2021年5月時点の自分の中の全体像をまとめました。 事例とかアナロジーを一切省いて客観的事実と抽象度が高い話をただただ並べただけです。 誰かに伝わればいいな、という感じです。
全体像2021/5/12大川真史
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01 0402 0503 06Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.全体ストーリー自己紹介デジタル化による産業構造転換と第四次産業革命日本の状況(イノベーション、デジタル/IT、創造性)イノベーション/DXの進め方と人材1
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 2自己紹介大川真史(おおかわまさし) ウイングアーク1st(株)【専門】デジタル化による社会・産業・企業構造転換、デジタルサービス開発(Agile・UX・コミュニティ)、製造業のサービス化⚫明治大学 サービス創新研究所 客員研究員⚫総務省 情報通信分野の研究開発の在り方に係る調査 有識者⚫デジタルハリウッド大学大学院 デジタルヘルスラボ 客員講師⚫Garage Sumida研究所 主席研究員⚫ 内閣府 SIPフィジカル空間デジタルデータ処理基盤My-IoT開発PF メンバー⚫東京商工会議所 ものづくり推進委員会 学識委員兼 スマートものづくり推進事業専門家WG 座長⚫栃木県 IoT等専門家派遣事業 専門家⚫ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI) 中堅中小AG【コミュニティ】エンタープライズIoTLT/ヘルスケアIoTLT/鋳造IoTLTM5Stackユーザーグループ同人ハードウェアMeetUpD Empowerment Lab*IoTLT:日本最大のIoTコミュニティ。メンバー1万人以上。週1回ペースでイベント開催。派生→分野別23、地域別16*M5StackUG:いま世界中で最も多くの人が開発で使うデバイス。月1以上で新製品・モジュール販売。M5StickC,M5SticV,ATOM,Core2等⚫【講演】経団連、経済同友会、日本商工会議所、経済産業省 四国経産局①/②、北海道経産局、九州経産局、中小企業大学校、NEDO、東京都庁、徳島県庁、栃木県庁①/②/③、北海道庁、埼玉県庁、各地商工会議所(東京①/②/③・大阪・名古屋・神戸・札幌①/②/③・広島・姫路・静岡・小山・三条・佐久・茅野・甲府・青梅①/②/③など延べ約20か所)、日本鋳造協会、国際半導体製造装置材料協会、電子情報通信学会、横幹連合、R&D PM学会、日本開発工学会、三菱技術フォーラム、三菱マーケティング研究会⚫【寄稿】読売新聞朝刊、日経新聞朝刊、朝日新聞朝刊、日刊工業新聞、読売オンライン(帝京大学入試問題)、WebRONZA(朝日新聞社) 、日経 Biz Gate、週刊エコノミスト、週刊東洋経済、日経コンピュータ、日経ビッグデータ(連載)、プレジデント(特集監修)、NHK徳島、Forbes Japan、GEMBA(Panasonic)、ログミーBIZ、ばんぶう、業界誌、学会誌
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 3自己紹介TISSAPコンサル三菱総合研究所経営コンサル戦略コンサル自社R&D情報発信シンクタンクウイングアーク1st調査研究社外活動岡山大学経済学部(7年3留)1993 2000 2006 2018業務コンサル•サプライチェーン管理•中期経営計画策定支援•新事業企画・遂行支援•サービス開発支援・代行•第四次産業革命の調査研究•コミュニティ•デジタルサービス開発支援
デジタル化による産業構造転換と第四次産業革命
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 5ポスト工業化社会(デジタルサービス化社会)• 現在は第4次産業革命と呼ばれる100年に1度の産業構造転換期(IT化は第3次産業革命)• 同時に工業化社会からポスト工業化社会(デジタルサービス化社会)への転換期でもある• デジタルトランスフォーメーション(DX)とはデジタルサービス化社会の到来を指す• 従来産業が消滅するのではなく新たな価値を爆発的に生み出す産業が誕生した農耕社会 デジタルサービス化社会21世紀20世紀19世紀第1次産業革命• 動力獲得• 蒸気機関• 軽工業第2次産業革命• 動力革新• 石油・電力• 重工業第3次産業革命• 自動化・省力化• 情報通信産業第4次産業革命• 自律的な最適化• クラウド/AI/IoT工業化社会
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 6第四次産業革命の2大インパクト• ①労働代替効果②差異化による利益偏在は、世界同時的に起こりはじめている。出所:経済産業省 次官・若手未来戦略プロジェクト「21世紀からの日本への問いかけ」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 7①労働代替効果による経済成長モデルの変化• 工場での労働者需要が減少し、起業に資本・技術が蓄積されないモデルに移行する。出所:経済産業省 次官・若手未来戦略プロジェクト「21世紀からの日本への問いかけ」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 8②均質化する世界と差異化による利益偏在• これまでは国境や言語で市場が分断されており、ローカル事業者が存在する事が出来た• 均質化すると世界共通プラットフォームが生まれ、差異を生み出す少数事業者に利益が偏在出所:経済産業省 次官・若手未来戦略プロジェクト「21世紀からの日本への問いかけ」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 9工業化社会の特徴生産構造の変化:分業の進展、生産性向上に伴う大量生産・大量消費都市の爆発的増加:都市での労働力需要増→農村から都市への大規模な人口移動家族構成員数の低下:共同単位での経済的生産機能の低下大衆社会の形成これらの社会の特徴が変質・消滅する可能性社会構造の変化により産業・就労構造も大きく変化
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 10工業化社会とデジタルサービス社会の違い(仮説)デジタルサービス社会(インターネット後)工業化社会(インターネット前)競争優位の源泉リソース獲得役割分担競争ポイント提供価値組織体制UX=User eXperience(ユーザー経験)技術 → 機能・製造製造設備などリソースを集積水平分業で標準化、管理高度化QCD(品質・コスト・スピード)の競争均質的・標準的な製品提供組織内の役割を果たすユーザーインサイト → UX開発案件ごとリソースを集約一人や少人数が中心となる試行錯誤と一次データ獲得最適なユーザー体験を提供初期衝動起点でユーザーと繋がるビジネスの特徴⚫ 資本やリソースを内部に集積する⚫ リソースの稼働率を上げ、効率化を図る⚫ 均質的・画一的なものを多くの人に届ける⚫ 「顧客」という提供者目線⚫ 資本集積が必須ではない「巨人の肩に上」⚫ 取り組みごとリソースが離合集散する⚫ 欲しい物が無ければ自分で作る⚫ ユーザー同士で新たな価値を生み出す企業システム
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 11DX (デジタルトランスフォーメーション)とは• 経済産業省が2018年に公開した「DXレポート」では、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムがDXを本格的に推進する際の障壁となることに対して警鐘を鳴らした• そのメッセージは正しく伝わっておらず、「DX=レガシーシステム刷新」あるいは現時点で競争優位性が確保できていればこれ以上のDXは不要である、等の本質ではない解釈が是となっていた。出所:経済産業省「DXレポート2」(2020年)より講演者作成(改めて)DXとは何か
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 12ダイナミック・ケイパビリティとは• 不確実性の高い世界では、環境変化に対応すべく、組織内外の経営資源を再結合・再構成する経営者や組織の能力(ダイナミック・ケイパビリティ)が重要。• 従来のIT化はオペレーション・管理・ガバナンスのために使われてきた。• デジタル化は感知・捕捉・変容のために活用される。出所:経済産業省 産業構造審議会「新型コロナウイルスの影響を踏まえた経済産業政策の在り方について」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 13ダイナミック・ケイパビリティとは• 既存組織が感知・捕捉・変容の能力を獲得する事は困難。両者の共存は非現実的出所:経済産業省「ものづくり白書」、産業構造審議会「新型コロナウイルスの影響を踏まえた経済産業政策の在り方について」より講演者作成感知(センシング):脅威や危機を感知する能力捕捉(シージング):機会を捉え、既存の資産・知識・技術を再構成して競争力を獲得する能力変容(トランスフォーミング):競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し変容する能力同一組織でオーディナリー・ケイパビリティとダイナミック・ケイパビリティの共存は困難【オーディナリー・ケイパビリティの職務権限】⚫ 様々な職務権限を各メンバーに帰属させる⚫ 職務権限内容が明確に規定されている⚫ メンバーが特定の職務権限を保有する期間が長い⚫ 職務権限の配分が公的に正当化されている【ダイナミック・ケイパビリティの職務権限】⚫ 職務権限を職務や地位に帰属させて人間を割り振る⚫ 職務権限があいまいに規定されている⚫ メンバーが特定の職務権限を保有する期間が短い⚫ 職務権限の配分が私的に正当化されている
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 14デジタルサービス企業の台頭(最近10年の変化)• サービス業を中心に多くの業界でインターネット後に生まれた企業がトップに。• 従来の勝ちパターンと全く異なり最適なUXと一次データで競争優位を強化し続けている。Facebook出所:各社Webサイトより講演者作成AlibabaUberAirbnb
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 15この10年間で起きた具体的な変化(主観)10年前 現在とこれから自分でサーバーを立ててシステム構築 クラウドサービスを使う主目的は作業支援(自動化・省力化) 主目的は判断支援(可視化・自律化)ベンダー独自の開発環境 開発環境はオープンな開発環境エンジニアや専門家だけが作る 多くの人が(ユーザーでも)作れる企業内に閉じたナレッジ オープンナレッジ高額な製造装置、工作機械 個人向けCNC旋盤機、レーザー加工機金融機関による間接金融 クラウドファンディング、個人間送金B2B、B2C C2C(コミュニティ)モノで価値を生み出す 経験やコトが価値になる
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 16サービスの定義から見たデジタルサービスの特徴サービス提供者のリソースを使いながら、サービスの受容者が価値と知覚する状態変化を引き起こす行為「サービス」とはサービス提供者が提供するリソースがデジタルであるデジタルサービスの特徴時間場所受容者モノ・コトヒト
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 17サービスの価値決定要因から見たデジタルサービスの特徴知覚する価値は事前期待・提供プロセス・成果品質で決まる価値の決定要因事前期待・提供プロセス・成果品質に関する活動がデジタルで行われ、デジタルで評価・改善しているデジタルサービスの特徴初回顧客認知 提供開始狭義の事前期待広義の事前期待施設、機械、環境顧客の審査提供サービス従業員の行動・姿勢技術的な工程顧客の行動・姿勢サービス領域の認知競合他社との比較営業プロセス固定観念類似サービス領域との比較サービス領域自体の評判サービスの情報提供プロセス成果品質各種リレーションシップサービスの評判広義のUX 狭義のUX提供終了
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 18事前期待マネジメントの重要性出所:諏訪良武「顧客はサービスを買っている」(ダイヤモンド,2009)、小松原 聡「価値創造の経営学」(言視舎,2013)を参考に講演者作成基本的価値差異化価値提供プロセスユーザーの認識(評価)✓ 感動的な✓ 素晴らしい✓ 自分のため✓ マニュアル✓ 当たり前顧客満足(事前期待なし)迷惑行為・余計なお世話事前期待潜在的な事前期待状況で変化する事前期待個別的な事前期待共通的な事前期待
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 19提供プロセスと成果品質とクオリティギャップ出所:ジェームス・トゥボール「サービス・ストラテジー 」(ファーストプレス,2007)を参考に講演者作成受容者の想定期待価値期待価値設計サービス(期待価値)内部事情(体制、予算、期間)設計サービスサービス提供者実際の提供サービスサービスの背景、解釈提供サービス実際の期待価値知覚価値サービス品質サービス設計者サービス受容者素早くサービス設計を修正するギャップを正しく把握する支払対価
日本の状況(イノベーション)
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 21経済複雑性指標(ECI)• MITメディアラボのセザー・ヒダルゴとハーバード大ケネディスクールのリカルド・ハウスマンが提唱した指標。日本はずっと1位• 輸出品目の複雑性→製品の複雑性→経済の複雑性出所:THE ATLAS OF ECONOMIC COMPLEXITY(https://atlas.cid.harvard.edu/)より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 22100年企業• 世界の創業100年以上企業のうち4割、200年以上企業のうち2/3が日本。• 日本は100年企業の8割以上が売上10億円以下の規模出所:日経BPコンサルティング・周年事業ラボ「世界の長寿企業ランキング(2020年版)」より講演者作成日本33,07641%米国19,49724%ドイツ13,99717%英国4,9476%その他3,7285%創業100年以上の企業数と比率日本 米国 ドイツ 英国ロシア オーストリア オランダ ポーランドイタリア スウェーデン その他世界計80,066社41.7% 45.0%20.9%14.5%49.3%39.1% 29.5%40.9%18.2%23.3%14.5%18.3%20.5%45.3%18.4%11.8%13.4%5.9% 8.6%0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%日本 米国 ドイツ 英国 イタリア売上規模別100年企業比率(主要国比較)1億円未満 1~10億円 10~100億円 100~500億円 500億円以上
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 23規模・企業年齢• 日本企業は大規模化・多角化が進むと収益性悪化。企業年齢が高くなると収益性悪化。出所:経済産業省 産業構造審議会「既存秩序の変容と経済産業政策の方向性」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 24事業セグメント別の営業利益率• 日系企業は、売上高営業利益率が10%未満のセグメントは9割。• 低収益事業の淘汰が進まず、全体の収益性を引き下げ。出所:経済産業省 産業構造審議会「世界の構造変化と日本の対応」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 25R&D• 根強い自前主義。オープンイノベーションへの理解が進まない。出所:経済産業省 産業構造審議会「既存秩序の変容と経済産業政策の方向性」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 26科学的出版物と共著論文の状況出所:文部科学省 科学技術・学術分野における国際的な展開に関するタスクフォース「科学技術・学術分野の国際展開について」より講演者作成
Copyright © 2019 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 27「G7(自由経済先進国)」の変化• 先進国と発展途上国の格差は縮小。世界的な中間層没落により先進国内の格差拡大。出所:経済産業省 産業構造審議会「既存秩序の変容と経済産業政策の方向性」より講演者作成
Copyright © 2019 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 28新興国のイノベーション• 新興国がイノベーションの中心となった(先進国はイノベーションの中心ではない)• 先進国はそのスピードについて行けていかなければ後塵を拝する。出所:経済産業省 産業構造審議会「既存秩序の変容と経済産業政策の方向性」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 29高付加価値へのシフト• 欧米企業は高付加価値化が進展したが、日本は価格を上げられるだけの価値を生み出せない。出所:経済産業省 産業構造審議会「既存秩序の変容と経済産業政策の方向性」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 30イノベーションの課題と施策• イノベーションの阻害要因は経営者であり、効果的な施策が判っていても取り組まない。出所:日本生産性本部「「イノベーションを起こすための工夫」に関する大企業アンケート調査」より講演者作成イノベーションのための施策の実施率と効果(実施率の高い施策順)イノベーションの阻害要因
日本の状況(デジタル/IT)
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.ICT機器産業:電子立国から輸入国へ• 1985年の通信自由化以降、ICT関連機器の生産額・輸出額は増加を続け「電子立国」と称された。• しかし2000年代からは生産・輸出共に減少傾向に転じ、2013年に輸出額と輸入額が逆転。2000年代後半からはスマートフォンの普及に伴い輸入が急増。• 我が国では米国のデジタル・プラットフォーマーのようにグローバルな存在感を持つICT企業も出てきていない。出所:総務省「令和元年 情報通信白書」より講演者作成 32
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 33ICT業界構造:受託開発中心で投資効果が低い出所:総務省「令和元年 情報通信白書」より講演者作成• 昭和時代には世界最先端であったが、平成時代は世界でも稀なICT投資減少国となった。• 情報システム構築は非コア業務として外部委託が進み、SIerというICT企業による受託開発中心の情報システム構築という独特の構造が形成された。• SIerによる受託開発により、特に非製造業において業務改革等がないため、ICT導入効果を発揮せず、業務を変えず投資を控え生産性向上がなされなかった。
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 34ICT投資の目的:守りのIT投資(コストセンターと認識)• 日本企業のデジタルトランスフォーメーションの取組はグローバル企業に比べて低調。• アメリカに比べて、日本は守りのIT投資が多く、攻めのIT投資がなされていない。出典:経済産業省「DXレポート」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 35現場に近いデータを分析する企業が増加出所:総務省「令和2年 情報通信白書」より講演者作成• 5年前に実施した調査と比較すると、POS やeコマースといった販売実績データ、IoT/MtoMデータを含む自動取得データの活用が大きく進展しており、各企業におけるIoTの導入が進んでいることがうかがえる。• また、電話などの音声データの活用も進んでおり、この5年でデータ分析による企業経営の高度化が進められていることがうかがえる。• 一方、業務データの分析は増加しておらず、データ分析をする企業としない企業の二極化が進んでいるのではないか。
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 36製造業のデータ活用が完全に二極化出所:経済産業省産業構造審議会「新型コロナウイルスの影響を踏まえた経済産業政策の在り方について」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 37IT内製化とIT人材不足• ここに来てIT内製化に取り組む企業が増えてきたが、ユーザー企業内IT人材が質・量ともに不足感が増している。出所:情報処理推進機構(IPA)「IT人材白書2020」より講演者作成ユーザー企業の社内にITのスキルを蓄積・強化するための内製化状況(従業員規模別)ユーザー企業のIT人材の“質”に対する不足感ユーザー企業のIT人材の“量”に対する過不足感
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 38IT人材:深刻な質的ミスマッチ出所:経済産業省 産業構造審議会「既存秩序の変容と経済産業政策の方向性」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 39デジタル人材の育成・処遇に課題• 3割の企業が、経営戦略の実現に必要な人材を採用・配置・育成できていない。• 6割強の企業が、社外から採用したデジタル人材に対して一般社員と同じ賃金制度を適用。経営戦略の実現のために必要な人材の採用・配置・育成状況社外から採用したデジタル専門人材の処遇出所:経済産業省 産業構造審議会「新型コロナウイルスの影響を踏まえた経済産業政策の在り方について」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 40企業による人材育成投資:国際比較で圧倒的に低位出所:経済産業省 産業構造審議会「既存秩序の変容と経済産業政策の方向性」より講演者作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 41リカレント教育:仕組み・制度は整うが関心が低い出所:経済産業省 産業構造審議会「既存秩序の変容と経済産業政策の方向性」より講演者作成
日本の状況(創造性)
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 43創造性・デザインは社会・産業と関係ないという認識Source: Adobe Systems”STATE OF CREATE 2016”
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 44デザインは付加価値向上に寄与しないという認識Source: Adobe Systems”STATE OF CREATE 2016”
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 45自分たちはクリエイティブではないという認識Source: Adobe Systems”STATE OF CREATE 2016”
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 46世界で最もクリエイティブだと認識される国• 日本は社会・産業構造にクリエイティブを組み込めていないのではないか。• 社会・産業構造の傍流(各種現場や非主流産業)では創造的だがそれをクリエイティブと認識していないのではないか。Source: Adobe Systems”STATE OF CREATE 2016”
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 47現場の小さなクリエイティビティ• 多くの現場では、非正規雇用・低い役職・決まったオペレーションの人が、現場でクリエイティビティを発揮して小さな創意工夫を重ねている• B to B製造業で顧客(ユーザー)のことを最もよく知るのは、保守サービスを担当するベテランのフィールドエンジニア(おじいちゃん)。オンコール対応でも、瞬時に何が悪くて顧客はどうすべきかを判断している。• 在庫の現物管理(特に棚管理やSKU管理)業務を最もよく知っているのは、商品を決まったルールで動かしているパートのおばちゃん。小さな目印や明示化されていないルールやアルゴリズムを駆使して効率的に業務を行っている。• そのような現場でクリエイティビティを発揮している人材は、特定のプロジェクトにメンバーとしてアサインされることは無い。本当の現場のオペレーションをしらない管理職がプロジェクトメンバーとして参加するので、現場と乖離した結論になりがち。
イノベーション/DXの進め方と人材
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 49基本方針:UX重視&試行錯誤• デジタルを活用したイノベーション(開発)の基本方針は現場起点のUX重視と試行錯誤。何を作るか•ユーザーが使い続けるのが「良いサービス」誰が決めるか•良いサービスはユーザーしか決められないどう作るか•ユーザー試行を重ね、失敗と修正が多いほど良く育つどう進めるか•1日でも早く1回でも多く「ダメ」と言われる
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 50デジタルサービス開発の0→1→10→100• プロトタイプが簡単に作られるようになった事を前提とすると、0から上市までの開発の進め方が従来とは大きく異なる。0 1 10 1000→1 1→10 10→100フェーズ 仮説(アイデア)を形にする 仮説(アイデア)を検証する 事業化の検討をする何が決まるのか Why(なぜやるのか?) What(何をやるのか?) How(どうやるのか?)価値の検討 価値の有無 様々な価値の種類 対象価値の確定ビジネスモデル 検討対象外 事業化の可能性探索 事業化検討・事業計画策定開発するもの ファーストプロトタイプ 複数のプロトタイプ ベータ版・製品実施体制 1人のユーザー Extreme Userと3D人材 通常の事業開発程度の規模期間(イメージ) 1週間~1か月 3か月~6か月 6か月~1年プロトタイパー イノセントディスラプター
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.• まず仮説(アイデア)に基づいて、データを作ってユーザーが何かのアクションにつながるまでのプロトタイプを作る。しくみ ユーザー510→1:仮説(アイデア)を形にする判断するアクションデータを作る・上げるデータをつなげる データを分析するデータを見る・知らせるセンサーカメラ AI-OCR音声・VUI業務システム外部データ無線近距離通信 ストレージ表計算ソフトクラウドAIAPI ETL可視化ツール チャットBOT SNS VUI②まず何をするか①何をどうしたいか
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 521→10:仮説(アイデア)を検証する• ユーザー以外が作った仮説は間違っているのでフィードバック(検証と修正)が必須である。• 具体的には「手段のフィードバック」と「成果のフィードバック」の2種類存在する。③どうやるかデータを作る・上げるデータをつなげるデータを分析する判断するデータを見る・知らせるアクション手段のフィードバック③どうやるか④次に何をするか②まず何をするか①何をどうしたいか⑤やった結果どうだったか成果のフィードバック⑥「どうしたい」の見直し
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.53(参考)ダブルループ(OODA&Agile)• IoT等の活用・定着には、試行錯誤を通じて学習を重ね成果を実感する体験が必須。• 紙上の検討や綿密な計画、それに基づく仕様や設計通り進めるのはダメ。• 業務上の効果は「OODA」で、ツール開発・導入は「Agile」で進める。• 重要成功要因が「どれだけ正確な計画を作り遂行するか」から「どれだけ早くダブルループを回せるか」に変わっている事を認識すべき。現状観察ユーザー検証意思決定実行プロト作成プロト修正プロト評価状況判断/検証OODAループAgile
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.54(参考)素早い意思決定:OODAループ• 現場起点の素早い意思決定と行動はOODAループ(Observe/Orient/Decide/Act)と呼ばれ、事業環境変化が激しい現在では事業戦略策定から現場オペレーション最適化まで幅広い領域で主流になりつつある。• 従来のPDCAは事業環境が変わらず、人材も固定化、競合が明確な中でのみ有効であった。計画時から評価までに状況が変わる事が多い現在では有効でないとされる。OODAPDCA現状観察(Observe)状況判断(Orient)意思決定(Decide)実行(Act)計画(Plan)実行(Do)評価(Chack)改善(Action)
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.55(参考)プロトタイプベース:アジャイル• アジャイル(試行錯誤型)=アイデアを早く具体化/具現化し、ユーザーに使ってもらって、すぐ修正して再度ユーザー検証を行う。このサイクルを何度も回す。• 活用するツールやサービスは、アジャイルしやすい物を選ぶべきである。多機能・高品質・硬直的なシステムは利用できない。• 従来型ウォーターフォールでは一発勝負になってしまうので、最適なユーザー体験を作る事は出来ない。Agile(アジャイル=試行錯誤型)ウォーターフォール(計画遂行型)要件定義利用開始概要設計・詳細設計開発・単体テスト全体テストプロトタイプ作成プロトタイプ修正プロトタイプ評価検証
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 56イノセントディスラプターに共通していること• いまの欲求や困りごとをどうにかしたい(最高のUX)• 自分で日々痛感してる辛さ初期衝動• 現地・現場・現物が起点• 技術はブログや動画で勉強• 現場で開発・試行・修正方法• 試行錯誤の結果、使わなくなる物も多い• 安く手軽なものを求める必要なもの• 欲しい物を作るのが楽しくて、誰かが使うのが嬉しい• 想定外の出来事が楽しい動機付け• 同じ辛さを痛感している同業者への販売• ユーザーのコミュニティ化ビジネスモデル• 一連の業務もデータもひとつの基盤で扱える• 最適なユーザー体験を提供プラットフォーム
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.出所:東京商工会議所「ものづくり企業の現状・課題に関する調査」(http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=115010)より講演者作成57想定外の効果「やってみないとわからない」• ツール導入前の期待効果と導入後の効果は異なる。• ツール導入→データ化→可視化共有→社内外コミュニケーション活性化→生産性向上• 想定外の効果を認識する能力が必要である。
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.581→10:必要な人材=3D人材• Extreme Userを中心に、Director、UX Designer、Digital Engineerが必要• 圧倒的に不足しているのはデザイナー。デザイナーを許容する組織文化が必須。ExtremeUserDirectorDigitalEngineerUXDesigner【Digital Engineer】ツール等の事例収集と評価⚫ 幅広く情報を収集し自社導入の目利きができる⚫ 自分で試作(プロトタイプ)を作ることができる【UX Designer】ユーザーインサイト獲得⚫ 現場観察や対話を通じてユーザーインサイトを獲得する⚫ 本質的な「良さ」「便利さ」を探索することが得意【Director】課題探索と優先度⚫ ユーザーと共に探索した課題の中から優先度を決める⚫ 社内外関係者との調整、ノイズキャンセリングが得意出所:経済産業省「第4次産業革命クリエイティブ研究会」より作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.59(参考)エンジニアとデザイナーは宗教が違う• 技術中心の視点・技術起点の発想ではデザインは難しく、アーキテクチャ・システムの思考をもつ人材が必要工業化社会に必要な人材 DXで新たに必要となる人材追求 先端技術の追求 人・社会の課題認識の追求探索 解決策の探索 課題の探索指向 機能指向 感性指向いいね! 高性能・多機能 使い易さ職業 エンジニア、科学者 デザイナー、アーキテクト形にする ソリューションを形にする アイデアを形にする開発 ウォーターフォール/ゲート アジャイル/DevOps出所:「イノベーション事業をデザインする」(i.lab、三菱総研セミナー「社会シフト×デザイン=新しいかたちの新事業開発」、2016.01.05)に加筆https://www.mri.co.jp/news/seminar/ippan/021540.html
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved.60(参考)UXデザイナーと「広義のデザイン」• UXや製品/サービス/ツール全体を設計する「広義のデザイン」がUXデザイナーの範囲。狭義のデザイン:意匠、UIなど主に表層的な姿を対象とする設計。従来から主に(日本語としての)デザインと認知されている領域である。広義のデザイン:UXを含む製品・サービス全体を対象とする。製品やサービスの提供者側だけでなく、ユーザーまで含めた価値創造プロセス全体が設計領域である。経営のデザイン:製品やサービスの提供を通じた価値創造をするために必要となるビジネスモデル、エコシステム、会社組織、マネジメントなどの設計を対象とする。出所:経済産業省「第4次産業革命クリエイティブ研究会」より作成経営のデザイン広義のデザイン狭義のデザイン
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 61(参考)デザインフルな組織構造社会企業新事業部門高度人材育成機関(大学/大学院等)社会科学系学生芸術系学生応用科学系学生既存事業部門開発プロジェクト(オープン/アジャイル/共創型)クリエイティブファーム等 イノベーション支援職エコシステム形成(社会・ユーザー・ビジネスパートナーとの連携)経営層CCOCDO中長期成長貢献の説明・合意その他学生具体化検証評価修正ビジネスでの実践を通じた相互共感共鳴・実プロジェクト・企業インターン・ワークショップなど若手へのインストール中堅のアンラーニング・実プロジェクト・他社インターン・ワークショップなどユーザー・ビジネスパートナー⚫ プロジェクトマネージャー⚫ デザイナー⚫ エンジニア出所:経済産業省「第4次産業革命クリエイティブ研究会」より作成
Copyright © 2021 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 62普通の会社にとって進め方で大事なこと身近な所からデジタルを取り入れる人が急増している第一歩として現場の課題が解決できないか考えてみる手を動かして課題解決への「何か」を小さく始める手を動かす = 調べて買って真似てみる小さくはじめて「成果の萌芽」で会社の風土を変える課題解決への糸口が見えたら仕事として本格的に取り組む同じ悩みの同業者への販売(デジタルビジネス)をはじめる