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ヒューリスティック評価を用いたゲームQA実践事例

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September 01, 2025

 ヒューリスティック評価を用いたゲームQA実践事例

CEDEC2025で発表された資料です。
https://cedec.cesa.or.jp/2025/timetable/detail/s67af0502a7055/

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September 01, 2025
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Transcript

  1. 株式会社WFS Customer & Product Satisfaction部 QAグループ WFS & Linguistic QAチーム

    山本 幸寛 / yukihiro yamamoto はじめに ©WFS 2 略歴 家庭用ゲームやモバイルゲームのQA業務を経験 後、現在は株式会社WFSにて長期運用タイトル のQA業務を担当 合わせて上流工程からより品質を高めるためユ ーザーテストに関連する業務も担当
  2. なぜヒューリスティック評価なのか ©WFS 6 市場の声 ライブサービスゲーム開発における課題 UI UX ✓ 『不具合はないのに使いづらい』 ✓

    慢性的にユーザー満足度が低下している状況 ✓ 普段のテストだけでは検知できない ✓ 新機能追加時のユーザーからのFBが低評価 ✓ 「UIが使いづらい」という評価が多い ✓ 仕様通りではあるものの、ユーザー満足度は低下
  3. なぜヒューリスティック評価なのか ©WFS 9 動機 JSTQB カンファレンスにて『Erik Van Veenendaa 氏』の講演を拝聴したことがきっかけ 期待される効果

    「UI課題に対して有効」 手法の特徴 ・テスト設計から実施までが低コスト ・プロトタイプから実施が可能 ・探索的テストと組み合わせが可能 初期コストが低く、QA対応にも親和性が高かったため 「まず実施してみる」に適していた
  4. ヒューリスティック評価について ©WFS ヒューリスティック評価 「Jakob Nielsen 博士」が提唱する「ユーザビリティ10原則」を元に、 UI/UXの専門家が経験則でユーザビリティを定性的に評価 11 42% ソフトウェアにおけるユーザー

    インターフェースの平均コード 海外調査によると、UIはコード ベースの大部分を占めます。こ この課題を早期に発見すること が、効率化の鍵となります。 開発の初期段階でUI・UXの潜在的な問題 を特定し改善に繋げることができれば、 UIが使いづらい違和感を事前に検知する だけでなく、プロダクト全体の品質向上 に繋げられると仮定
  5. 導入手順 ©WFS 14 STEP 01 STEP 02 STEP 03 STEP

    04 STEP 05 調整 チェックリス ト作成 メンバー選定 スケジュール 調整 報告
  6. 導入手順 ©WFS 15 STEP 01 STEP 02 STEP 03 STEP

    04 STEP 05 調整 チェックリス ト作成 メンバー選定 スケジュール 調整 報告 導入時に工夫したポイント
  7. 導入手順 ©WFS Point① ユーザーテストの観点を追加 17 STEP 02 チェックリスト 作成 ✓

    「ユーザビリティ10原則」を元に原則をブレイクダウン ✓ 具体的な質問や評価項目に落とし込む ✓ ライブサービスゲームのユーザーテスト実施時に利用し ている「継続意向」「課金意向」「満足度」の観点を追 加 よりライブサービスゲームに特化した内容に
  8. 導入手順 ©WFS Point③ 開発早期に実施する 21 ✓ 修正コストの低減や手戻り防止を実現が目的 ✓ なるべく早期のタイミングで実施することを心がける ✓

    テスト開始前の開発メンバー内での動作確認時に実施 ✓ またはα、βのユーザーテストを実施するタイミング で並行して実施 開発メンバー内での動作確認タイミングで実施 STEP 04 スケジュール 調整
  9. ヒューリスティック評価 運用中のライブサービスゲームの新規UIに対して評価した事例 13 〜 20件の課題を発見 導入事例紹介 ©WFS 合計実施時間:5 〜 6時間

    チェックリスト作成:1 〜 2時間 実施:2名(2時間、2時間) 23 指摘事例 ・ポイント獲得画面に、次にもらえる アイテムや獲得可能リスト表示の追加 ・獲得可能なポイントがアイテムによ って傾斜があったため、ファーストビ ューで説明の追加
  10. プレイアビリティヒューリスティック リリース前のモバイルタイトルに対して評価した事例 22 〜 27件の課題を発見 導入事例紹介 ©WFS 合計実施時間:6 〜 8時間

    チェックリスト作成:1 〜 3時間 実施:2名(3時間、2時間) 24 指摘事例 ・バトル中にアイコン長押しすると、 現在のステータスを確認可能に ・画面内の閉じるボタンをタップする だけでなく、枠外タップで進行できる ように ・キャラの属性による違いがわかりに くかったため、チュートリアルで学習 機会の追加提案
  11. まとめ ©WFS 34 効果 ✓ 低コストで実施することができた ✓ 専門家でなくても複数の課題検知ができた ✓ 不具合ではないユーザー満足度向上につながる課

    題が検知できた ✓ 評価者の主観によってしまうデメリットは、競合 比較を行い提案に説得力を持たせることが可能 専門家じゃなくても課題検知は可能 ゲームでもヒューリスティック評価のメリットが得られた