2019.06.22 愛知県豊田市末野原交流館における講演の資料(公開版)
子どもたちとSNS~保護者・地域の大人はどうやって見守ればいいのかな?岡崎女子大学 子ども教育学部講師 花田経子[email protected]
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自己紹介• 花田 経子(Kyoko Hanada)• 岡崎女子大学 子ども教育学部 講師• 2002年 愛知大学大学院経営学研究科博士後期課程満期退学• 2002~2015年 新島学園短期大学キャリアデザイン学科専任講師• 外部役員等(一部)• 文部科学省enPiT-Security アドバイザリー委員• 愛知県青少年保護育成審議会審議委員• 愛知県警 中小事業者情報セキュリティ対策支援ネットワークアドバイザー• 研究分野• 情報セキュリティ人材のキャリア形成と人材育成• 初等教育における情報教育と情報セキュリティ教育のための人材育成• その他• デジタルネイティブな小学校3年生を育てる母親
わたしの基本的なスタンス①子どもたちの『常識』を知り受け入れる②大人として何をすべきかを考え実行する
SNSを子どもたちはどのように使っているのか?①子どもたちの『常識』を知ろう
各年齢別のSNS利用実態(40~60代)H29年度情報通信白書より
各年齢別のSNS利用実態(10代~30代)
本学でのSNS利用実態(2019年4月)11515313610916 14734422020406080100120140160180先週一週間以内に利用したSNS(回答者人数:154人)LINE、Twitter、Instagramが主流YouTube視聴は日常的、TikTokユーザーもぽつぽつと、メルカリも利用
SNSにもいろいろある(中高生中心に)Twitter・アカウントは複数作成可能・短文が中心・ほかのサービスと連携可能LINE・アカウントは1台1つ・連絡をとるときに使う・ゲームや支払い等機能多いInstagram・画像・動画が中心・短時間で削除されるストーリーという機能有Tik Tok・短時間動画・簡単な操作で面白い動画が作れるため人気がある
用途によって使い分けをしていますTwitter・目的ごとに応じたアカウントを持つ・広く連絡を取ることも可能LINE・親や友人、クラス内の人と連絡を取るために用いる・ゲームや漫画なども使うInstagram・画像をシェアして楽しむ・服などを買うときには検索用にも使うTik Tok・仲間内で楽しむ・自分アピールなどにも・キャンペーン応募
アカウントってなに?• アカウント = SNSを利用するときに使う利用者としての権利SNS ①SNSのアカウントを作るA子さんA子のアカウント ②パスワードも設定するA子のアカウント名とパスワードが正しければSNS側は誰が使っていてもA子だとして利用させる仕組み
Twitterアカウントの複数所有は当たり前7872アカウントを複数所有しているか(回答者人数:154人)はい いいえ【アカウントの所有個数】3~5個ぐらいの所有10個以上は少ない用途によって使い分ける裏垢所有者は78名中52名
アカウントを複数持つ理由は?• アカウントを目的別に使い分ける趣味のグループ 学校のグループ 本当に仲の良い友達だけのグループ趣味用アカウント 学校用アカウント 友人用アカウントアカウントを使い分けることに深い心理的背景があるわけではなく、洋服を着せ替えるような感覚で使い分けている。
Twitterアカウント(垢)の主な種類アカウント(垢)の通称 内容通常垢・リア垢・本垢一番オーソドックスなアカウント。外向けのアカウント。実名やニックネーム、学校名などを記載することが多い。裏垢・限定垢 限られた人とだけコミュニケーションをするために使うアカウント。鍵をつけて申請・承認した人しか見られないようにすることが多い。本音を吐露したりするケースも多い。趣味垢 自分の趣味のために用いるアカウント。勉強垢 勉強のために記録をとったり、モチベーションを高める。取引垢 チケットなどを取引したりする場合に使うアカウント。エロ垢・売り子垢 性的な自画撮りや、その他の性的に問題のある行動をするためのアカウント。病み垢 自身の精神的な状況を聞いてほしいために作成される
SNSの実名での利用は?Twitterの場合は、アカウント欄にニックネーム、プロフィール欄に実名や学校名、部活名などを記載参照:https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1703.htmlなぜ?円滑なコミュニケーションのため
友達探しはSNSでつながることから始まる入学式より前の段階で、SNSを通じた知り合いができそれが今後の学校生活での友人へとつながっていくまずはじめにTwitterやInstagramでつながり、次にLINE交換をする
カップルにおける独特のルール【ルールその1】彼氏彼女は自分のパスワードも相手に教えるべし【ルールその2】二人専用の共同で使うアカウントを作ろうね【番外編】お別れした後の共同垢は、ある種の墓場に…
使い終わったアカウントのその後6092使っていないアカウントで削除していないものをもっているかはい いいえ使っていないアカウントを削除していないことがとても多い!<理由>パスワードを忘れてしまった(機種編などのタイミング)消し方がわからない(アプリは削除できる)
トラブルの時に誰に相談したか0123456学校の友人 親・兄弟姉妹 学校の先生 自分で調べた人数• 深刻なトラブルは大人が思っているほど頻発しているわけではない• 子どもたちにとって相談しやすい存在に保護者・教員・地域の大人はなっているのだろうか?①まず自分で悩む調べる②友達に相談③親兄弟・学校の先生
子どもたちにとってのSNS・ネット• スマートフォンを持った時点で、これらのサービスも利用し始める• インターネットに情報を発信している、という自覚は薄い• 使い方を誰かに教わるわけではない(友人知人・独習)• SNSをスマートフォンのアプリの一つだと考えている• 操作には詳しい、技術には詳しくない(アカウント削除がわからない)• ルールを教えてもらえない。相談できる人もいない。あって当たり前・リアルの一部
子どもと大人、こんなにも常識が違う大人 子どもリアルの生活SNSとかインターネットの世界リアルの生活SNSとかインターネットの世界大人の『常識』で子どもたちに危険性を説明しても、子どもたちには本当の意味で納得してもらえない
SNSを通じたトラブル事例子どもの『常識』が招いた悲しい事件がたくさんあります
事例1:SNSの残念な利用方法からいじめに発展した例
事例2:自画撮りと拡散による被害・加害
事例3:中学生が行ったチケット詐欺
定期的に発生する『バイトテロ』• アルバイト中の高校生・大学生などが、倫理的に問題のある行動をふざけて行い、それを写真・動画でSNSにあげること• 回転ずしチェーン店:床下に魚を落としてそれをまな板に載せる• 誰が行動をしたのかなどの特定• SNSを複合的に見れば、だれが実行したのかがわかる• 影響• 企業:閉店、謝罪(場合によっては店を閉めるなどの問題)、金銭的補償• 本人:損害賠償、退学、精神的な苦悩• 本人の周り• 意図的に炎上を図るために問題行動を拡散させる行為
日常的に発生する、パスワード乗っ取りごっこ• 自分のアカウントを利用するためのパスワードを、友人たちに教える。• 教えてもらったパスワードを使って、書き込みをできたら「のっとり成功!」のっとったことを、tweetする。• まれに、友人知人ではない人にパスワードを教えているケースもある。パスワードの安全な管理は教えられていない???
子どもたちによるトラブルは被害者・加害者どちらも発生している被害者になるケース加害者になるケース結果的な被害者が増えているダメージ後の回復がうまくいかないケースも多い
サイバー空間での子どもたち理想現実情報活用能力の育成プログラミング教育情報社会に参画する態度の育成アンバランスな知識相談できない環境対処療法的情報モラル教育
子どもたちと大人で異なる「ネットで知り合った人」の存在いい人もいる悪い人もいる子どもたちの感覚基本、悪い人しかいない大人の感覚会ってはいけないにきまっている!いい人には別にあってもかまわないじゃん!
子どもたちのためにできることは?×問題行動をおこすようなSNSを禁止させる〇SNSを安全に使う方法を教える子どもたちが相談できる環境を作る
防ぐにはどうすれば?②大人として何をすべきかを考え実行する
定番の対策を知ろう1.フィルタリングを適切に使う2.ペアレンタルコントロール3.コミュニケーションを怠らない
ペアレンタルコントロールって?• 保護者による機能制限のことiPhoneの場合は、スクリーンタイムAndroidの場合は、設定画面にありますゲーム機(Switchなど)にもあります何をどれだけ使っているかを設定したり、確認したりできます
コミュニケーションって役立つの?• どんなSNSを使っているのか• どんな投稿をしているのか• どんなアプリを使っているのか• 興味を持っていることは?• ゲームどれぐらい楽しんでいるのか• まわりでトラブルとか発生していないか …などなど役立ちます(断言)あれ?って思ったらまずはどういうことか聞いてみましょう。
発生したらどうすれば?②大人として何をすべきかを考え実行する
被害を受けた場合の基本的な事項①被害を受けた本人の気持ちを優先させる②証拠を確保する③どの専門家につなぐのかを考える特に大人の力が発揮できるのは②と③
警察は頼りになる• 警察に相談することはとても重要対応の際のトリアージとして警察に相談することは有用である
大切なのは、その後をフォローすること• SNSのトラブルはSNSの問題なのか?ネットの問題ととらえると本質を見誤る子どもが抱えるリアルの問題をどう支援するか
われわれ大人ができることはたくさんある①知る・調べる②他人事にしない③受容して支える
子どもたちのトラブルは子どもたちを放置した大人の責任①子どもたちが安全に利用できるようにみまもる②相談できる環境を作る(話しやすい環境・知識)
こんな方法もありますよ!
愛知県警『サイバーポリスゲーム』愛知県警察サイバー犯罪対策課が開発(花田も協力)小学校5~6年生用【ポイント】①すごろく形式②クイズが含まれる③問題発生カードで話し合いをうながす④実際の事例を扱う
開発の狙い中高生の事例が多いので小学生を啓発したい先生が授業の中で使いやすいものにしたい将来的にバージョンアップしやすいものを
インターネット5つの約束• 5つの約束として、授業で教えやすくした• 子どもたちは実際に暗記している• 問題発生カードと5つの約束を連動させた• 事例を使うことで約束の重要性を理解させやすい• 一番大事なのは⑤である!
先生方をサポートするためにマス目の解説と問題発生カードの解説を作成した(教員用)質問を受けたら先生方がきちんと答えられることが大事
子どもたちと一緒に考えませんか?
相談しやすい環境を醸成するために大人も変わりませんか?• 『未来をつくるユース会議』を開催します!• https://www.pref.aichi.jp/soshiki/syakaikatsudo/youthmeeting.html「相談上手になるために!~みんなで話し合おう!」尾張会場南山高校女子部7/26三河会場桜丘高校7/12
お互いの常識のズレをなくしましょう!話してつなごう家族の輪SNSで子どもたちが危険とつながらないように話すことで子どもたちを守りましょう