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滑空スポーツ講習会2022 航空安全講習会 第1回 最近の変更点ほか / JSA Safety Seminar 2022 Tokuteishinsa

JSA seminar
December 25, 2022

滑空スポーツ講習会2022 航空安全講習会 第1回 最近の変更点ほか / JSA Safety Seminar 2022 Tokuteishinsa

公益社団法人日本滑空協会
2022/12/25
講師 公益社団法人日本滑空協会 佐志田 伸夫

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December 25, 2022
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  1. 通達国空乗第2077 号による航空安全講習会として、最近の航空法 令・関連規則の改正、事故・重大インシデント事例等を紹介します。 主催 (公社)日本滑空協会 後援 国土交通省航空局 2航空安全講習会 (2022年滑空機特化) 最近の変更点ほか

    1 目次 1.特定操縦技能審査の概要 2.航空法令、関係規則の最近の変更点等 3.航空安全リーフレット集 4.最近のグライダー事故・重大インシデント概要
  2. 配布資料 航空安全講習会資料(2022年滑空機化) 「特定操縦技能審査に関する参考資料」目次紹介 1.特定操縦技能審査実施要領(概要) (改正国空安政第932号 令和4年7月25日) 2.特定操縦技能審査実施細則(G 抜粋) (改正国空航第3037号 令和4年3月29日)

    3.口述ガイダンス(G 抜粋) (改正国空航第3037号 令和4年3月29日) 参考資料 参1.自家用航空機の操縦士に対する酒気帯びの有無の確認について 参2.操縦経験の無い型式の航空機を操縦しようとする場合等の教育訓練に 関するガイドライン(G 抜粋) (国空航第1055号 令和2年6月29日制定) 参3.運航拠点(FAIB)と対空センターの運用 参4.無人航空機が接近・衝突等した場合の当局への報告について 参5.航空機乗組員における新型コロナワクチン接種の取り扱いについて (国空航第1894号 令和3年11月15日) 参6.小型航空機の安全運航について(法令遵守の徹底) 参7.AIP ENR5.5 航空スポーツ及びレクリエーション活動 小型航空機の事故・重大インシデント発生件数の推移 滑空機事故・重大インシデント概要 スライド中では 参考資料P.x と表示 2
  3. 1.特定操縦技能審査の概要 サーキュラーAIC009/22 3 • 特定操縦技能:航空機の操縦に従事するのに必要な知識及び能力であって その維持について確認することが特に重要であるもの • 技能を有することの審査は「操縦技能審査員」(国土交通大臣が認定)が行う • 航空機の種類ごとに:

    「運航に必要な知識(特に最新の改正内容等)」 「空港等における運航」 「通常時の離着陸や通常時の飛行」 「異常時及び緊急時の操作等の知識及び能力」 を確認する • 特定操縦技能審査実施要領 技能証明に結果記入 実技と口頭 • 特定操縦技能審査実施細則 • 特定操縦技能審査口述ガイダンス • 特定操縦技能審査チェックリスト・・・2年間保存
  4. 特定操縦技能審査実施要領 (改正国空航第3700号 R3.03.31) (改正国空航第3037号 R4.03.29) (改正国空安政第932号 R4.07.25) 2.8. 操縦技能審査員の証の返納(新設) 操縦技能審査員の認定を失効したとき、又は操縦技能審査員の証の再交付

    を受けた後失った操縦技能審査員の証が発見されたときは、その証を所有し、 又は保管する者は、遅滞なく、「操縦技能審査員の証返納届」にその証を添 えて、その者の住所を管轄区域とする地方航空局の運航課に提出しなけれ ばならない。 第2章 操縦技能審査員 参考資料P.1 4
  5. 特定操縦技能審査実施要領 (改正国空航第3700号 R3.03.31) (改正国空航第3037号 R4.03.29) (改正国空安政第932号 R4.07.25) 3.1. 特定操縦技能審査の申請等 3.1.2

    特定操縦技能審査の申請及び審査 (3)総飛行時間及び最近6月の総飛行時間を証する書類(航空機乗組員飛行日誌等) 3.3. 特定操縦技能審査の実施 (4)「自家用操縦士の技量維持方策に係る指針」(国空乗第2077 号)による安全講習会 を受講した者は、受講日から2 年までの間に行われる特定操縦技能審査におい て、「特定操縦技能審査実施細則」に定める口述審査のうち、「最近の変更点」 「一般知識」については免除とする。 3.5. 審査結果(要約) (2)操縦技能審査員は、特定操縦技能審査を行ったときは、特定操縦技能審 査実施細則に定めるところにより、審査記録を作成しなければならない。 ・・被審査者に関する事項/審査に関する事項/審査結果に関する事項 (3)10日以内に報告書を地方航空局に提出、審査記録を保管 第3章 特定操縦技能審査 ただし、安全講習会受講後に変更した事項は当該免除の対象外とする。 参考資料P.1 5 R2.6.29 事務連絡 教育訓練実施記録を確認し未実施の場合には航空局に報告
  6. 特定操縦技能審査実施細則 (改正国空航第2985号 R2.02.25) (改正国空航第3700号 R3.03.31) (改正国空航第3037号 R4.03.29) 2.審査の実施 審査は原則として口述審査の後に実技審査を実施する。ただし、天候等の 理由により、実技審査を先に実施するべき理由がある場合は実技審査を先に

    実施してもよい。また、被審査者が等級限定又は型式限定を複数有する場合 であって、審査に使用する航空機以外の航空機事項については口述審査に含 めてよいこととする。 3.審査終了後のブリーフィング 以下の事項について批評、解説、注意喚起を行い、安全運航のための助言を行う。 また、審査員は、特定操縦技能審査を通じて確認した被審査者の操縦技能に関する 課題やこれに対し行った助言等の内容を2.の規定により作成する審査記録に記載 すること。 5-3 審査記録の作成及び審査結果の報告 (略) 実施要領と同様の附則付 参考資料P.2~4 審査員は、原則として、別添1から別添4に定める「特定操縦技能審チェックリス ト」を使用し、特定操縦技能審査実施要領3.5.(2)の審査記録を作成すること。ただ し、当該チェックリストと同等以上の独自の様式を使用し、審査記録を作成するこ とを妨げない。 ※運航規程に基づく技能審査の確認を実施し合格した場合は必要事項の記入がなくとも当 該期間は有効とする。但し、直前に不合格となった場合を除く(改正国空航第3700号R3.03.31) 滑空機の口述審査/実技審査の詳細は 参考資料を参照してください 6
  7. 第1部 1.航空機の操縦に従事するのに必要な知識 (5)アルコールの分解に要する時間について 説明して下さい。 1-1 最近の変更点 1.操縦士の飲酒に関する基準の制定について [2019.1.31] (1)航空法第70 条に定められた酒精飲料

    (アルコール)又は麻酔剤その他の薬品 に関する規制について説明して下さい。 (2)航空機乗組員の飲酒による運航への影響 やルールについて説明してください。 (3)航空機乗組員がアルコールの影響に よって正常な運航ができないおそれがある 状態について。 (4)アルコール検知器を正しく使用するための 注意点を説明して下さい。 体内アルコール保有 不可 血中 0.2g/ℓ 呼気 0.09mg/ℓ 影響がある場合 業務不可 4g/Hr うがい、アルコール成分を 含むものの 使用を控える 参考資料 P5~ 特定操縦技能審査口述ガイダンス(滑空機) (改正国空航第1806号 R2.09.25) (改正国空航第3037号 R4.03.29) 7 参考資料 P21~
  8. https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/p-pdf/AA2019-6-1-p.pdf レジャー飛行のため、11時57分、八尾空港を 計器飛行方式で出発し、福島空港へ向かう途 中で管制機関から指示された経路から逸脱し、 12時13分、同空港に引き返すとの交信を最後 に、奈良県山辺郡山添村の山林に墜落した。 同機には、機長ほか同乗者1名が搭乗してい たが、2名とも死亡した。同機は大破し、火災 が発生した。 同機は、急降下により同機の設計運動速度を

    大きく超過した状態となり、その状態で機長が 同機を立て直そうと急激な引き起こしを行った ため、同機の終極荷重倍数限界(5.7G)を超 えて空中分解に至った可能性が考えられる。 同機は、墜落するまでヨートリムを離陸位置 のまま飛行していたものと推定される。 離陸後、機体の速度が大きくプロペラの回転 速度が遅くなったとき、右ラダーの影響が過 大となり、機首を右に向けようとするとともに 機体を右に傾けようとする。 9
  9. 10

  10. (自力発航の場合) ・自力発航による離陸 ・自力発航による離陸上昇中の異常時及び緊急時の操作 ・離陸上昇形態による失速と回復操作 ・技量確認 なお、いずれの場合も、当該発航方法による10回以上の離陸を標準と して実施すること。 4)教育訓練を受けずとも学習を行う必要性がある場合及び学習内容を説明 してください。 答:上記(1)-2)に該当しない場合であっても、操縦経験のない

    型式の航空機を操縦する場合には、(1)-3)各項に係る知識を 習得する必要性があります。 (参考2)技能証明に付された限定と同一の種類及び等級であって、操縦経験 のない型式の航空機を操縦しようとする場合等の教育訓練に関する ガイドライン (国空航第1055号 R2.06.29) 11 参考資料P.23~
  11. 3.管制方式基準改正について [2018.10.11] 注)以下、曳航装置なし動力滑空機に適用する。 (1)滑走路からの離陸許可に係る用語について説明してください 答:離陸許可は、風向風速の値及び滑走路番号を前置して発出される。 例:JA****, wind 090 at 10,

    Runway 09, cleared for take-off. (2)離陸後の旋回又は直線出発等を要求した出発機に対しての離陸許可に係る 用語について説明してください。 答:離陸後の旋回又は直線出発等を要求した出発機に対しては、その可否等 を離陸許可の前に付加し、要求を許可できない場合は代替指示を発出する。 例:JA****, unable Right turn, make Left turn, wind 090 at 10, Runway 09, cleared for take-off. (3)滑走路への着陸許可(ローアプローチ/タッチアンドゴー/ストップ アンドゴー/オプションアプローチの各許可含む)に係る用語につい て説明してください。 答:着陸許可は、滑走路番号を前置し、風向風速の値を後置して発出される。 例:JA****, Runway 09, cleared to land, wind 090 at 10. 参考資料 P.10 12
  12. 第2部 1.航空機の操縦に従事するのに必要な事項 1-2 一般知識 1.有視界飛行方式に関する諸規則 (1)操縦者の見張り義務及びその目的について説明せよ。 (2)区分航空図の判読 1)飛行場の諸元、NAV AIDS の周波数

    参考資料 P.11~ 2)空域関連(空域の分類及び飛行に係る制限) ア) 航空交通管制圏 オ) ターミナルコントロールエリア(TCA) イ) 航空交通情報圏 カ) 民間訓練試験空域 ウ) 特別管制空域 キ) 禁止、制限及び危険区域 エ) 航空交通管制区 ク) 飛行中に危険性のある情報について (* 進入管制区含む) (3)VFRで飛行しているとき、入域前に通信設定又は許可を受けなければ ならない 空域等について航空図を参照して答えさせる。 3)飛行位置を示して、最寄FSC 周波数 13
  13. 参考資料P.11~14 (4)最低安全高度及びVMC気象条件について航空図で位置を想定して答え させる。 (5)「飛行援助用航空局」の活用について (Flight Service) (6)特別有視界飛行方式(S.VFR)について以下の質問の内1つを答えさせる。 1)特別有視界飛行方式(S.VFR)の許可を受けて飛行する場合の気象条件 2)管制圏の通過が許可される特別有視界飛行方式(S.VFR)条件を述べよ。 3)情報圏の通過が許可される特別有視界飛行方式(S.VFR)条件を述べよ。

    14 (7)フライトプラン(航空法第97条及び第98条関連)について 1)あなたはフライトプランの通報をどのように行っていますか。 2)スルーフライトプランとはどのようなものか知っていますか。 3)パッセンジャーストップ(PS)を含むフライトプランとはどのような ものか知っていますか。 ⇒Ex. 第15項「経路」の欄に「PS]、第18項 にNOTE=PS=JTT. FUJIKAWA=0130=0140=P3(Pの変更がある場合) 全ての飛行区間のプランを別葉としてあらかじめ出発時に提出(通報) 東京FAIB/関西FAIB
  14. 2.航空交通管制方式 (1)TCA, RADAR, ACC など、VFR レーダーアドバイザリーとの交信要領について 説明せよ。 (2)VFR飛行中における気象情報の入手要領 気象情報が入手可能な機関のコールサインや周波数について確認する。 17

    (3)無線機故障時の飛行要領 野外航法の中間地点で無線機故障に陥った場合の処置について説明させる。 ⇒VFR 機の場合、コードを7600 に切り替え、VMC を維持して着陸可能 な最寄りの空港等に着陸しなければならない。 ⇒ライトガン 参考資料P.15 (4)燃料欠乏時の通報 燃料欠乏による緊急状態の宣言に使う用語は何か? 例 PILOT: Mayday Mayday Mayday Fuel. 又は Mayday Fuel. AIM-J 791参照
  15. 3.運航用飛行場予報気象通報式 (1)TAFの発表時刻はいつか? (2)TAFの有効期間は発表時刻から何時間か? 参考資料P.15, 16 5.捜索救難に関する規則 飛行計画上の到着予定時刻からの遅延と捜索救難 到着予定時刻からの大幅な遅延は、捜索救難の発動要件に該当する場合が あるので, FSC

    などの管制機関への通報を行わなければならない。特に場外 離着陸場等、管制機関のない空港等からEOBTから大幅に遅れて離陸した場 合は、管制機関はフライトプランとして通報されたEOBT に飛行時間を加 えた時刻を到着予定時刻として想定するので、注意を要する。 4.航空保安施設の特性と利用法 普段使用する空港周辺の航空保安無線施設の改廃、一時休止等 EOBT=Estimated Off-Block Time (00,06,12,18 ) Ex. 0400/0506⇒(30時間) 4日00~5日06 UTC { 18 6.遭難/緊急の通報の要領について (1)遭難/緊急の通報の要領を述べよ。(例は参考資料参照) (2)遭難/緊急の通信の伝送要領を述べよ。
  16. 上記 1) 2) より、ガイダンスでは 「機内高度10,000ftを越える高度を飛行する場合には考慮すべき」という表現にされ たものと考えられます。 1)口述ガイダンスでは(参考)AIM-J962の注記があり,下記記載があります。 「普通の健康なパイロットであれば12,000フイート未満では気圧の減少に 伴う低酸素症による夜間視力以外の顕著な影響は表れないとされている。」 2)サーキュラー

    1-001 航空機及び装備品等の検査に関する一般方針では、与圧装置を 有しない航空機の場合以下の容量の酸素供給装置が規定されています。 1.3,000~4,000mで飛行する場合には飛行時間から30分を減じた時間 2.4,000mを超えて飛行する場合には当該飛行時間乗組員全員が必要とする量 口述ガイダンス 「7.(1)低酸素症」に関する参考事項 与圧 – Wikipedia 旅客機では与圧部の中は 少なくとも2,400 m (航空会社や機種によっ ては1,500 mほどになる) の高度に相当する0.8気圧 弱ほどに保たれる 参考1 参考2 20
  17. 8.その他運航に必要な事項 (1)後方乱気流の回避 後方乱気流の発生状況、影響、運航上の注意事項、回避要領など (2)空中衝突の予防 航空機衝突防止装置(TCAS)の概要 作動原理及び発出される2種類のアドバイザリーについて簡単に説明させる。 (3)航空安全情報自発報告制度(VOICES)について(AIC 2014.8.21) (ア)どのような制度で (イ)どのような内容をどこに報告するのですか。

    (ウ)航空安全情報自発報告制度(VOICES)の運営機関がweb で公表して いる「共有情報:FEEDBACK」の小型機の運航に係る内容を閲覧し たことはありますか。 (4)無人航空機の接近・衝突に係る報告制度の制定 [2015.12.9] 1)特定操縦技能審査の飛行中に無人航空機(ドローン等)が異常に接近 した場合や衝突した場合の報告制度について具体的に説明させる。 進路権ではなく、 回避すること。 衝突コースの回避等 TA⇒トラフィックアドバイザリー 25~48sec以内に衝突の恐れ RA⇒レゾリュ-ションアドバイザリー15~35秒以内に衝突の恐れ + 回避操作指示 22 参考資料P.17
  18. 1-3 航空機事項等 審査に使用する航空機について次の事項を質問する。 ただし、審査に使用する航空機が自力発航の用に供することができる動力滑空機で ある場合にあっては、3.(1)の離陸中止について質問し、被審査者の理解促進に 努めるとともに、審査にあっては回答例を参考にすること。 1.性能、諸元、運用限界等 (1)速度限界について (2)最良滑空速度、最小沈下速度について (3)最大滑空比について

    (4)重心位置および重量の限界 (5)離着陸時の横風・追い風制限 (6)燃料及び滑油(上級滑空機を除く。) (7)離陸性能・・・離陸性能に影響を与える要素について質問する。 ア 気温、気圧高度・・・エンジン出力が変化 イ 機体重量・・・加速性能、離陸速度が変化 ウ 風向風速・・・離陸距離が変化 2.通常操作の手順 特定操縦技能審査において実施しない手順で確認が必要と思われる通常手順 について質問する。 (1)機体組立や地上取扱時の注意事項 (2)曳航索の点検要領 参考資料P.18~ 23
  19. (3)曳航装置付き動力滑空機:上空におけるエンジン展開・始動及び停止・ 格納手順並びに各形態における限界事項 (4)曳航装置なし動力滑空機 上空におけるエンジン停止及び始動手順並びに各形態における限界事項 (5)離着陸時における飛行規程で定められている形態(動力装置の格納時 及び展開時を含む。) 3.その他必要な事項 (1)離陸中止 離陸中止すべき状況、手順と注意事項. なお、回答例は以下のとおり。

    (2)着陸復行(曳航装置なし動力滑空機) 着陸複行の操作及び注意事項 (3)失速等 使用機の失速の兆候と推奨される回復の手順 重心位置の違いによるスピン特性について又その回復要領。異常姿勢か らの回復 【注意事項】 ・あわてて不必要にブレーキを使用しすぎて、タイヤをパンクさせない。 ・対空通信施設のある場合は当該施設に、無い場合は一方送信で 離陸を取りやめることを通報する。 参考資料P.18~19 24
  20. 6.ソアリング 6-1 ソアリング 各種ソアリングに関する操作について質問する。 (1)サーマル・ソアリング サーマル・ソアリングに適した気象や大気状態はどういうときか。 風向、風速や大気の安定度などにより注意すべきことは何か。 複数機がソアリングしている場合、衝突防止のため注意すべきことは何か。 (2)リッジ・アンド・スロープ・ソアリング スロープ・リフトはどういうとき、どういう場所に発生するか。

    リッジ・アンド・スロープ・ソアリング実施時に注意すべきことは何か。 (3)ウエーブ・ソアリング 山岳波のリフトはどういうとき、どういう場所に発生するか。 乱気流を回避するためにはどうすればいいか。 7.異常時及び緊急時に必要な知識 7-1 曳航中の異常時及び緊急時の操作(曳航装置なし動力滑空機を除く) 曳航中の異常時及び緊急時の操作手順等について質問する。 (1)曳航索切れ (2)ウインチ曳航中の索切れ等で発生する可能性のある低重力環境下では どのような危険性があるか。 (3)曳航速度の超過又は低下 (4)曳航機/ウインチの動力装置故障又は性能低下 (5)曳航索の離脱不能 参考資料P.19 25
  21. 7-2 動力装置の故障(上級滑空機を除く) 動力装置を使用して飛行中の異常時及び緊急時の操作手順等について質問する。 (1)動力装置の出力低下、動力装置故障及び空中始動不能 (2)火災又は発煙 (3)燃料圧力の低下 (4)滑油圧力の低下 (5) 諸系統又は装置の故障 7-3諸系統又は装置の故障

    次の系統又は装置の故障時の操作手順等について質問する。 (1)操縦系統(2)操縦計器、航法計器(3)着陸装置 (4)電気系統 (5)その他 ア 離陸直後においてエンジン故障等が発生した場合の対応について質問 する(不時着場の選定を含む。) なお「離陸直後においてエンジン故障等が発生した場合」には、離陸 した際、実際の速度が定められた速度より低速であったため、機体に 大きな抗力が作用し、離陸直後に飛行性能が低い状態に陥る場合が 含まれる。 イ 火災発生時の措置等について質問する。 7-4 場外着陸 (1)予期しない高度低下を想定し、場外着陸を実施する場合の操作や注意点 について質問する。 (2)状況により、背風着陸が必要になった場合の操作や注意点について質問 する。 26 参考資料P.20
  22. 2-1 航空法 R4年6月10日改正、12月5日施行 第1条 (この法律の目的) この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択され た標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行 に起因する障害の防止を図るための方法を定め、航空機を運航して営む事業 の適正かつ合理的な運営を確保して輸送の安全を確保するとともにその利用 者の利便の増進を図り、並びに航空の脱炭素化を推進するための措置を講じ、

    あわせて無人航空機の飛行における遵守事項等を定めてその飛行の安全の 確保を図ることにより、航空の発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを 目的とする。 28 無人航空機(航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、 飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもの のうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをい う。)により飛行させることができるもの)が航空法の対象となりました。機体認 証、操縦者技能証明、などが創設され、有人地帯上空における補助者なし目視 外飛行(レベル4)が可能になりました。
  23. https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000052.html 自家用航空機の操縦士に対する酒気帯びの有無の確認について 一連の操縦士による飲酒に係る不適切事案を受け、国土交通省では「航空従事 者の飲酒基準に関する検討会」において国による統一的な飲酒基準の検討を進 め、平成31年1月31日、当該検討会における中間とりまとめを踏まえ、航空運送 事業者の操縦士に対し乗務前後でのアルコール検知器による検査を義務付ける とともに、アルコールが検知された場合(酒気帯び状態)は乗務を禁止することとし ました。 また、あわせて、「航空機乗組員の飲酒による運航への影響について(航空法第 70条関係)」(平成31年1月31日

    国空航第2278号)を制定し、自家用航空機の操 縦士に対しても酒気を帯びた状態での航空業務を行わないよう周知・指導している ところですが、平成31年4月9日に同検討会における最終とりまとめが公表され、 自家用航空機の操縦士に対する基準を継続的に遵守するための取組として、「抜 き打ちでのアルコール検査を実施すること」とされたことを踏まえ、国が管理する空 港等においては、自家用航空機の操縦士による酒気帯び状態での空港等の使用 を防止するために、以下の通り必要な措置を講じることとしました。 なお、国が管理する空港等以外の空港等においても同様の対策を要請しており ます。 参考資料 P.21~ 29 2-2 アルコール関連
  24. 30

  25. 参考資料 P.22 試算すると ビール 500㎖ 1本 + 日本酒 2合で アルコールが消える推奨時間は15時間!!

    X1 X2 純粋アルコール量1トンで肝硬変になるといわれます。日本酒1合1 年で10kg、5 合で 50kg、つまり毎日5合呑むと20 年で肝硬変となるわけです。・・・ TAKE OFF 第6章 医学的知識 第2節心身の状態より転載 31
  26. (滑空機向け該当部分抜粋) 操縦士に係る技能証明(航空法第22 条)に付された限定(航空法第25 条第1 項及び同2 項) と同一の種類及び等級の航空機(型式限定を付さないものに限る。)であっても、当該型式機 を適切に運航するための知識や技術が相違するもの等があることから、操縦士が操縦経験 を有しない型式の航空機を操縦する場合や、経験を有しない発航方法により操縦する場合に 必要な教育訓練のガイドラインを下記のとおり定める。

    記 1 操縦士は、航空機の種類に応じて次の1-1~1-3に掲げる場合には、2~4に 定める教育訓練を受けること。ただし、認可を受けた運航規程や国際民間航空機関締 約国における訓練制度等に基づき、本ガイドラインに定める内容と同等以上の教育訓 練が実施され、その記録が確認できる場合にあっては、この限りではない。 1-3 滑空機 イ)経験のない発航方法(ウインチ曳航又は自動車曳航、航空機曳航、 自力発航)による操縦をする場合。 2-3 技能証明に付された限定と同一の種類及び等級であって、 操縦経験のない型式の航空機を操縦しようとする場合等の 教育訓練に関するガイドライン 令和2 年6 月29 日 制定(国空航第1055 号) 5 上記1の各項に該当しない場合であっても、操縦経験のない型式の航空機を 操縦する場合には,上記2-1(学科教育)各項に係る知識を習得し、航空機乗 組員飛行日誌に学習の記録を記載した上で操縦を行うものとする。 参考資料P.23~25 32
  27. 実技教育は、標準として次の内容を含めて実施するものとする。 ◦1-3 イ)滑空機 (ウインチ曳航又は自動車曳航、航空機曳航の場合) レ 発航準備、曳航による離陸、曳航による飛行、曳航索の離脱 レ 曳航中の異常時及び緊急時の操作 レ 技量確認

    (自力発航の場合) レ 自力発航による離陸 レ 自力発航による離陸上昇中の異常時及び緊急時の操作 レ 離陸上昇形態による失速と回復操作 レ 技量確認 いずれの場合も、当該発航方法による10回以上の離陸を標準として 実施すること。 2 教育訓練の内容(滑空機関連部分 抜粋・要約) 2-1 学科教育学科教育は、「滑空機にあっては」5時間を標準として次の 内容を含めて実施するものとする。 レ 機体概要及び構造 レ 運用限界及び性能 レ 諸系統及び取扱い レ 通常及び緊急操作の手順 2-2 実技教育 33
  28. 3 教育訓練の実施者等 教育訓練は、機長として当該型式航空機を操縦することができる技能証明及び航空 身体検査証明(航空身体検査証明にあっては、模擬飛行装置又は飛行訓練装置により実技 教育を行う場合を除く。)を有する者であって、当該型式航空機や発航方法に係る知識 及び操縦経験を有するものの監督の下で行うものとする。 なお、実技教育を開始する前に、教育訓練の実施者は次について確認すること。ま た、実機による同乗訓練を行う場合は、その操縦を交替することができる場所に位置 すること。 レ

    訓練計画の内容が適切であること。 レ 訓練を受ける操縦士が上記2-1の学科教育を修了し、実技教育に必要 な知識及び能力を有していること。 レ 実技教育に用いる実機、模擬飛行装置又は飛行訓練装置が当該実技教育 を行うのに必要な性能及び装備等を有していること。 4 教育訓練の実施記録 教育訓練の実施者が、訓練を受けた操縦士が操縦に必要な知識及び技量を有して いることを確認した場合は、訓練を受けた操縦士の滑空機乗組員飛行日誌の自由 記入頁に下記のとおり記載するものとする。 『国空航第1055号 1-1 イ)((注)上記1項中、実際に訓練を行った項番を記載。複 数の項番について実施した場合は、まとめて記載してもよい) の内容について以下 のとおり訓練を行い、操縦に必要な知識及び技量を有していることを確認した 34
  29. まとめ このガイドラインは: • ウインチ曳航を主体にしてライセンスを取得したパイロットが、航空機曳航で の単独飛行に出る場合 • 複座機だけでライセンスを取得したパイロットが他の型式のグライダー(単座 機等)を機長として操縦する場合 • 特に、引込脚、フラップ、水バラストなどの操作を初めて経験する場合

    などについて、飛行規程等を読んだり経験者に聞いたりして勉強した内容を「ロ グブックに記録して残す」という部分が重要です。 補足 日本滑空協会から航空局に確認しました。 • 「経験のない」は1回でも経験すれば対象外というわけではなく、 「機長とし て操縦するのに必要な知識・経験のない」という意味です。 • ガイドラインに記載されている回数・時間はあくまでも「標準」であり、十分な 知識・能力を有することが認定できればこだわる必要はなく、 逆に認定でき なければ「標準」より増やすべきです。 • 当該教育はライセンシーに対する教育ですので、教育を実施する人は操縦 教育証明を所有している必要はありません。ただし日本滑空協会としては、 各団体の主任教官もしくはその指名を受けた者が教育訓練を実施することを 推奨します。 • 飛行規程等を読んで自習した場合には自分でログブックに記載します。 参考資料P.25 35
  30. 新しい機種に搭乗することになった場合の学科教育: • 先輩やインストラクターに聞き、飛行規程等を読んで自習する • 学科教育の内容は レ 機体概要及び構造 レ 運用限界及び性能 レ

    諸系統及び取扱い レ 通常及び緊急操作の手順 • 特に高性能機に移行する場合、新しい装備を使う場合には地上で習熟して からフライトを! レ 引込脚 レ フラップ レ 水バラスト レ 酸素供給システム 36 ログへの記載方法(自由記入欄もしくは適当な用紙に記入し保管) 『国空航第1055号5の内容について以下のとおり学習を行い、 操縦に必要な知識を有していることを確認した。 学科教育:◦年◦月◦日~◦年×月×日 △△滑空場 [航空機の型式] [登録番号] [日付] 実施者:[署名] □□□□ 』
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  32. R4.6.18 航空法改正施行(R1.6月改正) • 重要装備品に対する「予備品証明制度」廃止 • 全ての装備品と部品の装備には「装備品基準適合証」が必要 (一部の例外を除く) • 装備品基準適合証:EASA Form-1,

    FAA8130-3など • 例外 • 検査のために取り卸した装備品の再装備(無線機など) • 米国、欧州、英国の領土内に所在する事業場が修理又は改 造を行って基準適合証と同等と認められる証明書の添付 • 標準部品(公的規格に従って製造された部品) この場合にはC of C (Certificate of Conformity)が必要 • グライダー用途で基準適合証が発行されない装備品 民生品として耐空検査員に認定された装備品(C of C必要) 民生品に該当しない装備品で安全性に重大な影響を及ぼさ ない装備品として耐空検査員の承認(C of C必要) 39 2-5 予備品証明廃止に伴う制度改正
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  34. (7) 危険度の判定 • A機の機長が行った回避操作は、予防的に行われた回避操作であっ たと考 えられる。一方、B機の機長は、継続してA機を視認しており、 回避操作を 行わなかった。 また、両機の間隔は、A機の機長がB機を 発見した時点で水平距離約600

    m、垂直距離約70mで、その後B機 がA機の上方を通過した時点の両機の 高度差は約70mであったと推 定される。 これらのことから、本重大インシデントはICAOが定めた衝 突又は接触 のリスクに係る判定指針による「No risk of collision」(衝突 又は接触のリ スクはなかった)に該当すると考えられる。 原因 • 本重大インシデントは、妻沼滑空場から発航したA機に対し、航空写真 撮影のため飛行していたB機が、滑空場との通信設定ができないまま 滑空場上空へ進入し接近したことによるものと推定される。 • なお、両機に衝突又は接触のリスクはなかったものと考えられる。 61 AI2022-8 航空重大インシデント調査報告書 抜粋
  35. 再発防止策 • セスナ機運航会社 ① 滑空場付近における滑空場とグライダーの無線交信の実情(滑空場によってはフラ イトサービ ス等のVHF無線周波数にグライダーのボイスは入ってこない等)を把握 ② 滑空場付近を飛行する場合は、可能な限り、飛行内容の事前連絡及び調整を滑空 場へ行う

    ③ 滑空場付近を飛行する場合は、応答の有無にかかわらず滑空場の周波数(フライ トサービス等 のVHF無線周波数)による送信を徹底する • グライダー運航団体 ① 滑空場周辺で飛行する際の事前調整を依頼する文書を作成し、官公庁及び小型機 を使用する航 空事業者に周知した。 ② グライダーにVHF無線の受信機を搭載し、周辺を飛行する一般の航空機とめぬま フライト サービスとのVHF無線による交信をグライダーが聴取できるようにした。 ③ めぬまフライトサービスを運用する第1滑空場土手側ピスト以外の、第1滑空場川側 ピスト、 第2滑空場の第2ピストにVHF無線の受信機を設置し、それぞれのピストが、 VHF無線によ る交信を聴取することで滑空場周辺を飛行する一般の航空機の状 況をリアルタイムで把握し、グ ライダーへ必要な交通情報を提供できるようにした。 ④ 妻沼滑空場を利用する各校指導者、学生を対象に、グライダーが使用する無線機 と通話方法に 関するオンラインによる講習会を実施し、無線通話に関する知識を深 めた。 62 AI2022-8 航空重大インシデント調査報告書 抜粋引用
  36. (参考)接近事例(2021年4月9日 13時ごろ) • 場所:茨城県古河市上空 航空路Y588付近、5500~6000ft (板倉滑空場 南東約13㎞/7NM) • G102単座機グライダーと航空自衛隊U-680A飛行点検機 •

    古河市上空で滑翔して約5500ftまで上昇し北に向かって飛 行して いたグライダーに、U-680Aが正面から飛来、直上 約6000ftを通過 • ヘッドオンで相対速度が推定560km/hと早く、遠くに小さく 視認してから (着陸灯が点灯していてよく見えた) 急に大き く広がって見えた • お互いに回避操作は行わず、ウエークタービュランスにも 遭遇しなかった 63
  37. 板倉GF 読売加須GF 羽生GF 渡良瀬遊水地 谷中湖 G G G 11:59 離陸(Rwy33

    航空機曳航) 12:04 離脱(佐野上空2500ft) 上昇気流の強い条件下 館林、羽生方面を周回 13:03 古河上空で約5500ftに上 昇後、北に向かっていた 時 U680Aが正面から飛来 し、直上約6000ftを通過 13:45 着陸(滞空1+46) G102航跡 See You Igc. file 64
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