エンジニアリングマネージャー業の抽象度マッピング 〜EMの成長プロセスとそれを支えるアジャイル〜
2023.01.11 #RSGT2023 Yoshiki Iida
1©2023 Loglass Inc.エンジニアリングマネージャー業の抽象度マッピング〜EMの成長プロセスとそれを支えるアジャイル〜2023.01.11 #RSGT2023Yoshiki Iida
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2©2023 Loglass Inc.自己紹介Yoshiki Iida (@ysk_118)これまでエンジニアに始まり、スクラムマスター、プロダクトオーナー、マネージャー、執行役員を経験し、現場のチームビルディングから部署を超えた会社全体の改善など、アジャイルな組織づくりの推進を行ってきました。現職の株式会社ログラスではソフトウェアエンジニアとしてプロダクト開発に携わったのち、2周目のエンジニアリングマネージャーとして試行錯誤しています。書籍「Scrum Boot Camp The Book 増補改訂版」コラムニスト。一般社団法人アジャイルチームを支える会 理事。
3©2023 Loglass Inc.今日話すこと(目次)● エンジニアリングマネージャー(以下EM)の成長プロセス○ EMのミッションを一言で表現すると?○ 初めてEMになる人に○ 一歩を踏み出した後のEM業(抽象度マッピング)○ チームの成熟度とともに変化するEM業○ EMとはどんな存在なのか?● EMを支えるアジャイル○ EMこそアジャイルに○ EMの面白さEMの成長プロセスとEMのアジャイル化が最もお伝えしたいお話しです。
4©2023 Loglass Inc.EMのミッションとは
5©2023 Loglass Inc.EMのミッションを一言で表現すると?会社とそこに属する人の成長を持続的に作り出す
6©2023 Loglass Inc.分解すると3つの要素で構成されます会社とそこに属する人の成長を持続的に作り出す● ビジネスを成功させ会社を成長させる● 人の活躍と成長に貢献する● 持続的な仕組みを作る
7©2023 Loglass Inc.大事なポイント● 会社の利益だけでなくそこにいる人と向き合うこと● 短期的な利益だけでなく長期的な利益も考える● ビジネスを成功させ会社を成長させる● 人の活躍と成長に貢献する● 持続的な仕組みを作る
8©2023 Loglass Inc.EM業の習熟について
9©2023 Loglass Inc.初めてEMになる人が最初にすべきこと● ビジネス: チームのビジネス的な成果を理解する● 人: チームメンバーを知る● 持続性: チームビルディングを行う
10©2023 Loglass Inc.初めてEMになる人が最初にすべきことその先は自分で自分の役割を定義すべし!● ビジネス: チームのビジネス的な成果を理解する● 人: チームメンバーを知る● 持続性: チームビルディングを行う
11©2023 Loglass Inc.初めてEMになる人が最初にすべきことその先は自分で自分の役割を定義すべし!でも、どうやって・・?● ビジネス: チームのビジネス的な成果を理解する● 人: チームメンバーを知る● 持続性: チームビルディングを行う
12©2023 Loglass Inc.目の前に広がるのは広大なフィールドだが指針はある
13©2023 Loglass Inc.一歩を踏み出した後のEM業
14©2023 Loglass Inc.● 個人・チームの状況把握● 1on1による支援● フィードバックを通した支援、成長機会の創出● 業績を個人の報酬に反映させる● パフォームしているチームを作る、維持する● ・・・● 採用● 組織全体のプロセス設計・改善● EMの後継者育成● 働きやすい環境を作る(カルチャー・制度設計など)● ドキュメンテーション● ・・・3つのカテゴリでも具体の業務は非常に多岐にわたる● 経営戦略、事業戦略の執行● 戦略・戦術の意思決定● 組織の目標設定● 組織を動かすコミュニケーション(情報収集、情報発信)● 会社を守るオペレーション(労務管理等)● ・・・ビジネス 人 持続性
15©2023 Loglass Inc.● 個人・チームの状況把握● 1on1による支援● フィードバックを通した支援、成長機会の創出● 業績を個人の報酬に反映させる● パフォームしているチームを作る、維持する● ・・・● 採用● 組織全体のプロセス設計・改善● EMの後継者育成● 働きやすい環境を作る(カルチャー・制度設計など)● ドキュメンテーション● ・・・3つのカテゴリでも具体の業務は非常に多岐にわたる● 経営戦略、事業戦略の執行● 戦略・戦術の意思決定● 組織の目標設定● 組織を動かすコミュニケーション(情報収集、情報発信)● 会社を守るオペレーション(労務管理等)● ・・・ビジネス 人 持続性どこから手をつければいいのやら・・
16©2023 Loglass Inc.チーム内部の業務を中心とした抽象度でマッピングするとわかりやすい1on1Qの目標半期の目標チームへのアサイン組織設計組織戦略採用計画採用活動スクラムイベントミッションビジョン制度設計EM後継者育成部門の会議体思い・感情レベルの発信生煮え戦略の頭出し部門内で共有する戦略行動指針評価フィードバック労務管理※外側にいくほど抽象度が高いスプリントゴール経営への働きかけ全社の会議体カルチャー全社で共有する戦略
17©2023 Loglass Inc.ここでの抽象度とは何なのか?● 課題の組織的なスコープ○ チーム・個人の課題 ↔ 組織の課題● タイムスパン○ 次スプリントでやること ↔ 次の半期でやること影響範囲が大きくなることで視点を切り替える必要のある尺度
18©2023 Loglass Inc.EMが扱うべき抽象度対するチームの成熟度によって変わる。成熟度が低い場合は具体的なサポートをする● チームビルディングがまだできていない場合● ベテランの熟達したメンバーが少ない場合 などチームが成熟してきたら抽象度を上げる● チームの練度が上がると自分たちで何をすべきか考えられるようになる。● EMは会社の成長のためより高いストレッチゴールを探しにいくなどに着手できる(円の外側に手を広げていく)
19©2023 Loglass Inc.抽象度が低い仕事がなくなるわけではない成熟したチームでも 1on1をしないわけではないし、評価がいらなくなるわけでもない。チームのことを何もわかっていない EMと行うコミュニケーションほど体験の悪いものはないだろう。普段はタイムスパンや影響範囲の異なることを考えながら、状況に応じてチームの足元の議論もキャッチアップしておかなければいけない。EMにとってはこのコンテキストスイッチが難しいポイントとなる。うまくいっている成熟したチームほど EMの力量が求められる 。
20©2023 Loglass Inc.EMの成長チームの成長と合わせて EMも新しいチャレンジを行うことで一緒にスキルアップしていける。逆に言えば、チームが成長しているのに EMの仕事が全く変化していなかったら黄色信号 と考えてほしい。会社の状況に合わせて EMとして手を広げる先を日頃から考えておきたい。
21©2023 Loglass Inc.EMはどのような存在なのか?● 会社という視点からビジネスの成功のためにパフォームするチームを作っていく存在● 会社を成長させるために必要な業務はチームの外側に広がっている
22©2023 Loglass Inc.EMこそチームでアジャイルを
23©2023 Loglass Inc.プロダクト組織との対比システムに対してチームで取り組むのはもう当たり前になっている。組織に対しては・・?すごく売れるシステムすごくいい感じのプロダクト組織スーパーEMすごくいい感じのプロダクト組織
24©2023 Loglass Inc.プロダクト組織との対比システムに対してチームで取り組むのと同じように、組織に対しても EMがチームになって取り組む べき。バス係数を増やし、業務停止やナレッジの喪失に備える必要がある。すごく売れるシステムすごくいい感じのプロダクト組織スーパーEMチームすごくいい感じのプロダクト組織
25©2023 Loglass Inc.チームでアジャイルに取り組むことで成功確率を高める● 1人でEMをやると辛いこと○ 1人で組織に立ち向かうのはそもそもとてもしんどい■ チームで向き合えるなら心が折れてしまうリスクはだいぶ減る○ 組織に対する試行錯誤は会社にとっての貴重な経験であり、個人の暗黙知のままにしておくべきでない● EMがチームでアジャイルにやるとはどういうことか?○ 1年後EMとしてどうなっていたら最高なのか?チームで目標を言語化してみる○ 日々のタスクを可視化し、デイリースクラム的に課題共有してみる○ ふりかえりを行い、個々の抱えている課題感についてみんなで議論してみる○ スプリントレビューを行い成果をよりよくするためのフィードバックをもらう○ ・・・EMをチーム化し、アジャイルに回すリズムを作るところまで踏ん張る。
26©2023 Loglass Inc.EMの面白さ
27©2023 Loglass Inc.EMの仲間を増やすために、EMの魅力を伝えよう!どんな時にEMの喜びを感じますか?● EMとのコミュニケーションによって、メンバーが自分では選択しなかったようなチャレンジを行い、新しい学びが得られたりキャリアが豊かになったとき● ちょっとした後押しでメンバーが大きな成果を出してくれたとき● 抽象度高い仕事にチャレンジしていき、組織全体に影響するような戦略がうまくいったとき● 部署間・組織間に立ちコラボレーションを生み出して組織に良い影響を与えられたとき● etc…
28©2023 Loglass Inc.おわりに
29©2023 Loglass Inc.おわりにまとめ● EMはチームの内から外へ、影響範囲を広げて抽象的な課題に取り組もう● 1人でワークするようになったらチームを組もう● 魅力を伝えてチームを増やそう他の現場での実践知もたくさん知りたいと思っています。ぜひギャザリングしましょう!