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守りの運用を脱却せよ―FinOps×オブザーバビリティの実践戦略

 守りの運用を脱却せよ―FinOps×オブザーバビリティの実践戦略

2026年5月21日の「Enterprise IT Summit 2026 spring」の登壇資料です。
https://members10.live.itmedia.co.jp/library/MTAxMjg1

急速に進化するAI時代において、企業が競争力を保つためには「スピード」と「品質」の追求が不可欠です。しかし、予期せぬクラウドコストの膨張や環境の複雑化への懸念が、挑戦のブレーキになっては意味がありません。エンジニアリングやプロダクトチームが、文字通り「安心してアクセルを踏み、スピードと品質を最大化できる状態」をいかに作るか。「FinOps×オブザーバビリティ」を、その本質でもあるビジネスを加速させるための仕組み、として組織に組み込む話をします。

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  1. © Hitachi, Ltd. 2026. All rights reserved. “守りの運用”を脱却せよ ―FinOps×オブザーバビリティの実践戦略 Date

    May 21, 2026 株式会社 日立製作所 シニアクラウドアーキテクト Hitachi Application Reliability Centers(HARC) Japan 兼 Hitachi OSPO 松沢 敏志
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    1 自己紹介 @chacco38 in/satoshi-matsuzawa 松沢 敏志 (まつざわ さとし) ◼ シニアクラウドアーキテクト @ 株式会社日立製作所 HARC Japan*1 兼 Hitachi OSPO*2 所属 ◼ FinOps Foundation Japan Chapter運営メンバー、 New Relic Trailblazerなどを通じた各分野の普及 ◼ 訳書に『クラウドFinOps 第2版』、『責任あるソフト ウェアエンジニアリング』(オライリー・ジャパン)など *1: Hitachi Application Reliability Centers *2: Open-Source Program Office
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    2 突然ですが、この数字が示すのはなんでしょうか 97% 米国フォーチュン誌が選ぶ、世界で最も称賛 される企業ベスト100社の内、97社は 「FinOps」に関する取り組みをはじめている 出典: FinOps Foundation websites by FinOps Foundation FinOpsに取り組む企業のうち、98%が クラウドに対するFinOpsの成功体験を AIの領域にも転用しはじめている 出典: State of FinOps 2026 Report by FinOps Foundation 98% FinOpsは、もはや「一部の先進企業」の話ではない
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    3 生成AIの登場により世の中の前提が大きく変化 出典: FinOps X 2025 Day 2 Keynote by FinOps Foundation クラウドと生成AIにおける支出の増加スピードの違い
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    4 米国国防総省では、GemAI.milの運用開始から 約5か月で数十万規模のAIエージェントがデプロイされ、 現在も増え続けている これはPoCではなく、実運用の話である 出典: http://war.gov/News/Releases/Release/Article/4475177/classified-networks-ai-agreements/ by U.S. Department of War
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    5 Anthropicが開発したAIモデル Claude Mythosは、未発見の脆弱性を検出し、 その攻撃コードを高い精度で作成できるようになった その結果、「危険すぎる」という理由で 一般公開は見送られた 出典: https://red.anthropic.com/2026/mythos-preview/ by Anthropic
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    6 生成AI時代におけるIT投資の前提 だからこそ、 スピード・品質優先の判断自体は 自然で合理的である 生成AIの登場により、 価値創出のサイクルが短くなった
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    7 その結果、スピードを出すために変化点が増えた • 開発手法が変わった (PoC、アジャイル、AI駆動) • 運用の責任分担が変わった (DevOps) • アーキテクチャーが変わった (マイクロサービス、クラウド)
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    8 多くの組織で起きているクラウドカオス ひとつひとつは合理的な判断 の積み重ね 全体として判断の優先度や タイミングが分かりにくくなる
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    9 その結果、次のような判断が起きやすくなる いずれも間違いではなく、タイミングの問題 • PoCの手ごたえを根拠に、全社展開が早すぎる • 慎重になりすぎて、立ち上がりが遅すぎる • 短期的に「効果が出ていないように見えて」、撤退判断が早すぎる
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    10 判断のタイミングを逃さないためには 直感や経験則ではなく、 データに基づいた「タイムリーな意思決定」を 行えるようにする仕組みが必要
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    11 データに基づいたタイムリーな意思決定を行えるようにする仕組み FinOps オブザーバビリティ × =データに基づく意思決定の枠組み =意思決定の根拠となるデータ
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    12 「FinOps×オブザーバビリティ」に求める目的は、 ビジネス文脈によって変わる その結果、やるべきことも見るべきデータも変わってくる • コスト最適化を主目的とする文脈もある • 信頼性やパフォーマンスを重視する文脈もある • スピードを優先し、多少の無駄を許容する文脈もある
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    14 AIエージェント文脈における 「FinOps×オブザーバビリティ」に求める目的 • 多少の無駄は許容してでも、スピードを落とさない • 同時に、期待する回答精度や「害」を許容範囲に保つこと • ただし、判断のタイミングは絶対に逃したくない • そのために「判断の前提 (誰が、何を、どこまで)」を整える
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    15 AIエージェントでは、この複雑さの中から「判断できる状態」が求められる UI層 アプリケーション/IF MLOps モデルライフサイクル インフラ層 アプリケーション/UI コンピューティング ストレージ/データベース モデル トレーニング レスポンス ネットワーク性能 GPU最適化 ストレージクラス 孤立したデータ データリテンション フレームワーク選定 MCP キャッシュ データ圧縮 モデル選択 マルチモデル 量子化 品質トレードオフ プロンプトルーティング エージェントオーケ ストレーション ツール選択 品質トレードオフ リフレッシュ・ 再インデックス ベースモデル選択 料金最適化 サイジング スケジューリング スケーリング サービス選定 前処理 後処理 リクエスト リクエスト並列化 プロンプトエンジニ アリング ※: FinOps for AI Overview by FinOps Foundation の情報を基に独自作成 AIエージェントにおける一般的な最適化ポイント
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    16 AIエージェントの複雑さに対して、 まず「判断できる状態」を作るためのデータセット • 支出データ: 誰が、何に、どれだけ使っているか • 利用状況データ: そのリソースは、どう使われているか • パフォーマンスデータ: 処理量・応答時間とコストの関係 • AI特有の指標: トークン消費量、リクエスト頻度など ※: 費用対効果(ROI)やコストパフォーマンスの評価は、判断が回りはじめた次の段階で行う。
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    17 AIエージェント文脈で、 判断をはじめるための最小限の活動セット • 配賦: 誰が使っているか • データ取り込み: 何が起きているか • レポートと分析: どうなっているか • 異常管理: いつ変わったか 出典: FinOps Framework by FinOps Foundation
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    18 データが見えると、 判断の景色が変わる • 優先順位を付けられるようになる • 思い込みから離れられるようになる
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    19 重要なのはスピードと品質に 「どこまで時間を使えるか」を先に決めること • 許容できる範囲をあらかじめ定める • その範囲の中で、どれくらい使っているかを共有する • 逸脱したときだけ、メトリクスで判断を切り替える
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    20 だから、FinOps×オブザーバビリティ 「守る」から「進める」ための判断の設計へ • あえて最適化しない判断が可能になる • 判断を待たずに前へ進める • 運用が意思決定を支える存在になる
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    22 今日の話で覚えてほしいことは次の3つです • すべてを最適化するのではなく、判断を設計する • 鍵は、許容範囲を決め、逸脱時だけ切り替えること • それを実現するのが、「FinOps×オブザーバビリティ」
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    23 自力で改善をやり切れるか不安を感じる場合はぜひ気軽にご相談ください 継続的な改善を通じたクラウド運用の成熟度向上を伴走型で支援 Hitachi Application Reliability Centers(HARC)では、エベレスト登山を伴走型で支援 するシェルパのように日立のエキスパート人財がお客さまに寄り添って、クラウド運用に関する さまざまな課題を一緒に乗り越えながら、クラウド活用によるスピード、品質、価値を最大 限に引き出せる組織への変革をサポートします。 HARCの詳細はこちら >>> https://www.hitachi.co.jp/harc/
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    24 そして、ぜひFinOpsコミュニティを利用してください 判断に悩むのは、あなたは一人ではありません FinOpsの世界へようこそ、良い旅を! 参考: FinOps Foundation Japan Chapter公式サイト
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