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再発明を恐れない!社内向けチャット アプリ開発の意義とは ~開発実体験から得たAIアプリ開発の実態~

再発明を恐れない!社内向けチャット アプリ開発の意義とは ~開発実体験から得たAIアプリ開発の実態~

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KintoTech_Dev

September 18, 2025
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  1. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 3 プロフィール KINTOテクノロジーズ株式会社 コーポレートIT部 AIファーストG

    生成AIエンジニア 野村 宏樹(Hiroki Nomura) 2025年8月入社。AIファーストG所属。 前職では自動車制御設計業務への生成AI活用案件のPMを経験し、 KTCでは生成AIエンジニアを従事。 生成AI研修や販売店向け生成AIプロダクト、社内生成AIチャットアプリ の開発に参画。
  2. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 5 KINTOテクノロジーズ株式会社について(グループ組織) トヨタ自動車株式会社 トヨタファイナンシャルサービス株式会社(TFS) 海外販売金融

    現地事業会社 世界40以上の国と地域で サービスを展開 KINTOテクノロジーズ 株式会社 株式会社KINTO トヨタファイナンス 株式会社 販売金融・クレジット カードなど
  3. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 7 教育・研修 全社員の生成AIリテラシー向上 ユースケース発掘へ繋げる ①

    良いアイデアを 生み出す ② 実現の 目処をつける ④ 事例展開 ③ 実装して デリバリーする ユースケース開発 開発/事務生産性向上 新たなシステム企画の創出 技術調査 ユースケース開発における 手段を調査、目処付けする AIファーストGの役割は?
  4. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 9 KTCにおける生成AI取り組み状況 • 社員が簡単に安心して生成AIを使える環境づくりを 【2023年】生成AI環境の確立

    • 生成AI活用を推進する横串組織を設立 • 全社員のAIリテラシー底上げとツールの活用を推進。システム開発事例も生まれ始める 【2024年】リテラシー向上とツール活用 • 高めたリテラシーやツールの活用経験をベースに、業務やシステムの あらゆる場所にAIをインテグレートする 【2025年】”AIファースト”を推進
  5. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 17 あえて”内製”するAIチャットの戦略的価値 コスト 全社員への普及を可能にする費用設計 計測

    全社AIリテラシーの可視化と データドリブンな活用推進施策の立案 道場/訓練所 チャットAIは生成AIシステムの要素技術を 網羅している。開発力の獲得とチームの熟練 業務改善プラットフォーム 業務改善機能の全社デリバリー基盤として活用 今後はMCPクライアントとして発展
  6. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 18 理由① コスト:”全社員に即日配れる”費用設計 ◆ 人数課金モデルから脱却し、利用量ベースでのコスト最適化を実現

    • 人数課金モデルは、本格的に使いこなす前に費用が先行し、全社普及を阻害する • 利用量ベースでのコスト最適化(モデル切替、キャッシュ、プロンプト改善)が可能 • まず触ってみる心理的ハードルを下げ、学習と組織的な浸透を加速させる • 1ユーザー当たりの平均コスト、1出力当たりのコスト、普及率・継続率 ただし・・・超ヘビーユーザーにおいては利用料ベースのコストがむしろ高くなるケースあり
  7. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 20 理由① コスト:”全社員に即日配れる”費用設計 APIコスト 消費Token数

    アカウント単位 のSaaS 利用量とコストが比例する 内製ツール ライト ミドル ヘビー
  8. 23 人数 生成AIリテラシー ライトユーザー ミドルユーザー ヘビーユーザー 現在 • 生成AI活用推進の活動を経て、社内のミドル ユーザー層が増加

    • 某SaaSではミドルユーザーの業務課題を解決 するのが難しい場面が増えている • ヘビーユーザーは専門ツールの利用を開始 某SaaS 某SaaS が最適ではない 領域特化有料SaaS① 領域特化有料SaaS② 少し脱線:ツールのポジショニングを考える
  9. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 25 あえて”内製”するAIチャットの戦略的価値 コスト 全社員への普及を可能にする費用設計 計測

    全社AIリテラシーの可視化と データドリブンな活用推進施策の立案 道場/訓練所 チャットAIは生成AIシステムの要素技術を 網羅している。開発力の獲得とチームの熟練 業務改善プラットフォーム 業務改善機能の全社デリバリー基盤として活用 今後はMCPクライアントとして発展
  10. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 26 理由② 計測:”測れる”から”伸ばせる” ◆SaaSでは困難な、詳細な活用ログに基づくデータ駆動のアプローチ •

    既製SaaSは詳細なログ取得が困難で、価値や浸透度の判断が難しい • 部署別MAU/DAU、プロンプト傾向、成功アシスト率まで精密に観測可能 • 計測→可視化→介入→効果検証 のサイクルを高速化できる • 計測指標例: MAU、DAU、部署別利用率、機能別利用率・・・
  11. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 27 あえて”内製”するAIチャットの戦略的価値 コスト 全社員への普及を可能にする費用設計 計測

    全社AIリテラシーの可視化と データドリブンな活用推進施策の立案 道場/訓練所 チャットAIは生成AIシステムの要素技術を 網羅している。開発力の獲得とチームの熟練 業務改善プラットフォーム 業務改善機能の全社デリバリー基盤として活用 今後はMCPクライアントとして発展
  12. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 28 理由③ 道場/訓練所:内製は”最強の研修環境” ◆AIアプリの基本要素を、実践的な開発を通じて手の内化する •

    チャットはAIアプリの基本形(プロンプト制御、ツール呼び出し、ストリーミング、マルチモデル対応…) • 社内でいち早く新しい技術を試すプレイグラウンドPJとして活用することができる • 機能開発のプレイグラウンドだけでなく、開発手法のプレイグラウンドとしても活用可能 • 価値の高い取り組みは、全社施策へとつなげていく VibeCodingの取り組みが先行していたAIアプリの 開発チームの知見を活用して、全社施策へ!
  13. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 29 あえて”内製”するAIチャットの戦略的価値 コスト 全社員への普及を可能にする費用設計 計測

    全社AIリテラシーの可視化と データドリブンな活用推進施策の立案 道場/訓練所 チャットAIは生成AIシステムの要素技術を 網羅している。開発力の獲得とチームの熟練 業務改善プラットフォーム 業務改善機能の全社デリバリー基盤として活用 今後はMCPクライアントとして発展
  14. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 30 理由④ プラットフォーム:業務機能の全社デリバリー基盤 ◆社員が日常的に使う場所に、業務改善ツールを迅速かつ安全に届ける •

    便利なツールほど”配り方”が大変(認証、権限…) • 全社員の共通動線であるAIチャットに、業務アプリやエージェントをアドオンで提供 • 出張申請、評価支援、規定検索RAG、各種問い合わせ対応のチャットBotなど • 全社共通MCPクライアントアプリとすることで、今後さらに発展が見込める
  15. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 31 あえて”内製”するAIチャットの戦略的価値 コスト 全社員への普及を可能にする費用設計 計測

    全社AIリテラシーの可視化と データドリブンな活用推進施策の立案 道場/訓練所 チャットAIは生成AIシステムの要素技術を 網羅している。開発力の獲得とチームの熟練 業務改善プラットフォーム 業務改善機能の全社デリバリー基盤として活用 今後はMCPクライアントとして発展
  16. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 33 LLM 自体の能力 言語能力、計画能力、指示に従う厳格さ など

    コンテキスト 外部処理 独自ナレッジ 生成AIが学習していない 社内独自データの用意 ツール LLMが呼び出す 外部ツールの用意 LLMを業務で活かすためには?
  17. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 34 LLM 自体の能力 コンテキスト 外部処理

    独自ナレッジ ツール ✓ ベンダーロックなく 複数LLMを利用可能 内製AIチャットに含まれる機能 Azure OpenAI Gemini Claude Bing Search ✓ 社内ドキュメントは Confluenceに 蓄積されている ✓ 最新情報はWeb検索 ✓ 誰もが使うプロンプト の共有・再利用
  18. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 36 (補足)MCPとは Model Context Protocol

     各生成AIモデルが、外部ツール、データソース、サービスと標準化された 方法で通信し、アクセスするためのルール (プロトコル) What is Model Context Protocol (MCP)? How it simplifies AI integrations compared to APIs | AI Agents That Work 従来 MCPになると
  19. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 37 (補足)MCPが解決できること ツール連携開発数がM×N から M+Nに

    AIアプリ アプリA アプリB アプリC データソースやAPI ツールA ツールB ツールC 従来 MCPになると AIアプリ アプリA アプリB アプリC データソースやAPI ツールA ツールB ツールC MCP
  20. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 38 (補足)MCPとは MCP Clients MCP

    Server MCP Server MCP Server DB 外部サービス 自作サービス /API •MCP Server : MCP (stdio、SSEなど)を介してツールを公開する •MCP Clients : 1 つ以上の MCP サーバーに接続し、ツールを検出し、呼び出す
  21. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 40 システムアーキテクチャ Azure EntraID FrontDoor

    WAF MSAL認証 VNet Subnet Container Registry Gemini Claude Container Apps Functions Durable Functions Storage Account Azure OpenAI Key Vaults Cosmos DB 社内ドキュメント SharePoint
  22. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 41 動作基盤 認証 チャットアプリ ナレッジ連携

    Azure EntraID FrontDoor WAF MSAL認証 VNet Subnet Container Registry Gemini Claude Container Apps Functions Durable Functions Storage Account Azure OpenAI Key Vaults Cosmos DB 社内ドキュメント SharePoint
  23. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 42 システムアーキテクチャ解説 • EntraID:ユーザアカウントの認証・認可(将来的にはエージェントの認証認可) •

    FrontDoor:インターネットからのトラフィックを集約&リージョン冗長化 • WAF:Webアプリケーション層の攻撃防御 認証認可と Firewall
  24. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 46 (ご参考)技術スタック フロントエンド 言語:Typescript UIライブラリ:React

    バックエンド 言語:Golang LLMアプリ開発フレームワーク:Eino MCPサーバ 言語:Python MCP:Azure Functions MCP Binding ✓ 社内知見が多い ✓ Reactは世間でも デファクトスタンダート ✓ Goroutinを使った並列処理に強い言語 ✓ 開発者のスキルセット ✓ 生成AIへのツール提供
  25. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 48 担当した機能 AI Foundry Agent

    Service Bing Search LLMにツール提供する機能 • Bing Searchを使ったWeb検索エージェントの改善 • AI Agent⇔ツール呼び出しのプロンプトチューニング • アプリデプロイのGitHubActions化
  26. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 50 AI駆動開発 アプリ開発もAIを中心に • ClaudeCode、GitHubCopilotをメインに、ほとんど開発がAI駆動開発

    • チーム個人ごとに様々なツールを利用し評価しながらチーム開発に還元 仕様 Spec Kit コーディング レビュー Claude Devin GitHub Copilot GitHub Copilot Reviewer Claude Code Review Actions Claude GitHub Copilot
  27. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 51 AI駆動開発におけるMCP利用 Claude Code Serena

    MCP ✓ LSPを使ったコード構造をLLMに渡す役割 ✓ 関数や変数の参照関係を確実に取得できる deep wiki MCP ✓ GitHubリポジトリのドキュメントにアクセス ✓ SDKなどのドキュメントを参照した正しい実装へ。 playwright MCP ✓ Webアプリの構造に基づいて操作 ✓ E2Eテストなどで利用 など…
  28. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 52 実験場 変化が激しい領域ならでは。社内向けだからできる”実験場” • 人材目線:生成AIプロダクト開発の実体験ができる実験場

    • 技術目線:新しい技術を取り入れて評価し、開発チームやプロダクトに還元する 生成AIアプリ開発 に入門 実験場 新技術の評価 新LLM 新サービス 新ツール 新概念
  29. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 53 チーム文化 チームオンボーディングのしやすさ • AI駆動開発で

    AI CoderとAI Reviewerがいることで みんなでAIを囲みながら仕事している感覚 • 毎日もくもく会で一つのタスクをチームメンバで囲んで 作業することで、チームの一員になりやすい 心理的ハードル&技術的ハードル
  30. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 55 まとめ • 生成AIの社会実装のためには、生成AIアプリ開発の実践経験が重要 •

    社内向けチャットアプリを道場/訓練所として、 ”生成AIプロダクト経験”と”最新技術手の内化”を進めることで、 変化の激しい分野において、変化に追従しながらスピード感をもっ てプロダクト開発ができる • 今後は、社内MCPクライアントツールとしても進化します