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研究データ管理と日本の大学

 研究データ管理と日本の大学

第5回勉強会
スピーカー:青木 学聡(京都大学情報環境機構)
日時:2016年10月19日(水) 18:00-19:30
場所:京都大学iCeMS 2階展示室

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  1. 簡単な自己紹介 • (2000.3~) 各種研究員/産学官連携助手等 • ナノ加工・製造プロセスの計算機シミュレーション • (2007.2~) 京都大学工学研究科附属情報センター 兼

    電子工学専攻 講師 • 研究科レベルの情報インフラ整備 • 情報セキュリティポリシー実装 • 論文データベース • 入試・学部成績データ分析基盤 • 研究データ保存システムの検討, プロトタイプ(2015.12~) • (2016.3~) 情報環境機構 兼 学術情報メディアセンター 准教授 • 研究支援部門として, 全学的なITCの設計・導入・運用 • スーパーコンピュータシステム (2016.10 更新, 稼働) • 汎用コンピュータシステム(2016.12 更新, 稼働) • データセンター, ハウジングサービス • 全学レベルの研究データマネジメントにも関与を始める 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  2. 特色ある学術データベース(1) • 貴重資料画像(図書館機構) • http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/ • 研究資源アーカイブ(博物館等) • http://www.rra.museum.kyoto-u.ac.jp/ •

    KEGG: Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (化学研究所) • www.genome.jp/kegg • World Data Center for Geomagnetism, Kyoto (理学研究科) • http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/index.html • 地域研究統合DB • http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/database/ • Etc. etc… 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  3. 特色ある学術データベース(3) • KEGG: Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes •

    www.genome.jp/kegg • バイオインフォマティクス情報のキュレーションとDB化 • DBと共にHPCリソースも提供 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  4. 「学術領域の発展と社会貢献」 のための研究データ管理の視点 • 主にコミュニティレベルで多大な労力, 時間をかけて醸成 • 自発的な取り組みであるため, 高い専門性とデータ利活用を実 現 •

    持続的な発展が大きな課題 • 大学側から見れば、全容を把握できていない状況 • 大学としての「コンテンツ発信力」が今後さらに重要視されるのか? • 現行の運営からすれば • 苦しいから何とかサポートがほしい • 余計な手出しは無用 と相反する思いがあるのでは・・・ 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  5. 「研究データ管理」の多義性 • 「研究公正とコンプライアンス」のため • 「オープン(データ)サイエンス」促進のため • 「学術領域の発展と社会貢献」のため • 主にコミュニティレベルで多大な労力, 時間をかけて醸成

    • 自発的な取り組みであるため, 高い専門性とデータ利活用を実現 • 持続的な発展が大きな課題 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  6. 研究公正のためのデータ保存 京都大学での対応 • 2014(H26)年度 • 8月: 文部科学省「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」 • 2月:「京都大学における公正な研究活動の推進等に関する規程(※)」 •

    教職員, 部局, 全学の役割, 責任の確認. 研究データ一定保存義務 • 3月: 日本学術会議「科学研究における健全性の向上について」 • 2015年度(H27)年度 • 7月: 「(※)の研究データの保存、 開示等について定める件」 年度内に管理方針, データ保存計画を, 部局毎に制定 • 2016年度(H28)年度 • 部局ごとに決定した管理方針, データ保存計画を元に行動中 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  7. 工学研究科の対応 https://www.t.kyoto-u.ac.jp/adm/bc/guide/kenkyu/researchdata 原著論文の取扱い(博士論文も大体同じ) • 論文を発表した場合、その根拠となる研究データを電子化し、工学研究科研究デー タ保存システムにアップロードして10年以上保存する。 • 保存する研究データの収集、整理、保存は、論文の著者のうち、代表著者又は代表 著者から委任された教職員、研究員が行う。 •

    保存すべき研究データの範囲は、監督者又は監督者から委任された論文著者が判断 する。 • 保存は、論文が受理されDOIが付与されたとき(DOIが付与されない論文については 受理されたとき)から、出版(又は電子的に公開)されるまでの期間に行う。 • 教職員、研究者が異動等により転出するときは、監督者に工学研究科研究データ保 存システム内にある保存データへのアクセス権を移管し、保存論文のリストを引き 継ぐ。また異動する研究者は移管後に保存データを消去・改変してはならない。 研究室の日常におけるデータ管理の提案として「研究室におけるデータ保全の心 得」も併せて提示 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  8. ダークアーカイブ型データ保存システム • 2016.12 の汎用コンピュータ更新に合わせ, 「情報ライフサイク ル管理」のソリューションを導入 • 研究データに限らず, 多くの電子的文書の長期保存を可能に •

    大容量光ディスクを用いたアーカイブシステム (500Tbyteからスタート) • エンタープライズコンテンツ マネジメントシステム(ECM)上 で操作 • 研究データ管理の観点からすれば あくまでも「研究者・組織の保険」 の扱い, 「オープンデータ」とは 異なる意味合い HDD storage Archival Disc Storage Light Archive Dark Archive (hidden from user) Index in AD Dark Archiving Entire Research Data & Metadata “Dark archive” command Upload Download Enterprise Contents Management System Update Revisioning User 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  9. 「研究公正とコンプライアンス」 のための研究データ管理の視点 • データの長期保存 • ルール(policy)が先行, 現実的な実施手順(procedure)の策定と実 施(deployment)が後追い • Procedure

    は部局毎に制定, 大学全体として提供するシステムと スペックが合致するか, これからすり合わせ. • 残念ながら「ほとんどが死蔵されるデータ」? • 研究者個人, 限られた研究グループ内で保持するバックアップ最終手段 • 最悪の場合(研究公正にかかわるインシデント)への備え 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  10. 「研究データ管理」の多義性 • 「研究公正とコンプライアンス」のため • データの長期保存 • ルール(policy)が先行, 現実的な実施手順(procedure)の策定と実施 (deployment)が後追い •

    「オープン(データ)サイエンス」促進のため • 「学術領域の発展と社会貢献」のため • 主にコミュニティレベルで多大な労力, 時間をかけて醸成 • 自発的な取り組みであるため, 高い専門性とデータ利活用を実現 • 持続的な発展が大きな課題 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  11. 「研究のオープン化」: 英国の例 • ほとんどの研究資金配分機関(Research Council)が • 論文のオープン化 • 論文データのオープン化 を義務化

    • Data Curation Center のwebより http://www.dcc.ac.uk/resources/policy-and-legal/overview-funders-data-policies 影響が大きいのはEPSRCの要請 EPSRCは自身のデータレポジトリ, データセンターを持たない ↓ ・コミュニティが整備する ・出版社が整備する ・機関が整備する 等何らかの方法で「データを accessibleにしないといけない」 Arts and Humanities Biotech. & Biological Cancer Research Eng. & Phys. Economics & Social Medical Research Natural Environment Science & Tech. Facilities 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  12. UK Budget Timeline for Research Councils https://www.timeshighereducation.com/news/uk-research-council-budgets-2019-20-revealed Hefce: higher education

    funding council for England, 大学運営費交付金に相当する資金を配分する機関, ここではそのうちの「研究交付金」の部分 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/062/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2014/11/18/1353540_2.pdf 英国での科学研究予算規模, RC担当分で2,700百万GBP ~= 3,400億円 (科研費が約2,300億円) Arts and Humanities Biotech. & Biological Eng. & Phys. Economics & Social Medical Research Natural Environment Science & Tech. Facilities 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  13. 研究データオープン化に必要な概念 • 研究データ管理 (Research Data Management) • 研究計画立案時に, データの取扱いについても説明する必要がある •

    機関データレポジトリ • 論文に限らず, 論文中に掲載されたデータや観測データセットなどをレ ポジトリに登録, 公開するための基盤 • 既に研究分野毎に決まったレポジトリがあるならばそれを利用しても よい 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  14. EPSRC の requirements (1) • Time Limits • (公開された研究に対する)データに対し, それへのアクセス方法と付随

    するメタデータを公開する事(原則12カ月以内), DataCite といったメタ データディレクトリなどを活用するとよいとも. • Data Plan (データ管理計画) • 今のところ申請時に作成を要求しないが, 採択された課題については制 定することを求める • Access/Data Sharing • 出版物に対しては自由に利用できるようにする. また出版物中に記載さ れるデータの入手方法を合わせて記述する事 • 研究機関は, (非公開とすべき内容も含め), データの所在をアクセス制 限について説明を行うこと • デジタル化された研究データは堅牢な(robust)IDを付して管理する事 (遠回しにDOIの利用を進めている) 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  15. EPSRC の requirements (2) • Long-term Curation • 機関は保管したデータと適切に分類, 整理しアクセシビリティを確保す

    ることが望ましい • 機関は以下の期間当該データを保管しなければならない • 研究者の「独占的なアクセス」終了後10年間 • あるいは, 研究者以外の第3者から閲覧を受けた最後の日から10年間 • Monitoring • EPSRCはデータの保管状況を都度モニターする. データの共有の妨げと なる行為が発見された場合, 適切なペナルティを与える権利を有する. • Guidance • データ管理方針については, JISC, DCC, Information Commissioner‘s Office がサポートを依頼する 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  16. EPSRC の requirements (3) • Repository • EPSRC はレポジトリを準備しない, 研究者は機関レポジトリか,

    学術分 野ごとに構築されたレポジトリを適宜利用する事 • Data Centre • EPSRC はデータセンターを持たない. 研究機関が研究データを適切に保 管する事 • Cost • Publication fee は研究費に含むことができる 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  17. ESRC の requirements (1) • Time Limits • 公開された出版物は出版後ただちにレポジトリに預けられなくてはな らない

    • 関連するデータは研究終了後3カ月以内に再利用可能な状態, かつ/また は適切な状態でアーカイブされなくてはならない • Data Plan • 研究申請時にデータ共有を含む研究データ管理計画(9項目)の提出が要 求されます • Acccess/Data sharing • 出版物の情報はESRC research catalogue に記載される • 研究データは適切な時期に適切な方法でもって, 研究コミュニティ間で 利用可能とされなくてはならない. そのためのデータサービスを利用で きる 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  18. ESRC の requirements (2) • Long-term Curation • ESRC 資金での研究者は,

    既存の標準的なデータ管理方針に従って, デー タを再利用可能な状態として保存する事が期待される. ESRCのデータ サービスプロバイダは責任をもって, これらのデータの長期間保存を行 う. • Monitoring • ESRCはデータ管理ポリシーの適合状況をモニターする. 事前の合意な しに, 研究データの保存が行われなかった場合, 研究資金の支払いを停 止することもある. • Guidance • Data centre スタッフがデータ管理計画の策定の補助, 並びに研究期間 の前後を通じてデータの保管, 再利用についてサポートを行う 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  19. ESRC の requirements (3) • Repository • ESRC は Research

    Catalogue データベースを運用しており, 研究者はこ れにデータを登録することができる • Data Centre • ESRC はUK Data Service (http://ukdataservice.ac.uk) プロバイダにおい て, 研究終了後のデータ管理, 保管を行う • Costs • 出版, データの公開に関わるコストの負担は機関の裁量にある. 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  20. Data Management Plan (DMP) • 研究計画時に, データをどのように収集, 保管, (公開)するかを説 明する

    • ESRCの場合 http://www.esrc.ac.uk/files/funding/funding- opportunities/research-grants-open-call-je-s-guidance/ • Assessment of existing data (新しいデータセットを作る必要がありますか?) • Information on new data (新しいデータとはどのようなものですか?) • Quality assurance of data (データの品質はどのように保証しますか) • Back-up and security of data (バックアップとセキュリティはどのように確保しま すか?) • Expected difficulties in data sharing (データを公開共有する場合, 問題点はありま すか? 倫理的な問題や個人情報等) • Copyright/Intellectual Property Rights (著作権, 知財はだれに属しますか?) • Responsibilities (データ管理の責任体制は? メタデータの付与や, 共有許可なども 含む) • Preparation of data for sharing and archiving (Social Data Service にデータを登録す る具体的な手順は?) • Other Issues 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  21. 日本は? • JSTが進めようとしている • 戦略的創造研究推進事業におけるデータマネジメント実施方針 http://senryaku.jst.go.jp/teian/koubo/data_houshin.pdf • H28年度より開始する • CREST

    • さきがけ • ERATO • ACCEL のうち, データの公開・活用が重要と判断される領域について研究データのオープ ン化を行う • 採択された課題に対してDMPを作成, JSTに提出 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  22. Edinburgh University の取り組み (1) • http://www.ed.ac.uk/information-services/research- support/data-management • 先ほどのDCCの母体 •

    研究データ管理のベストプラクティスの1つ • 2014年の図書館総合展フォーラムでの Stuart Lewis 氏の発表 (対訳付き)を始め, 多くの事例紹介, 調査報告あり. http://id.nii.ac.jp/1280/00000019/ • 簡単にどのようなICTサービスを提供しているかを改めて整理 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  23. Edinburgh University の取り組み (2) • “A guide to the Research

    Data Service” ( http://edin.ac/1Y5k8xf ) • 研究ステージ毎に利用できるICTを簡潔に紹介 1ページ1機能, 16ページ • Before • During • After • (Training & Support) 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  24. A guide to the Research Data Service (1) • Before

    • DMPonline (https://dmponline.dcc.ac.uk/ )による研究データ管理プラ ン作成支援 • Finding & analysing data: • データ検索に関するコンサルティング • オンラインデータ解析サーバー(http://stats.datalib.edina.ac.uk/sda/) の紹介 • During • ネットワークストレージ • DataStore: SMB, NFS等で利用するネットワークドライブ. 教員, 大学院生に0.5Tbyte/人を無償で提供. • DataSync: Dropbox のようなクラウド型ファイル共有サービス. DataStoreの一部(20Gbyte)を切り出して利用. クライアントPC間のデータ同期, グループ間のファイル共有で利用 • バージョン管理: ソフトウェア開発用に subversion レポジトリ 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  25. A guide to the Research Data Service (2) • After

    • PUREによるデータ保存: 研究者総覧と機関レポジトリを合わせたよう な仕組み. http://www.research.ed.ac.uk/portal/ から • 人 • 研究プロジェクト • 研究成果(主にOA論文) • その他研究活動(受賞等) 等をメタデータと共に登録, コンテンツを(利用者の選択により)公開 • DataShare (http://datashare.is.ed.ac.uk/): 機関データリポジトリ. PURE よりもオープンサイエンスを志向した構造 • DataVault: 主にPUREの登録データを(メタデータごと)長期保存する 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  26. A guide to the Research Data Service (3) • Training

    • MANTRA(http://datalib.edina.ac.uk/mantra/): • 研究者(学生含む)向けのデータマネジメントe-learningテキスト • MOOC • https://www.coursera.org/learn/data-management にてオンライン学習コースを 開講 特に, 若手研究者, 大学院生に対する情報リテラシ教育として普及に注力 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  27. 「研究データ管理」の多義性 (「オープン(データ)サイエンス」の視点) • 「研究公正とコンプライアンス」のため • データの長期保存 • ルール(policy)が先行, 現実的な実施手順(procedure)の策定と実施 (deployment)が後追い

    • 「オープン(データ)サイエンス」促進のため • 現在「研究データ管理」といえば, おそらくこの部分が中心 • ファンドの要請に従い, データ管理プランを作成, 実施 • 十分な研究インフラの提供(大容量ストレージ, 機関データレポジトリ) 機関の体力勝負 • 「学術領域の発展と社会貢献」のため • 主にコミュニティレベルで多大な労力, 時間をかけて醸成 • 自発的な取り組みであるため, 高い専門性とデータ利活用を実現 • 持続的な発展が大きな課題 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  28. 「全学的=ロングテール」 • 「オープンデータ化」が必須事項となった場合・・・ • 全学=(全教職員, 学生)に等しい基盤システムの導入 • 可能な限りメンテナンスフリー, 汎用的な仕組みが低コストで必要 “The

    majority of datasets produced through research are part of the ‘Long Tail of Research Data’” Quelle: Humphrey C (2014): OpenAIRE- COAR Conference, Athens From “Establishing a generic Research Data Repository: The RADAR Service”, by Dr. Angelina Kraft, TIB at DI4r (https://www.digitalinfrastructures.eu/content/establishing-generic-research-data-repository-radar-service) 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  29. ドイツの事例: RADAR project (1) Goal: Establish a interdisciplinary repository for

    - archival of (digital) research data as a generic service - trustworthy preservation & traceable publication Focus: „Long Tail“ – Repository for specialized research disciplines, addition to big data archives Duration: September 2013 – August 2016, project funded by German Research Foundation System: Provided by FIZ Karlsruhe, KIT and TIB – Coming soon… in 2016 Info: http://www.radar-projekt.org Service: http://www.radar-service.eu From “Establishing a generic Research Data Repository: The RADAR Service”, by Dr. Angelina Kraft, TIB at DI4r (https://www.digitalinfrastructures.eu/content/establishing-generic-research-data-repository-radar-service) 信頼性の高い研究データアーカイブの共同開発 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  30. ドイツの事例: RADAR project (2) From “Establishing a generic Research Data

    Repository: The RADAR Service”, by Dr. Angelina Kraft, TIB at DI4r (https://www.digitalinfrastructures.eu/content/establishing-generic-research-data-repository-radar-service) 研究データライフサイクル上の位置づけ 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  31. ドイツの事例: RADAR project (3) Services: • Basic service: Archival Storage

    • Extended service: Data Publication Furthermore: • Data Life Cycle support • REST API for clients (customizable) • Interoperability & cross-linking of published datasets via API: DataCite, ORCID & others • Optional Peer-Review support • Statistics on downstream data use Prices: • 500 € annual fee + 0,39 € GB data volume per year (net price) ビジネスモデル From “Establishing a generic Research Data Repository: The RADAR Service”, by Dr. Angelina Kraft, TIB at DI4r (https://www.digitalinfrastructures.eu/content/establishing-generic-research-data-repository-radar-service) 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  32. 京都大学では何を整備するか? (青写真) • University of Edinburgh +α のものを目指すのであれば・・・ • 研究者,

    大学院生が自由に利用できるクラウドストレージ • アクティブな研究での学内外とのシームレスなデータ共有並びに協働環境 • 2種類の機関データレポジトリ • 教員の裁量で自由にデータを公開できるレポジトリ • 図書館が運営する機関レポジトリ(KURENAIがかなり近づいている) • 高度な専門性, ユーザビリティが要求される, 正しく整理された学術レポジトリ • 既存の学術レポジトリとの連携・漸進的な統合 • 研究コミュニティの核となる先進的なデータレポジトリの構築・提供 • データキュレーション, ビジュアライゼーション, アナリシス技能の飛躍的な拡大 • 効率的なコンテンツ配信プラットホーム • 動画, 静止画, 地理情報・・・ • アーカイブストレージ, 教員総覧(京都大学研究活動DB)との連携 • カバレッジ, 評価方法の確立 • 当然コスト, 組織構成等課題は多い 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  33. 全学研究データマネジメントへの取り組み(1) 「多様な学術研究活動を育む全学研究データマネジメント環境 構築事業」(学術情報メディアセンターからの全学経費要求) 参加者: • 情報環境機構 ▪▪▪ • 研究推進部研究推進課 ▪

    • 学術研究支援室 ▪▪ • 附属図書館 ▪▪ • 総合博物館 ▪ • 学術データレポジトリ運用者 ▪ • 他研究者有志▪ ミッション: 大学における学術研究のライフサイクルに沿った研究データの蓄積・共 有・公開および長期保管に必要な研究データマネジメント環境に求めら れる要求要件のとりまとめ 「コンプライアンス」 「学術領域の発展と社会貢献」 来るべき 「オープンデータ化」 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  34. 全学研究データマネジメントへの取り組み(2) 活動内容 • 京都大学オープンサイエンスデータプロジェクトを組織化,定期会 合 (1)利用者としての研究者 (2)関係する全学支援組織である学術研究支援室・研究推進部研究推進 課・附属図書館・博物館, (3)システム構築・運用組織(情報環境機構) •

    学内調査 • 研究者アンケートを実施(11月頃) • 海外調査 • 米国(8月下旬,10月下旬) • 欧州(9月下旬) • 国内調査 • 研究助成団体 • 日本学術振興会(JSPS),科学技術振興機構(JST),情報通信研究機構(NICT)など • 大学の枠を超えたあり方 • 国立情報学研究所(NII) など 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  35. まとめに代えて • 京都大学における研究データ管理の現状を • 「コンプライアンス」 • 「オープンデータ化」 • 「自由な知の表出」 に分類し,

    それぞれの要件を検討. • いずれは, 「オープンデータ」という大きな概念として, ポリ シー, 手順, システム等が集約されていくと考え, 準備を進める. • オープンデータ義務化は大学全体のICTインフラの底上げに直 結. 各組織が十分なサポート体制を構築できるかが課題 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  36. (宣伝)大学ICT推進協議会(AXIES)年次大会で研究 データマネジメントのセッションを開催します • 日時: 2016年12月14, 15, 16日 (本セッションは16日13:00-を予定) • 会場:

    国立京都国際会議場 • エジンバラ大学図書館 Dominic Tate 氏の招待講演 「Research Data Management in Europe, UK ant the University of Edinburgh」 • 「京都大学における全学研究データマネジメント環境構築事 業」中間報告 • 他 EDUCAUSE CEO, John O’Brien 氏による基調講演など 詳細は http://axis.jp/ja/conf/conf2016 にて 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)
  37. 謝辞 資料作成に当たり • 京都大学「多様な学術研究活動を育む全学研究データマネジメ ント環境構築事業」の支援を受けました. • 国立情報学研究所の山地一禎 准教授, 船守美穂 准教授には米国,

    欧州の研究データ管理の現況についてご指導, 助言をいただき ました. • 快く調査に応じてくださった Univ. of Edinburgh の • Kevin Ashley 氏 • Dominic Tate 氏 • Tony Mathys 氏 • Robin Rice 氏 • Anthony Weir 氏 に感謝いたします. 青木学聡, “研究データ管理と日本の大学” 第5回KYOTOオープンサイエンス勉強会 (2016/10/19)