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"分からないまま走る"をやめたら不確実性に向き合えるチームになっていった話 ~開発指標で語るプロセス改善~

SaaS開発チームにおいて、仕様が曖昧なまま実装に入ることで手戻りが発生し、見積もりが膨らむケースが多発していました。この課題に対し、テスト観点を開発上流に持ち込むシフトレフトを軸に、モックベースの仕様検討会、疑問と意思決定を蓄積する質問箱、実例マッピング、合意の可視化など複数の仕組みを導入しました。さらに、開発指標を継続的に可視化することで、施策の効果を定量的に計測しながら改善サイクルを回しました。本セッションでは、2ヶ月規模のプロジェクトを題材に、各施策の具体的な運用方法と開発指標で見たBefore/Afterをお話しします。

Qiita Conference 2026

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おおいし

May 26, 2026

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Transcript

  1. © Findy Inc. 5 @bicstone_me ⼤⽯ 貴則 OISHI Takanori 登壇者紹介

    • 2025年3⽉よりファインディ株式会社 • Findy Team+の開発に従事 • TypeScript / Ruby / PHP / Python / Dart • Certified ScrumMaster ® Certified ScrumMaster® is a certification mark of Scrum Alliance, Inc. Any unauthorized use is strictly prohibited. @oishi.takanori @bicstone
  2. 会社概要 © 2024 Findy Inc. 挑戦するエンジニアの プラットフォームをつくる。 ビジョン つくる⼈がもっとかがやけば、 世界はきっと豊かになる。

    経営理念 会社名 ファインディ株式会社 / Findy Inc. 代表取締役 ⼭⽥ 裕⼀朗 設⽴ 2014 年 2 ⽉ ※ 本格的な事業開始は2016年7⽉ 全従業員数 478 名 ※2026年1⽉時点 資本⾦ 19億9,692万円 ※ 資本準備⾦含む 住所 東京都品川区大崎1-2-2 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー 5階 事業許可番号 13-ユ-308478 サービス ‧IT/Webエンジニアの転職サービス「Findy」 ‧ハイスキルなフリーランスエンジニア紹介サービス「Findy Freelance」 ‧経営と開発現場をつなぐAI戦略⽀援SaaS「Findy Team+」 ‧開発ツールのレビューサイト「Findy Tools」 ‧テックカンファレンスのプラットフォーム「Findy Conference」 ‧顧客価値を追求する、AI時代の製品開発マネジメント「Findy Insights」等 投資家 グローバル‧ブレイン、ユナイテッド、SMBCベンチャーキャピタル、KDDI、 JA三井リース、みずほキャピタル、博報堂DYベンチャーズ、Carbide Ventures、等
  3. © Findy Inc. 9 このセッションでお伝えすること • 2ヶ⽉のSaaS新機能開発プロジェクト⾛らせた経験 • 不確実性に向き合うために導⼊した6つの取り組み •

    開発指標で⾒た定量/定性的な改善 • AI時代のチーム構造の変化 • 振り返って気がついた反省と今後の展望 ➔ 不確実性に向き合い、学習し続けることが AI時代に強いチームを作る上で最も重要
  4. © Findy Inc.   Findy Team+とは|ビジネス成果を最⼤化する開発DXプラットフォーム 開発⽀援ツールのデータを活⽤し、3ステップでビジネス成果の改善を促進 1 可視化 開発ワークフローを可視化し

    明確なインサイトを取得 2 AI分析 AIを活用して、開発効率と 開発者体験を最大化するための課 題を自動で特定 3 改善 データに基づいた意思決定で ビジネス成果を最大化 AIツール コード管理 プロジェクト管理
  5. © Findy Inc. 機能紹介|プロジェクトプロセスタイム分析 開発プロジェクトのプロセス別投資時間割合と待機時間を可視化し、 フロータイムの短縮に繋げる機能 特徴 • 各プロジェクトのプロセスごと の投資時間シェアがわかる

    • 各プロジェクトのプロセス間の 待機時間がわかる ユースケースと得られる成果 • 改善すべきプロセスの検知 →各プロセスの短縮 • 待機時間の要因分析 →待機時間の短縮
  6. © Findy Inc. 13 チーム構成 • データの連携先を増やしさらなる 価値提供を⽬指すチーム • PdM

    1名 / BE 3名 / FE 2名 / QA 1名 / Design 1名(兼任) • PdM以外の全員が⼊社1年未満 • Team+の事業背景‧顧客理解はこれから積み上げる段階 • 異なる経験のメンバーが集まったクロスファンクショナルチーム ➔ 事業ドメインの暗黙知が、特定メンバーに偏っていた状態
  7. © Findy Inc. 14 開発スタイル • アジャイルな開発を実践 ◦ ⼤きな計画を⼀度に作るのではなく、短い区切りで作って、 振り返って、改善するを繰り返す

    • チームでは1週間ごとにこのサイクルを繰り返す • 毎週の振り返りで進め⽅そのものを改善し続ける ➔ 変化に柔軟に対応しながら小さく試し、素早く学ぶ
  8. © Findy Inc. 15 Notion連携プロジェクトの概要 • Team+にNotionを連携するプロジェクト(約2ヶ⽉) • NotionのDBと、Team+構造との関連付けが必要 ◦

    ⾃由にDBが構築できるためスキーマがユーザーごとに異なる ◦ 対応プロパティがない場合などエッジケースへの対応が必要 • Notion API依存リスク ◦ レートリミット、パフォーマンス、想定外のレスポンス構造 ➔ 机上で全部見切るのは不可能 実装しながら向き合うしかない不確実性
  9. © Findy Inc. 16 段階的にリリースするMVP(Minimum Viable Product)開発の実践 • 2ヶ⽉ →

    約2週間ごとの3つのマイルストーンに分割 ◦ αリリース:先⾏ユーザーに提供 ◦ βリリース:機能拡張‧改善 ◦ γリリース:全顧客向けの正式リリース • マイルストーン分割で段階的に顧客提供 • フィードバック / リスクの前倒し / 実データでの検証を⽬指した ➔ 迅速な初回価値提供によるリスク軽減が目的
  10. © Findy Inc. 18 プロジェクト序盤に起こったこと • 実装後にPdMの認識とズレていて⼿戻りが発⽣した ケースが多発 • バックログに書かれていない論点が実装中に顕在化

    • PdM‧エンジニア間で同じ機能で違うイメージを持っていた • ⼿戻りが繰り返し発⽣、修正のための⼯数が肥⼤化 • 結果: 総⼯数が138%まで膨張 ➔ 分からないまま走る、をやめる必要性を痛感
  11. © Findy Inc. 19 具体的な事例 • 「プロジェクトの検索機能を実装する」バックログ ◦ PdM: 「Org名

    / リポジトリ名」 で検索が可能 ◦ Eng: 「リポジトリ名」で検索が可能 • お互いの想定していた検索対象がズレていた • 後から検索ロジック、プレースホルダー⽂⾔を修正する事態に ➔ お互いに確認していれば防げた話が実装後に顕在化
  12. © Findy Inc. 20 段階リリースしても⼿応えが得られなかった • ユーザーから⾒ればαは中途半端でγまで 価値を感じられない • リスクが特定マイルストーンに集中

    • ⼿作業を削減する実装を後回しにした代償 ◦ MVPから外すと判断したが、リリース後に⼿作業対応が発⽣ し、本来の開発リソースが削がれた ➔ 分割してもユーザーに価値が届かない状態に
  13. © Findy Inc. 22 シフトレフトという解決アプローチ • テスト観点を、開発上流に持ち込む • 不確実性を実装前に潰すために⾏った6つの取り組みを紹介 ◦

    実装の⼿戻りを減らす(実例マッピング‧仕様検討会) ◦ 意思決定の透明性を保つ(質問箱‧設計の合意形成) ◦ 意思決定を洗練させる(ドッグフーディング) ◦ 仮説検証のスピードを上げる(AI活⽤) ➔ より上流に投資し、不確実性を実装前に解消する
  14. © Findy Inc. 23 1. 実例マッピング • ユーザーストーリーを具体例に分解して、 認識を揃える •

    プロジェクト初期、⾒積もり前に実施 • 5つの視点で具体例に分解する • PdM‧エンジニア‧デザイナー‧QA全員 ➔ 「やらないこと」を決め切る
  15. © Findy Inc. 24 2. 仕様検討会 • 仮デザイン完成時にFigmaコメントで 論点を出し合う •

    ⾒積もり後、仮デザイン完成時に実施 • PdM‧Eng‧QA‧デザイナー全員 • ⽂字では気付けなかった論点を発⾒ ➔ お互いの想定がズレる事象を、 実装前に潰す
  16. © Findy Inc. 25 3. 質問箱(簡易ADR) • 実装中の疑問‧意思決定をNotionに蓄積 • ステータス‧担当者でボールを明確化

    • 毎⽇の朝会で完了でないものを必ず確認 ➔ ボールを落とさず、決定の経緯をチームの資産にする
  17. © Findy Inc. 26 4. 設計の合意形成 1. 1〜2名で設計して、気になるポイントと共にメモ 2. メモを事前にチーム全員へ共有

    3. メモ共有後に、共有会を実施しブラッシュアップ 4. その結果を踏まえてGitにMarkdownのドキュメントとして保存 • 仕様駆動開発の⼟台として使⽤し実装時も活⽤ ➔ メンバーごとの解像度のばらつきを解消、属人化を防ぐ
  18. © Findy Inc. 28 6. AIを活⽤し領域を拡張 • 設計の合意形成で作ったMarkdownが、 AIへの⼊⼒として機能 •

    スキルに関わらず誰もがタスクを担当できるように • 属⼈性が解消し、全員が不確実性解消に向かえるようになった • チームのスキルセットに縛られない柔軟なリソース配分が可能に ➔ AIで実装の壁が下がり、チームの構造が変化
  19. © Findy Inc. 30 定性の気付きを、定量で確かめる • 振り返りや会話で⽣まれた気付き=仮説 • 仮説が効いたかどうかは、肌感だけでは判断できない •

    Findy Team+で開発プロセスと開発者体験の両⾯を可視化 • 仮説 → 施策 → 計測 → 学習のサイクルを回す ➔ 定性で気付き、定量で検証することで、確信を持って次に進める
  20. © Findy Inc. 31 Findy Team+でみたプロセスタイム • マイルストーンごとのボトルネックが可視化 • 要件定義

    • 設計 • 実装 • テスト • 待機時間 マイルストーンα Notion連携 プロジェクト マイルストーンβ マイルストーンγ
  21. © Findy Inc. 32 Findy Team+でみたプロセスタイム • 総⼯数の増加は138%から112%へ改善 • 要件定義

    • 設計 • 実装 • テスト • 待機時間 マイルストーンα Notion連携 プロジェクト マイルストーンβ マイルストーンγ 要件定義が⻑い 待機が発⽣ テストが⻑い 設計が⻑い
  22. © Findy Inc. 34 Findy Team+でみた開発者体験 • Findy Team+ でAI導⼊後の開発者体験(DevEx)計測

    • SPACEフレームワークに基づいたチームサーベイ 画像はイメージで実際のデータではありません。
  23. © Findy Inc. 37 まとめ • AIで実装が速くなった今、競争⼒は "上流" に宿る •

    "やらないこと" を決め、ズレを実装前に潰す • 取り組みの効果は、開発指標で測り、学び続ける • ⼊社1年未満中⼼のチームでも、仕組みで不確実性に向き合える "分からないまま走る" をやめれば、不確実性に向き合えるチームに ※ この取り組みはチームメンバー全員で共に作り上げたものです 🙏