Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

スクラムしない組織のアジャイル論 - Agile Tech Talk vol.1 2023/7/26

スクラムしない組織のアジャイル論 - Agile Tech Talk vol.1 2023/7/26

2023年7月26日に開催されたAgile Tech Talk Vol.1の登壇資料です。
https://nota.connpass.com/event/287203/

Hiroki Akiyama

July 26, 2023
Tweet

More Decks by Hiroki Akiyama

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 2 • 秋⼭博紀 • 株式会社Helpfeel CTO ◦ 技術戦略、研究開発⽅針の策定、 マネジメントなどを担当 •

    https://akiyama.akiroom.com/ • Webサービス、スマホアプリ開発、B2C/B2B SaaSなどIT企業の⽴ち上げから成⻑期を10年 以上経験 • - @akiroom ⾃⼰紹介 Profile
  2. 3 Products プロダクト紹介 Scrapbox 知識を磨き上げる アイディエーションツール Gyazo 情報を知識にする メディアキャプチャー Helpfeel

    知識を届ける エンタープライズサーチ 積極 採⽤中 情報からナレッジを作り、磨き上げ、届けるところまで、All-in-Oneで⾏うことができるSaaSプラットフォーム
  3. 4 Gyazo 世界トップシェアを誇る スクリーンショット共有ツール Gyazoについて About Gyazo 毎⽉2~3000万枚 アップロード 転送量

    500TB〜1PB 海外売上 80%以上 情報を知識にする メディアキャプチャー スクリーンショットやウェブ、写真などあらゆるメディアをキャプチャーして、それらすべて のデータから素早く探し出せるツールです。情報は、撮影元のメタデータとタグを元に関連付 けられ、⾃分の知識として活⽤していくことができます。
  4. 10 • 本来のアジャイルソフトウェア開発宣⾔(2001年) ◦ https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html ◦ プロセスやツールよりも個⼈と対話 ◦ 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェア ◦

    契約交渉よりも顧客との協調 ◦ 計画に従うことよりも変化への対応 ◦ + 12の原則 • アジャイルは短いイテレーションのことだけではない アジャイル開発 スクラムしない組織のアジャイル
  5. 14 • Sprint単位に区切る • Sprintごとに⽬標を設定 • Sprintごとに成果を振り返り • 期⽇に基づいて進⾏管理 ◦

    チームとして⾒積もりの精度を上げていく • バザール式と⽐較すると個⼈よりチームが重視される スクラム開発 スクラムしない組織のアジャイル
  6. 15 • Sprint単位に区切る • Sprintごとに⽬標を設定しない • Sprintごとに成果を振り返らない • 進⾏管理が必要なもののみ、アドホックな会議体を形成 ◦

    マネタイズMTG、広告MTGなど • スクラム開発か? → No. Helpfeel式スクラム(⾵の何か) スクラムしない組織のアジャイル
  7. 16 • マネタイズ成功✌ ('ω') ✌ ◦ Gyazoは今でも⼤きな売上がある • 伸びたランウェイにより ◦

    Scrapboxは引き続き開発継続 ◦ Helpfeel事業の⽴ち上がり ◦ シリーズB,Cの調達 • なぜ上⼿くいった? 結果 スクラムしない組織のアジャイル
  8. 18 • ドッグフーディング ◦ ⾃分達で作ったものを⾃分達で使うこと • 全社的にGyazo, Scrapbox, Helpfeelを使って業務 •

    ⾃分達で使っているので課題に気づき、⾃信をもって勧められ るプロダクトを作ることができる • ⾃発的な動機により改善を進める ドッグフーディング重視 スクラムしない組織のアジャイル
  9. 19 • プロダクトマネジメント的発想 ◦ ≒ハッカー気質 • 問題を俯瞰し、要望をそのままダイレクトに実装しない • できるだけ、複数の問題の解決を図る •

    定⽯を安易に採⽤せず、開発者だからできる解決を探す • 採⽤では「個⼈開発している⼈」「⾃分でWebサービスやアプ リを作ってる⼈」を優先 プロダクトマネジメント的発想 スクラムしない組織のアジャイル
  10. 20 • ⾃律的‧⾃⼰組織的 ◦ 適切な権限委譲により、各⼈の判断で機能開発を進める • 必要な機能の開発についてタスクと⼯程を指⽰することは稀 ◦ 進め⽅は⾃分で考えることができる ◦

    課題をScrapboxで管理し、⾮同期に議論可能に ◦ https://scrapbox.io/nota-private-sample/ ⾃律的‧⾃⼰組織的な働き⽅ スクラムしない組織のアジャイル
  11. 21 • マネジメントフレームワークを導⼊するのは、選択肢のひとつ • フレームワークが唱える⽂化や考え⽅のインストールが重要 • アジャイル的であるためには、組織⽂化のチューニングが重要 • 既にあるよい⽂化は⾔語化して後から参照可能にする •

    伽藍とバザール、アジャイル宣⾔、リーン開発、スクラム開 発、あたりのキーワードを軸に、組織にあわせてカスタムする と良い アジャイル開発を実現するために スクラムしない組織のアジャイル
  12. 22 「伽藍とバザール」と「アジャイルソフトウェア開発宣⾔12の原則」を⽐べる スクラムしない組織のアジャイル 1. 全ての良いソフトウェアは開発者の個⼈的な希望から始まる。 2. 良いプログラマは何を書けば良いか知っている。凄いプログラマは何を書き直せば‧何を再利⽤すれば良いか知っている。 3. 破棄する計画を⽴てる。いずれにせよ、そうすることになる。 4.

    適切な取り組みをしていれば、おかしな問題は⾃発的に主張してくる。 5. ソフトウェアに興味がなくなった時には、ソフトウェアを⼿放して優秀な後継者に引き継ぎする。 6. 利⽤者を共同開発者として扱うことは迅速な実装改善と効率的なデバッグの最短ルートである。 7. 素早く頻繁なリリースを実施し、顧客の話を聞く。 8. ⼗分なベータテスターと共同開発者の基盤があれば、⼤半の問題はすぐに特定されて誰かが直す。 9. 賢いデータ構造と愚かなソースコードは、その逆であるよりずっと良い成果を出す。 10. あなたがベータテスターを最も有益な資産として扱うなら、彼らは最も有益な資産となり応えてくれる。 11. 次の最適案は利⽤者による良いアイディアに気付かされる。後から出たアイディアの⽅が良いこともある。 12. ⼤半の衝撃的で⾰新的な解決策は⾃⾝の問題の捉え⽅が間違っていることに気付くことから始まる。 13. 完璧な設計はそれ以上の追加することがなくなった時ではなく、それ以上の削減することがなくなった時である。 14. 全てのツールは想像通りに便利であるべきであるが、本当に凄いツールは作者の想像を越えた便利さを与える。 15. どんなゲートウェイソフトウェアを実装する場合でも、データストリームへの影響は可能な限り最⼩限に抑え、受け⼿が強制しない限りはデータを決して破棄しない。 16. ⾃分の書き⽅がチューリング完全から外れているなら、シンタックス‧シュガーは⼿助けになる。 17. セキュリティシステムのセキュリティはそれが秘密である時だけ意味を成す。⾒掛けのセキュリティには注意すること。 18. おかしな問題を解決することは、おかしな問題を探すことから始まる。 19. 開発コーディネーターが少なくともインターネットと同等に良質な交流⼿段を持って圧⼒をかけない先導⼿法を知っているなら、必然的に頭数は多い⽅が良い。 ⾃律性 ユーザーとの対話 ⾼速イテレーション https://ja.wikipedia.org/wiki/伽藍とバザール より引⽤
  13. 23 1. 顧客満⾜を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。 2. 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。変化を味⽅につけることによって、 お客様の競争⼒を引き上げます。 3. 動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ⽉というできるだけ短い時間間隔でリリースします。 4. ビジネス側の⼈と開発者は、プロジェクトを通して⽇々⼀緒に働かなければなりません。

    5. 意欲に満ちた⼈々を集めてプロジェクトを構成します。環境と⽀援を与え仕事が無事 終わるまで彼らを信頼します。 6. 情報を伝えるもっとも効率的で効果的な⽅法はフェイス‧トゥ‧フェイスで話をすることです。 7. 動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です。 8. アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。⼀定のペースを継続的に維持できるようにしなければなりません。 9. 技術的卓越性と優れた設計に対する不断の注意が機敏さを⾼めます。 10. シンプルさ(ムダなく作れる量を最⼤限にすること)が本質です。 11. 最良のアーキテクチャ‧要求‧設計は、⾃⼰組織的なチームから⽣み出されます。 12. チームがもっと効率を⾼めることができるかを定期的に振り返り、それに基づいて⾃分たちのやり⽅を最適に調整します。 https://agilemanifesto.org/iso/ja/principles.html より引⽤ 「伽藍とバザール」と「アジャイルソフトウェア開発宣⾔12の原則」を⽐べる スクラムしない組織のアジャイル ⾃律性 ユーザーとの対話 ⾼速イテレーション
  14. 25 • 実は今⽇の話はすべて2016年〜2017年頃の話でした ◦ Gyazoの売上が9割以上 ◦ Gyazoはフリーミアムを採⽤したB2C SaaS • 現在のHelpfeel社

    ◦ Helpfeelの売上が6割以上 ◦ Helpfeelはザ‧モデルを採⽤したB2B SaaS • 今はどうなっているか? アジャイル開発を実現するために スクラムしない組織のアジャイル