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20250124_関西大学先端科学技術シンポジウム

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Kimura Atsunobu

January 24, 2025
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  1. 1 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 2025/1/24 木村

    篤信 日本リビングラボネットワーク 代表理事 地域創生Coデザイン研究所 ポリフォニックパートナー 東京理科大学 客員准教授 社会インフラとしての リビングラボ 第29回関西大学先端科学技術シンポジウム フィールドを超越する先端科学技術 地域再生センターセッション「産学官民が共に行う地域再生」招待講演
  2. 2 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    (Kimura Atsunobu) Profile 地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ) ポリフォニックパートナー 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー 日本リビングラボネットワーク 代表理事 日本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 東京理科大学 客員准教授 京都大学デザインイノベーションコンソーシアム フェロー ソーシャルビジネスネットワーク フェロー 横浜市PTA連絡協議会 理事 デジタル庁認定Well-beingファシリテーター 社会課題解決/企業ビジネス開発の実践 リビングラボ/社会システムデザイン方法論の研究 ソーシャルデザイン/サービスデザインの教育 ・一人ひとりの存在が肯定され、社 会的な理由で孤立することなく、多 様な選択肢の中でそれぞれの力が 発揮され、わくわくする持続的な社 会・都市の実現を目指し,地域経 営目線で社会課題解決に取り組 む地域団体(大牟田未来共創セ ンター@大牟田市①・TOMOSU @奈良市②)設立&地域共創 拠点(うずうずマイン,BONCHI) 構築. ・地域団体がリーダーシップを担う 形で,産官学民のPJを実施 ・サービス開発③(発達特性のあ る人の視覚認知能力をVRで分析 するサービスなど) ・行政計画策定④(人が真ん中の まちづくりを推進する大牟田市健康 総合福祉計画など) ・コミュニティづくり(リロケーションダ メージを受ける市営住宅在住高齢 者の引っ越し伴走支援など)等 セクターを超えた共創を促進する方法論リビングラボ,理念的 に社会システムを転換する社会システムデザイン方法論を軸に 実践&研究し,学術論文(査読付き7件,査読付き国際会 議11件,受賞3件),メディア取材(書籍2件⑤⑥,新聞 ⑦⑧・Web多数),講演・アドバイザー委嘱多数. セクターを超えた共創(リビングラボ)/社会システムの転換を リードできる人材の育成のため,学生,企業,行政向け教育 プログラム開発⑨,教科書作成⑩を多数実施(ソーシャル デザイン講義,地域連携デザイン演習,リビングラボ運営者 /社会システムデザイナー育成プログラム,ウェルビーイング政 策デザイン研修,新規事業リフレーミングプログラム,美学思 考ビジョンメイクプログラム等).共に学び合う実践者コミュニ ティ(一社)日本リビングラボネットワークを設立・運営⑪. ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 佐渡自然共生ラ ボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉 LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまち づくりスタジオ ふじみ野 LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy ⑪
  3. 3 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 研究領域紹介 情報科学

    (キーワード:情報デザイン、ヒューマンインタ フェース、インタラクション,CSCW) デザイン学 (キーワード:リビングラボ,参加型デザイン, デザイン態度,サービスデザイン,ソーシャルデザ イン) システムデザイン理論 (キーワード:社会システム,トランジション, ウェルビーイング,公共政策,地域社会) 学会活動 日本デザイン学会,ヒューマンインターフェイス学会,情報処理学会,電子通信情報学会,サービス学会,共創学会,人間中心設計推進機構等 人と人がコミュニケーションし,関係を築いていく暮らしを, より面白く,豊かに,効果的にするためには,情報デザ イン、ヒューマンインタフェース、インタラクション,CSCWな どの情報技術の研究が必要になります. 新しいメディア体験を創出するために,遠隔コミュニケー ションを活性化するための五感フィードバックに関する研究 や,日常的な会話や出会いの場を支援するコミュニケー ションメディアの研究を行ってきました. 社会に意味のある価値を探索し実現するためには,既 存の社会の枠組みや役割に囚われない,セクターを超え た共創のデザイン方法論が必要になります. 企業・行政・市民活動においても,誰もがデザインに取り 組むために必要な手法や環境設計の方法論を研究し, ガイドブック・ツール等を開発するとともに,企業サービス 開発,行政計画策定,コミュニティづくりの実践を行って きました. ウェルビーイングな社会を実現するためには,現状の社会 をシステムとして捉え,また一方で生活者のリアルなナラ ティヴを捉え,システム世界と生活世界の両輪で転換す る第三のデザイン(システムデザイン理論)が必要になり ます. 福岡県大牟田市,奈良県奈良市などで団体を立ち上 げ,システム転換を志向する統合的な実践を行うととも に,地域経営目線で社会課題解決に取り組む方法論 の提案をしてきました.
  4. 4 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 個別の地域活動や企業サービス、 領域ごとの政策による対応で

    バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる + 個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換を志向 課題意識:ソーシャルインパクトを志向した共創 2022/3/14 第4回全国リビングラボ ネットワーク会議 趣旨説明資料 e.g.本籍校に復帰できることを目標にする適応指導教室 e.g.学校への適応ではなく学ぶことを真ん中にした教育 (学習計画を子どもたち自身が作るイエナプラン教育)
  5. 5 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 福祉政策起点で新しい人間観にもとづく まちづくり(パーソンセンタードシティ)を

    目指す(福岡県大牟田市) 産業政策起点で日本的サスティナビリティに もとづく持続可能な地域や社会が うまれるまちを目指す(奈良県奈良市) 地域住民 自治体 企業 地域のソーシャル ワーカー等 大牟田 リビングラボ 真に解くべき課題を 探索・設定できる主体 ・奈良市在住の就業者の 約50% が市外で勤務 ・ベッドタウンとしての魅力+働く人の創造性を引き出す 文化財や自然が豊富にある特性を生かした多様な ワークプレイス(サテライトオフィス)がある地域をめざす ・子育て世代の支援 抜本的な公共私連携による解決策の創出 ・高齢化率(65歳以上人口) 36.8% ※全国高齢化率 28.6% ・10万人以上の都市では全国で2番目に高い 高齢化率※ ・日本の中でも20年先をいく超高齢社会モデル都市 (一般社団法人) (一般社団法人) 地域住民 自治体 企業 奈良 リビングラボ 真に解くべき課題を 探索・設定できる主体 リビングラボの実践と展開 国内外での共同研究とともに、複数の地域において、リビングラボ立ち上げを実践。それらの知見を体系化し,岡崎市, 天川村,生駒市,八丈町などに展開中。
  6. 6 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 大牟田未来共創センターの外部メディア掲載・表彰等 オウンドメディア(湯リイカ)

    外部メディア掲載 6 https://digital-is-green.jp/branding/human- centered/001.html https://note.com/pub_lab/n/n4b6f780cbc14 学術・登壇活動 https://dialogue-eureka.jp/ ※上記以外にも、「リビングラボ」「社会システムデザイン」というテーマで 受賞・論文採択・講演登壇・セッション企画を多数 様々な分野における気鋭の有識者・実践者との対話メディア。
  7. 9 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本リビングラボネットワーク(JNoLL)の活動概要 日本において共創やリビングラボの実践がさらに活性化し、普及することを目指して、設立。多様なステークホルダーが立場

    を超えてフラットにつながり、実践知や課題を共有し合うことで、さらなる実践や成果をもたらす場や機会をつくり出している。 また、リビングラボのポータルサイトでの情報発信や、支援サービスの提供も行っている。 リビングラボ運営者支援サービス リビングラボ実践者/ 研究者ネットワーク 実践を支えるフレームワークの 研究開発 チーム組成& ビジョン形成 計画立案・共有 予算・ 契約 具体的な 共創 価値の振返 り・発信 国内実践者・研究者と共に、事例対話の分析を通じて 実践支援の核となるフレームワーク等を研究開発 25地域を超える実践者が集い、コアチームを組成し、 実践者による実践者のためのコミュニティを運営。 1000名を超えるリビングラボ関心層に発信可能なネットワーク (企業7割,自治体2割,研究者1割) 研究開発の知見を核に、体系化されたリビ ングラボ運営者支援メニューを開発・提供 リビングラボML
  8. 10 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    (Kimura Atsunobu) Profile 地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ) ポリフォニックパートナー 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー 日本リビングラボネットワーク 代表理事 日本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 東京理科大学 客員准教授 京都大学デザインイノベーションコンソーシアム フェロー ソーシャルビジネスネットワーク フェロー 横浜市PTA連絡協議会 理事 デジタル庁認定Well-beingファシリテーター 社会課題解決/企業ビジネス開発の実践 リビングラボ/社会システムデザイン方法論の研究 ソーシャルデザイン/サービスデザインの教育 ・一人ひとりの存在が肯定され、社 会的な理由で孤立することなく、多 様な選択肢の中でそれぞれの力が 発揮され、わくわくする持続的な社 会・都市の実現を目指し,地域経 営目線で社会課題解決に取り組 む地域団体(大牟田未来共創セ ンター@大牟田市①・TOMOSU @奈良市②)設立&地域共創 拠点(うずうずマイン,BONCHI) 構築. ・地域団体がリーダーシップを担う 形で,産官学民のPJを実施 ・サービス開発③(発達特性のあ る人の視覚認知能力をVRで分析 するサービスなど) ・行政計画策定④(人が真ん中の まちづくりを推進する大牟田市健康 総合福祉計画など) ・コミュニティづくり(リロケーションダ メージを受ける市営住宅在住高齢 者の引っ越し伴走支援など)等 セクターを超えた共創を促進する方法論リビングラボ,理念的 に社会システムを転換する社会システムデザイン方法論を軸に 実践&研究し,学術論文(査読付き7件,査読付き国際会 議11件,受賞3件),メディア取材(書籍2件⑤⑥,新聞 ⑦⑧・Web多数),講演・アドバイザー委嘱多数. セクターを超えた共創(リビングラボ)/社会システムの転換を リードできる人材の育成のため,学生,企業,行政向け教育 プログラム開発⑨,教科書作成⑩を多数実施(ソーシャル デザイン講義,地域連携デザイン演習,リビングラボ運営者 /社会システムデザイナー育成プログラム,ウェルビーイング政 策デザイン研修,新規事業リフレーミングプログラム,美学思 考ビジョンメイクプログラム等).共に学び合う実践者コミュニ ティ(一社)日本リビングラボネットワークを設立・運営⑪. ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 佐渡自然共生ラ ボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉 LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまち づくりスタジオ ふじみ野 LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy ⑪ 市民団体での実践者 ・LL組織組成/LL-PJ推進 @大牟田市、奈良市、天川村等 大学・学会での研究者 大学・非営利団体での教育者 自治体や企業に対する 共創パートナー ・LL支援、ウェルビーイング政策デザイン @岡崎市、佐渡市、八丈町、生駒市等、 ・ビジョンメイク、仮説探索、社会実装支援 @企業・大学・研究機関
  9. 13 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs トピックス •リビングラボとは(WHAT)

    •リビングラボの事例と特徴(HOW) •リビングラボの必要性(WHY) •社会インフラとしてのリビングラボ •リビングラボプラットフォームが備える機能 •まとめ
  10. 15 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボとは『セクターを超えた共創活動』 Carayannis,

    E.G., Campbell, D.F.J., 2009. “Mode 3″ and “Quadruple Helix”: toward a 21st century fractal innovation ecosystem. Int. J. Technol. Manag 46, 201. 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model 生活者 暮らしの現場にいる アクター 企業 テクノロジーや ビジネスによる実現 行政 公共的な政策の 再形成 大学 人文学、社会科学、 自然科学の知の活用 リビングラボ 実生活環境に おける実験
  11. 16 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs さまざまなセクターで注目されるリビングラボ 地域や自治体におけるシーン

    地域の担い手不足、行政職員の減少、 ひっ迫する行政の財政、 増加するインフラ更新費用 デジタルディバイド、地域DX 自治体DX、政策課題 市民協働、公民連携 ウェルビーイングなまちづくり 産業振興、地域活性化 企業や大学におけるシーン ソーシャルイノベーション、ユーザイノベーション 社会課題解決、地域貢献 デザインリサーチ、ライフスタイルリサーチ インクルーシブデザイン、ウェルビーイング サスティナビリティ スマートシティ、モビリティ、エネルギー 医療、ヘルスケア 文化、社会的包摂(福祉)、教育
  12. 17 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 世界のリビングラボの分布(ENoLL登録済みリビングラボ 440+,

    アクティブリビングラボ163,2024) ※ENoLLとは 欧州で2006年に立ち上がったリビングラボの 国際的ネットワーク。欧州委員会の資金提 供プロジェクトを活用しながら、EUの政策提 言や、リビングラボの推進に取り組んでいる。
  13. 18 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボの年表と分布 2005.03

    仙台フィンランド健康福祉センター 2006.09 Lions Living Labo 2010.01-2014.03 湘南リビングラボ 2010.11 経産省 情報政策課 リビングラボ紹介 「情報政策の要諦ー新成長戦略におけるIT・エレクトロニクス政策の方向性」 2011.10 みんなの使いやすさラボ(みんラボ) 2011.12 BABAラボ 2012.08 富士通総研 リビングラボ研究レポート 2012.10 おたがいさまコミュニティ 2013.02 Living Lab Tokyo 2013.07 Virtual Living Lab 2014.12 松本ヘルスラボ 2015.01 三浦リビングラボラトリー 2015.04 子育てママリビングラボ 2015.09 Cyber Living Lab 2016.01 第5期科学技術基本計画(Society5.0) 2016.01 八千代リビングラボ 2016.06 みなまきラボ 2016.07 産総研スマートリビングラボ 2016.07 東急WISE Living Lab 2016.11 鎌倉リビング・ラボ ほか5件 2017.01 井土ヶ谷アーバンデザインセンター(井土ヶ谷リビングラボ) 2017.05 ともに育むサービスラボ(はぐラボ) 2017.06 福岡ヘルス・ラボ 2017.09 経産省 ヴィンテージ・ソサエティ構築実証事業(リビングラボ4 件) 2017.09 神奈川ME-BYOリビングラボ 2017.10 高石・僥倖リビング・ラボ 2017.12 ドリームハイツ ヘルスケア リビングラボ(とつかリビングラボ) ほか9件 2018.02 大牟田リビングラボ 2018.03 横浜リビングラボ創生会議 2018.04 第一回リビングラボネットワーク会議 2018.04 こまつしまリビングラボ 2018.07 経産省 「未来の教室」実証事業(大牟田リビングラボ含む4件) 2018.10 サイクル・リビングラボ 2018.11 地域共創リビングラボ ほか10件 2019.02 Well Being リビングラボ 2019.03 第二回リビングラボネットワーク会議 2019.10 岡山リビングラボ ほか3件 2020.07 関内リビングラボ 2020.08 厚労省 「介護ロボットの開発実証普及のプラットフォーム事業」 (リビングラボ6件) 2020.03 経産省 リビングラボにおける革新的な社会課題解決サービスの 創出に係る調査「リビングラボ導入ガイドブック」 2020.10 おやまちリビングラボ 2020.11 奈良リビングラボ ほか8件 凡例) オレンジ色:日本全体の動き 黒色:他の日本での取り組み ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、 (調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局を元に作成 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ ( 2023/04 時点 ) 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづくり スタジオ ふじみ野LL
  14. 19 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボで扱われる様々なテーマ building

    mobility dormitory & office gastronom y water children agriculture smart city handicap
  15. 21 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボが活用される場面 欧州をはじめとしてさまざまなプロジェクトが取り組まれており(440+)※1日本では経産省・厚労省が活用し

    始めている(100+)※2また、大きくは以下の4種の場面で活用されている※3 ②行政サービス改善 (enabler-driven) -住民・NPOと自治体の関係性構築 -陳情や自治体の政策エビデンス獲得 -地域としての政策イノベーション by自治体・住民/NPO etc. ①サービス・技術開発 (utilizer-driven) -サービス検証 -サービスイノベーション創出 by民間企業・大学etc. ③地域活性化 (user-driven) -地域関係者のつながり形成 -地域のにぎわいづくり(イベント) -持続的な住民生活の問題解決・価値向上 by住民/NPO・デベロッパー・ 自治体 etc. ※1:European Network of Living Labs (ENoLL) 5大陸35カ国から151組織のアクティブメンバー(過去の登録メンバーは全 世界で500組織以上)(2023.04) ※2:木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料 2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 ※3:Leminen, S., Westerlund, M., & Nystrom, A. G.(2012).Living Labs as open open-innovation networks, Technology Innovation Management Review Review. ④方法論研究 (provider-driven) -方法論の実践 -方法論の体系化と展開 By大学・研究機関 etc. 松本ヘルスラボ ME-BYOリビングラボ 丹後リビングラボ 佐渡島自然共生ラボ イノベーション神戸 Turinリビングラボ ・・・ 鎌倉リビングラボ みんラボ フューチャー・リビ ング・ラボ(日立) ノボ ノルディスク エーザイ韓国 ・・・ おやまちリビングラボ 寿リビングラボ WISEリビングラボ デルフト工科大 ・・・ 東大 KDDI研 NTT研 i-mec Public- intelligence ・・・
  16. 22 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボにおけるアクターと役割 プロジェクトレイヤー

    役割:プロジェクトマネジメント 効果:価値共創 関連手法: Coデザイン ビジョンレイヤー 役割:ビジョニング・インパクト評価 関連手法:トランジションマネジメント・システミックデザイン インフォーマルコミュニティレイヤー 役割:エンパワメント・エンゲージメント 関連手法: コミュニティマネジメント リビングラボマネージャー Provider 資金提供者 Enabler (Government, Foundation, Companies,,, ) リビングラボ利用者 Utilizer 地域内外の関係者 Stakeholders (User, Citizen, Companies,,,) コミュニティマネージャー (Panel Manager) Provider プロジェクトマネージャー Provider 運営側 参加側
  17. 23 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボに期待される効果 Steen,

    K. & Bueren, E. (2017). The Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model 自治体にとっての効果 市民の参加、意見の収集、問題の把握 人手不足の解消(地域共生社会) コスト削減 企業にとっての効果 ユーザの参加、コミュニティとの連携 ニーズ把握 フラットな価値の対話が可能 市民にとっての効果 行政政策や企業サービスへの関わり (自分が必要なものを作り出せる) 社会参加、学びの機会 大学にとっての効果 人材育成 社会課題解決、地域貢献 地域コミュニティの連携強化
  18. 24 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボとは『セクターを超えた共創活動』 Steen,

    K. & Bueren, E. (2017). The Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本 における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model
  19. 26 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 大牟田市 従来の介護予防施策では

    リーチすることが難しい人がいる (財政的制約も強まる) 企業 企業の意図 「早期検知」という機能検証 から、「自らのことを知る新た な方法のデザイン」という意味 探索へと課題設定を変更 地域住民 他地域で実施した 疾病の早期検知サービス の実証実験に人が集まらない (高齢者として)これまでの経験や興味を活か して地域に関わる機会がない、多様な形でどんな 人でもいれる居場所がない 地域の意図 企業がリビングラボへ支払う対 価(資金)を活用し、高齢 者が仲間を得て、自らのことを 振り返る(知る)過程で意 欲を育み、多様な参加に向 かう仕組みづくり検討 課題の再設定・ 統合的実践 大牟田リビングラボでのあるプロジェクトの始まり 大牟田リビングラボ
  20. 27 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs (チラシを貼る) 第4回において、

    睡眠センサーと家電センサーで得た データを「自分の無意識を知るため の情報」として利用 ※参加者にとっても情報提供、セン サー利用に価値がある形にしている •対象者:大牟田市在住の要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方 •募集期間:2019/11/28〜2020/1/31・開催期間:2020/1/10〜2020/3/13 •サロン申込者(面談参加者):35名/サロン参加者:32名(面談後の辞退:3名)/ センサー設置者:18名(センサー設置辞退:14名) わくわく人生サロン 実施概要
  21. 28 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 「大牟田市高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」 総括時の職員の意見

    「既存活動に関心が 薄い人もいることから、「わくわく人生サロン」 ように自分こ とを語る場を設けるなど 、新たな活動きっかけを作る必要が あると考えます。 」 •地域包括支援センターがリーチすることが難しかった、20年間自宅に引きこもっていた方が参加 •介護保険サービスでは居場所が得られなかった(合わなかった)方の居心地のいい場となる •制度利用がなく生きづらさを抱えている高次脳機能障害のご本人、ご家族への支援を実施 (個別にご本人、ご家族の不安や悩みに寄り添った対応を実施) •配偶者に先立たれた方たちによるピアが生まれる(グリーフケア) •持っている資格やスキルを生かし、地域の課題を解決したいという方が生まれる(例:「防災 士の資格を活かして地域のために活動したい」「子どものための活動をしたい」「大牟田市をアピー ルする商品開発をしたい」などの自発的な言葉がある) •年齢が異なるが同じ大学やサークルに参加していた等「縁」のある人との出会いが生まれる (友人ができる) •前向きな動機をきっかけとして参加し、通所、ピア(グループ)、訪問、家族支援を、個別一 人ひとりの状況に合わせて柔軟に組み合わせて行う「多機能型サロン」とも言える相談支援拠点 の可能性を示唆 •自治体からの資金的な援助を得ることなく開催するモデルを構築(企業との協働) わくわく人生サロン 地域住民にとっての価値 高齢者にとって、自分の経験や興味を起点として地域に関わる機会や、支援されたり、高齢者的なテーマに区切られる ことのない居場所を持つことができ、同じ経験や悩みをもつ人と語らい、意欲が育っていく中で新たなことに取り組もうと する人が現れた
  22. 29 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs わくわく人生サロン 行政にとっての価値

    これまでの行政施策でアウトリーチすることが難しかった人に出会うことができるとともに、住民の主体性/潜在能力を核 に福祉計画全体を考えるという本質的な示唆を得た。そして、この示唆を活かして各施策を実行するために、暮らしの 総合計画ともいうべき大牟田市健康福祉総合計画を、縦割りの行政計画でなく、統合的に地域や生活を捉え直す構 造とした計画として策定した。 ✓ これまで別々に策定されていた、高齢、障害、健康増進、食育など9本の行政計画を、「地域共生社会の実現」という 共通のビジョンに向けて1つにまとめた。 ✓ 概要版については、通常、「計画のサマリー」にとどまりがちであったものを、「計画の理念を体感してもらうもの」へと位置 付けを変え、親しみやすいイラストを活用し、実際に大牟田で暮らしている人たちのエピソードを紹介する形とした。タイト ルにつけた「うずうず」は、わくわく人生サロンの際に見出した「温まる」を言葉にしたものである。この考え方(感覚)を行 政、市民と共有することを試みている。あわせて、計画策定の大牟田市側の担当者と強く理念を共感できるようになり、 それ以降計画推進全体のキーマンとなっている(現在、健康づくり課長)。
  23. 30 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術

    知る意味のデザイン (サービスコンセプトの転換) UI 生活者 知る意味の体験デザイン UX 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 地域の調剤薬局 睡眠センサー・睡眠レポート 生活者 新規事業における体験デザイン UX わくわく人生サロン 企業にとっての価値 ⚫ 企業としては、これまで開発してきたアルゴリズムをサービスに活かすための土台となる、「(自らのことを) 知る意味のデザイン」の知見を獲得することができた ⚫ この知見をもとに、地域のかかりつけ薬局が地域住民と対話的な関係性を構築し、自らのことを知る体験 (UX)を提供するサービスモデルを提供 出典: https://nemurinomado guchi.nttparavita.com/
  24. 31 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:市民の力が発揮される仕組み わくわく人生サロン

    概要: 2005年から認知症の人とともに暮らすまちづくり宣言を行い、地域と行政が一体と なってまちづくりに取り組んできた大牟田市と、それに共感する形で地域外のNPO法 人や企業の研究者が関わりを持ち、従来の縦割りを乗り越えた価値を生み出すため に、リビングラボの取り組みが始まった。 当初から、目の前の問題に対処するだけでなく、地域の構造的な問題を転換すること (社会システム転換)と、地域外も含めた企業や研究機関と新しい社会について探 索することを目指し、調査や実践が行われてきた。 市民・行政・企業の課題を統合 的に取り組んだわくわく人生サロンでは、高齢者の居場所や社会参加と企業の介護 予防サービスの検討を重ねたプロジェクトとして立ち上げ、薬を出さない健康サポート 「ねむりの窓口」などのサービスローンチ、大牟田市健康福祉総合計画の策定と計画 の推進など、地域で市民の力が発揮される仕組みづくりに取り組んでいる。 主体:NTTとの共同実験 → 大牟田未来共創センター(ポニポニ) その他の活動: ・多様な働き方を実現する超短時間雇用プロジェクト(w/東大) ・市営住宅の建て替え・移転に伴う「Well-beingな住まいのあり方の研究プロジェク ト」(w/有明高専、NTT研) ・VRを活用した地域とつながるプロジェクト(w/東大) 地域との関わり方: リビングラボに参加する市民に加えて、行政職員の役割を脱いだ市民、企業担当者 の役割を脱いだ市民が主体的に関われる場づくりに拘っている。また、そのような場づく りをするために、市民が主体的に関わるプロセスに伴走するソーシャルワーカーらとの協 働も積極的に行っている。
  25. 32 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:循環型都市の実験室 De

    Ceuvel 概要: 1世紀にわたる造船業によって荒廃し土壌汚染していた造船所跡地を改 善するため、アムステルダム市が民間公募して生まれた循環型都市開発 のためのリビングラボ。アムステルダム北部に位置する敷地面積1250m² の小さなエリアで、地域のエネルギー、栄養素、廃棄物サイクルの「ループを 閉じる」完全なリサイクルを実現する再生技術の開発や実証に、建築家、 芸術家、起業家、研究者、ボランティアなど多様な組織が協力して取り組 んでいる。アムステルダム市からの補助金(€250,000)と市の保証によ る銀行融資(€200,000)を受けて資金を調達している。14隻の貸し 出しハウスボード、ラボ&コミュニティ施設、レセプションスペース、カフェ・レス トランから構成され、文化的およびコミュニティのハブとなっている。 主体:Metabolic社 (2014~2024) 活動: ハウスボートは廃船をアップサイクル利用し、根を通して汚染物質を吸収し て分解する特殊な植物で覆う「分散型葉緑素ろ過のシステム」を開発 再生可能エネルギーの地域生産と交換を促進するため、ブロックチェーン 技術を用いた仮想通貨のJouliette(ジュリエット)を導入 温室で育てた植物、海藻バーガー、キノコで作ったミートボールなどを敷地 内レストランで提供 地域との関わり方: 毎年35,000人を超える訪問者(Covid-19前)。 作り手として関わるイベント(土壌を回復させる植物を植える、カフェやハウ スボートオフィスなどのテーブルなどに釘を打つ、オフィスのデザイン等)
  26. 33 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:病院のオペレーションを改善するリビングラボ 概要:

    地域の新病院の設立に際して,医師や看護師,患者にとって使いやす い設備やサービスを生み出すために設立されたコンサル機関。主なミッショ ンは、 リビングラボに隣接する 25 万平米もの広大な土地に建設予定の 新しい病院のオペレーション をテストすることである。病院の看護師、医師、 スタッフや連携する南デンマーク大学の研究員が従事し、実際の部屋を模 擬した等身大のモックアッ プの検査室、病室などがあり、新しい病院で利 用予定の様々な機器をテストしている。 主体:南デンマーク・ ヘルスイノベーションセンター 活動: 「COLAB PLUG & PLAY」 2 階建ての演劇の舞台のような構成で作ら れた 4 つの部屋は、それぞれ患者の控室、診察部屋、 生活者の自宅、 スタッフルームに割り当てられており、実物の医療機器やベッド、椅子などが 置かれている。舞台の観客席側にいる関係者が見ている中で、4つの部屋 では並行して患者、 看護師、医師、スタッフ役の人々が検証のために検 討されたシナリオに沿ってロールプレイを する。あわせて、発話はヘッドセット で録音され、振る舞いはビデオで撮影される。ロールプ レイをしている中で、 観客席側、あるいは、演じている人々がうまくいかないと感じることが あると、 そこでロールプレイを中止し、その場で修正案を出してシナリオあるいは機 器設計や ワークフローなどに対する要求事項を修正していく。 また、それ以外にも手術室、リハビリ室、救急車などの環境をリアルに再現 し、関係者が集まり新しいツールのテストや改善が取り組まれている。
  27. 34 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:障害者と健常者が新しい価値を見つける学校 概要:

    デンマークのエグモント・ホイスコーレとは、障害者と健常者が共に助け合い ながら学び、生活する全寮制の学校。学校でありながら、同時に、障がい 者の日々の問題を解決するリビングラボとしての役割も持ち、地域や産業 界と連携の中で新しい価値を生み出している点が注目されている。 主体:Egmont Højskolen (How, Denmark) 活動: 車いすでも楽しめるスイミングプールVandhalla (ヴァンダラ)の企画・開 発。障がい者と健常者の生徒がチームを作り、初期 から設計に携わった 特設プールで、プール専用の車いすに乗り換えがしやすい更衣室や車いす のままプールに入れるスロープだけでなく、車いすの人やストレッチャーに乗っ た人でも滑ることができる全長 90m のウォータースライダーも備えている。 全身麻痺の障害者が校内を自由に行き来するために、視線入力インタ フェースを備えたタブレット端末で操作ができる電動車いすが開発された。 地域との関わり方: エグモント・ホイスコーレやヴァンダラは地域に開かれた形で運営されており、 地域の住民が利用することができる。また、全寮制の学校であるため、障 害者と健常者の日々の暮らしそのものが、リビングラボの対象となる開かれ た生活空間となっている。
  28. 35 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:自由な行動が共存する公共空間 ホントカ。

    概要: 旧小千谷総合病院の統合移転に伴う跡地整備の計画として、図書館を核とした複合施設 を整備し、中心市街地の活性化を図るために、施設設計段階からを共創を実践する場= 対話と活動のためのプラットフォーム「小千谷リビングラボat!おぢや」の活動が行われた。その 根幹には、リビングラボの思想と重なり、新しい公共、新しい公共空間をみんなで創っていくプ ロセスが大事にされた。そして、「つくる」「つかう・参加する」「見つけ・動かす」などにフェーズを 区切りながら、まちや公共施設における市民の関わり代を生み出していった。2020年12月の プレイベントより始まったこのプロジェクトを経て、2024年9月に施設「ひと・まち・文化共創拠点 ホントカ。」がオープンし、市民が関わる多数の活動が行われている。 主体:小千谷市役所 (2020~) 活動: 市民参加プラットフォームを育てるためのシンポジウム 第1~16回小千谷リビングラボ「まちと公共施設の未来をともに創造する」 小千谷リビングラボ(仮称)愛称市民投票 出張at!おぢや(ふるさと夢づくり教育) 新潟工科大学連携プログラム 共にある 共に創る暮らし「鰯新聞」(いわしんぶん) 地域との関わり方: 従来は行政と委託事業者だけで進めていたプロセスを、行政は対話・共創というコンセプトを 握り、具体的な中身は市民や事業者に開いてみんなで創っていくプロセスとなるように事業が 設計された。また、施設の設計においてもハード中心ではなく、その後の活動が中心となるよう に、地域の若者、子育て世帯、高齢者など多様な人が活動しやすくする仕掛けを埋め込ん でいる。
  29. 37 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボが示すパラダイムの変化 提供者

    (企業/行政) 客体的な関係性 (サービス提供/利用) フェアなパートナー関係 共に主体的な関係性 (学び合い相互に変容) 利用者 (市民) C o デ ザ イ ン リ ビ ン グ ラ ボ 一 般 的 な サ ー ビ ス デ ザ イ ン パラダイムの変化 一方的な提供者-利用者関係 提供者 (企業/行政) 利用者 (市民) 協働をしても(セクターの 枠組みに縛られた)部分的 な問題解決になりやすい セクターを超えて本質的な 価値を探索できる枠組み での共創しやすい ・人口ボーナス期 = 拡大・成長期 ・潤沢な供給リソース と需要 ・官僚組織による計画 的マネジメント ※広井(2019)人口減少社会の デザイン, 東洋経済新報社. ・人口オーナス = 定常期※ ・ひっ迫した供給リソー スと減らない需要 ・共創によるアジャイ ル・ガバナンス (デジタル活用、プラットフォー ムビルダー化) 社会背景
  30. 38 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 個別の地域活動や企業サービス、 領域ごとの政策による対応で

    バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる + 個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換※を志向 課題1:統合的問題解決のアプローチとして 気候変動、不平等、世界の民主化、健康と福祉などの問題に対して、(問題再生産の構造延命にも寄与 する)部分的解決ではなく統合的に向き合うために、システム・トランジション、コレクティブインパクト、トラ ンジション・デザイン、システミック・デザインなどの方法論が提唱されている。 e.g.本籍校に復帰できることを目標にする適応指導教室 e.g.学習計画を子どもたち自身が作るイエナプラン教育
  31. 39 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボの目的は「Transitionに資するCo-Creation」 ・第一の領域:User

    Driven サービスデザインなどの普及によりデファクト化 ・第二の領域:Data Driven リアルタイムにユーザの行動に反応して微調整するこ とで、産業界に効率的なUser Centricな方法をもた らした ・第三の領域: Change/Transition User DrivenやData Drivenでは対応できないのが、 気候変動、不平等、世界の民主化、健康と福祉な どの厄介な問題(wicked problems)。そのために必 要な第三の領域が、行動を変え、文化を変え、生き 方を変えること この領域にこそ、一方的に作用するのではなく一緒 に変えていくCo-Creationが有効 (Jarmo Eskelinen, ENoLL 15 years – An outlook on the past and the future of Living Labs, OLLD2022)
  32. 40 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 課題2:労働供給制約を乗り越えるために 構造的な人手不足により働き手を補えない「労働供給制約」状況となり、物流、建設・土木、介護、交通、

    小売、飲食などの生活維持サービスが維持できない状況が迫っている。 ◯問題意識 「単なる人手不足論ではない。後継者不足や技能承継難、デジタル人材の不足などと いった産業・ 企業視点からの問題ではなく、「生活を維持するために必要な労働力を日 本社会は供給できなくなるのではないか」という問題意識である。」 「労働供給制約社会において最も懸念されるのは、「生活維持サービス」である。物流や 建設・土木、介護・福祉、接客などの職種は既に需給ギャップが 顕在化しており、著し い人手不足に陥っている。これは「大変だなあ」ではすまない問題でもある。こうした職種 の供給不足を放置すると、私たちの生活に大きなダメージを与える可能性が高い」 ◯予測される状況(日本全体) ①2030年に341万人余、2040年に 1100万人余の労働供給が不足する。 ②労働供給は今後加速度的に減少していく。 ③労働需要はほぼ横ばい。 ◯起こりうる変化(パラダイムシフト) 「現在の人手不足が深刻化している状態ですら、まだまだはじまりにすぎないことも教えて いる。2040年にかけての日本における1つの格言は「今が一番人材を獲得しやすい」に なるだろう。去年よりも今年、今年よりも来年のほうが人材確保が困難な状況となる。 こうした実感は企業の採用意欲を加速させ、人材獲得に一層の激しい競争を生み出 す。人材を獲得するために経営戦略を変えたり、資金調達をしたり、新商品を開発し たりといった過去になかった動きを引き起こすだろう」 ◯示される解決策 (1)徹底的な 機械化・自動化 (3)シニアの 小さな活動 (2)ワーキッシュ アクトという選択肢 (4)待ったなしの ムダ改革 古屋星斗、リクルートワークス研究所 『「働き手不足1100万人」の衝撃』 (2024年1月30日) リクルートワークス研究所発行 『未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる』 (2023年3月)
  33. 41 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 労働供給制約に関する近年の動向 永田町、霞ヶ関、主要な経済団体の政策・戦略検討において前提としての位置づけを得るとともに、産業界等のオピニ

    オンリーダーが公式の場で使い、メディアも特集を組んで報道すること、それを共通言語に議論を深めることが起き始め ている。 参議院自民党・政策審議会 ◯「参議院自民党政策審議会では、山田太郎 政審副 会長の司会の下、「令和の転換点」がやってくる-働き手 不足1100万人の衝撃 と題し、労働市場分析について 有識者ヒアリングを実施しました」(2024年5月15日) ( https://sangiin-jimin.jp/?p=2176) 冨山和彦氏 経営共創基盤(IGPI)グループ会長 ◯日本記者クラブ「働く人材クライシス」(8) (2024年03月27日) 「人手不足問題の論客としても知られる経営共創基盤(IGPI) グループ会長の冨山和彦さんが「労働供給制約の時代の労働 (市場)政策」と題して登壇した。」 ( https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/36705/report ) 少子高齢化による深刻な人手不足と、デジタル化の進展による急激な人余 りが同時に起きつつある日本社会。人手不足はローカル産業で生じ、人余り はグローバル産業で顕著に起こる。 これまでの常識に捉われたホワイトカラーは、生き残る選択肢がほとんどなく なってゆく。 企業再生支援の第一人者による、国、組織、個人それぞれの抜本的再生 を促すための緊急提言! ホワイトカラー消滅: 私たちは働き方をどう変えるべきか (NHK出版) 朝日新聞 ◯「8がけ社会 高齢化がさらに進む2040年。社 会を支える働き手はますます必要になるのに、現 役世代は今の8割になる「8がけ社会」がやってき ます。今まで通りが通用しなくなる未来を私たちは どう生きるべきでしょうか。」 ※担当デスクによると「労働供給制約社会」の重要性に強く共 感し、特集を組んでいる ( https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=2040 )
  34. 42 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 統合的に社会(システム)を変えていくための視点 社会システム(サービス・制度・組織等)は、個人の外側にある社会システム単独では成り立たず、個人

    が社会システムのルールを内面化することではじめて成り立つ相互関係の構造をもっている。そのため、外 形的にサービス・制度・組織等を変えるだけでなく、それに関わる個人の内面も同時に変容していく必要が ある。 交通システムの例) 社会に信号機が置いてあるだけはシステムは機能しない 個人が「赤信号では止まる」という交通ルールを守ることで機能する ※Kimura A., Haraguchi H., Yamauchi Y., Matsuura K., (2023) Social System Design Methodology for Transitioning to a New Social Structure - A Holistic Urban Living Lab Approach to the Well-being City -, Front. Sociol. Sec. Sociological Theory, Vol. 8. 図2:交通システムにおける相互関係の例 図1:社会システムの構造 (個人と社会の相互関係)
  35. 43 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 統合的に社会(システム)を変えていくアプローチは「適応課題」 企業の組織論において、ハーバード・ケネディ・スクールのロナルド・ハイフェッツは「技術的問題」と「適応課

    題」を区別して論じている。客体的に外部から知識や方法で解決するのではなく、市民も企業も行政も大 学も問題の当事者になり、問題を生み出さない社会(システム)に向けて、自らが変容することも含めた価 値の共創が求められる。 R. Heifetz et al.(2009) The Practice of Adaptive Leadership: Tools and Tactics for Changing Your Organization and the World. Harvard Business Review Press. 43 ※宇田川元一(2019)他者と働く-「わかりあえなさ」から始める組織論.
  36. 44 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs システム転換が求められる領域 社会システム(サービス・制度・組織など)を外形的に変えるだけでなく、それを利用・運用する人・団体が

    一緒に変容する必要がある領域において、Coデザイン/リビングラボのアプローチが有効 地域銀行・インフラ会社・自治体等 地域事業者と一緒に 地域経営を考える 中央官庁・自治体・デベロッパー等 生活者・当事者と一緒に 政策や官民協働プロジェクトを考える (プロセスエコノミー等) サービス・プラットフォーム提供者等 (CtoCマーケットプレイス、製薬会社) 利用者と一緒に プラットフォーム利用体験を考える 社会的インパクトを志向する研究者・開発者 生活者・自治体・企業と一緒に 研究の社会実装を考える (現場の統合的な課題把握)
  37. 45 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs トピックス •リビングラボとは(WHAT)

    •リビングラボの事例と特徴(HOW) •リビングラボの必要性(WHY) •社会インフラとしてのリビングラボ •リビングラボプラットフォームが備える機能 •まとめ
  38. 48 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 持続的な共創に必要な社会インフラとしてのリビングラボとは 共創活動

    総体的・連続的に 深める問い 主体的に 動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 ※木村(2021)「リビングラボの可能性を広げるためにできること」,第3回全国リビングラボネットワーク会議基調講演 ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会 成果・報告・形式知の領域
  39. 50 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:まちを将来世代につなぐプロジェクト 概要:

    「よく出来た計画書をつくっても、実行出来なければ意味がありません」とい う文章で始まる神山町の創生戦略、人口ビジョンの計画書。実行するた めの計画を作るために、「2020年に神山分校が廃校に」「バスが廃線にな る」「2040年には小中学校も廃校に」などの「なりゆきの未来」を共有した 上での対話のプロセスが重視され、地域から実行する人がでてきた事業を 計画にする、というアプローチが取られた。その結果、町民や役場職員を主 体としたプロジェクトが生まれ、まちを将来世代につなぐための循環が生まれ ている。 主体:一般社団法人 神山つなぐ公社、神山町 (2015~) 活動: 「神山の食と農をつなぐ」フードハブプロジェクト 大埜地の集合住宅「鮎喰川コモン」 徳島県立城西高等学校「神山創造学」 県外遠方生向けの町営寮「あゆハウス」 地域との関わり方: 神山つなぐ公社が民間の立ち位置で、行政では為しえない柔軟な発想や 手法で、必要な施策推進を迅速に手がけている。開かれた活動拠点を持 ち、町職員と住民、町内外の人々がかかわり合うプロジェクト群を黒子のよ うに支援している。意志のある実行主体の発見に至らない要推進事項に ついてはみずから牽引し、事業化の過程で主体を見出し、上記のようなな 活動を立ち上げてきた。
  40. 51 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 「神山の食と農をつなぐ」フードハブプロジェクト 2016年4月に神山町役場と神山つなぐ公社、㈱モノサスが共同で設立した「神山の農業を次世代につな

    ぐためにできた農業法人」。中山間地域の農業者の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加、鳥獣害の 被害などを少量生産と少量消費をつなぐことで解決することをめざしている。 https://foodhub.co.jp/about/work/
  41. 52 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 大埜地の集合住宅「鮎喰川コモン」 新たに家を建てる土地や借りられる家を見つけづらい状況で、子育て・働き盛りを中心に、将来世代に繋がる人々が人

    生のある時期を暮らし、新しい兄弟関係や隣人としての関係性を育み合える場を、町の賃貸住宅として整備した。住宅 開発だけでなく、町産材・町内業者、地域の高校生などとの連携により、人が育ち、これまで離れ離れにあった地域資 源をつなぎ直す、多義的な建設プロジェクトとなっている。 神山で育った樹木で景色を育てる 大埜地住宅の庭の高木や生垣には、神山で育った樹木を調達していま す。2016(平成28)年から、城西高校神山校の生徒らと、神山の山か ら種とりや挿し木をして、町産の苗木を増やし育てる取り組みも進めていま す。 学校で学びながら、まちの景観をつくり、それを育くんでゆく過程を、田瀬 理夫さん(ランドスケープ設計者)を水先案内人に進めてきました。 https://www.town.kamiyama.lg.jp/co-housing/green.html https://www.town.kamiyama.lg.jp/co-housing/building.html 神山の木で、まちの人が作る 町産材の杉・ヒノキを構造や内外装に使用しています。木材は伐採から 200年間強度を高めていく耐用年数の長い建材で、調湿効果や香り、抗 菌作用等の効用も有します。近くの山の木を使うことで、森の手入れが進 み、経済も循環します。(中略) 通常、大規模な建設工事はその発注規模から町外の大手工務店に頼 る形となりやすく、それは町の大工さん等が自分たちの町をつくる事業に参 画しにくい状況を生み出します。そこでこの開発では、分棟型の木造建築 として設計し、かつ開発を4年間にわたらせることで、町内の大工さん等 が腕を振るいながら少しずつ完成させてきました。これは人材育成の機会 でもあり、町のお金を町外に流さずに、地域内経済循環性を高めることに もつながります。 https://www.town.kamiyama.lg.jp/co-housing/wood.html https://www.town.kamiyama.lg.jp/co-housing/building.html
  42. 54 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:大牟田未来共創センター 概要:

    「安心して徘徊できるまち」というコンセプトでまちづくりを行ってきた大牟田において、その問題意識に共 感した地域外の関係者事業所やNPO法人や企業の研究者が集まり、福祉の分野だけにとどまらない、 一人ひとりの可能性が発揮される地域を目指した活動を行っている。認知症の人たちの暮らしづらさの 原因を、疾病や本人の責任と考えるのではなく、社会との間にあるものとして捉えて「社会(システム)を変 えていく」ことを目指すアプローチ(社会モデル)が、「大牟田リビングラボ」の主題である。目の前の問題 に対処するだけでなく、社会の構造的な問題(社会システムのエラー)を転換するために、大牟田市 や地域内の事業者や団体、また、地域外の企業組織と一人ひとりの可能性が発揮される新しい社会 の実現に向けたプロジェクトに取り組んでいるについて探索する調査や実践が取り組まれてきた。 主体:大牟田未来共創センター (2016~) 活動: ・市民の主体性をあたためる「わくわく人生サロン」、「インフォナビゲーター」、「VRを活用した未来の福祉 プロジェクト」、「ぐるぐるダイアログ」 ・市営住宅におけるWell-beingな住まいPJ ・高齢者が自然と元気になる短期集中予防サービスモデル事業 ・社会の本質に迫る問いと対話「湯リイカ」、 「NINGEN Societal Festival」 ・会議シンギュラリティ ~AIたちと考えるこれからの大牟田 地域との関わり方: 日本において市民一人ひとりの可能性が発揮されるために、どのようなアプローチがあるのか真摯に向き 合いながらプロジェクトに取り組んでいる。安易に企業などのプロジェクトを行うと市民が動員されることが 多く、地域の関係者には徒労感しか残らない。市民の主体性にも、企業の担当者の主体性にも寄り 添いながら、これからの社会を共に実現するためのプロジェクトの課題設定に拘っている
  43. 55 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 市営住宅におけるWell-beingな住まいづくり・まちづくり 市営住宅引っ越しに伴うリロケーションダメージなどの具体的な課題と向き合う中で、これからの住まいづくり・まちづくり

    の実践に取り組んだプロジェクト。周囲の自然や人との豊かな関係がある元の暮らしを継続するために、住民や地域の 学生と一緒に、新しい暮らしを編みなおす協働的なプロセス(自律的な住みこなしのプロセス)に取り組んだ。 新しい住宅のモデルルームを再現し、それを住みこなす体験・対話の協働的プロセス 住みこなしに必要な家具を、住民と地域の学生が一緒にDIYするプロセス 周囲の自然や人との関係が豊かにあり、余白のある住みこなされた(“いるの 世界”で構成される)住まいから、 周囲との関係が途切れる機能重視の近 代的な(“あるの世界”で構成される)マンションへの引っ越し
  44. 56 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 会議シンギュラリティ 〜AIたちと考えるこれからの大牟田

    人手不足が深刻化しているにもかかわらず「議論が深まらず」「優先順位を付けた意思決定がしづらい」地域の状況を 乗り越えるために、AIの新しい使い方を探索・提案したプロジェクト。ポンコツでかわいらしいAIが、不十分な発言や空 気を読まない発言をすることで、議論に参加する人間が、自分の意見を表明しやすい環境が生み出した。
  45. 58 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 神山つなぐ公社の備える機能 「いまできること」に着目する計画

    神山町のまちを将来世代につなぐプロジェクトと一般的な総合計画策 定プロセスとの大きな違いは、「いまやるべきこと」だけを主題にするので はなく、「いまできること=それをやる意欲と力を持ち合わせている人が いること」に着目している点である。これによって、自治体職員も含めた まちの関係者が「まちを将来世代につなぐ」という本来の目的に向けて 協働しやすい環境が生まれている。 共創活動だけでなく、多様なつながりや意欲を育むプロセス 地域の多様な活動という「現象」が生まれるまでには、多様な資源が 組み合わされる「プロセス」が存在する。限られた資源を生かしてまちを 経営し、将来世代につないでいくためには、地域にある資源(種火) を必要な活動につなげていくことが必要活動の実現だけではなく、将来 的に活動が生まれやすくなるような関係性や規範を醸成する多様なつ ながりを仕込んでいる。 種火を大切にして揚力をかけ続ける主体 神山つなぐ公社の中で、「揚力をかけ続ける」ことが大事にされている。 想いや技術といった種火(地域の資源)を必要な活動につなげていく ためには、それを現実化・維持・拡大していくために持ち上げ続ける力 (揚力)が必要であり、公社は地域のプロジェクトに対して黒子的に 「揚力をかけ続け」ている存在となっている。 ※地域創生事業組織のプラットフォーム としての間接的アウトカム の特定に関する研究 中間報告書(神山つなぐ公社、東京都市大 坂倉研、地域創生Coデザイン研究所、2024)より引用・一部改変
  46. 59 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 神山つなぐ公社の備える機能 地域に関わる人が対話できる問い

    「人づくり」や「まちを将来世代につなぐ」という消滅可能性があるまちにおいて多くの人 が共有できるアジェンダを立て、将来世代に近い人々に声をかけて、これからの神山の あり方について対話をしている。 良質な文化をつないでいくということは、どういうことでしょうか?ただ 単純に、土地やモノをつなぐことだけでなく、人をつくり、その人々が文 化をつないでいく。やはり重要なのは、「人づくり」だと感じています。 (神山町 創生戦略、人口ビジョン まちを将来世代につなぐプロジェクトより) 前提となるデータをもとに暮らしのストーリーとして共有 議論の材料として、“2020年に神山分校が廃校に”“バスが廃線になる”“2040年に は小中学校も廃校に”などの「なりゆきの未来」や、将来人口推計に基づいた転入必 要人数などが共有された。そして、地域関係者との対話のプロセスが重視され、地域 から実行する人がでてきた事業を計画にする、というアプローチが取られた。 「まちの問い」の実現に向けたコミットメントする主体 神山つなぐ公社が民間の立ち位置で、行政では為しえない柔軟な発想や手法で、 必要な施策推進を迅速に手がけている。開かれた活動拠点を持ち、町職員と住民、 町内外の人々がかかわり合うプロジェクト群を黒子のように支援するとともに、プレイ ヤー不在の場合はみずからプロジェクトを牽引し、問いの深堀りや多義的なプロジェクト への拡張も行っている。 ※地域創生事業組織のプラットフォーム としての間接的アウトカム の特定に関する研究 中間報告書(神山つなぐ公社、東京都市大 坂倉研、地域創生Coデザイン研究所、2024)より引用・一部改変
  47. 60 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 大牟田未来共創センターの備える機能 自分の可能性や意欲はひとりでは発揮できない

    安心できる関係の誰かに尋ねられたり、話したりしているうちに、自分が大事にして いることに気がついたり、うずうずと意欲が湧いてくる経験が、住民が自分の力を発 揮するためには必要だと考え、 「誰かと一緒に自分の可能性や意欲を発揮してい くこと」を大事にして、「対話(ダイアログ)」にこだわり実践している。(わくわく人 生サロン等) 対話(ダイアログ)を地域に広げていく政策や対話の機会 大牟田未来共創センターがここ数年政策実装の道を模索している介護予防の 仕組みである「短期集中予防サービス」も、障害や疾患などある人たちが週に最 短15分から働ける環境づくりを目指す「超短時間雇用」も、教育における探究学 習も、対話が核になっており、自律(セルフマネジメント・セルフアドボカシー)が重 視されている。この対話を地域に広げていけるかをテーマに、対話・自律を軸にした 政策実装を模索するとともに、地域で楽しく自律を育む試みとしてぐるぐるダイアロ グを行っている。 うずうずマイン:「うずうず」が湧き出してくる場 大牟田の人たちが持つ「うずうず(意欲)」が湧き出してくる場となることを目指し て、大牟田未来共創センターの活動拠点も兼ねて「うずうずマイン(UZUUZU MINE)」がある。「うずうず」が形になる新たな方向として、大牟田で暮らし、働く 人たちや市内事業者が、行政とは異なった公共性を発揮することをサポートするた めに運営されている。 ※木村ら(2019)パーソンセンタードデザイン:その人らしい暮らしを目指 す人間観に基づくデザイン方法論,日本デザイン学会発表大会概要集.
  48. 61 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 大牟田未来共創センターの備える機能 ウェルビーイングな都市モデルに転換するための問い

    大牟田で大事にされてきた「パーソンセンタード」という考え方を手がかりと しながら、暮らしの現場(教育、雇用、社会保障、産業振興など)で既 存の社会システムが人の可能性を奪っている状況を変えるために、現場で の実践と並行して、どういう社会のあり方が良いのか問い続けている。現場 で見出した課題を掘り下げて「問い」を立て、有識者・実践者との対話に より問いを深めている。(湯リイカ、にんげんフェスティバル等) 「一人ひとりの可能性を最大限引き出すシステム」という提言 湯リイカの登壇者である法学者菊池馨実さんが提唱する「社会保障の根 拠を25条(生存権)から13条(幸福追求権)へと転換する」ことと重 なり、大牟田未来共創センターは、この考え方を社会システム(政策・ビ ジネス・コミュニティ等)全体に拡張するために10万都市大牟田で実践を 行っている。個人の責任や努力(医療モデル)ではなく政策やテクノロ ジーなどの環境側が変わることによってなされるべき(社会モデル)という 考えたに基づいた実践アプローチとなっている。 労働供給制約をきっかけに共創をリードする主体 単なる人手不足論ではない生活維持サービスの労働供給が制約されは じめている状況をきっかけとして、周辺地域との人手を奪い合うことでは乗 り越えられない危機が迫っている。テクノロジー活用による労働生産性の 向上だけでなく、 「一人ひとりが本来持つ可能性が十分に発揮される」状 況を生み出す地域を構想し、その提案に共感する市民、行政職員、地 域の事業者や団体、外部の企業や研究者との活動に取り組んでいる。
  49. 62 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 持続可能なリビングラボプラットフォームのエコシステムモデル 1-1.問いがないと、単発的なプロ

    ジェクトになる 1-2.地域のリアリティを捉えていない と、抽象的な問いになる プラットフォームがない場合 2-1.組織を超えた共創ではコミット する人がいないと停滞する 2-2.予算の確保がなくなるとプロ ジェクトが中断する 3-1.既存の狭い関係性に閉じて新 しい活動が生まれない 3-2.役割だけの関わりになり、役割 のはざまの問題が対象化しない 特徴3: 地域内外の人と多様な関係性 をつくり、意欲を引き出す 特徴2: 問いに向けて責任を持って 実行にコミットする 特徴1: 住民のリアリティと 地域の未来を捉えて問い続ける
  50. 65 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 大学組織がリビングラボプラットフォームを担う可能性 人文学・社会学・自然科学

    の知を活用した問い 地域に拠点を持ちコミットし 続ける主体としての立ち位置 地域内外の多様な ネットワークの活用 大学組織の役割 文科省が「地域大学振興室」新設へ ◯「文部科学省が新年度に、地方の大学の振興を図る 新たな部署をつくる方針を固めた。 少子化や過疎の課題を抱える地方では、学生確保に苦 しむ大学が少なくない。地域ニーズを踏まえた優秀な人材 育成や雇用の創出で若者の定住増を図りたい地元自治 体や産業界などと連携を強化し、教育研究機関としての 価値向上を後押しする狙いがある。 名称は「地域大学振興室(仮称)」。大学からの相談 対応や、地域連携にかかわる政策立案などを担う。」 (2024年12月26日) ( https://www.asahi.com/articles/ASSDV0HBPSDVUTIL02HM.ht ml) 特徴3: 地域内外の人と多様な関係 性をつくり、意欲を引き出す 特徴2: 問いに向けて責任を持っ て実行にコミットする 特徴1: 住民のリアリティと地域の 未来を捉えて問い続ける
  51. 66 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 本日のまとめ •リビングラボとは「セクターを超えた共創の方法論」

    •相互に変容する関係で根本的な問題解決をする (Transition)ために注目 •社会インフラとしてのリビングラボの エコシステムモデル •大学組織がリビングラボプラットフォームを担う 可能性
  52. 67 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本リビングラボネットワーク(JNoLL)の活動概要 日本において共創やリビングラボの実践がさらに活性化し、普及することを目指して、設立。多様なステークホルダーが立場

    を超えてフラットにつながり、実践知や課題を共有し合うことで、さらなる実践や成果をもたらす場や機会をつくり出している。 また、リビングラボのポータルサイトでの情報発信や、支援サービスの提供も行っている。 リビングラボ運営者支援サービス リビングラボ実践者/ 研究者ネットワーク 実践を支えるフレームワークの 研究開発 チーム組成& ビジョン形成 計画立案・共有 予算・ 契約 具体的な 共創 価値の振返 り・発信 国内実践者・研究者と共に、事例対話の分析を通じて 実践支援の核となるフレームワーク等を研究開発 25地域を超える実践者が集い、コアチームを組成し、 実践者による実践者のためのコミュニティを運営。 1000名を超えるリビングラボ関心層に発信可能なネットワーク (企業7割,自治体2割,研究者1割) 研究開発の知見を核に、体系化されたリビ ングラボ運営者支援メニューを開発・提供 リビングラボML
  53. 70 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 実践を支えるフレームワークの研究開発 科研費・トヨタ財団助成PJ・国会図書館調査等

    トヨタ財団:2022 先端技術と共創する新たな人間社 会の助成プロジェクト 「Infrastructuring Living Labs: リビングラボ実践 を支えるインフラストラクチャ構築」 ※理事 赤坂によるPJ(2023-24) DX・デザイン思考・地域創生関 係の講演・アドバイザー委嘱等 ※代表理事・理事含め多数 国立国会図書館調査資料2020-6 ※代表理事木村による論文 リビングラボ国際会議での Top Selected Paper受賞 ※代表理事木村による論文 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidep o_11656225_po_20200606.pdf?contentNo =1 https://codips.jp/news/20231004/ https://codips.jp/news/20220920/ 科研基盤研究(C) 「地域の共創基盤としてのリビングラボのアウトカムを評 価する標準フレームワークの構築」 ※パートナー坂倉氏によるPJ(2024-27)
  54. 71 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボ運営者支援サービス 学びのプログラムの全体像

    ▪概論を知る • リビングラボのモードを 体感する • 系譜とマインドセットを 知る • 事例とプロセスを知る ▪演習に取り組む • 簡易的ケースメソッド を題材に実践を想定 して検討する ▪7つの論点ごとに事例、理 論、ツールを知る ・セットアップ(相互理解・チームビルド) ・ステークホルダーエンゲージメン ト(相互理解・チームビルド) ・共創(リサーチ・課題設定) ・実験(アイデア・プロトタイピング) ・価値(検証・社会実装) ・ビジネスモデル(検証・社会実装) ・ガバナンス(プラットフォーム) ▪持続的なリビングラボ運 営に向けた実践知を深める ・地域/社会のビジョン ・主体的なコアチームと周辺 参加 ・実働・実現のためのリソース ・その他 リビングラボ 基礎セミナー リビングラボ 実践セミナー リビングラボ 応用セミナー スタータープログラム 実践ガイド プログラム 実践者 コミュニティ活動 ケースメソッドPG プロジェクト組成PG (w/パートナー連携) プラットフォーム組成PG 対話・視察企画部会 アウトカム評価研究部会 ナレッジ・シェアリング部会 ▪ケースメソッドPG 仮想ケースではなく、それぞれが悩 み・課題を抱える実際の事例を持 ち寄り検討する(開催期間1 日) ▪プロジェクト組成PG 連携パートナーのリビングラボを フィールドに、現地の関係者とリ サーチ、PoC等を行う(開催期間 2泊3日~) ▪プラットフォーム組成PG リビングラボを立ちげたい地域で、 共創活動を推進しながら、ハンズ オン型の協働学習を行う(開催 期間3カ月/毎月1回の研修 会) ▪対話・施策企画部会 リビングラボ対話会 実践者・研究者のトークを軸に、 セミクローズドなメンバーで対話を 行う会(毎月開催) リビングラボ視察プログラム 先行するリビングラボ活動を視察 し、意見交換をする(開催期間 1日) アウトカム評価研究部会 地域の共創基盤としてのリビングラ ボのアウトカムを評価する標準フ レームワークを構築する https://jnoll.org/service/
  55. 72 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本リビングラボネットワークの当面のイベント 日本リビングラボネットワークでは、実践者同士がつながる機会、まなぶ機会、実践する機会を提供しています。詳し

    くは、リビングラボ・ポータルサイト,リビングラボ・メーリングリストをご活用ください。 JNoLL リビングラボ メーリングリスト ▶リビングラボ対話の場(オンライン) 日本のリビングラボの実践事例の話題提供とともに、リビングラボにつ いて対話する会 1/28(火) 18:00-19:30 「共創による団地再生×リビングラボ」 大和ハウス 田中紀之さん ▶リビングラボ基礎セミナー(オンライン) 主に共創活動・リビングラボの実践にこれから取り組もうとしている人 材を対象に、体感,理論,対話,ケースメソッド実践の4要素から、 マインドセット転換を促すプログラム 4/19(土) 13:00-18:00 大牟田リビングラボ NTT 木村篤信さん ▶リビングラボ現地視察プログラム 全国各地の実践者の現場を訪問し、関係者とのミートアップやフィー ルドワークなどを行う会 (おやまちLL,大牟田LL,竹山団地LL等)
  56. 73 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs JNoLL リビングラボ

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