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新卒採用マニュアル⑤_選考設計/内定後のアトラクト

 新卒採用マニュアル⑤_選考設計/内定後のアトラクト

意外と見落とされがちな選考の中身や運用についてと、疎かになりがちな内定出し後のアトラクトについてまとめています。企業ごとによって考え方は異なりますが、共通する大切なポイントについて記載しています。

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袴田 優斗

January 17, 2026
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  1. 選考の「人依存」の危険性 採用担当者が、自身の担当面接以外は選考官任せというのは大きなリスクである。 ① 品質のばらつき ② 知見の非蓄積 ③ アサインの運要素 ④ ブランド毀損

    • 中途採用と異なり、業務ベースの質問が 難しく、担当者毎に選考内容が変動する 可能性が高い。 • 評価基準が曖昧になる。 • 学生毎に最適な選考官をアサインするの はほぼ不可能。 • その中で人依存の体制から脱却できてい ないと、運要素が強く、機会損失を生んで しまうリスクがある。 • 個々の選考官にしかノウハウが貯まらず、 組織としての知見や質が向上しない。 • 各選考官にノウハウが貯まったとしても、翌 年までブランクがあるため知見が失われてし まったり、そもそも選考官が変更になる可 能性も高い。 • 口コミ文化が強い新卒採用では、一人の 選考官による質の低い体験がSNS等で 拡散され、以降の採用活動に影響を及ぼ す。
  2. 評価シートの作成 評価シートは「人依存」をなるべく無くし、評価の質/均一性を上げるツールである。 選考毎に適切な評価シートを、採用担当が作成する。  評価項目ごとに定量評価欄と定性評価欄を用意する。  定量評価の基準を同シートか別シートなどで確認できる ようにする。(例:xxならB評価)  選考ごとに最適化する。各々作成をする。

     評価項目とは別に自由記載欄・メモ欄を用意する。  通過基準はある程度決めつつ、総合的に判断することを 推奨。ただし、NG項目(この項目がD評価なら落と す)などを決めておくと判断がしやすい。 Point 評価シート 評価項目1:論理的思考力 定量評価: 定性評価: 具体的なエピソードや会話内容を記入 A C D B 評価項目2:協調性 定量評価: 定性評価: 具体的なエピソードや会話内容を記入 A C D B
  3. 選考ジャーニー/どのような手段で評価していくか 各選考ステップの「目的」を明確にし、評価項目を適切に配置する。なお、ケース面接や フェルミ推定はコンサルやそれ類する職種でなければ個人的には不要の認識。 ① スクリーニング ② 表層評価 ③ 深層評価 基礎能力によるスクリーニング

    手段:テスト系・ES等 短時間で見える能力の洗い出し 手段:GD・集団面接・オンライン面接等 1on1で深掘りが必要な能力・価値観の見極め 手段:個別面接(1~3回) 選考手法の例 よくある選考ジャーニーの例 選考手法 主な評価項目 テスト系 (テストセンターなど) 基礎学力、処理能力 (性格特性) エントリーシート (ES) 文章での伝達力、構造化・論理 性、文章の構成力... グループディスカッション (GD) 協働力、傾聴・巻き込み、スタン ス、論理性、ファシリ力... 通常面接 コミュニケーション能力、思考力、 価値観など様々 ケース面接/フェルミ推定 論理的思考力、仮説思考、数 的感覚...
  4. 昨今のスクリーニング問題 応募が殺到するような企業にとってスクリーニングは避けられない1つのテーマである。 ただ、様々な要因により、スクリーニングの難易度が非常に高まっている。 スクリーニング対策 適応したスクリーニング手段 就活対策情報の流通 • テスト対策は当たり前。自宅受験のも のは答えが流通しているケースも。 •

    「評価されるES」のテンプレートが口コ ミサイト等で当たり前に確認できる。 生成AIの登場 • 文章作成・構成設計、誤字脱字 チェック等が容易になり、ESで本来確 認したい項目がいくつか評価しづらく なっている。 GDをスクリーニングで利用 • ESやテストではもはやスクリーニングが できないと判断して、ESやテストは参 考程度にし、GD等の選考過程を増 やして、対応するケース。 正解のないES設問 • 生成 AIやテンプレートでは対応しにく い自社独自のユニークな設問を用意 し、対策するケース。 • 一方で、評価工数が増えるため、一 長一短である。
  5. GD設計のポイント GDの設計においては、奇を衒う必要はないものの、雑に設定するのも勿論避けたい。 お題設定やフィードバック・追加議論の時間の確保などポイントを踏まえて独自に設定する。 ① 何を特に評価したいか • 協調性を見たい場合ディベート形式は不向 き、論理性を重視するならアイデア企画系は ノイズが多い。 •

    評価項目に合わせてお題を選びたい。 ② 世に流通していないか ③ 自社に関連性があるか <お題設定のポイント> <時間配分のテンプレート> • テンプレート化されたお題は、対策済みの学 生が多く、素の力を見極めづらい。 • ネット検索でヒットするようなお題は避ける。 • 自社事業に関連したお題は、独自性を担保 し②の対策にもなり、かつ学生に自社事業へ の興味を持ってもらうきっかけにもなる。 議論:30分 お題説明:5分 発表:5分 FB・追加議論:15分
  6. フィードバック・追加議論の注意点 GDではワーク中の見極めと同じくらい、フィードバックや追加議論の時間における 見極め・アトラクトが重要となる。注意点を踏まえて、気を抜かず臨みたい。 ① 具体的な発言を引用する ② チーム向けだけでなく個別のFBも実施する ③ FBへの反応も評価対象としてみる ④

    クラッシャー発生時は冷静に対処する 抽象的なアドバイスではなく、「どのタイミングの、 どのような発言が良かったか」をピンポイントで引 用をしてFBをする。 フィードバックの受け止め方や、その後の追加議 論でグループワークで見えなかった良さや悪さが 垣間見えてくることが多々ある。 特に素直さや、吸収力を見たい場合は、最後 まで適切に評価をしたい。 チームに対してのFBだけでなく、一人一人に対 してFBをすることも大切。 合格者の印象をよくするだけでなく、不合格者 にもFBをすることで、ポジティブな口コミに繋げた い。 一人の動き方で議論が崩壊してしまうことは 多々ある。その場合、他の学生の評価もしづら くなってしまうため、ワーク中は静観しつつ、追加 議論の場で個別に話を振るなどして、冷静に対 応をしたい。 ただし、過剰にフォローする必要はなし。
  7. 新卒採用は内定から入社までの期間が長い 内定から入社まで最大1年半程度。この「空白期間」も新卒採用の 成否を決める大切なフェーズのため、戦略的に動きたい。 新卒採用は、内定を出してから実際に入社するまでの期 間が極めて長いのが特徴。 • ▪本選考期の内定者:約1年 • ▪サマーインターン期の内定者:約1年半 この期間、候補者は他社選考や自己分析を続け、意思

    決定は常に揺れ動く。内定式への出席で入社確度は約 90%に高まるが、100%ではない。 多くの企業がフォローを手薄にしがちなこの期間こそ、採 用担当が主導権を握り、最後まで走り切るべき重要 フェーズ。 本選考期の内定 サマーインターン期の内定 本選考期の内定者:約1年 サマーインターン期の内定者:約1年半 入社
  8. 個々人の入社確度を常に把握する 選考中の評価と同様に、内定者一人ひとりの「入社確度」をシート等で管理し、 常に最新の状態に更新していく。採用担当主導で設計と運用を実施する。 内定者名 入社確度 併願先 志向/性格 次回アクション 海外部署Z氏との面談 海外志向

    X商事 A:90% 佐藤 A子 コンサル出身社員 の座談会招待 ポータブルスキルの 短期習得 Xコンサル B:70% 田中 B太 X銀行との得られる スキルの差異言語化 専門スキルの習得 X銀行 C:50% 伊藤 C子 海外部署Z氏との面談 海外志向 Y商事 D:20% 鈴木 D太
  9. 基本は採用の4P 04の項目で紹介した「採用の4P分析」をベースに競合先との戦い方を検討する。 基本的にはこの項目ごとに競合との差・強み/弱みを言語化する。 採用の4P Philosophy (理念・目的) Profession (事業・業務) People (人・文化)

    Privilege (待遇・制度)  採用計画段階から4P分析の内容が変わっている可能性 が高いため、一通り確認をする。  採用計画段階と異なり、競合先が明確になっているため、 競合先についても再作成を行いたい。  ニッチな競合先について研究するというよりも、内定者を属 性や併願先などでカテゴライズして、主要な競合先を特定 して、整理をする。  自社で作成した4P分析が学生目線だとズレているという こともままあるので、定期的に就活生の声を拾い上げ、客 観的に評価をしていきたい。 Point
  10. 再掲: People(人・文化) どんな仲間と、どう働くのか? People (人・文化)  コミュニケーションスタイル・流儀  配属後一緒に働く人の具体像(わかる範囲で) 

    実際に新卒で入っている人の特徴  評価の考え方(コンピテンシー・志向面)  育成制度(OJT/メンター/レビュー頻度)  活躍している人の特徴、逆に「合わない人」の特徴 Point
  11. 注意したい4つのポイント ① オワハラに注意する。 ② フラットに。必死さは余裕のなさに見える。 ③ コンセプトに立ち返る。一貫性を大切に。 ④ 会うメンバーを固定しない。 •

    フィードバックの受け止め方や、その後の追 加議論でグループワークで見えなかった良さ や悪さが垣間見えてくることが多々ある。 • 入社確約の強要や、内定後研修→辞退 時の過度な金銭請求などはリスク。 • 悪評は拡散しやすく、デジタルタトゥー化し うるため、採用側で随時チェックする。 • 社員ごとに話し方が違うのはOKだが、核と なる訴求はブレないようにする。 • 年度ごとに採用担当が「採用マニュアル」 等を作り、一定の内容は社員に共有・イン プットする。 • ただしルール化しすぎると個性が消えるので、 固めすぎないよう注意。 • アトラクトは重要だが、「必死さ」が出すぎな いよう注意。 • 他社を貶す/自社を過大評価するのは 「余裕のなさ」と受け取られやすい。 • 自社・他社を客観的に捉え、フラットに面 談へ臨む。 • 学生は多面的に判断したいので、現場メン バー(特に新卒プロパー若手)との接点を 増やす。 • 採用担当だけが常に対応する形は避ける。 内定出し後のアトラクトで注意したいポイントもいくつかある。 現場メンバーだけだと抜けることがあるので、採用担当主導で随時チェックしたい。