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スクラム2年生の私がスクラムを嫌いになったときに考えたこと / What I thought ...
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たかしろ
March 08, 2025
Business
1
130
スクラム2年生の私がスクラムを嫌いになったときに考えたこと / What I thought when I hated Scrum
スクフェス福岡登壇資料
たかしろ
March 08, 2025
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Transcript
スクラム2年生の私が スクラムを嫌いになったときに 考えたこと Scrum Fest Fukuoka 2025 BABY JOB株式会社 たかしろ
はじめに 2
• 今回は、2024年の春〜夏頃、わたしがスクラムを嫌いに なったときの話です • 組織の中で悩んでいるスクラム実践者が、少しでも前向き になって前進する一助になったら嬉しいです • (なんだか釣りタイトルっぽくなってしまった) この発表について 3
Q. 普段はどんなロールですか? • スクラムマスター • エンジニア • プロダクトオーナー • デザイナー
• QA • アジャイルコーチ チェックイン(Discordへコメントください) 4
Q. スクラム、好き?嫌い? 1. 嫌い 2. あまり好きではない 3. どちらでもない 4. やや好き
5. 大好き チェックイン(Discordへコメントください) 5
自己紹介 6
• なまえ:たかしろ📷 • X:@takashiro_bj • 所属:BABY JOB株式会社 • 役割:スクラム...マスター? •
趣味:写真撮影 初めてのスクフェス福岡! 自己紹介 7
8
9
施設を 探す 見学の 申込 口コミ の投稿 園の魅力 を発信 見学の 受付
10
11 保護者が QRを読み取る 支払う料金を 入力する 支払方法を 選択してお支払い 管理画面で 一括管理 保護者は「誰でも通園」「一時保育」の利用料金などをスマホでかんたん決済。
前提:組織の状況 12
会社や開発組織の規模感 ・会社 • 2018年に創業した大阪のいちベンチャー企業 • 2025年3月時点で、全体で90人くらい ・開発組織 • わたしが入社した2022年で10名→2025年3月時点で31名に増加 •
フィーチャーチームとプロダクト横断のリードチーム • PdMやPOは別部署で、なんとか協力しながらやっている 13
14 今回は このチームの 事例です
• 役回り • 2チームのマネージャー兼スクラムマスター • 組織内にCSMを持っている人は自分のみ • 取り組み • 組織でスクラムの実践を主導
• スクラムに関する読書会を開催 • 既存のMTGの目的をスクラムイベントに置換 • Biz部門にPOを立て、スクラムチームに引き入れる 当時の私の役回り・取り組み 15
• 組織・チームの状況 • ”組織”として走り出したのは、わたしが入社した2022年頃 • それまではいわゆる社内受託 • メンバーはアジャイルなプラクティスを部分的に導入 • ふりかえり・モブワーク
• 開発プロセス • 2023年ごろから、プロセスカイゼンの取り組みを開始 • 2024年2月頃、スクラム始めましたとギリギリ言えるようになった 当時の組織の状況、開発プロセス 16
スクラムを嫌いになるまで 17
• インプット • スクラムガイドを読む • 書籍・イベント登壇スライドを見る • スクフェス・ローカルコミュニティのイベントへ参加 • CSMを取得
• 実践 • チームの困りごとに対して、インプットしたことを実践 →スクラムが持つ特徴のひとつに気づく きっかけ:インプット→実践のくりかえしで気づく 18
参考:武道における「型」とは “もともと武道の「型」は、スポーツ競技として優劣をつけるものではなく、 その武道が伝えたい叡智、すなわち技術や業のノウハウなどを修行者(学習 者)が習得するために使用された教範であったといいます。” (引用:「型」とは何か―『「型」の再考』で体感する「型」の叡智) わかったこと:スクラムは「型」的な側面がある 19
• 「型」的な側面の例 • 3つの役割 • チーム内での適切な動きを習得するための型と理解できる • 経験主義 • 型通りに実践することで本質を理解し、自分たちにマッチしたやり方に変えてい
ける「型破り」的な特性 • 型を守って始めることで効果的に働くフレームワーク • スクラムガイド「まずはそのままの状態で試してほしい」 わかったこと:スクラムは「型」的な側面がある 20
守破離の段階を踏んで進めることが大切なのでは? • 「守」とは師の教えを忠実に守ること、つまり基本の段階です。 • 「破」とは自分で考え工夫すること、つまり自立の段階です。 • 「離」とは独自の新しい世界を確立すること、つまり創造の段階を指 しています。 (公益社団法人 日本空手協会)
わかったこと:型だからこそ、守破離の段階が大切っぽい 21
”守を実践し始める”のって結構難しい • 難しさの例 • スクラムガイド上の抽象的な表現から、自分たちの環境における”守”を具体化する • 守を始めるために、組織全体の環境を整える • 守からすぐに破へ移行したくなる誘惑へ打ち勝つ忍耐力 現実世界でスクラムをやり始めると...
22
スクラムがー、なんて言ってられない状況も発生する • 組織もプロダクトも刻一刻と状況は変化する • 組織のバタバタは、スクラムが上手くいっているかなんて無関係 • 状況の変化によって対処が必要な課題も出てくる 現実世界はバタバタする 23
• 現実世界でやり切るの、ほんまに難しい... • 何でこんなにうまいこといかんねん... 難しいって! 24
あーーーーーー 25
そして、嫌いになった 26 社内のビアバッシュで「スクラムなんて嫌いや!」と叫んだことも
どうやってスクラムに 向き合い直したのか 27
・きっかけ イヤイヤ期を迎え、うだうだ言っていた頃。 メンバーとチームのことを雑談しているときに、素朴な疑問としてこう質問 されました。 自分自身への向き直りから始める 28
「何でスクラムの実践に 向き合ってるんですか?」 29
• 自分の信じるプロダクトを、より多くの人の役に立てたい • プロダクトのビジョンに強く共感して入社した • ビジョン実現のために、価値に目を向けられる組織へ成長したい • その手段としてスクラムが良さそう • 組織の現在地から、スクラムは相性が良さそう
• スクラムガイドを読んで「めっちゃいいやん」と思ったのを思い出した なんでスクラムに向き合ってるんやっけ? 30
解決したい課題に対する手段として、 「スクラムは方向性として間違ってない / 悪くないよね?」 の確証を得たい →同僚・上司との雑談 / スクラムコミュニティなどで 「スクラム好き?」「なぜスクラムを採用してるの?」 と聞いてみた
目的に対する手段、間違ってない...よね? 31
いろんな解釈・表現・意見があったが、 「良いものを作りたい」という部分は概ね共通していた →手段として良いと感じたスクラムは、 目的に対して悪くなさそう! 目的に対する手段、間違ってない...よね? 32
• たくさんの人で物を作るのって難しい(そらそう) • 不完全さを含む人間が集まって仕事をしている • 組織の文化は即時アップデートできない(そらそう) • 守の実践を通して大事なことを理解するには時間がかかる • 形だけアップデートしても効果的にワークしない
• 「良い物を作る」手段はたくさんある(そらそう) • スクラムガイドに書いていることだけが唯一の解決策ではない • 開発生産性 / 技術的なプラクティス 検証の過程で、当たり前なことを再認識した 33
結果、何がどうなったのか 34
• 嫌いになった時 • 手段が目的化し、スクラムだけに目を向けていた • うまくいかない原因をスクラムや外部要因のせいにしていた • いま • 本来の目的を思い出した
• 「ビジョン実現のために、価値に目を向けられる組織へ成長したい」 • 改めて組織・チームに向き合った • 現在の状況を見つめ、問いかけ・FBができるようになった 自分の変化:本来の目標に目を向けた 35
• 組織の状態 • 現在地のFBから、チームが自らの成長を実感できるようになった • 自分たちにとって有効と思える打ち手を設定できるようになった • 2チームが、チームの色・個性を持つようになった • Mgからの評価
• 「(Bizを含め)組織全体でサービス・システムとしての価値/品 質の向上に取り組める状態になりました。」 • 「やっとスタートラインに立てたとも言えますね。」 現状の組織がどんな状態か。どんな評価を受けているか 36
• 現状でも、スクラムはそんなに好きじゃない • 最初の質問だと、2~4をウロウロしてる • 現実世界でやる難しさは、認識できたが変わってない • スクラムは手段として間違ってないと思えた • 良い物を作る、という目的に対する手段として悪くないと自信が持
てたので、変な迷いが無くなった • スクラムをやることが目的では無くなった • 「いいものを作るために出来ることは何でもやろう」と視野を広く 持てるようになった 今、スクラムに対してどう思っているか 37
まとめ 38
• スクラム上手くいかないな、と悩んでいるとき • 何でスクラムなんだっけ?最初の動機なんやっけ? • 手段が目的化してない? • スクラム以外にも有効な手立てがあるんちゃう? • 無理な速度で成果を出そうとしてない?
• 他の人にも意見を聞いてみると気づきがあるよ • スクラムコミュニティに、似たような問題にハマった人がいるで 今日伝えたいこと(そして、将来同じことで悩みそうな自分へ) 39