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自分のスマホで動作するアプリ開発の授業

 自分のスマホで動作するアプリ開発の授業

2022年2月26日開催の情報科オンラインセミナー『 新学習指導要領スタート直前!―情報Ⅰ指導のポイントを考える―』での同志社 中学校・高等学校 鈴木潤先生の発表資料です。

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  1. 簡単な⾃⼰紹介から 2 蓮池 隆(はすいけ たかし) • 1981年10⽉24⽇⽣まれ (1024は2の10乗です) • 幼少期〜︓⼤阪で育つ(⼤阪の北端なので,コテコテの⼤阪

    ではないです…) • ⼤阪府⽴北野⾼校卒(変な⾼校でした…) • 学部〜博⼠課程,助教(〜2015年3⽉)︓⼤阪⼤学 (修⼠以降は,情報科学研究科情報数理学専攻) • 2015年4⽉〜︓早稲⽥⼤学経営システム⼯学科 • 多趣味,特にスポーツ観戦はかなり広範囲で興味あり • かなりの⾬男(台⾵もかなり呼び寄せます)…
  2. 簡単な⾃⼰紹介から 3 蓮池 隆(はすいけ たかし) • 専⾨分野︓オペレーションズ・リサーチ(OR) ▫ 不確実性下での意思決定(確率・ファジィ等々) ▫

    サプライチェーンマネジメント(主に数理モデルより) → 最適化理論・数理モデリング寄りの研究 • 早稲⽥⼤学に来て,経営システム⼯学科に⼊ったので… ▫ ECサイトの購買・履歴データからのリコメンデーション ▫ 宿泊施設稼働率最⼤化を⽬指した動的価格設定・最適プ ラン名設定(これらを含めた観光科学) ▫ ⾏動データから⼀⼈ひとりの移動を復元・移動⾏動解析 → データ解析系の研究にシフト?︖
  3. 世の中は… 6 • 「データを持っていない企業は,もう競争に勝てない」 • GAFA(Google, Amazon, Facebook(Meta), Apple)の巨⼤ IT企業の出現で,よりデータの⼒が強くなっている

    →(電⼦ベースであれ,紙ベースであれ)膨⼤なデータの 蓄積がある企業は意外と多い • 膨⼤なデータの蓄積はあるが,それをどう活⽤すればよい のかで悩む企業が多い • 「データを的確に分析・活⽤できない企業は 取り残されていく」 → データを扱える⼈材の必要性が⾼まる
  4. では何から始めればよいのか︖ 11 • 素朴な疑問は⽇常の⾄る所にあふれている → ⽇常の「なぜ︖」「どうして︖」がデータ分析の きっかけとなる ⽇常⽣活系 • 「私ジャンケンがすごく弱いんだけど…」

    • 「あの⼈,いつもジャンケン勝つよね︖」 • ジャンケンが強い⼈・弱い⼈って特徴はあるのだろうか︖ たまたま︖何回かジャンケンすると強い・弱いがわかる︖
  5. では何から始めればよいのか︖ 13 • 素朴な疑問は⽇常の⾄る所にあふれている → ⽇常の「なぜ︖」「どうして︖」がデータ分析の きっかけとなる マーケティング系 • 「Webを通じて買い物をすると,推薦商品として⾃分の

    好みの商品がちゃんと出てくるんだけどどうして︖」 • 先端の機械学習・AI⼿法が利⽤されているが,データを 収集することがおそらくできない…(それだけ,購⼊・閲 覧履歴データには価値がある)
  6. マーケティング系(その2) 14 • 「コンビニエンスストアやコーヒーショップって隣り合う 場所に合ったりするけど,どうしてなんだろう︖」 • 実際にコンビニエンスストアやコーヒーショップが隣接し ている(もしくはかなり近い場所にある)場所がどのくらい あるか集計する •

    ⾃社の他の店舗,同業種の競合他社,ドラッグストアなど の競合他社との距離関係も⾒てみると⾯⽩いかも • 参考︓ホテリングの⽴地モデル(1929年発表) http://gametheory.jp/page.php?id=96 (最終閲覧⽇︓2022年2⽉22⽇)
  7. では何から始めればよいのか︖ 16 • 素朴な疑問は⽇常の⾄る所にあふれている → ⽇常の「なぜ︖」「どうして︖」がデータ分析の きっかけとなる スポーツ系 • 野球︓2点差で負けている7回裏,ノーアウト1塁の状況で

    送りバントをする⽅がよいか︖ • テニス・バレーボール・卓球︓サーブの時,どのコースに どの球種でサーブを⼊れた⽅が得点がとりやすいか︖ • スポーツ系のデータサイエンスは,今熱い領域
  8. データ処理・分析の観点から 18 「データに基づく現象のモデル化やデータの処理を⾏い解釈・ 表現する⽅法について理解し技能を⾝に付けること」 • 極論をすれば,今は「誰でもできてしまう」 ▫ ハード⾯︓計算機⾃体の⾶躍的な性能向上 (⼤規模データでも扱えてしまう) ▫

    ソフト⾯︓データ解析ソフトの普及と性能向上 (SPSS, SASはもちろん,RやExcelも) → データさえあれば,何も考えず,ボタンをポチっと押す だけで何らかの結果が出てしまう… (中では,重回帰分析やら因⼦分析やら,何かしらの分析⼿ 法が適⽤されているのだが…)
  9. 今の⾼校⽣はプログラミングができる?! 19 • W⼤学のある学科の1年⽣︓C⾔語の授業における初回レ ポートの感想より • 「なんでPythonをやらないんですか︖今やデータ解析に ⽤いるディープラーニングや機械学習のプログラムは Pythonで書くのが主流なのに…」 •

    少し勉強すれば,⾼校⽣でも先端のデータマイニング⼿法 を実装することができる時代 → 様々なパッケージが⽤意されているので,それを呼び 出せばOK(中⾝は理解していないとしても…) しかし…,中⾝を理解していないと…
  10. 重回帰分析であれば… 20 • ある店舗の売上を考えるオーナーがいたとして… ▫ 「⽉間の売上数は,来店客数・気温・⾬の⽇数・降⽔量・ イベントの有無が関わっていそうだ」 ▫ 「おっ,結果が出た︕これで売上数に何が・どのように 聞いているかわかるぞ︕」

    ▫ 「あれ︖全く売上が伸びないじゃないか…」 • 重回帰分析で気をつけるべきこと(多重共線性)を理解してい れば,このような結果にならなかったかも… 重回帰分析 次⽉適⽤してみたが…
  11. 他にも 21 • 擬似相関の罠 「かき氷の売上と⽇中の気温には正の相関がある」 「⽇中の気温と熱中症患者には正の相関がある」 「かき氷の売り上げ増加が熱中症患者増加の原因である」 • ディープラーニングもいいことばかりではない →

    中⾝はブラックボックスであることが多い =「なんかよくわからないけど,うまくいく」 誤った判断をすると なぜそのような結果がでるのか︖を分析できる⼒を養わせる ことこそ「情報」の授業での役割
  12. 分析のポイントは『データの質』 24 • ⽬的に合ったデータがあったとしても『質』が悪ければどう しようもない 例︓(私が体験した実例) • 商⽤トラックの運⾏履歴(GPS)データを解析して,休憩場所 や運⾏の効率化を⾏いたい →

    トラックのデータというだけで,どのくらいの⼤きさの トラックなのかいう情報なし → 本来は1台のトラックに固有のIDが割り振られているはず だが,なぜか1秒で数百㎞先を⾏ったり来たりするデータ が散⾒