Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

中空構造を持つエージェントアーキテクチャの設計

miyayou
June 10, 2023

 中空構造を持つエージェントアーキテクチャの設計

Hollow Structural Agent Architecture

人工知能学会全国大会 2023
「OS-28 知・情・意―AIが人間研究になるための枠組み」
https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2023/session/2R16-19/tables?ZzmtbIuyHV

における発表資料です。

[2R6-OS-28b-02] 中空構造を持つエージェントアーキテクチャの設計
〇三宅 陽一郎
https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2023/subject/2R6-OS-28b-02/tables?cryptoId=

キーワード:エージェントアーキテクチャ、精神の力動、混沌

知能は情報だけではなく、身体内部の活動や環境のダイナミクスから受ける作用の集合を基盤として、階層的にかつ動的に校正される。認識は、まず対象が世界を背景に浮かび上がり、徐々に刺激した身体の諸欲求と紐づいていき最後に消滅する。このような認知ダイナミクスによって、知能は自己と世界のモデルを同時に再構成し、その関係を構築する。その関係性が知能を駆動するトリガーとなる。本セッションではエージェントアーキテクチャの中心を通る統合フロー(情報の流れ、作用の流れなど、内部からの流れなどを統合した全体の流れ)がいかに認知を形成し、認知の時系列の流れを情として上位に形成し、最後に意志となるかについて述べる。

miyayou

June 10, 2023
Tweet

More Decks by miyayou

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 中空構造を持つ エージェントアーキテクチャの設計 Hollow Structural Agent Architecture 三宅 陽一郎 2023.6.7 人工知能学会全国大会

    2023 「OS-28 知・情・意―AIが人間研究になるための枠組み」 https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2023/session/2R16-19/tables?ZzmtbIuyHV [2R6-OS-28b-02] 中空構造を持つエージェントアーキテクチャの設計 https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2023/subject/2R6-OS-28b-02/tables?cryptoId= https://miyayou.com/ [email protected] @miyayou
  2. 知能の世界 環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・

    身体 運動の 構成 センサー・ 身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 インフォメーション・フロー
  3. 「AIと人文知」対談セミナーシリーズ • 諏訪正樹(慶應義塾大学 環境情報学部) • 三宅陽一郎(立教大学大学院人工知能科学研究科) • 藤井晴行(東京工業大学 環境・社会理工学院) •

    人工知能研究は、「人の知、社会の知はいかに成立しているか」、「人間とはいかなる存在か」という 根源的な問いを礎にして「生きることに向きあう」人間研究になるのがよいという思想を、私たちは有 しています。そこで「AIと人文知」対談セミナーシリーズは「生きる」ことにかかわる6つの人文知領域 (衣・食・場・医・身体・歴史)から毎回識者を招き議論します。みなさま、ぜひ聴講参加ください(参加 無料)。詳細な企画意図は以下をご覧ください。 • https://keio.box.com/s/hweldgvdgycq6nnnns5bpms2vsj354m7 • 第2回開催日時 • 2023/6/12(月)20:00~22:00 (議論が長引いた場合は延長あり) • (オンライン開催:zoomリンクは後日配布) • 招待者+企画者3名の対談・議論の初回です
  4. 岡潔 • 解析の分野における卓越した業績によって世界的著名な数学 • 1901年に大阪で生まれ • 1925年に京都帝国大学を卒業し、同校で四年間講師をした後 • 1929年から国費留学でフランスへ渡った。 •

    ソルボンヌ大学の留学を延長した上で1932年に帰国 • 岡が生涯の「多変数関数論」をテーマに据えたのはこの留学時期である。この留学時期の 内容については岡自身によるエッセイ「ラテン文化とともに」(1968年、エッセイ集「一葉船」 に収録)に詳しい。 • 生涯で主要な論文は十数編を数えるのみであるが、世界的に高く評価されている。多変 数複素変数の分野では、フランス数学会の会長も務めた重鎮でもあったエリ・カルタン (1869-1951)と成果をわかちあった
  5. 夏目漱石 • 知 ものごとの関係を明らかにすること • 情 関係を味わうこと • 意 関係を改造すること

    岡潔「わからないものに注目しているとき既に情的にはわかっている. 情的にわかっているものを知的にわかることが発見である」 『数学する人生』(2022)
  6. 唯識論 世界は識から成り立つとする理論。 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 (一切種子識)

    末那識 感覚 (五識) 思考 自我執着心 根本心 表層心 深層心 言葉なしで対象を直接 に把握する。それぞれ 固有の対象を持つ。 五識と共に働いて感覚を 鮮明にする。五識の後に 言葉を用いて対象を概念的 に把握する 常に阿頼耶識を対象として 「我」と執する。 眼識ないし末那識を生じる。 身体を生じて生理的に維持している。 自然をつくり出し、それを維持し続けている。 一切を生じる種子を有する。 (横山紘一 「唯識の思想」、講談社学術文庫、P.60 )
  7. 認識世界の形成 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 末那識 さまざまな層

    社会による分節化 知能による分節化 生態による分節化 存在の混沌 中 空 を 流 れ る 流 れ
  8. 認識世界の形成 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 末那識 さまざまな層

    社会による分節化 知能による分節化 生態による分節化 存在の混沌 力 動
  9. 認識世界の形成 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 末那識 さまざまな層

    社会による分節化 知能による分節化 生態による分節化 存在の混沌 中 空 を 流 れ る 流 れ
  10. レイヤー 層 識 出力 活動 センサー 入力 垂直構造=記号化 ディープニューラルネットワーク 記号主義的フレーム

    (シンボリズム=ロゴス的) 中空構造 水平構造 ニューラルネットワークフレーム (コネクショニズム=レンマ的)
  11. 認識世界の形成 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 末那識 さまざまな層

    社会による分節化 知能による分節化 生態による分節化 存在の混沌 中 空 を 流 れ る 流 れ 世界を一つの混沌として 捉えている 世界を分割して 要素を組み立てて 捉えている
  12. 認識世界の形成 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 末那識 さまざまな層

    社会による分節化 知能による分節化 生態による分節化 存在の混沌 中 空 を 流 れ る 流 れ
  13. S (身体) O (対象) 作用: f O’ 認識: p S’

    (主体) 作用: f’ 認識: p’ O’’ S’’ (主体) 作用: f’’ 認識: p’’ 階層が上がる R R R 自己の階層的序列 対象の認識の階層的状列 動く向き 車に乗る場所 階層が上がる R A O D C B B’ C’ D’ する記憶 豊かなイマージュ
  14. 唯識論 世界は識から成り立つとする理論。 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 (一切種子識)

    末那識 感覚 (五識) 思考 自我執着心 根本心 表層心 深層心 言葉なしで対象を直接 に把握する。それぞれ 固有の対象を持つ。 五識と共に働いて感覚を 鮮明にする。五識の後に 言葉を用いて対象を概念的 に把握する 常に阿頼耶識を対象として 「我」と執する。 眼識ないし末那識を生じる。 身体を生じて生理的に維持している。 自然をつくり出し、それを維持し続けている。 一切を生じる種子を有する。 (横山紘一 「唯識の思想」、講談社学術文庫、P.60 )
  15. 機能環 効果器 受容器(刺激→興奮(記号)) 客体 活動神経網 知覚神経網 前野佳彦訳・ユクスキュル「動物の環境と内的世界」 (みすず書房) 知覚世界 活動世界

    知覚微表担体 対象化された機構 活動担体 内的世界 興奮(記号) 興奮 興奮 運動形態 =特定の筋肉を動かす 中枢神経網
  16. Physical Informat ion Abstract Informat ion More Abstract Informat ion

    Abstraction Time Decision-Making Decision-Making Decision-Making Multi-Layered Blackboard Abstraction Abstraction Reduction Reduction Reduction World World Dynamics Artificial Intelligence Object Object image on the lowest layer (Umwelt) Object image on the second layer Object image on the third layer Decision-Making Object image on the top layer
  17. レイヤー 層 識 出力 入力 垂直構造 ディープニューラルネットワーク 記号主義的フレーム 力動 我々は世界を消化して生きている

    情報 情報 人間の中だけを見れば情報体として解釈できないことはないが、 環境全体の中の知能を考えれば物理的存在
  18. 世界 身体 部分知能 意識 世界に根を張る力 自我 人工知能 人工知性 人工精神 人工生物

    身体と知能の境界面 世界と身体の境界面 知能 物理的インタラクション
  19. 世界 身体 部分知能 意識 世界に根を張る力 自我 人工知能 人工知性 人工精神 人工生物

    身体と知能の境界面 世界と身体の境界面 知能 知能シミュレーション
  20. 世界 身体 部分知能 意識 世界に根を張る力 自我 人工知能 人工知性 人工精神 人工生物

    身体と知能の境界面 世界と身体の境界面 知能 情報 処理
  21. 世界 身体 部分知能 意識 世界に根を張る力 自我 人工知能 人工知性 人工精神 人工生物

    身体と知能の境界面 世界と身体の境界面 知能 力学 運動
  22. 世界 身体 部分知能 意識 世界に根を張る力 自我 人工知能 人工知性 人工精神 人工生物

    身体と知能の境界面 世界と身体の境界面 知能 力学 運動 情報 処理
  23. 世界 身体 部分知能 意識 世界に根を張る力 自我 人工知能 人工知性 人工精神 人工生物

    身体と知能の境界面 世界と身体の境界面 知能 力学 運動 情報 処理 身体は内部は情報処理 外からは物理インタラクション この二つが相争う場
  24. 世界 身体 部分知能 意識 世界に根を張る力 自我 人工知能 人工知性 人工精神 人工生物

    身体と知能の境界面 世界と身体の境界面 知能 力学 運動 情報 処理 身体の中の情報処理 身体の物理シミュレーション 環境の中の身体の物理インタラクション この二つが相争う場