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ソフトウェア開発の中心にあるのは情緒である

araratakeshi
February 16, 2017

 ソフトウェア開発の中心にあるのは情緒である

デブサミ2017講演スライド
【16-B-7】視点移動~ビジネスと組織と人の狭間で越境し続けるエンジニアの物語、その彼岸

araratakeshi

February 16, 2017
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Transcript

  1. 株式会社ヴァル研究所
    開発部 部長 新井 剛
    2017年2月16日
    ソフトウェア開発の中心にあるのは
    『情緒』である
    【16-B-7】 視点移動~ビジネスと組織と人の狭間で越境し続けるエンジニアの物語、その彼岸

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  2. 本日のルート
    2

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  3. ○ 自己紹介
    ○ カイゼン:
    ○ 部署活性化:
    ○ 会社見学ツアー:
    ○ 個人の想い:
    ○ 情緒:
    ○ ラスト・メッセージ
    3
    「見える化」作戦
    「いと楽し」作戦
    「つながり」作戦
    「よろこび」作戦
    「自分を信じる」作戦

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  4. 自己紹介
    4

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  5. •前々職
    ● 船舶をITシステム化(南極観測船にも乗船)
    •前職
    ● プロダクトマネージャー・Java関連雑誌執筆/登壇
    •オーストラリアの大学院(仕事を辞めて武者修行)
    •ヴァル研究所
    ● 開発部部長
    ● 緊急地震速報、駅すぱあとミドルエンジン開発
    ● 認定スクラムマスター・プロダクトオーナー
    ・コミュニティ
    ● 一般社団法人アジャイルチームを支える会
    ● DevLOVE、Agile Samurai BaseCamp
    ● JAWS-UG中央線、CoderDojoすぎなみ
    ● 翔泳社CodeZineAcademy ScrumBootCampPremiumチューター
    5

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  6. 6
    1988年2月22日(昭和63年)
    業界初の「路線・運賃早わかりソフト」
    「駅すぱあと首都圏版(MS-DOS)」の発売から29年
    皆様と一緒に、製品・サービスを成長させてまいりました。
    History

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  7. 『見える化』作戦
    7

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  8. 設立41年
    社員年齢:21歳〜60+歳
    プロセスや組織も成熟
    落ち着いた雰囲気
    8

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  9. ● 組織の壁
    ● 古いパイプライン
    ● 品質を下げられない
    ● 疲弊
    9

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  10. 習慣化されたもの、馴染みのもの、心地よいものを
    体系的に破棄する仕組みをもたなければならない
    P・F・ドラッカー
    10

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  11. 11
    アジャイル推進委員会
    (げんばあつめ)

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  12. 12
    • 議論・情報交換
    • ミツバチの他花受粉・アイデア交換

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  13. 13

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  14. 14
    評価も上下関係もなし

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  15. 15
    共感 (not 問題解決)

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  16. 透明性
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  17. 見える化・カンバン・カイゼン・自己組織化
    17

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  18. どんだけ?
    社員数 160人弱!!
    ※会議室のホワイトボード除く!
    • ホワイトボード:
    • 小さいホワイトボード:
    • ふすま型:
    • 模造紙型:
    • ホワイトシート:
    • そのほか:
    • 合計:
    35枚
    12枚
    22枚
    8枚
    15枚
    3枚
    95枚
    18

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  19. 19
    総務
    http://www.slideshare.net/pupupopo88/ss-52697782

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  20. 20
    総務
    http://www.slideshare.net/pupupopo88/ss-52697782

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  21. 21
    プロモーション・広報
    賞賛の壁・ニコニコカレンダー
    ラーメンドリブン
    メンバーのその日の気分の数値があったらラーメン
    ラーメン店舗候補
    使い終わった付箋が千羽鶴

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  22. 22
    営業
    目標売上の予実表

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  23. 23
    コンテンツ
    バス制作のカンバン 鉄道制作のカンバン

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  24. 24
    CRM・サポート
    カンバンボード

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  25. 25
    インフラ
    カンバンボード

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  26. 26
    検査
    検査カンバン

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  27. 27
    開発
    KPTボード
    カンバンボード
    利用ツール関係図

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  28. 28
    開発
    緊急重要マトリクスでバックログ
    リリーストレイン時刻表
     天井まで埋め尽くし

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  29. 29
    いろいろ
    バーンダウンチャートをレゴで表現

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  30. 30
    RaspberryPiでいろいろ
    ホワイトボードを撮影
    ダースベイダーが監視(XFD)

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  31. 『いと楽し』作戦
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  32. 32
    ワクワクする会社がこんなにも

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  33. 33
    毎月・部署誕生会

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  34. 34
    3時退社日(月1回)

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  35. 焼肉メソッド
    高級なもの食う
    (ポケット・マネー) 35

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  36. 36
    部署・MVP

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  37. 37
    駅すぱあと父「宮本塾」

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  38. 38
    感謝の手紙

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  39. 規定にはないけど
    上司評価(360度評価)
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  40. 40
    人材交流・交換
    • 部署間で
    • 2wスプリントだけ交換
    • スキル・文化の相乗効果

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  41. 41
    try100
    100件の大小様々な
    問題解決で社内に貢献
    100件の大小様々な
    問題解決で社内に貢献
    • 奉仕
    • 見える化
    • カイゼン
    • 越境
    • いと楽し

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  42. 42
    半期で300越え!

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  43. 『つながり』作戦
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  44. 会社見学ツアー
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    1年半 90社 250人以上

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  45. 45

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  46. 46

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  47. 47

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  48. 48

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  49. 49

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  50. 50

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  51. 51

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  52. 52

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  53. メリット
    メンロー! Spotify!
    ファン醸成・情報交換・業界の成長
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  54. アジャイルコミュニティ繋がり
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  55. セミナー・勉強会・会場提供
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  56. 56

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  57. 57

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  58. 58
    つながっている

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  59. Fearless Journey―48の影響戦略カード
    http://waicrew.thebase.in/items/37055
    59
    Fearless Change

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  60. 60
    著名人を招いて会社で講演
    • 息切れタイミングでオファー(適切な時期)
    • 応援動画
    • セミナー・ワークショップ・読書会
    • 小田理一郎さん、牛尾さん、Harada Kiroさん、角さん、Ryuzeeさん、Kyonさん、
    天野さん、nawotoさん、papandaさん、上野さん、t-wadaさん、ちゃちゃきさん、
    DDD増田さん、西谷さん、AWSのSAの方々……

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  61. 61
    正しく考える循環がうまれる
    社内問題
    賢者からの問い

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  62. 62
    ● 自ら動く・自己組織化
    ● 言われないと動けない人・減る
    ● ルールが自分事
    ● 行動特性UP
    ● チェンジ・エージェント増加
    ● カイゼン・マインドの浸透

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  63. 『よろこび』作戦
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  64. なぜ喜びのほうがいいんですか?
    ● 生産性が高そう
    ● きっと積極的
    ● 一緒に働きやすそう
    ● いい仕事をしそう
    ● 結果のことをちゃんと考えてる
    64
    p.11

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  65. 65
    https://www.holstee.com/pages/manifesto
    これはあなたの人生です。自分が好きなことをやりなさい。
    ... 人生は短い。情熱を身にまとい、自分の夢を生きよう

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  66. 66
    • なんでも屋
    • いっぱい勉強
    • 熱量、権限、予算
    • リード・並走・サポート・移譲
    限りある時間の中で

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  67. 人生の時間を費やす
    踏み込んで生きていく
    67

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  68. 役職や組織・権限・立場を超えて
    自分と会社と社会に喜びが溢れるように 68

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  69. 69
    P.7 アジャイルサムライ -達人開発者への道-

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  70. 『自分を信じる』
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  71. 同じことを言っている
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  72. 72
    内面に向き合う
    自ら脳内バリアをぶち破り
    未来を自分たちの手で引き寄せる

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  73. 73
    理由は?やる意味は?
    理解できても納得いかない?
    同意したけど感情がついてこない?

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  74. 74
    私も理屈っぽかった

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  75. 75
    岡 潔岡 潔(1901~1978)
    世界的数学者
    故郷の紀見村にこもる
    農耕と数学研究に明暮れる
    多変数解析函数論
    (この論文で世界的な業績)
    生涯で僅か10編の論文
    (本質的な結果以外発表しない)
    文化勲章受賞(1960)

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  76. 数学の中心にあるのは
    『情緒』である by 岡 潔 76

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  77. 77
    数は五感で感じられない
    C言語で意味する所の実態は?
    int i;   /*実態*/
    int *p;   /*ポインタ */

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  78. 78
    記号でしかなく実態がない
    色/匂い/味/叩いた音/感触?

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  79. 79
    感覚・感情・こころと同じ

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  80. 80
    マネジメント
    悩みは人間関係に依存

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  81. 実態がないのに
    先に分かろうとする・分析過多
    81

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  82. 意味を先に教わろうとする
    何の役にたつんですか? 82

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  83. 83
    古代ギリシャの
    極度な論証主義

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  84. 相互作用の中で(もがいていると)
    後から意味が立ち上がってくる 84

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  85. 日本文化では
    経験として知っていることを重視した 85

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  86. 例えば他の悲しみだが、これが本当にわかったら、自分
    も悲しくなるのでなければいけない。
    ...他の悲しみを理解した程度で同情的行為をすると、か
    えってその人を怒らせてしまうことが多い。...
    このわかり方を道元禅師は「体取」と言っている。
    「理解」は自他対立的にわかるのであるが、
    「体取」は自分がそのものとなることによって、
    そのものがわかるのである。
    pp.140-141 数学する人生
    86

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  87. 情のいとぐち(情緒)
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  88. 関心を持ち続ける
    88

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  89. 心をつくる
    89
    心になる
    コンピューターの概念を初めて理論化
    天才数学者 アラン・チューリング
    10編しか論文を書かなかった
    天才数学者
    wikipediaより引用 「岡潔 日本のこころ」より引用

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  90. 数学が数の記録・計算・論証など
    道具と技術で発達してきたように
    チューリングから派生した
    道具と技術が支え合い続け成長する生態系に
    生きている 90

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  91. ラスト・メッセージ
    91

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  92. 見えないものに真実がある
    92

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  93. 他との間に、心が通い合う。
    その通い合う心が、情緒である
    (P.146 数学する身体)
    93

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  94. マネジメントは人である
    94

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  95. 95
    カルチャーは戦略を凌ぐ
    P・F・ドラッカー

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  96. 楽しく・面白いと思うことを手がけてみる
    96

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  97. 自ら一歩でも足を踏み出すと、
    何かが変わった世界が現れる 97

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  98. そのためには『妄想』という
    内面の心からスタートする 98

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  99. 発見が後からついてくる
    意味が後からついてくる 99

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  100. 自分でコントロールする枠を徐々に広げる 100

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  101. 次の時代において既存の枠組みに
    縛られた働き方や生き方にあまり意味はない
    「働く=人生の時間を費やす・選択」 101

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  102. 「情緒を清め、深める」ことが人間の仕事
    (P.174 数学する身体)
    102

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  103. 繋がっていく・喜びがある 103

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  104. 自他を超えて「通い合う心」の中にこそ
    生きる喜びがある by 岡 潔
    104

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  105. 105
    越境し、好きになり
    もの・人と同化し
    関心を持ち続けていく

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  106. Do Agile?  Be Agile?
    106

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  107. 心を知るためには、まず心に「なる」こと
    数学を知るためには、まず数学「する」こと
    そこから始めるしかないのである
    (P.187 数学する身体)
    107

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  108. ふっと視線をそらした時に現れる地平線
    108

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  109. 109
    ITの時計の針を少しでもすすめるために

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  110. 薄氷の上をただ歩く 110

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  111. 目指すべき地は、解いてみるまで分からなくても
    111

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  112. 五感で触れることのできない数学的対象に関心を集め
    続けてやめないこと。
    自他の別も時空の枠すらをも超えて大きな心で数字に
    没頭しているうちに
    「内外二重の窓がともに開け放たれることに
    なって
    『清冷の外気』が室内にはいる」
    のだと、彼は独自の表現で数学の喜びを描写する
    112
    by 森田 真生

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  113. 113
    数学とは...
    自らの情緒を外に表現することによって
    作り出す学問芸術
    (P.8 岡潔 日本のこころ)

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  114. ソフトウェア開発とは
    人と技術と文化が織りなす道
    114

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  115. 何事にも通じる「道」
    時空を超えた「道」
    自分と向き合い続ける「道」 115

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  116. 本日のルート
    116
    よろこび
    情緒

    見学ツアー(つながり)
    見える化(会社)
    いと楽し(部署)

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  117. そのルートで迷ったら……
    117
    ご清聴ありがとうございました。

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