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Matlantisがもたらす革新的なマテリアルの創出_POL共催セミナー_20220304

 Matlantisがもたらす革新的なマテリアルの創出_POL共催セミナー_20220304

POL共催セミナーでの講演資料です。
https://peatix.com/event/3144509

前半では、汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis」で解決すべき課題(素材開発の課題・計算の課題)を紹介しております。後半では、Matlantisに関する技術的な背景知識、実際の活用事例を紹介しております。

Preferred Computational Chemistryウェブサイト
https://matlantis.com/ja/

Matlantis

July 24, 2023
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Transcript

  1. 1

  2. 応用 領域 PFN 基盤 技術 PFN: 事業の要として”AI × Simulation”に注力 Supercomputer

    AI Machine Learning and Deep Learning Simulation 1 2 3 Transportion Manufacturing Plant Optimization Materials Science Healthcare Pharmaceutical Medical Science Education and more Construction Energy Personal Robot Entertainment 3
  3. • 2021年7月6日よりサービスリリース • リリース直後から多くの問い合わせを受け2月現時点で ◦ 15企業・研究団体が正式利用開始 ◦ 18社がPoC実施/検討中 ◦ 55企業・団体が利用検討中

    • 利用・利用検討企業は化学、電気機器、鉱業、ゴム、輸送用機器、非鉄金属製品、 石油、精密機器、繊維、食品など多岐に渡る Matlantisリリース後の反響 8
  4. metal recycling 材料探索は持続可能な社会の実現に向けた一つの鍵となっている • 再生可能エネルギーを水素等で貯蔵する際の 効率的な触媒開発 • 既存バッテリーの改良、新規バッテリーの開発 • 環境負荷の大きい材料の置き換え

    • 希少な資源(レアアースなど)の置き換え • リサイクル可能な材料への置き換え • 製造プロセスの省エネルギー化 • 製造時の温室効果ガスの排出を抑える(CO2キャプチャー) • 新エネルギー(核融合など)実現するための材料(超電導など) 持続可能な社会の実現 10
  5. • 材料開発に時間とコストがかかる • 候補は無限といってもいいほど多い ◦ 複数材料の組み合わせ、材料の組成、合成・反応条件 • 実験結果や文献から学習して予測する場合、異なる材料の予測精度が低い ◦ 現在の機械学習/深層学習は外挿は難しい

    • シミュレーション精度が低い、モデルの条件設定が難しい ◦ スキルのある計算化学者だけがよいシミュレーションができる • 計算資源を自ら用意する必要がある ◦ スパコンを借りたり、自社・自研究室で計算クラスタを用意する必要がある 従来の材料探索の問題 11
  6. Matlantis 開発の背景 世の中のMI状況 マテリアルズ・インフォマティクス(MI) ・ 材料開発にAIを用いて 膨大な候補物質から有望材料を見出す技術 ・ 研究者の経験や勘に頼る 従来の手法を加速できる

    ・ 近年 各国で開発が活発化 世の中の取組状況 材料探索の加速 MI活用 バーチャル実験 シミュレータ ~10回/月 実験 ~10回/月 従来 数千回/月 米国 2011年 Materials Genome Initiative(MGI)立上げ 低コスト・高速の材料開発を目指す 欧州 2015年 Novel Material Discovery Laboratory(NOMAD)設立 中国 2015年 中国科学院・中国工学院が 連携して中国版MGIに着手 日本 2014年ごろから国家プロジェクト増加 (内閣府、文科省、経産省) 企業 素材メーカを中心に、単独あるいは IT企業と連携しての取組みが増加 開発に時間がかかる 13
  7. AIの学習 バーチャル実験 特長と課題 一 般 的 な M I 特長

    ・理屈が分からなくても シミュレータを作れる 課題 ・学習外の物質の予測が困難 ・広範囲・膨大なデータが必要 開 発 技 術 特長 ・理論に基づくので 未知の物質も予測可能 ⇒ 高い汎用性 課題 ・教師データ作成には 専門知識と コンピュータリソースが必要 MI における Matlantis の位置づけ データ ベース 機械学習 モデル 材料の 化学構造⇔物性 学習 物性 化学 構造 学習済 モデル データ ベース 学習 エネルギー 原子 配列 種々の物性 ・熱物性 ・機械物性 ・反応特性 等 PFN, ENEOSが解決 深層学習 モデル 学習 第一原理計算で得られた結果を 高速かつ正確に模倣する 深層学習モデルを作る 14
  8. Matlantis が研究開発サイクルを変える バーチャル実験 汎用原子レベルシミュレータ 高速に材料探索 ~1万回オーダ 有望な 材料 結果・考察 フィードバック

    次の バーチャル実験 リアル実験 触媒 潤滑油 吸着材 合成燃料の触媒探索 添加剤の鉄表面への作用 MOFへの水吸着 新たな研究開発サイクルによる開発期間短縮 適用事例 高い 成功確率 16
  9. • 観測バイアス ◦ 学習に使うデータセットを工夫する ◦ オーグメンテーション(データへの前処理)を工夫する • モデルバイアス:使うモデルに物理で分かっていることを導入する ◦ 対称性/不変性/同変性

    ◦ 保存則や制約 • 学習バイアス ◦ 学習時に使う目的関数(損失関数)、制約、推論時に導入する Matlantisはこれら三つをいずれも使っている 物理を機械学習に埋め込む三つのアプローチ 22
  10. 29

  11. • 硫化物系の固体電解質のイオン伝導度は飛躍的に向上し、 全固体のリチウムイオン電池への応用が期待されている • その中でもLi 10 GeP 2 S 12

    系固体電解質(LGPS)は高イオン伝導度を示す 結晶構造としてよく知られており、次世代電池材料として注目を集める。 • Matlantisを使いLGPS中でのリチウムイオン拡散係数を求める 事例2. リチウムイオン電池内のリチウム拡散係数 (1/2) 東工大 菅野教授Gr https://www.kek.jp/ja/newsroom/2016/06/22/1133/ 31
  12. • BaTiO 3 は約130℃において正方晶(Tetragonal)から立方晶(Cubic)へ 相転移し、誘電特性が変化することが知られている。[3] • 現象を再現するためには、電子状態を適切に取り扱えるモデルであることが重要。 • BaTiO3正方晶構造を初期構造として、Matlantis (PFP)

    でMD計算。温度ごとの格子定数変化を取得。 事例5. チタン酸バリウム(BaTiO 3 )結晶の相転移解析(1/2) 35 [3] Smith et al., J. Am. Chem. Soc., 130, 6955-6963 (2008) 正方晶 (Tetragonal) 立方晶 (Cubic)
  13. • BaTiO 3 は約130℃において正方晶(Tetragonal)から立方晶(Cubic)へ 相転移し、誘電特性が変化することが知られている。[3] • 現象を再現するためには、電子状態を適切に取り扱えるモデルであることが重要。 • BaTiO3正方晶構造を初期構造として、Matlantis (PFP)

    でMD計算。温度ごとの格子定数変化を取得。 事例5. チタン酸バリウム(BaTiO 3 )結晶の相転移解析(2/2) 36 [3] Smith et al., J. Am. Chem. Soc., 130, 6955-6963 (2008) 400 K付近の BaTiO 3 相転移を再現
  14. • ゼオライトに代表されるようなナノサイズの微小細孔を持つ材料は 吸着材、分離膜、触媒材料として幅広い分野で利用されている。 • 近年注目を集めるMetal-organic frameworks(MOFs)への水分子吸着エネルギーを計算。 ΔE = 1/n (Eads

    - EMOF - nEH2O ) 事例6. 多孔質材に関する計算:MOF 37 https://matlantis.com/ja/cases/calculation002/ MOF-74Niの構造 左:水分子吸着なし、右:水分子吸着あり 原子数:162 原子数:216 吸着エネルギー [kJ/mol] Matlantis (PFP) DFT[4] 64.4 61.0 [4] F. Bonino, et. al., Chem. Mater. 20, 4957 (2008). DFTの結果(文献値)を Matlantisで再現