後について • 独立エージェント間の対戦構造で真の駆け引きを実現 • ハイブリッドアプローチの検討 … ルールベース(戦略判断)+ LLM(自然言語生成)の組み合わせ