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『集中』が難しいチームでもスクラムをやっていくぞ/WHIdevelopers_LinkLigh...

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November 11, 2025

 『集中』が難しいチームでもスクラムをやっていくぞ/WHIdevelopers_LinkLight20251111-Scrum-04

2025年 11月 11日開催の Link Light(WHI開発 社外LT会) 第5回『本音トーク!Scrumのリアルについて試行錯誤と挑戦談』の登壇資料です。

==【イベント概要】=======
価値の高い製品を継続的に提供するための手法として、すでに広く知られている「スクラム」。しかし、「理解が容易」「習得は困難」と言われる「スクラム」― 実際に現場にその手法を取り入れる際には、大変なことも難しいことも沢山ありますよね。
価値の高い製品・機能を提供するための数々の苦悩、弊社エンジニアのリアルな想いや実践の知見を、LT形式で共有いたします!
スクラムをこれから導入しようとするフェーズから、実際に運用しているフェーズまで幅広いお話をオンライン開催にてお届けします。

▼ イベントページ ▼
https://workshumanintelligence.connpass.com/event/372622/

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November 11, 2025
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Transcript

  1. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. 『集中』が難しいチームでもスクラムをやっていくぞ! 萩⽥ 篤

    20251111 #whi_linklight 本⾳トーク!Scrumのリアルについて試⾏錯誤と挑戦談
  2. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. 2 ⾃⼰紹介 名前:萩⽥篤

    所属:Product Div Product DMO Dept 役割:Engineering Manager、PO 好きなもの: • AWS、 スクラム 最近の読書: • キングダム スクラムとの出会い: • チームとしてパフォーマンスを出すことに憧れがあった 踏んできたアンチパターン • SM‧マネージャー兼務 、 PO‧マネージャー兼務
  3. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. 私たちの「集中」を阻む壁 • 正直、めちゃくちゃ「集中」が難しい!

    ◦ 集中を阻害するもので溢れかえっている ◦ 誰かが阻害されているとチームで働くことのパフォーマンスが出なくなる • 私たちのチームの状況 ◦ 多数の守備範囲 ▪ 特定プロダクトを持たない(問題解決チーム) ▪ 複数の社内ツール (ソフトウエア開発+運⽤) ▪ 社内からの問い合わせ多数(サービス提供対象は社内の開発者) ◦ メンバーは半数以上が協⼒会社 ▪ チームビルディング‧オンボーディングの問題 ▪ チームの成功に対するインセンティブの有無 ▪ アクセスできる情報の障壁 4
  4. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. 私たちを取り巻く状況 (VUCA/BANI) •

    先の⾒通しが⽴たない ◦ 3ヶ⽉先の緻密な計画は崩れる ◦ ⻑期タスクはゴールが変わる • 突発的な差し込み ◦ 突発的なインシデント対応 ◦ 依頼者からは他の仕事が⾒えていない ◦ 今やっているなかなか終わらない難しい仕事よ り、少し頑張れば終わるタスクの⽅がやった感 が出る誘惑 5
  5. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. 発想の転換 ① チームの定義

    • 複数のツールを持っていて、依頼が多⽅⾯から来るなら… → 「問題解決チーム⾃体」をプロダクトと⾒⽴てよう • チームで価値ある課題解決(=PBI)を最短で⾏うことに「集中」する ◦ トピックと⼈を結び付けるリソース効率重視なやり⽅は避ける ▪ チームではなく個の集まりになる ▪ リードタイムが⻑くなり、完成したころには不要になることも ◦ 今⼀番価値の出ることにチームを集中させる構造をとれるようにする ▪ 最速でインクリメントを出す ▪ フロー効率重視のチーム 6
  6. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. 発想の転換 ②変化への対応スピード •

    計画が変わるなら…スプリントを短くして、向き先を継続的に変えよう ◦ 1週間スプリント ◦ 2週間だと状況が変わり、差し込みへの初動が遅くなる ◦ 不要になったとしても捨てられる ◦ 価値が出る単位を⼩さく切っておくことで、⽅針変更があったとしても価値が出 るようにする • 祝⽇でリズムが崩れるのを防ぐため「⽕曜⽇スタート、⽕曜⽇終わり」 7
  7. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. 『集中』を⽣み出す4つの⼯夫 1. 「⾒通し」と「バッファ」で計画を守る

    2. 「権限移譲」で当事者意識を育てる 3. 「勇気ある"No"」で集中を切らさない 4. 「フロー効率改善」で"待ち"をなくす 9
  8. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. ⼯夫1:「⾒通し」と「バッファ」で計画を守る • 粒度の粗い⾒通しを⽴てる

    ◦ 半年レベルの「ざっくり」ロードマップを作成 ◦ ⽬的:直近のことだけ⾒て⽅針がブレる(漂流アジャイル)のを防ぐ ◦ Epicは1⽉に2つくらいが限度(これ以上積むと破綻し始める) ▪ スプリントゴールもこのロードマップから解像度を上げたものを設定する ◦ ロードマップの変更、優先順位の変更は歓迎 • 突発対応について事前にバッファを確保 ◦ 問い合わせ対応といった突発対応についても後付けで「SP(ポイント)」を⼊れる ◦ 直近4スプリント分の平均値を算出し、バッファとしてスプリントに確保 ▪ これらを事前にプランニングのベロシティから引いて算出する 10
  9. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. ⼯夫2:「権限移譲」で当事者意識を育てる (1/2) •

    「集中」を誰もが意識できるようにする • Epic(⼤きなタスク)ごとにメイン担当(PO移譲先)を任命 ◦ 年次の若いメンバーも多いので、成⻑にもコストを割きたい ◦ チームのパフォーマンスをあげることと同じくらい、個のパフォーマンスを上 げることも重要 • チーム内が⼀番実験をやりやすく、失敗しても何とかなる環境ということを 伝える ◦ 実験をすることをポジティブに考えられるようにする ◦ 他の組織、上位の役職へプレゼンや施策を⾏う⽅が難易度が⾼く、ミスをした ときのダメージが⼤きい • 11
  10. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. ⼯夫2:「権限移譲」で当事者意識を育てる (2/2) •

    EMはサポートに徹する(特に外部調整) ◦ チームが⾃律的に動けるように ◦ 「やらされ仕事」ではなく、「主体的に動く練習」の場に ◦ 中途半端にかかわってブロッカーになるより、必要なところでブロッカーの 除去に全⼒を投じる • 単独ではなくチーム全体で取り組むことを再三伝える ◦ ⼀⼈でやることは楽なのは分かるが、チームのパフォーマンスが出るやり⽅ を⼀緒に考えようというスタンス ◦ メンバーに対し、期待値を伝えておく 12
  11. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. ⼯夫3:「勇気ある"No"」集中を切らさない • 問い合わせはデイリーで全員で⼀通り確認

    ◦ 突発的な問題には興味を持って⾏かれやすいので検査ができるようにする ◦ 「それ、本当に"今"やる必要がありますか?」 ▪ (次スプリントでの対応で⼗分なケースがほとんど) • 「次のスプリントで対応する」勇気を持つ ◦ ⼀瞬で終わるものについてはやってもよい ◦ ただし、スプリントゴールへのフォーカスを失わない 13
  12. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. ⼯夫4:「フロー効率改善」で"待ち"をなくす (1/2) •

    レビューを早くすることがフロー効率を⾼める ◦ 終わらせることを始めることに意識を持つ • レビューは1⽇以上貯めない ◦ Google eng-practicesにもそう書いてある ◦ ⽣成AIの時代になってもっと早くしていかないといけない ▪ 今はここがボトルネック(ペアプロしていると楽になるはず) • デイリーの後に「相談枠‧レビューを同期してみる時間」を意図的に確保 14 Google eng-practices https://google.github.io/eng-practices/review/
  13. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. ⼯夫4:「フロー効率改善」で"待ち"をなくす (2/2) •

    難しい課題:**モブプロ(スウォーミング)**でチームのリソースを集中 • 簡単な課題:ソロプロで個々のリソース効率を活かす • クイックコールを普段から⾏えるようにする ◦ 「待ち」時間を減らし、流れを⽌めないことで集中 • とはいえ、他チームのレビューが必要で進められないものもある ◦ アンコントローラブルなレーンを作り、忘れてもいい状況を作る ◦ 集中が妨げられないようにする 15
  14. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. (まとめ)4つの⼯夫 1. 「⾒通し」と「バッファ」で計画を守る

    2. 「権限移譲」で当事者意識を育てる 3. 「「勇気ある"No"」集中を切らさない 4. 「フロー効率改善」で"待ち"をなくす 16
  15. © 2025 Works Human Intelligence Co., Ltd. 結論:『集中』は"作る"もの • 「集中」できる環境は⾃然には⽣まれない

    • チームで「集中」できる仕組みをデザインし、実験し続けることが重要 • ⼤切なこと: ◦ 実験ができるチーム⽂化 ◦ 個⼈の⻑所を⽣かして、シナジーを⽣んでゴールを⽬指す(ゴールは共通だ が個性の⽣かし⽅は⾃由) ◦ 技術⼒で殴れる領域に持ち込むデザインも重要 19