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The Nature of Models in School Science: A Comparison with the Notion of Model in Mathematical Modeling

大会名:日本理科教育学会オンライン全国大会2026
開催日:2026年3月20日
発表日:2026年2月20日
形式:オンライン

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Unzai Hiroshi

March 24, 2026
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Transcript

  1. 研究の概要 2 観点 理科教育 数学教育 モデリング研究に おける「モデル」の 定義 ある対象を表現したものであり,理論と観察さ れる現象とを結びつける「橋渡し」の役割を果

    たすもの(Oh & Oh, 2011) 他の何かを代弁する(表現する)ための対象 (Niss & Blum, 2020) モデリングの目的 (主として)自然現象の説明・予測 (Schwarz et al, 2009) (主として)問題解決(Kaiser, 2020) 良いモデルの基準 自然現象を説明・予測できているか (Schwarz et al, 2009) 目的に対して有用か(Kaiser, 2020) モデルの種類 全般的(数学的モデルを含む) (Harrison & Treagust, 2000) 限定的(Niss, & Blum,2020) 現実への方向性 (主に)記述的(Niss & Blum, 2020) 現実に合わせてモデルを調整する 記述的・規範的(Niss & Blum,2020) 現実をモデルに合わせようともする 目的 数学教育の数学的モデリングにおける(数学的)モデルとの比較を通して, 理科教育におけるモデリング研究で取り扱われるモデルの特質を明らかにする
  2. モデルとは何か|モデルの性質 4 航空写真 地図 キャンパスマップ 対象の一部を特定の観点から写したもの 上から見た情報が写像され 横から見た情報は捨象される 線と図形が組み合わさったもの 道路と構造物の情報が写像され

    構造物のディティールは捨象される 三次元を二次元で表現したもの 建物の立体感が写像され 構造物のディティールは捨象される 目的(顕在化させたい対象の特徴によって),表現や形式が変わる 広島大学 https://www.hiroshima- u.ac.jp/system/files/7228/ 1480383090_313089.pdf
  3. 研究の背景 5 モデル・モデリングの役割(Upmeier zu Belzen et al., 2019) ー科学的知識の伝達手段 ー科学的思考や探究プロセスにおける中心的なツール

    モデルに関する研究 ーモデルの類型(Harrison & Treagust, 2000) ーメタモデリング知識(Schwarz et al, 2009) ー各領域のモデル(Van Der Valk et al., 2007) 画像:『自然の探究 中学理科1』 『自然の探究 中学理科2』 (2021)教育出版 溶解の粒子モデル 化学反応式 ツツジの模式図
  4. 研究の背景 6 先行研究の動向 ー理科教育で使われるモデルの体系的な整理(Harrison & Treagust, 2000) ー物理・化学・生物に特有なモデルの整理(Krell, Reinisch, &

    Krüger, 2014) 課題・意義 ー他教科におけるモデルの定義や種類の比較から,モデル概念を整理した研究は少ない ーSTEM領域を貫く中核的な概念として注目されていることから(Hjalmarson et al., 2020) 各STEM領域におけるモデルの固有性を明らかにすることには一定の価値がある 目的 比較する教科として「数学」を取り上げ,数学教育の数学的モデリングにおける(数学的)モデルとの 比較を通して,理科教育におけるモデリング研究で取り扱われるモデルの特質を明らかにする
  5. 数学教育で主に参照した文献 8 Compendium for Research in Mathematics Education(2020) →数学教育研究の著名なハンドブック Kaiser,

    G. The teaching and learning of mathematical modeling The Learning and Teaching of Mathematical Modelling(2020) →数学的モデリングの代表的な著書 Niss, M., & Blum, W. Conceptual and Theoretical Framework Models and Modelling: What and why? Modelling and Applications in Mathematics Education: The 14th ICMI Study(2007) →ICMIの第14回の最終成果として刊行された国際的な文献 Blum et al.
  6. 理科教育で主に参照した文献 9 レビュー論文や最新のハンドブックを中心とした Harrison, A. G., & Treagust, D. F.

    (2000). A typology of school science models. International journal of science education, 22(9), 1011-1026. Namdar, B., & Shen, J. (2015). Modeling-oriented assessment in K-12 science education: A synthesis of research from 1980 to 2013 and new directions. International Journal of Science Education, 37(7), 993-1023. Nicolaou, C. T., & Constantinou, C. P. (2014). Assessment of the modeling competence: A systematic review and synthesis of empirical research. Educational Research Review, 13, 52-73. Oh, P. S., & Oh, S. J. (2011). What teachers of science need to know about models: An overview. International Journal of Science Education, 33(8), 1109-1130. Upmeier Zu Belzen, D. Krüger, & J. Van Driel (2019). Towards a Competence-Based View on Models and Modeling in Science Education. Springer.
  7. ①モデルの定義 10 理科教育 数学教育 モデルとは、対象、現象、プロセス、アイデア、および/または それらのシステムの表現(Gilbert & Boulter, 2000) ある対象を表現したものであり,理論と観察される現象とを結び

    つける「橋渡し」の役割を果たすもの(Oh & Oh, 2011) モデルとは、自然現象、出来事、あるいは実体といった指示対象 を記述し、説明し、予測し、他者とコミュニケーションするため に用いられる人間の構成物(Namdar & Shen,2015) 溶解の粒子モデル モデル モデルとは(それ自体がオブジェクトの集合体であることが多い)ある オブジェクトであり、他の何かを代用する(表現する)ことを意図したものである。 モデルは、それが代用する対象の特定の機能のみを捉えることを意図しており、 したがって、対象の単純化された表現である(Niss & Blum, 2020) 数学的モデル 簡単に言えば、数学的モデルとは特別な種類のモデルであり、すなわち、 数学外の領域の側面を、いくつかの数学的実体およびそれらの間の関係性を用いて 表現したものである (Niss & Blum, 2020) グラフ y = x +3 数式
  8. ②モデリングの目的 11 理科教育 数学教育 記述(Description) 事象が「どのように存在し、振る舞うのか」 という存在論的な問いに答えること 説明(Explanation) 事象が「なぜそのように存在し、振る舞うのか」と いう因果関係を明らかにすること

    予測(Prediction) 構築したモデルを用いて未来の現象を予測したり、 科学的理論の検証を行ったりすること (Oh & Oh, 2011) •記述的モデリングと規範的モデリング(Niss & Blum, 2020) 記述的(Descriptive)モデリング すでに存在している現実を捉え,理解し,説明するために, モデルを生成・評価・改訂していく 例.今の土地の地図の作成,過去の携帯料金の推移の記述 規範的(Prescriptive)モデリング 望ましい現実に向けた意思決定のために, モデルを生成・評価・改訂していく 例.ハザードマップの作成,最適な料金プランの選択 •モデリング活動とは,特定の教授設計の原則によって 構築された問題解決活動である(Kaiser, 2020)
  9. ③良いモデルの基準 12 理科教育 数学教育 テーマ 説明 1. モデル構成の質 モデル要素の正確な名称、含まれる変 数の型、変数の数、およびそれらの関

    係性といった、モデルを構成する要素 の質、量、特性、および接続性を評価 する 2. モデル表現の質 数式の正確さや化学的表現、およびモ デルで使用される説明文の習熟度など、 記号的表現の正確性と完全性を含む、 モデルの表現的側面を評価する 3. 全体としての モデルの一貫性 モデル全体が、調査対象である現実世 界の現象をいかに首尾一貫して反映し ているかという観点から、モデルの総 合的な質を評価する Nambar & Shen(2015) •正しさではなく「目的への適合性」と「有用性」 ー異なるモデルの比較と評価は、数学的な内容の充実度やカリ キュラムへの適合性といった基準には言及しない。モデルの妥 当性を判断する決定的な基準は、元の現実世界の問題に答える ための有用性である(Kaiser, 2020) ーモデルを評価する究極の目的は、それを受け入れるか拒否する かを決定することであるが、それは正しいか間違っているかを 決定するかということではなく、むしろ、私たちが定義した目 的にどれほどうまく適合しているかを見つけ出すということで ある(Niss & Blum, 2020) •教育的評価における良いモデルの基準 生徒は何を基準(尺度)として使用したか、そしてそれは十分に 正当化されているか? 生徒はその問題にとって極めて重要な変数を すべて考慮に入れたか? モデルは問題に適しているか - それは問題 にどれほどうまく適合しているか?(Blum et al., 2007)
  10. ④モデルの種類 13 理科教育 数学教育 枠組み モデル モデルの説明 科学的・ ペタゴジカル モデル

    縮尺(スケール) モデル ターゲットの外形や構造はそのままで,縮尺を変え, ターゲットの色,外形や構造を表したモデル 例.おもちゃ,模型など ペタゴジカル・ アナロジカルモデル 教授や学習で用いられるモデル 概念的知識を 構築する ペタゴジカル・ アナロジカル モデル 記号的・象徴的モデル 記号で表現されたモデル(例.化学式など) 数学的モデル 数式で表現されたモデル(例.k = pV,F = ma) 理論的モデル 力や磁力線など,理論を表すモデル 集合的な概念・ 過程を描写する モデル マップ,ダイアグラム, テーブル ターゲットについて,簡便に視覚化されたパターンや 関係を 表すモデル(例.周期表,系統樹,天気図など) 概念―過程モデル 概念の動的な関係を示しているモデル (例.酸化還元反応など) シミュレーション 飛行機のフライト,地球温暖化,人口変動などのコン ピュータシミュレーションに関するモデル 実体,理論, 過程の 個人的なモデル メンタルモデル 個人が認知的な機能をすることを通して作られるモデ ル 統合的モデル 教師の科学的モデルと生徒の直感的なモデルが統合し てできたモデル Harrison & Treagust(2000) •モデルを作成・活用する目的に基づく分類 (Niss & Blum, 2020) 例.記述的モデル(過去の携帯料金の推移の記述) 規範的モデル(最適な携帯料金プランの選択) •数学的表現に基づく分類(Niss & Blum, 2020) 例.数学的な対象の純粋な表現(バーコードや識別番号) 数学的構造を持つ表現(関数や方程式など) •数理科学に基づく分類(Blum et al., 2007) 例.決定論的モデル(微分方程式/関数) 感染症における介入と結果の因果関係 など 確率論的モデル(シミュレーション) 感染者数の今後の予想 など
  11. ⑤現実への方向性 14 理科教育 数学教育 Upmeier Zu Belzen et al. (2019)

    記述的:現実 ← モデル 記述的・規範的:現実 ⇄ モ デル 目的は「自然現象の説明・予測」 目的は「問題解決」のため記述的・規範的 (Niss & Blum, 2020, p. 9)
  12. 研究の概要 16 観点 理科教育 数学教育 モデリング研究に おける「モデル」の 定義 ある対象を表現したものであり,理論と観察さ れる現象とを結びつける「橋渡し」の役割を果

    たすもの(Oh & Oh, 2011) 他の何かを代弁する(表現する)ための対象 (Niss & Blum, 2020) モデリングの目的 (主として)自然現象の説明・予測 (Schwarz et al, 2009) (主として)問題解決(Kaiser, 2020) 良いモデルの基準 自然現象を説明・予測できているか (Schwarz et al, 2009) 目的に対して有用か(Kaiser, 2020) モデルの種類 全般的(数学的モデルを含む) (Harrison & Treagust, 2000) 限定的(Niss, & Blum,2020) 現実への方向性 (主に)記述的(Niss & Blum, 2020) 現実に合わせてモデルを調整する 記述的・規範的(Niss & Blum,2020) 現実をモデルに合わせようともする 目的 数学教育の数学的モデリングにおける(数学的)モデルとの比較を通して, 理科教育におけるモデリング研究で取り扱われるモデルの特質を明らかにする