Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

2022知識社会マネジメント3_0422.pdf

 2022知識社会マネジメント3_0422.pdf

Hajime Sasaki

April 22, 2022
Tweet

More Decks by Hajime Sasaki

Other Decks in Education

Transcript

  1. TMI夏学期講義⾦曜2限 知識社会マネジメント Innovation management in the knowledge society 4⽉22⽇ 第3回

    知識創造/イノベーションの場(Ba) 佐々木一 Hajime Sasaki Ph.D. 特任准教授 東京大学 未来ビジョン研究センター
  2. レポート課題(冒頭告知) •特定の「厄介な問題wicked problem」に取り組むスタートアップの代表者として。 •コロナ禍における新たな知識創造プロセスの⽀援として、AI( 例えばBERT、GPT-2/3などの⼤規模 ⾔語モデル)を活⽤することを考えた。 •「厄介な問題wicked problem」の内容とともに、下記C,Dそれぞれに対して取り組む際の当 該知識創造プロセスの可能性と課題について考察せよ。 •提出先ITC-LMS

    •期限 5⽉28⽇(⽊) 23:55JST 技術的問題 technical problem 適応課題 adaptive challenge 従順な問題 tame problem A B 厄介な問題 wicked problem C D
  3. •「東⼤⽣の新しいコンセプト」を東⼤⽣の集団が考えるということのモヤ モヤ。 1. 当事者である⾃分が分析対象に含まれている。 •⾃分のこと、主観、経験談を話しにくい。 •客観的な当たり障りのない内容も。 2. 凝集的集団による議論。 •思考実験︓今回の会議に下記のような⼈がいたらどのような議論になったか。 •

    映画監督が夢だったメーカー勤務会社員40歳(趣味︓家庭菜園)(架空) • ⽇⽐⾕公園で⼦供を連れて散歩をしている主婦33歳(ジャカルタ出⾝)(架空) • 退職後北海道で地域の⼦どもたちに科学の⾯⽩さを教える73歳男性(最終学歴︓尋常⼩学校)(架空) • 16歳⼥⼦、昨年ドバイでweb3系スタートアップ起業(前橋市出⾝)(架空) •知識創出︓⾃分の知(経験)を共有してみんなの知(気付き)に変換する ⾏為。 •関係性が不⼗分な空間で⽣まれる知の均質性。 •表⾯的属性だけでなく相互理解による多様性の重要性。
  4. 交換と分業。そしてイノベーションへ。 •⼈類は交換と分業で発展してきた。 「交換と分業に基づく社会への参加」を前提に⽣活している理由は、それが「⾃ 給⾃⾜」よりも社会全体の労働の⽣産性を⾶躍的に向上させうるから。(アダム・スミ ス) •交換︓物々交換→市場取引。 •分業︓⽣産性向上。専⾨化。 •専⾨性の⾼度化 •部品としての知識。 •単独で役に⽴ちにくい。

    •知識同⼠を組み合わせて解決。 •新たな知識の組み合わせ︓イノベーション。 •イノベータがすべきこと︔知識の交換・共有。
  5. 内⽣的成⻑理論(1986) •Paul Michael Romer, 2018ノーベル経済学賞 •知識の創造、活⽤そして知識ストックの拡⼤こそが持続的な成⻑の源泉で あることを⽰した。(当時としては画期的) • 労働者の⽣産における知識︓周囲に知識の⾼い労働者がいるとその労働者から知識を獲得して⾃ 分の知識も上昇する「正の外部性」。

    • 企業が⽣産に⽤いる新しい資本を発明・開発することで特許を得て利益をあげるため国全体の⽣ 産効率が上がる。 理論的には、より多くの知識資本を蓄積した国家がより成⻑するはず。では、⽇本は停滞したのはな ぜか。⇨技術(知財)がたくさんある(あった)のになぜ儲からない(なかった)のか。 ⼀⼈当たり設備(資本) ⼀⼈当たり⽣産 ⽣産関数 従来の(ソロー)モデルでは「経済が成 ⻑するにつれ成⻑しなくなる」 ⽣産関数のシフトが知識や 技術進歩によるものである ことを⽰す。 A B C A’ B’ C’
  6. 知恵 (Wisdom) 知識 (Knowledge) 情報(Information) データ(Data) 処理分析 Processed & Analyzed

    Internalized Understanding universal truth Sound Judgement Appropriate Execution 観測 Observation Externalized 対話 Dialogue Implicit Explicit 移転・獲得困難 移転・獲得⽐較的容易 Knowledge Management Data Science 6 データ 情報 知識 知恵(DIKWモデル) 表出化 内⾯化 意味をなさない Know nothing 意味を持つ Know what Descript 教えられる Now-how to Instruction 判断する 論じる What Why (Ackoff., 1989; Davenport et al., 1998; Awad & Ghaziri, 2004; Bierly et al., 2000)
  7. 「理論的には多くの⼈的資本を蓄積した国家が成⻑する はず。ならなぜ⽇本は停滞した︖」 •知識創造の観点からの仮説 •知識を⼈から切り離して「もの」として管理できるものとしてきた。 •→形式知を形式知のまま(⽂脈不明のまま)。 •Cf)特許数は多いけど活⽤ができない。 •“企業が暗黙知(⾔語化困難な不定形な知識)偏重で過去の暗黙知を温存したまま ⼯業社会型現場主義に安住”。(紺野 2022) •→暗黙知を暗黙知のまま(⼈に付随させたまま)。

    •要するに知識(財)を機械的に管理することに⽬を向けすぎて、知識の流れやプ ロセスに⽬を向けてこなかった。→暗黙知を形式知にする仕組み、形式知を元に 暗黙知を獲得する仕組みの不在。
  8. 暗黙知と形式知 暗黙知 (Tacit Knowledge) 形式知 (≈情報) (Explicit Knowledge) ⾔語化しえない・⾔語化しがたい知識。 ⾔語化された明⽰的な知識。

    経験や五感から得られる直接的な知識。 暗黙知から分節される体系的知識。 現時点の知識。 過去の知識。 ⾝体的な勘どころ、コツと結びついた技能。 明⽰的な⽅法・⼿順、事物についての情報を 理解するための辞書的構造。 主観的・個⼈的。 客観的・社会(組織)的。 情緒的・情念的。 理性知・論理知。 特定の⼈間・場所・対象に特定・限定される ことが多い。 情報システムによる補完などにより場所の移 動・移転、再利⽤が可能。 ⾝体経験を伴う共同作業により共有・発展増 殖が可能。 ⾔語的媒介をつうじて共有、編集が可能。
  9. ⼀般知識から専⾨知識へ •〜17世紀までの知識 ・⾃分⾃⾝を知ることに焦点を合わせる︔ソクラテス、儒教 ・何を⾔うかを知り、いかに⾔うかのための知識︔プロタゴラス、禅 例)論理、⽂法、修辞(中世の三⼤教養科⽬)。 →⼈間にとって重要な問いだが、実⽤との関係性を意識したものではない。 •現代 必要な知識︓⾏動のため成果に焦点を合わせた⾼度に専⾨化された知識(≒役に⽴つ知識)。 ⽬的︓⼈間の外部、社会と経済、知識そのものの発展。 “元来(17世紀以前)これらの知識は、「技能(テクネ)※」と呼ばれ、知識(絶対的な善や絶対的な

    存在)の範疇ですらなかった。” ※技能(テクネ)︓学習できるものではなく経験でしか得られない。教育ではなく訓練でしか得られない。徒弟制 度の中でのみ存在。学ぶことも教えることもできなかった。 →暗黙知。 例)ギリシャーシチリア間航路について船⻑が知っていることは、他の分野に応⽤できなかった。 (cf,: P・F・ドラッカー, ポスト資本主義社会; プロフェッショナルの条件) ・18世紀以降︓百科全書。秘伝の技能(テクネ)から技術(テクノロジー)へ。 暗黙知から形式知へのExternalization(表出化)
  10. KM理論の基礎︓SECIモデル。組織が学習するプロセス。 共同化 表出化 連結化 内⾯化 Nonaka, I. and N. Konno

    (1998). "The Concept of 'ba': Building a Foundation for Knowledge Creation," California Management Review , 40-3, pp.40-54, 1998. 共同化 Socialization︓ フェイス2フェイスで共通の経験や直感の 共有化。ノウハウを弟⼦が観察・模倣・訓 練によって体得するプロセスや、OJT。 表出化 Externalization︓ 個⼈がグループでの討議を通じて他者の暗 黙知を⾔葉にする。 連結化 Combination︓ すでにある形式知を体系的に結びつけ構築 的に新たな形式知を⽣み出すプロセス。 内⾯化 Internalization︓ 形式知を⾃分⾃⾝のものとして⾝体的に取 り⼊れるプロセス。現場での成果の反省。
  11. KM理論の基礎︓SECIモデル。組織が学習するプロセス。 Nonaka, I. and N. Konno (1998). "The Concept of

    'ba': Building a Foundation for Knowledge Creation," California Management Review , 40-3, pp.40-54, 1998. 共同化 Socialization︓ フェイス2フェイスで共通の経験や直感の 共有化。ノウハウを弟⼦が観察・模倣・訓 練によって体得するプロセスや、OJT。 表出化 Externalization︓ 個⼈がグループでの討議を通じて他者の暗 黙知を⾔葉にする。 連結化 Combination︓ すでにある形式知を体系的に結びつけ構築 的に新たな形式知を⽣み出すプロセス。 内⾯化 Internalization︓ 形式知を⾃分⾃⾝のものとして⾝体的に取 り⼊れるプロセス。現場での成果の反省。 Step1: 感じる Step2: ちらかす Step3: 発⾒する (Step4: 磨く) 「どうすればターゲットの気持ちを動かせるか︖」をテーマに ブレインストーミング(批判なく、たくさん(質より量))。 その商品がもつ「画期的な機能」で本当にターゲットは動くのか︖ 説明の仕⽅を変えたらどうか︖ 全く別のアプローチはないか︖ ターゲットをそもそも変えるのはどうか︖ ひとは何故これを買うのだろう・買わないのだろう︖ 「⾃分がこの商品に持つイメージは**だ」「あのターゲット (⽼⼈、サラリーマン、⾼校⽣、などなど)ならこんなことを⾔いそう だ。このひとならこんな反応をしそう」という感覚の集合体を集 める。 これならターゲットが動くかもという予感の正体を⾔葉にす る。= コンセプト ポイント︓メタファー(暗喩)をうまくつかってみる。 本当にそのコンセプトがいけそうか(現実的か)。問題はないか (専⾨家の声を聞く等)。⾃分たちのビジョンにあうか。
  12. SECI モデルとイノベーション⼿法のプロセスの対応関係 前回講義 SECIモデル ISO 56002イノベーションマネジメ ントシステムの国際標準 デザイン シンキング アジャイル開発

    スクラム リーン スタートアップ 感じる 共同化 機械を特定する 観察(洞察) ⽇々のスクラム 学ぶ ちらかす 表出化 コンセプトの創出 創造 スプリント アイディア 発⾒する 連結化 コンセプトの検証、解決策の 開発 プロトタイピング スプリントのレビュー ビルド(コーディン グ) 磨く 内⾯化 解決策の展開 テスト デモ 測定/データによる 検証 知識創造は、イノベーションの根幹をなす試行錯誤のプロセスであり、 デザイン思考やアジャイル開発からリーンスタートアップに至るまで、 イノベーションのためのあらゆる方法論やアプリケーションに共通している。 (紺野2022) 紺野(2022) イノベーションの時代のナレッジマネジメント再構築 紺野( 2022)より編集
  13. 知識創造のプロセスの要点と今後 •暗黙知(⾔語化が困難)と形式知(⾔語化された知)の相互変換。 •特定のカテゴリーの知識を集めた意味論的なデータベースの活⽤だけでは なく、個⼈、チーム、組織がダイナミックに関与し あえる「場」の形成。 •過去の知識の検索や共有ではなく、創発を促すシステムである必要。 •外部化された知ではなく、(場合によっては)未だ⾔語化されていない知 の活⽤。 •KMWorld Connect

    2020「 2020年は知識マネジメントの第4段階、知識グラ フの段階が完全に出現した」「 AIの開発と新興の知識マネジメントグラ フがその問題を⼤幅に改善する」 →GPT-3(Generative Pre-trained Transformer 3)の可能性について⾔及 ⼤規模⾔語モデルに基づく分析や⽣成(分類、感情分析、 質問応答、テキスト⽣成、 テキスト要約、名前付き実体認識、 ⾔語翻訳)による⼈類の知識創造の⾼度化。 例)InfraNodus https://infranodus.com
  14. None
  15. 知恵 (Wisdom) 知識 (Knowledge) 情報(Information) データ(Data) Processed & Analyzed Internalized

    Understanding universal truth Sound Judgement Appropriate Execution Observation Externalized Dialogue Implicit Explicit 移転・獲得困難 移転・獲得⽐較的容易 Knowledge Management Data Science 15 データ 情報 知識 知恵(DIKWモデル) 表出化 内⾯化 Know nothing Know what Description Now-how to Instruction What Why (Ackoff., 1989; Davenport et al., 1998; Awad & Ghaziri, 2004; Bierly et al., 2000)
  16. 場とイノベーション •イノベーション︓ •Value creation with something new。 •イノベーションは事後的にしか定義できない。 「起こす」ではなく「起きやすくする」。 ・改変の機会を増やす

    ・確率を上げる。 →起こりやすい場(Ba)の構築。 →予測不可能な部分を最⼩化する。 Fujimura(2008) 社会的/経済的成功を伴う改⾰(Innovation) 改変(Alteration)の機会の総数
  17. 改変の機会を増やす「場」とは︖ •Innovation:「新結合 neue Kombination」 •⽣産要素(資本財,労働,⼟地) の結合の仕⽅,⽣産⽅法におけ るいっさいの新機軸。であり、既存のもの同⼠の新た な結合。 •知を"つなげる"こと。 •→「つながりを」起こりやすくする場。

  18. 例)SECIモデルによるクリエイティブオフィス 共同化「暗黙知→暗黙知」 Socialization 表出化「暗黙知→形式知」 Externalization 連結化「形式知→形式知」 Combination 連結化「形式知→暗黙知」 Internalization 感じる

    ちらかす 発⾒する 磨く
  19. SECIモデルと場(Ba)の関係 共同化 Socialization︓ フェイス2フェイスで共通の経験や直感の 共有化。ノウハウを弟⼦が観察・模倣・訓 練によって体得するプロセスや、OJT。 表出化 Externalization︓ 個⼈がグループでの討議を通じて他者の暗 黙知を⾔葉にする。

    連結化 Combination︓ すでにある形式知を体系的に結びつけ構築 的に新たな形式知を⽣み出すプロセス。 内⾯化 Internalization︓ 形式知を⾃分⾃⾝のものとして⾝体的に取 り⼊れるプロセス。現場での成果の反省。 創発場︓フラットなコ ミュニケーションがと れる場 対話場︓対話を通じて 形式知化・概念化 システム場︓SNSやグループ ウェアなどを活⽤した形式知の 移転、相互共有、編集、再構築 実践場︓研修やシミュ レーションを⾏ったり 実際の業務の中で実践
  20. •リモートワーク/在宅学習によって(暗黙)知識が共有 されにくくなり、結果として知の創造ができなくなった。 •場の不在。 •課題意識 •ポストコロナにおける、知識創造の「場」の新しい形と は︖。

  21. なぜ既存企業はイノベーションへの対応が難しいのか •1 変化の認識に起因する問題︓個⼈の意思決定バイアス •2 変化への対処に起因する問題︓集団の⼒学(組織的慣性) A) 既存事業と新規事業との間の代替的な関係性 B) 政治的要因に起因した集団⼒学 C)

    組織⽂化がさらなる集団レベルの⾏動を規定するという制 度的要因に起因する集団⼒学 軽部(2019)“なぜ既存企業はイノベーションへの 対応が難しいのか” STIGコアコンテンツ より
  22. How do we increase the opportunity for modification︖ •Innovation:「neue Kombination」

    •A new union of existing things. ”link" knowledge. •→make ”links" liable to happen. • 知識間の⾕、専⾨家間の⾕。 • ⽂系、理系、各種専⾨分野、研究者や現場作業者、 企業の所属、地域、国境などに存在する様々な壁。 • 集団に特有の知識や慣習を「つなぐ」⼈間の活動や 組織を強化する。 • 知識、規範、課題の共有は、つながりの基盤(エピ ステミック・コミュニティ)として重要。 • DXの本質は既存の仕事の意味の問い直し。 • 既存の業種/部署/からの開放。 Network of Networks
  23. イノベーション(新結合)のためのアイディアはどう⽣まれる のか Gassmann, O., & Zeschky, M. (2008). Opening up

    the solution space: the role of analogical thinking for breakthrough product innovation. Creativity and Innovation Management, 17(2), 97-106. 既存の枠から 1. ⾶び出す(Abstraction: 抽象) 2. 繋げる(Analogy: 類推) 3. 帰ってくる(Adaptation: 適⽤)
  24. セレンディピティ4分類Yaqub, O. (2018). •理論主導型(Theory-Led)︓理論的期待からの逸脱を必要とするという考 えに関するもの。 •観察者主導型(Observer-Led)︓スキルや才能、あるいは専⾨性などの個 ⼈の特性によって形作られた現象の⾒⽅。同じものを⾒せても、知覚 は観察者により異なり、気づく(ひらめく)者とそうでない者がいる。 • ジョルジュ・クロードとネオン光

    • オスカル・ミンコフスキと糖尿病と膵臓 •エラー⽣成型(Error-Borne)︓実験などで⽣じたエラーによって発⽣。 • パーシスペンサーと電⼦レンジ。 • フレミングとブドウ球菌。 •ネットワーク創発型(Network-Emergent)︓ •他者からもたらされる情報や、研究者同⼠の緊密なチームワークに よってもたらされる。 • 天然痘ワクチンの発⾒ • DNAの⼆重らせん構造の発⾒ →誰と⼀緒に仕事をするかが⼤事。 Yaqub, O. (2018). Serendipity: Towards a taxonomy and a theory. Research Policy, 47(1), 169-179.
  25. 集合知(The Wisdom of Crowds) •「みんなの意⾒は案外正しい」はどのくらい正しい。 真値︓1198ポンド 787⼈の推定値の平均1197ポンド。 真値︓850個 56⼈の学⽣の推定値の平均︓871個。 ूஂޡࠩʹ

    ฏۉݸਓޡࠩ ʵ ෼ࢄ஋ ある集団でみんなが推定し た値の平均と真値との差 ҰਓͻͱΓͷϝϯ όʔͷޡࠩͷฏۉ஋ ҰਓͻͱΓͷϝϯόʔ ͷਪఆ஋ͷ͹Β͖ͭ 集合知定理︓ ฏۉݸਓޡࠩ{(X(1) - R)2+ (X(2) - R)2+ ・・・ + (X(N) - R)2}/ N ෼ࢄ஋ {(X(1) - A)2+ (X(2) - A)2+ ・・・ + (X(N) - A)2}/ N ूஂޡࠩ (A - R)2 R: 真値, A: 推測値の平均, N: ⼈数 Cf; 専⾨家(集団)が時々誤りを犯すのは、平均個⼈誤差は⼩さいが分散もとても⼩さい。結果的に集団 誤差が⼤きくなることがある。集団の知恵を⽣かすためには、多様であることが⼤事。 ジェームズ・スロウィッキー, みんなの意⾒は案外正しい, ⾓川⽂庫, 2009 ⻄垣通, 集合知とはなにか, 中公新書,2012 cf: Kristina Lerman , Xiaoran Yan, Xin-Zeng WuThe "Majority Illusion" in Social Networks
  26. 集合知が有効なのは︖ •明確な正解がある(単純な)問題︓ 多様性を条件に集合知が有効。 •明確な正解がない(複雑な)問題︓ • ダムを建設するかどうか。 • 新幹線のルートをどうするか。など。 利害の対⽴や価値観の相違がある場合、 集団の「総意」「⼀般意志」とは︖→そんなものはない。

    集合知で決める話ではない。 • 社会の中の個人が選好(どっちが好きかっていう価値観)を持っていると き、個人の選好を総合しても社会全体の選好にはならない。 • 多数決の最大の問題点は、民意を正しく反映しない。(アローの定理) →「何でもかんでもネットで投票して決めるべきでありそれが直接民主制だ」は成り立たない。 ジェームズ・スロウィッキー, みんなの意⾒は案外正しい, ⾓川⽂庫, 2009 ⻄垣通, 集合知とはなにか, 中公新書,2012
  27. チャレンジャー号︓打ち上 げ失敗による空中分解 •打ち上げ当⽇の気温が低 かったためにシャトル本 体についているOリング が硬化して弾性を失って いた。 •この問題はNASAやOリ ングの製作会社があらか じめ知っており、製作会

    社が当⽇の打ち上げを中 ⽌するよう進⾔していた。 ಉ࣭Խͨ͠ϝϯόʔ͸ҟͳΔҙݟ΍ݟํΛݕ౼͢ΔΑΓ͓ޓ͍ ʹ஥ྑ͘ҙݟΛҰகͤ͞ΔํΛ޷Ήɻ 「⼀⼈で考えれば当然気づいたことが、集団で考えることに よって⾒落とされる」現象。→ूஂઙྀ (SPVQUIJOL コロンビア号︓⼤気圏突⼊失敗 • 打ち上げの際に損傷したと ⾒られる箇所を衛星カメラ で確認するよう国防省に掛 け合って欲しいとの下級職 員の訴えを同じく上部の管 理職が無視した。
  28. 集団浅慮 Janis(1972) 集団浅慮は、 凝集性の高い集団が、 構造的な組織上の欠陥を抱え、 誘発的状況に置かれる と起こる。

  29. 症状(2007年⾚福餅の表⽰偽装問題) 1. 楽観主義につながる無敵さの感覚 「我々はブランドだ。優秀だ。多少のリスクではびくともしない。」 2. ⾃分たちのグループが本質的に道徳的であるという無反省な信念 「最近の⾷品偽装の問題は⾃分たちには関係ない。」 3. 過去の決定を集団的に合理化し、警告を過⼩評価する傾向 「余った⾚福を冷凍して再利⽤。地球にやさしい良いことだ。」

    4. 敵のリーダーがあまりに邪悪であるために交渉の余地がないとか、あまりに弱い、というステレ オタイプなイメージ 「農林⽔産省の役⼈なんてちょろいし」 5. 異論をとなえるメンバーに対する直接的な圧⼒ 「今のやり⽅が違法だと⾔うと仲間はずれにされそう・・・」 6. グループの意思決定から逸脱しないよう⾃⼰検閲を⾏うこと 「なにかおかしいとか思ってはいけないのだ。」 7. 多数派意⾒を全員⼀致の意⾒だと思い込む共有された幻想 「みんなこれで良いと思っているのだから。」 8. グループの意⾒に反する情報からグループを遮断するメンバーの登場 (⾷品偽装のTVを⾒て)「こんなつまんないニュースいいから、チャンネル変えようぜ。」 ⾚福は出荷の際余った餅を冷凍保存して、解凍した時点を製造年⽉⽇に偽装して出荷していた。⾚ 福は、解凍しての再包装を「まき直し」と称していた。
  30. 集団浅慮への対策︓”悪魔の代弁者”をつくる 例 •対策1︓リーダーはメンバーひとりひとりに批判的な⽬を持つ役割を割り振る •対策2︓リーダーは⾃分の意⾒や予測を最初は⾔わないようにする •対策3︓グループの意⾒について信頼できる外部の⼈の意⾒を求めるようにする •対策4︓外部の専⾨家をグループの議論に加える •対策5︓最低1名のメンバーが「常に反対する」役割を担う •対策6︓リーダーは外部からの警告を検討する時間をあらかじめ確保する 悪魔の代弁者︓「ある主張の妥当性を明らかにするために、あえて批判や反論を主張する、 その「役割」を意識的に担う存在」

    前提や事象を疑うクリティカルシンキング(批判的思考)
  31. 意思決定問題の分類と挑戦領域 CRDS 2018, 複雑社会における 意思決定・合意形成を⽀える情報科学技術

  32. 従順な問題Tame problem と厄介な問題 Wicked problem •従順な問題Tame problem ︓科学や⼯学で扱う問題のように、難 易度はさておき、その問題の定式に沿って解を探索することで 問題を解決できることを期待できる。

    •厄介な問題Wicked problem ︓問題をどのように設定するか⾃体 が不確定な問題。 •原因を取り上げること⾃体に⼀種の価値評価を含む。 •例)観光地のゴミのポイ捨て(清掃の頻度の問題、観光客のモラルの 問題、商品を売る商店の問題︖) •例)貧困問題(経済システムの問題、個⼈の能⼒の問題、⺠族性別な どのアイデンティティの問題︖) •例)⼦どもをどういう⼈間に育てればいいか(性格︖健康︖教育⽔ 準︖) (Rittele and Webber, 1973)
  33. 技術的課題technical problemと適応課題adaptive challenge これだけ知識や技術があふれている世の中ですから、技術的問題は、 多少のリソースがあれば、なんとかできることがほとんどです。つまり、 私たちの社会が抱えたままこじらせている問題の多くは、「適応課題」 であるということです。 見えない問題、向き合うのが難しい問題、技術で一方的に解決ができ ない問題である「適応課題」をいかに解くか。それが、本書でお伝えす る「対話」です。

    「他者と働く」 はじめに より抜粋 •技術的問題technical problem︓解決策が既に分かっており、知識やス キルを⾝につければ解決できる問題。問題は⾃分の外にある。 •適応課題︓⾃分⾃⾝のものの⾒⽅や、周囲との関係性が変わらない と解決できない問題。⾃分も当事者であり、問題の⼀部である。
  34. 現実・ 課題 問題に対する姿勢 状態1:傍観者(批評家) 自分には関係ないことにしている 状態2:課題解決型 状態3:主体者(私も起点) 問題を分析し、解決する ただし、外側から対処する 問題を作り出している

    可能性があるところに立つ 問題をシステムと捉え全体を俯瞰し、 自分もその問題に加担している(一部 を担っている)という所に立ち、自分の あり方(Being)からその問題自体に変 化を与えるセルフリーダーシップ。 問題を分析し解決する。ただし、問題 は絡み合って益々高度化し、次から 次へと新たな課題が発生する 飲み屋で会社の悪口を言ったり 、うちもトップが変わってたらいい のだけどね、と言う状態 ▪旨み: 責任を取らなくていい、安心、居心地が いい、傷つかなくていい ▪代償: ・現状は何も変わらない ・今の環境を生き続ける ・成長しない ▪旨み: 達成感、成長・能力が上がる、頼られる、 承認される、自己効力感、自己価値の証 明 ▪代償: ・分断が起こる可能性がある ・どこかむなしさを感じる ・孤軍奮闘、自分だけが頑張る ・責任ばかり上がる 現実・ 課題 現実・ 課題 これらを促す事のできる⼈材 システムリーダーシップ さらに
  35. 例 例)テレワークという働き⽅を実現するには︖ 技術的問題︓オンラインツールの購⼊や⾃宅内でのワークスペース確保 適応課題︓幼児の育児に追われる妻の理解を得ること 例)創業100周年を機に本社移転を実現するには︖ 技術的問題︓新オフィスのコンセプト設計や物件探し、オフィス家具の選定や発注 適応課題︓古い設備を強いられている⼯場のひがみや引っ越しを伴う社員の対応 例)⼤企業の合併を成功させるには︖ 技術的問題︓ITシステムやオフィスを統合すること 適応課題︓組織を統合してシナジーを⽣み出すために、それぞれの企業の価値観や業務の進め⽅を変

    更すること 例)⾼齢の⺟親に⾞の運転をやめさせるには︖ 技術的問題︓⺟親の移動⼿段を確保すること(タクシー代を払う、友⼈に送迎を頼むなど) 適応課題︓⺟親が「⾼齢でも⾃⽴して⽣活できる⼥性」というアイデンティティの喪失と向き合い、 ⾃分で運転ができないという不便に慣れること “リーダーが犯す最も⼤きな過ち、そして最も頻繁に犯す過ちは、適応を要す る課題を解決しようとするときに技術的⼿段を⽤いてしまうことである”
  36. レポート課題 •特定の「厄介な問題wicked problem」に取り組むスタートアップの代表者として。 •コロナ禍における新たな知識創造プロセスの⽀援として、AI( 例えばBERT、GPT-2/3などの⼤規模 ⾔語モデル)を活⽤することを考えた。 •「厄介な問題wicked problem」の内容とともに下記C,Dそれぞれに対して取り組む際の、当 該知識創造プロセスの可能性と課題について考察せよ。 •提出先ITC-LMS

    •期限 5⽉28⽇(⽊) 23:55JST 技術的問題 technical problem 適応課題 adaptive challenge 従順な問題 tame problem A B 厄介な問題 wicked problem C D
  37. 知識社会マネジメント2022⽤ 講義関連共有フォルダ https://bit.ly/37rqoPB •次回は5/6(⾦) 10:25- です。 10:10より待機室open 10:20より順次⼊室⼿続き していきます 良い週末をJ

    佐々⽊⼀ [email protected]