Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
デジタルペンの再生機能を活用した学習支援に関する一考察:小学校理科を事例として
Search
Daiki Nakamura
August 02, 2015
Education
0
16
デジタルペンの再生機能を活用した学習支援に関する一考察:小学校理科を事例として
日本理科教育学会第65回全国大会京都大会 2015年8月2日
Daiki Nakamura
August 02, 2015
Tweet
Share
More Decks by Daiki Nakamura
See All by Daiki Nakamura
適切な回帰推定量の使用が学力調査の推定精度を向上させる効果の検討
arumakan
0
14
Developing a Diverse Interests Scale for STEM Learners: Based on the ROSES Survey in Japan
arumakan
0
10
条件制御能力を測定するコンピュータ適応型テストの開発
arumakan
0
160
科学教育の読書会を中心とした新しい研究活動の展開
arumakan
0
170
The Value of Science Education in an Age of Misinformation
arumakan
1
170
教育研究における研究倫理問題の論点整理
arumakan
0
530
TIMSS 2019 環境認識尺度に関する日本人学習者の特徴
arumakan
0
190
統計勉強会2023春@岡山大学
arumakan
0
900
Materials for ReproducibiliTea session on Pownall et al. 2022
arumakan
0
170
Other Decks in Education
See All in Education
Human Perception and Cognition - Lecture 4 - Human-Computer Interaction (1023841ANR)
signer
PRO
0
710
セキュリティ・キャンプ全国大会2024 S17 探査機自作ゼミ 事前学習・当日資料
sksat
3
850
Master of Applied Science & Engineering: Computer Science & Master of Science in Applied Informatics
signer
PRO
0
430
Qualtricsで相互作用実験する「SMARTRIQS」実践編
kscscr
0
290
情報処理工学問題集 /infoeng_practices
kfujita
0
120
2409_CompanyInfo_Hanji_published.pdf
yosukemurata
0
380
1030
cbtlibrary
0
300
Comment aborder et contribuer sereinement à un projet open source ? (Masterclass Université Toulouse III)
pylapp
0
3.2k
Image Processing 1 : 1.Introduction
hachama
0
270
子どものためのプログラミング道場『CoderDojo』〜法人提携例〜 / Partnership with CoderDojo Japan
coderdojojapan
4
14k
20241004_Microsoft認定資格のFundamentals全部取ってみた
ponponmikankan
2
330
construindo uma carreira com opensource
caarlos0
0
240
Featured
See All Featured
Unsuck your backbone
ammeep
668
57k
How STYLIGHT went responsive
nonsquared
95
5.2k
Making Projects Easy
brettharned
115
5.9k
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
136
6.6k
Side Projects
sachag
452
42k
Dealing with People You Can't Stand - Big Design 2015
cassininazir
364
24k
A Modern Web Designer's Workflow
chriscoyier
693
190k
A better future with KSS
kneath
238
17k
jQuery: Nuts, Bolts and Bling
dougneiner
61
7.5k
The Cost Of JavaScript in 2023
addyosmani
45
6.8k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
459
33k
Faster Mobile Websites
deanohume
305
30k
Transcript
デジタルペンの再生機能を活用した 学習支援に関する一考察 ―小学校理科を事例として― 1 広島大学大学院 ◦中村 大輝 國學院大學人間開発学部 寺本 貴啓
広島大学大学院教育学研究科 松浦 拓也
研究概要 研究の目的 デジタルペンシステムの再生機能を活用する利点を明らかにし、 思考力の育成に資する授業モデルを開発する
デジタルペンシステムについて
再生機能について 熱した部分から順にあたた まる。 水も金属と同じように、
◦小学校第4学年「ものの温まり方」 特に予想と考察の場面で再生機能の活用に重点 • 思考力の育成 • 概念の枠組みの変化の共有 • 他者の概念変容を動的に知覚 • 素朴概念の修正が容易になる
研究概要 5 研究の目的 デジタルペンシステムの再生機能を活用する利点を明らかにし、 思考力の育成に資する授業モデルを開発する ①四分割法 ②四分割ランダム法 ③記述再生法 ④動的視覚化法 ⑤部分再生法 授業モデル提案 デジタルペンシステムの再生機能 5つの活用方法 期待される学習効果
研究の背景 21世紀型能力の枠組み(国立教育政策研究所,2013) 思考力や学び方の学びに重点が置かれようとしている 求められるスキル 理科において「子どもの思考過程を把握し、 学習を深化させるためのツール」としてのICT機器に着目し、 その活用方法を考案することが求められている ICT機器の活用
研究の背景 ①使用方法のレベル 機器の使い方の研究、機器を使用して情報を提示し 共有するといった事例が多い ②特有の効果が見えない その機器でしか実現できない特有の効果が見えにくい ③個々の思考過程を扱っていない 個々の子どもの思考過程にフォーカスし、 改善のために直接アプローチするものは多くない ICT機器を用いた実践の課題
予想・考察の場面 デジタルペンシステムの再生機能を活用することで、 児童の記述や描画の順序を動的に把握することができる 研究の背景 思考過程 ノートの記述 描画 発言など 8 今までは見えなかった思考過程が明らかになる
? デジタルペンシステムの再生機能を活用し、 思考過程を共有化することで、 数学的な思考力・表現力を育むことができた (友利,2013)
1.デジタルペンシステムの機能分析 2.活用方法の考案 3.授業モデルの作成 研究の目的・手順 研究の目的 研究の手順 デジタルペンシステムの再生機能を活用する利点を明らかにし、 思考力の育成に資する授業モデルを開発する 9
デジタルペンシステムの機能分析 A.共有・提示の為 の機能 ①一覧で全体を提示・共有 ②集計処理 ③意図的な選択 ④指定範囲の拡大 ⑤手書きの状態の記述 B.再生機能 ⑥記述順の見取り
C.教師による学習状況 把握の為の機能 ⑦学習状況のリアルタイムでの把握 ⑧電子的保存 D.子ども自身により学習 の振り返りの為の機能 ⑨学びの振り返り E.他の機器との連携機能 ⑩タブレットとの連携 理科授業における情報共有場面では、 デジタルペン、実物提示装置、板書の 3種類の提示方法に効果の差はない (寺本ら,2013) デジタルペンシステムでしか 得られない学習効果とは言いがたい
1.デジタルペンシステムの機能分析 2.活用方法の考案 3.授業モデルの作成 研究の目的・手順 研究の目的 研究の手順 デジタルペンシステムの再生機能を活用する利点を明らかにし、 思考力の育成に資する授業モデルを開発する 11
活用方法の考案 12 ①四分割法 ②四分割ランダム法 ③記述修正法 ④動的視覚化法 ⑤部分再生法 デジタルペンシステムの機能の中でも特に再生機能を活用し、 思考力を育成する方法を検討 描画や記述の過程を再生
比較・差異や問題点を見 出す・省察 といった思考を促す 思考力の育成
①四分割法 13 1sheet 試験管の上から順にあた たまると思う。理由はお 風呂のお湯が上だけ熱 かったことがあり、試験 管でも同じだと思うから。 試験管の下からあたたま ると思う。理由は金属の
学習ではあたためたとこ ろから順にあたたまった から。 試験管の下から色が変 わっていくと思 う。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 理由は、金属の学習では あたためたところから順 に・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・試験 管の上→真ん中→下の 順番であたたまると思う。 理由は温かいお湯が溜 まって・・・ デジタルペン用の1枚の用紙を四分割して グループ内の学習者に配ることで、 1グループ4人分のワークシートをソフトウェア上では 1枚の用紙として再生提示する方法
①四分割法 デジタルペン用の1枚の用紙を四分割して グループ内の学習者に配ることで、 1グループ4人分のワークシートをソフトウェア上では 1枚の用紙として再生提示する方法 • 「そのグループでどのような話し合いが 行われていたのか」 • 「自分達と比較して何が違うのか」
• 「記述の過程に問題点はないか」 • 「どんなところが良い/悪いか」 といった思考を促し、思考力を育成する 思考力育成の視点
②四分割ランダム法 15 用紙を四分割にした後、学級内でそれらをランダムに配布し、 学習者がお互いに誰と一緒のグループになっているか 把握できない匿名の状況をつくり出す方法 • 学級内で形成される人物の役割やイメージが学習に与 える影響を排除する • 思考力育成の障壁を取り除く
思考力育成の視点
③記述修正法 16 学習者の記述を再生提示し、 • どのような順で修正しているか • どのようなタイミングで修正しているのか • どのような観点を優先させているか を共有する方法
• 修正の仕方を動的に共有することで、修正の観点を育 成する • それらの観点から、自身の記述を省察させることで、 思考力を育成する 思考力育成の視点
④動的視覚化法 17 再生機能を利用して、変化や動きのある説明について 動的に提示する方法 • 学習者が自身の描いた描画について説明する際、 動的に示しながら説明をすることで、イメージの共有が 容易になる • イメージを動的に共有し、考え方の差異に気づかせる
ことで、思考力を育成する 思考力育成の視点
⑤部分再生法 18 他者の記述を途中まで再生提示し、 その続きがどうなるかを考えさせる方法 • 自身にはない他者の考え方をたどらせることで、 思考力を育成する 思考力育成の視点
1.デジタルペンシステムの機能分析 2.活用方法の考案 3.授業モデルの作成 研究の目的・手順 研究の目的 研究の手順 デジタルペンシステムの再生機能を活用する利点を明らかにし、 思考力の育成に資する授業モデルを開発する 19
授業モデルの作成 20 ◦小学校第4学年「ものの温まり方」 特に予想と考察の場面での再生機能の活用に重点 ①四分割法 ②四分割ランダム法 ③記述修正法 ④動的視覚化法 ⑤部分再生法 デジタルペンシステムの再生機能
5つの活用方法
予想の場面 21 学習問題 「水はどのようにあたたまるのだろうか」 予想の立案 ↓ 予想の共有 ↓ グループでの話し合い ↓
全体での共有 学習活動 思考力育成の手立て • 予想のイメージを動的に 共有する(動的視覚化法) • 意見の変化があった グループのワークシートを 全体で再生して確認し、 修正の観点を共有する(四 分割法、記述修正法)
予想の場面 22
考察の場面 23 学習問題 「水はどのようにあたたまるのだろうか」 考察をまとめる(個人) ↓ 考察の共有(全体) ↓ 考察の修正(個人) 学習活動
思考力育成の手立て • 考察の修正過程を動的に 提示し、どのような書き方 が良いのか考えを促す (記述修正法) • 自分と似た考えを持つ 他者の考え方がどのよう に変化したのか、 再生を通して確認させる
考察の場面 24 「上から順にあたたまる。」 金属の時 とは異なり、 熱源まで っていく。 • 自身の記述を振り返らせる •
自身の記述に足りない要素や より良い記述について考えさせる
期待される学習効果 25 デジタルペンシステムの再生機能の活用 • 思考力の育成 (比較、省察、差異や問題を見出す) • 再生機能を用いることでそれぞれの持っている 概念の枠組みの変化が共有可能になる •
他者の概念変容を動的に知覚することで、 各個人の素朴概念の修正が容易になることが期待できる 今まで見えなかった思考過程を明らかにし、 それらを共有して考える材料として活用することで 学習効果が期待できる
◦小学校第4学年「ものの温まり方」 特に予想と考察の場面で再生機能の活用に重点 • 思考力の育成 • 概念の枠組みの変化の共有 • 他者の概念変容を動的に知覚 • 素朴概念の修正が容易になる
研究概要 26 研究の目的 デジタルペンシステムの再生機能を活用する利点を明らかにし、 思考力の育成に資する授業モデルを開発する ①四分割法 ②四分割ランダム法 ③記述再生法 ④動的視覚化法 ⑤部分再生法 授業モデル提案 デジタルペンシステムの再生機能 5つの活用方法 期待される学習効果