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masashiokawa
February 04, 2022

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February 04, 2022
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  1. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 1 自己紹介

    TIS(SIer、業務・マネジメントコンサル) →三菱総合研究所(経営・戦略コンサル→官公庁シンクタンク) →現職 ウイングアーク1st(株) エヴァンジェリスト/「データのじかん」主筆 デジタル化による産業・企業構造転換 製造業のデジタルサービス開発 Specialty_ Career_ Regular work_ External work_ ⚫ 内閣府 SIP My-IoT開発プラットフォーム メンバー ⚫ 東京商工会議所 ものづくり推進委員会 学識委員 兼 専門家WG 座長 東京の将来を考える懇談会 学識委員 ⚫ ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI) 中堅中小AG ⚫ Garage Sumida研究所 主席研究員 ⚫ FACTORY ART MUSEUM TOYAMA DXエヴァンジェリスト ⚫ 明治大学 サービス創新研究所 客員研究員 ⚫ デジタルハリウッド大学大学院 デジタルヘルスラボ 客員講師 ⚫ イノベーションコンサルファーム i.lab シニアビジネスデザイナー ⚫ フィンランド発デザインファーム Reaktor Japan 戦略アドバイザー 他 会社(データのじかん)の業務 経済団体・官公庁の相談相手 民間企業のアドバイザー
  2. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 2 関連実績

    東京商工会議所 「ものづくり企業の現状・課題に 関する調査」(2017-2018) 東京商工会議所 「ものづくり企業の現状・課題に 関する調査」(2020) 東京商工会議所 「スマートものづくり実践事例 集」(2018-)
  3. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 3 関連実績

    経済産業省 クリエイティブ産業課 「第4次産業革命クリエイティブ研究会」 (2016-2017)事務局 明治大学サービス創新研究所 創造的グループ思考「交流制約法(T-COM)」
  4. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 本日の内容 ⚫

    出来る限り、主義・主張・ 結論めいた事は話さないよ うにします。 ⚫ 事実や事例を列挙していく ので、ご自身でいろいろ思 いを巡らせてもらえたら嬉 しいです。 ⚫ ひとつでも心に引っ掛かる 事が残れば幸いです。 私見 ものづくりの現状 私見マスイノベー ション事例 私見マスイノベー ションとコミュニ ティ
  5. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. ものづくり白書とダイナミック・ケイパビリティ 6

    • 不確実性の高い世界では、環境変化に対応すべく組織内外の経営資源を再結合・再構成する経営 者や組織の能力(ダイナミック・ケイパビリティ)が重要。 • 従来のIT化=オペレーション・管理・ガバナンス、デジタル化=変化の感知・捕捉・変容 • 2年連続で「ものづくり白書」に取り上げられる 出所:経済産業省「2020年版ものづくり白書」より講演者作成
  6. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. (参考)製造業データ活用の二極化 7

    データ収集を行う製造業は減少傾向 5年前は2/3がデータ収集 → 現在は半数 設備の稼働状況等のデータ収集を行っているか データ活用を行う製造業は増加傾向 データを取った企業は活用の範囲を広げている 個別工程の機械稼働状態「見える化」を行っているか 「ライン・製造工程全般」「人員の稼働状態」も同じ傾向 出所:経済産業省「2020年版ものづくり白書(令和元年度ものづくり基盤技術の振興施策)」より講演者作成
  7. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 東京23区ものづくり企業の課題と取り組み •

    課題:顧客開拓や新事業・新市場への進出など販売・マーケ関連が上位を占める • デジタル化の目的:既存業務効率化をはじめ現場業務の負荷軽減が上位を占める • 現状の課題に対して取り組むべきデジタル化のテーマが違っている 0% 10% 20% 30% 40% 新規顧客との 接点・営業 既存顧客との 接点・営業 新たな分野への 進出 生産コストの 削減 人材の育成 (技能の伝承) 自社をPRする 活動 課題と感じている分野 0% 20% 40% 60% 80% 既存業務の 効率化 従業員の働き やすさ向上 QCDの改善 人手不足の 解消 社内コミュニケー ションの促進 販路の拡大 デジタルツールを導入した 目的・きっかけ 8 出所:東京商工会議所「ものづくり企業の現状・課題に関する調査」(2020年12月)
  8. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 東京23区ものづくり企業の製品企画開発の現状 •

    「製品のほとんどを自社で企画・開発」が37.6% • 「顧客の指示に基づき生産・加工」も含め、企画・開発機能を有する企業は62.8% • 企画・開発に関与し少量生産に対応する事が東京のものづくりの特徴 9 出所:東京商工会議所「ものづくり企業の現状・課題に関する調査」(2020年12月)
  9. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 出所:東京商工会議所「ものづくり企業の現状・課題に関する調査」(http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=115010)より講演者作成 想定外の効果「やってみないとわからない」

    10 • デジタルツール導入前の期待効果と導入後の効果は異なる。 • ツール導入→データ化→可視化共有→社内外コミュニケーション活性化→生産性向上 • 想定外の効果を認識する能力が必要である。
  10. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. クリエイティビティと日本 11

    • 社会・産業構造にクリエイティブを組み込めていないのではないか • 社会・産業構造の傍流(各種現場や非主流産業や非産業)は創造的だが、 それをクリエイティブと認識していないのではないか Source: Adobe Systems”STATE OF CREATE 2016” 「クリエイティビティは付加価値向上や 競争優位の源泉になる」 「自分たちはクリエイティブである」 が5か国で最も少ない 他4か国からは最もクリエイティブと認識 される
  11. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 私見 マスイノベーション事例

    ニューヨーク5番街 1990年→1913年 “マスイノベーションとは「正解がないタイプのイノベーション、やってみ ないとわからないタイプのイノベーション」”(出所:本講義シラバス)
  12. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. アルミ加工:フジタ(富山県高岡・16名) 13

    • 町工場に良い印象なく入社し、一貫してIT化・カイゼン活動を推進してきた。 • 社長就任後、製造業の将来性への不安から新しい事をしなければならないと決意 出所:経済産業省/RRI共催「ものづくり中小企業DXフォーラム」( https://www.youtube.com/watch?v=F7H13kNcLbw)より講演者作成
  13. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. アルミ加工:フジタ(富山県高岡・16名) 14

    • クラウドファンディングでファクトリーアートミュージアム富山を設立 • 同ミュージアムで哲学カフェ(ワークショップ)を開始 • 哲学コンサルティングの会社を創業 出所:経済産業省/RRI共催「ものづくり中小企業DXフォーラム」( https://www.youtube.com/watch?v=F7H13kNcLbw)より講演者作成
  14. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 板金加工:浜野製作所(墨田・48名) •

    浜野製作所は、2000年の工場全焼の後、新分野に次々に挑戦 • 墨田区産官学連携「電気自動車HOKUSAI」、学生向け就労体験「アウトオブキッザ ニア」、NHK「魔改造の夜」などを通じてファン拡大、自社事業拡大を行っている 出所:浜野製作所(http://hamano-products.co.jp/)
  15. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 板金加工:浜野製作所(墨田・48名) •

    Garage Sumidaは、ハードウエアスタートアップや新事業でものづくりをする人や 組織を支援するサービス • 工場構内にあり、ものづくりのプロがスピード感をもって構想・試作・量産の各 フェーズをサポートする 出所:Garage Sumida( https://garage-sumida.jp/)
  16. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 鋳造業:能作(富山県高岡) •

    「見せる工場」、鋳造体験、カフェを設置。観光宿泊プランも打ち出す 出所:能作(https://www.nousaku.co.jp/)
  17. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 医薬品研究受託会社勤務:三木さん 18

    • 生化学実験業務に従事し「予期せぬトラブルで夜間に停止する」という悩みを抱えプロトタイプ専 門スクールに入学し、卒業制作にて「Lab-Cam」を開発しクラウドファンディングに成功。副業で 起業した。 出所:BOOSTER( https://camp-fire.jp/projects/view/211754 )より講演者作成
  18. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 金属加工:ワールド山内(北海道・100名) 19

    • 社長とデジタル担当者の2名体制で、自前・超格安のデジタルファクトリーを構築した。 • 生産管理・受発注在庫管理・設計図面管理の各システム、作業標準と標準LT、工場中にカメラ設置 • VE/VA提案を行い、発注者と対等な地位を確立。今後、加工行為自体をデジタル化する方針。 出所:ワールド山内webサイト(http://www.world-yamauchi.co.jp/)より講演者作成
  19. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. きゅうり農家:小池さん 20

    • エンジニアだった小池さんが実家のきゅうり農家に戻りAIを使って等級判定ツールを開発 出所:Google Japan Youtube動画(https://www.youtube.com/watch?v=XkKxSAb4EAw)より講演者作成
  20. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 事例:きゅうり農家1号機 21

    出所:slide share(https://www.slideshare.net/ikemkt/ai-119187344)より講演者作成
  21. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 事例:きゅうり農家2号機 22

    出所:slide share(https://www.slideshare.net/ikemkt/ai-119187344)より講演者作成
  22. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 事例:きゅうり農家 Pivot

    23 出所:slide share(https://www.slideshare.net/ikemkt/ai-119187344)より講演者作成
  23. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 事例:きゅうり農家3号機 24

    出所:slide share(https://www.slideshare.net/ikemkt/ai-119187344)より講演者作成
  24. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. パイプ加工:武州工業(青梅市・150名) •

    現作業場可視化・自律的改善活用の配線レス設備動作情報収集アプリ「生産性見え 太君」を開発・販売。製造業からデジタルサービス業へ踏み出した。 • 従業員が自律的に判断し主体的に働くようになり、採用・労務等でも効果あり。 25 出所:生産性見え太君(https://www.bimms-mieta.com/)より講演者作成
  25. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 中小企業のマスイノベーションに共通している事 26

    • 毎日の困り事や自分の欲求 をどうにかしたい • 欲しい物を作るのが楽しい 初期衝動 • 現地・現場・現物が起点 • 試行と修正を繰り返す • ブログや動画で勉強 方法 • 試行錯誤の結果、使わなく なる前提で安く手軽な物を 使う 必要なもの • 中長期の課題に向き合う • 「自分達で作る」が最優先 • 想定外の効果を喜べる 経営者 • 同じ辛さを痛感している同 業者への販売 • ユーザーのコミュニティ化 ビジネスモデル • 一連の業務もデータもひと つの基盤で扱える • 最適なユーザー体験を提供 プラットフォーム
  26. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. ProtoOut Studio

    31 • プログラミングと企画のスキルを兼ね備えた人材を育成する日本初のプロトタイピング専門スクール • 毎週のように技術と企画を組み合わせたプロトタイプを作成・発信し 、技術力・企画力・発信力を培う • 日本トップクラスの現役エンジニアが講師。卒業制作がクラウドファンディング。 出所:ProtoOut Studio(https://protoout.studio/)より講演者作成
  27. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 日本鋳造協会 鋳造IoTLT

    32 • IoTLTの派生で業界団体主催のLT(5分でやったことを喋る)を開催することになった。 • 同業者コミュニティの中でデジタル化の競争・共創がはじまっている。 LTタイトル 発表者 錦正工業における仕上げ工程の困りごと解決 齋藤さん@錦正工業 各種センサーで情報を収集してみた 西さん@アサゴエ工業 全社員にスマホを配布してみました 佐橋さん@佐藤鋳工 作業者を巻き込む生産データ化 財部さん@双葉 被せ前でのIoT試行錯誤まとめ 津田さん@五位堂工業 鋳造工場でEnOcean使ってみた 永森さん@錦正工業 製造データの見えるか(とりあえずやってみた) 明石さん@明石合銅 鋳物工場でラズパイでいろいろしてみた 森下さん@栗田産業 RPAを使ってCAEを自動化してみた 白江さん@光洋鋳造 出所:鋳造IoTLT(https://iotlt.connpass.com/event/140548/、https://iotlt.connpass.com/event/154347/)より作成 2022/03/08(火) 16:00 〜 18:00 鋳造IoTLT Vol.5 https://iotlt.connpass.com/event/238661/
  28. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. 青梅商工会議所 IoTハンズオン&アイデアソン

    33 • 座学+ワークショップ+アイデアソンを1日コースで開催 • 参加者はプログラム経験ゼロの中小製造業の経営者・管理職(中高年男性)・支援機関職員 • (テキスト通りに操作するのではなく)参考にするサイトの検索方法だけ教える • 2時間でセンサーデータのリアルタイムグラフ化、LINEへの通知などを実装 • 自分で手を動かした後のアイデアソンでは現実的で実用的なアイデアが多数出てきた 時間 タイトル 内容 10:00-10:15 説明 環境設定 Googleアカウント設定やネットワーク環境設定 10:15-11:00 説明 センサー種類 の説明 IoTセンサー「Webiot」の種類と仕組みの説明 実際の活用事例や想定されるユースケースの説明 11:00-12:00 説明 クラウドサー ビス概説 クラウドサービスを連携するAPIの仕組みの説明 APIサービスやIFTTTの画面を見ながら理解を深める 13:00-13:30 準備 アカウント 登録 Webiotデータ確認 Ambientアカウント登録 13:30-15:30 演習 クラウド連携 ①Webiot→Ambientグラフ作成/自動更新 ②Webiot→IFTTT→Googleシート行挿入 ③Webiot→IFTTT→LINE NOTIFYアラート 15:30-16:30 - アイデアソン 「小さな生産性向上」アイデア抽出・共有 各自で実現したいアイデアを発表・実装方法検討 16:30-17:00 説明 まとめ 自分で作っていくための方法
  29. Copyright © 2022 Masashi Okawa All Rights Reserved. ものづくりの民主化と新しいものづくり •

    個人が作ったプロトタイプが進化し、そのストーリー自体に価 値が出てきている • 市場動向や技術とは関係無く、初期衝動が希少資産になる • 従来の考え方である「ものづくり=設計情報の転写システム」 から「ものづくり工程(開発・設計・製造)自体が、非製造業 的な価値を創造する」という「メタ “製造業” のサービス化」 • 従来の製造業とはコンテクストが異なる「新しいものづくり」 が誕生している