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【Oracle Cloudウェビナー】臨床現場・研究における医療DXの現状と展望

【Oracle Cloudウェビナー】臨床現場・研究における医療DXの現状と展望

【Oracle Cloudウェビナー】臨床現場・研究における医療DXの現状と展望 2021年8月開催資料

oracle4engineer

August 18, 2021
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  1. 和歌山県立医科大学 情報基盤センター 副センター長 山本 景一 日本オラクル 公共営業統括 クラウド営業本部 松井 雄介

    京都大学 環境安全保健機構附属 健康科学センター 助教 松崎 慶一 日本オラクル DX推進室 データアナリスト 横山 慎一郎 臨床現場・研究における医療DXの現状と展望
  2. 本日のアジェンダ • 「ヘルスデータサイエンスの医療現場の現状・課題」 京都大学環境安全保健機構 附属健康科学センター 助教 松崎 慶一様 • 「医療DXの重要性と取組」

    和歌山県立医科大学 情報基盤センター 副センター長 山本景一様 • 「関節リウマチ診療におけるAI研究開発」 日本オラクル株式会社 公共営業統括 クラウド営業本部 松井雄介 • Q&A 臨床現場・研究における医療DXの現状と展望 Copyright © 2021, Oracle and/or its affiliates, 3
  3. エビデンスの創出 (Matsuzaki K, et.al, Prev. Med Reports 2019) プログラム参加群 220人

    プログラム非参加群 195人 生活習慣病予備群 • 結語 行動科学的なアプローチを用いた宿泊型健康指導プログラムは 生活習慣病指標の改善に有効であるが、その効果は年を追うごとに減弱する。
  4. データベースの種類 診療報酬請求 情報(企業健 保レセプト) DB 調剤薬局DB DPC DB 電子カルテ DB

    NDB レジストリ 患者網羅性 △ 高齢者に乏しい 〇 幅広い年齢層の 外来患者、サイ ズも大きい △ 入院・急性期が 中心 ◦ 年齢層・疾患領 域が広い ◎ 全国民が対象 △ 疾患による 患者追跡性 ◦ 転院しても可能 △ 薬局を変えると 追跡不可 × 転院すれば追跡 不可 × 転院すれば追跡 可能 ◦ 凸合の不備はあ るが概ね追跡可 能 ◎ 検査結果 取得 × 検査結果は取得 なし × 診療行為に関す るデータは得ら れない △ 一部取得可能 ◎ × 検査結果は取得 なし ◎ 標準化 ◎ ◦ ただし診断名は なし ◦ 〇 現在整備中 ◎ 〇 川上 浩司 医学のあゆみ )265巻11号 Page919-924(2018.06) 改変 「レジストリ」の列は演者が追記
  5. 17 疾患レジストリデータの活用 ~出産は若い女性の乳がんリスクを増加させる~ • 米North Carolina大学Chapel Hill校のHazel B. Nichols氏ら は、分娩後の女性の乳癌リスクが時間経過と共にど

    う変化するかを検討したところ、未経産女性と比較 したリスクは、分娩から約5年の時点でピークになり、 分娩から20年間以上にわたってハイリスクの状態が 持続していたと報告した • 20件の前向きコホート研究のデータをプールするプ ロジェクトのPremenopausal Breast CancerCollaborative Groupのデータを利用し、コホート組み入れ時点で乳 癌の病歴がない55歳未満の女性を対象として追跡す ることにした 分析の対象になった88万9944人の女性を、平均10.8年、延べ962 万5727人・年追跡したところ、1万8826件の乳癌が診断されてい た。組み入れ時点で72万555人の女性が出産を経験していた。追 跡期間中に1回以上出産した女性は7万1609人だった。追跡開始 時点の平均年齢は41.9歳(範囲は16.0~54.9歳)だった。 (Nichols HB, et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2017, Nichols HB, et al. Ann Intern Med. 2019)
  6. 研究現場の実際 collect upteis ei upteir you ucre urbcte isei urbcc

    hinsa scre 2004/3/11 30 23 184 4N 1 2004/4/17 100 73 142 4N 2004/5/1 0 4 0.96 2004/7/3 100 58 103 4N 0.89 2004/8/2 0 0 143 4N 0.94 2004/9/4 100 55 236 4N 0.94 2004/10/2 0 0 219 3N 2004/11/27 0 0 12± 1 2004/12/18 0 0 31± 1 0.8 2005/1/15 0 0 25- 1 2005/2/26 30 29 104 2 1 0.81 2005/3/26 30 0 73 4 11 2005/4/16 30 25 154 1 1 0.73 2005/5/21 0 0 46± 1 0.83 2005/6/18 0 0 16- 1 0.81 2005/7/30 0 0 37- 1 0.83 2005/8/20 0 0 25- 1 0.79 2005/9/24 0 0 17- 1 0.78 (Matsuzaki K, et.al, Clin Exp Nephrol, 2021) データのデジタル化に多大な労力がかかる!
  7. 身につけるIoT -ウェアラブルデバイス 総務省 ICTスキル総合習得教材:1-2:データ収集技術とウェアラブルデバイス https://www.soumu.go.jp/ict_skill/pdf/ict_skill_1_2.pdf より引用改変 情報 主なセンサー 用途の大分類 代表的な用途

    血流・心拍数 光センサー 心身に関する情報収集 健康管理、ストレス、 病気の予兆検知 体温 赤外線センサー 健康管理、病気の予兆予知 脳波 頭部電位センサー ストレス、睡眠深度の測定 眼球の運動 アイトラッカー 集中力の測定、注目対象の把握 位置情報 電波センサー 位置や速度に関する情報 収集 位置の測定 移動情報 加速度・ジャイロセンサー 速度の測定 体の動き 加速度・圧力センサー 入力・運動支援 身振りやクリックによる操作 筋肉の動き 生体電位センサー 動作検知、ロボットスーツ https://support.apple.com/ja-jp/HT204666
  8. • Apple Heart Studyからの研究 • 419,297名を対象とし、2161名が通知を受けた • ECGパッチを装着した450例のうち、153例に心房細 動と診断された •

    不整脈通知を受けた者の34%にECGで心房細動 • 陽性適中率:84% (Prerez MV, et.al N Engl J Med. 2019) https://med.stanford.edu/appleheartstudy.html
  9. 持ち運ぶIoT:スマートフォン 情報 主なセンサー 用途 光・画像 照度センサー、カメラ 画面の明るさ調節、撮影用カメラ 音声 マイクロフォン 通話、音声入力

    圧力 圧力センサー 物理ボタン 生体電流 静電容量式タッチセンサ タッチパネル、指紋認証 地磁気 磁気センサー(電子コンパス) 地図表示等における方角の把握 電波 電磁センサー(GPS電波等の受信) 地図表示等における位置の把握 速度変化 (重力加速度) 加速度センサー 機器の向きによる画面方向の変更 角加速度 ジャイロセンサー カメラの手ぶれ補正、ARの表示補正 総務省 ICTスキル総合習得教材:1-2:データ収集技術とウェアラブルデバイス https://www.soumu.go.jp/ict_skill/pdf/ict_skill_1_2.pdf より引用改変
  10. センサーによって取得出来る情報 主に病院で測定する検査項目 (Ex: LDL/HDL コレステロール、血糖値/HbA1c …)とは隔たりがある 情報 主なセンサー 用途の大分類 代表的な用途

    血流・心拍数 光センサー 心身に関する情報収集 健康管理、ストレス、 病気の予兆検知 体温 赤外線センサー 健康管理、病気の予兆予知 脳波 頭部電位センサー ストレス、睡眠深度の測定 眼球の運動 アイトラッカー 集中力の測定、注目対象の把握 位置情報 電波センサー 位置や速度に関する情報 収集 位置の測定 移動情報 加速度・ジャイロセンサー 速度の測定 体の動き 加速度・圧力センサー 入力・運動支援 身振りやクリックによる操作 筋肉の動き 生体電位センサー 動作検知、ロボットスーツ
  11. • データの安全な保持 • 個人を紐付けるための 法整備など ヘルスデータサイエンスにおけるDX 参考:データ解析のための統計モデリング入門 :久保 拓弥(著) データアーキテクチャ

    データアナリシス 結果 臨床事象 測定データ データ取得 データ解析 • 仮説検定 • モデリング データマネジメント • EDCの更なる進化 • IoTの活用 • 項目の標準化・細分化 • 診療課題の解決に直結 する分析
  12. Learning Health System ~学習する保健医療システム~ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK53494/ • 学習機能が組み込まれ た保健医療システム • 研究、データサイエンス、

    品質管理を組み合わせ、 患者と臨床医の相互作 用の副産物として知識 を生み出す • Institute of Medicine (IOM:米国アカデミー医 学部門)のレポート https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/lrh2.10054 知識を実務に適用 実務の中でデータを収集 データを知識に変換 30
  13. National COVID Cohort Collaborative (N3C) • 米国では、61施設の電子カルテを統合し、680万登録・ 227万症例のCOVID-19症例データベースを実現 N3C Big

    Picture - Data Ingestion and Harmonization N3C Cohort Exploration https://covid.cd2h.org/dashboard/ Stephanie Hong. AMIA 2021 Virtual Informatics Summit 31
  14. 病院のカルテに無い情報も多い WHO健康都市研究協力センター「健康の社会的決定要因 確かな事実の探求」 https://www.tmd.ac.jp/med/hlth/whocc/pdf/solidfacts2nd.pdf • 健康の社会的決定要因 (SDOH) – 人々の誕生、成長、生活、就 業、加齢において継続的に健

    康状態に影響を及ぼす要因 – 健康の決定要因として、医療 的要因は20%に過ぎない • 脱水は脳卒中の危険因子 – 気温は? – 水分摂取量は? – 排尿回数は? 「健康の社会的決定要因」 Social Determinants of Health(SDOH) 34 社会的・経済的要因 物理的環境要因 健康的行動要因 ヘルスケア的要因
  15. パーソナルヘルスレコード(PHR)による COVID-19対策支援 • PHRとは、個人の生活に紐付く医療・介護・健康等に関する データ(Person Generated Data)を本人の判断のもとで利活 用する仕組み • 「健康日記」は、京大データヘルス研究会を母体とする京大

    発ベンチャーの(株)ヘルステック研究所がするPHRアプリ • 和医大研究者を含む有志が、COVID-19が疑われる場合の 健康観察を行う機能を追加し無償提供 • 和歌山市保健所の積極的疫学調査を含む、企業・学校・病 院・自治体他、全国の約10万ユーザが利用 (参考) • 新型コロナの健康観察をアプリで簡単に: 健康日記 https://www.htech-lab.co.jp/covid19/ • 京大データヘルス研究会 https://dh-lab.org/ • 一般社団法人PHR普及推進協議会 https://phr.or.jp/ • Yamamoto K, Iwami T, et al. Health Observation App for COVID-19 Symptom Tracking Integrated With Personal Health Records: Proof of Concept and Practical Use Study. JMIR mHealth and uHealth 2020; 8(7) e19902 https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/4009 35
  16. デジタルバイオマーカー • バイオマーカー – バイタルサイン、生化学検査、血液検査、腫瘍マーカーなどの 臨床検査値や、MRIやCTなどの画像診断データで、病気の診 断や治療予測に用いられる指標 • デジタルバイオマーカー –

    スマートフォンやウェアラブル機器などから得られる心拍、歩 数、睡眠他の心理・行動データを用いて、病気の有無や治療 による変化を客観的に可視化する指標 中外製薬 デジタルバイオマーカーへの取り組み(一部改変) https://www.chugai-pharm.co.jp/profile/digital/digital_biomarkers.html 健康の社会的決定要因 (SDOH) 家族歴、ゲノム検査結果 診療・手術歴 デジタルバイオマーカーの 探索・利用 36 スマート・ウェアラブル機器で データ収集 診療・健康増進に活用
  17. 京都大学リウマチセンター KURAMAコホートの開発 • KURAMA(Kyoto University Rheumatoid Arthritis Management Alliance) •

    2011年の京都大学病院リウマチセンター発足時より登録開始 • 関節リウマチのデータが発生する時間・場所に沿って、日常診療の中で 診療と研究に利用可能なデータを収集する • 医療デジタルトランスフォーメーションの先駆け? 来院 診察 会計 問診 検査 患者の 主観的評価 医師の評価 血液検査 場所:待合所 場所:診察室 場所:採血室 Data Base OCRスキャナ読取りシステム 電子カルテ 38
  18. 一般社団法人ANSWER(Kansai Consortium for well-being for rheumatic disease patients)コホートコンソシアム は、KURAMAをひな型とする、関 西の6大学(京都大学、大阪医科

    大学、大阪大学、関西医科大学、 神戸大学、奈良医科大学)および それらの関連病院による多施設合 同の関節リウマチの疾患データ ベース 2020年現在、RA患者12,421名 (うちBIO投与のべ6,231名)の、 のべ150,941件の経時的な疾患活 動性データが登録されている ANSWERコホートの設立: 2018年 https://answer-cc.jp/ 43
  19. ご清聴ありがとうございました • KURAMAデータを利用した共同研究で を利用中 – 「最適多段回投与モデルによる関節リウマチ疾患における バイオシミラー有用性評価に関する研究」 • 研究責任者 山本景一(和歌山県立医大):

    京都大学 臨床研究実施審査(R2820) https://www.oracle.com/jp/cloud/infrastructure/iaas/overview/ 44 バイオシミラーとは(あゆみ製薬) https://www.ayumi-pharma.com/ja/healthcare/biosimilar/about.html
  20. Covid-19により誰もがヘルスケアデータに触れる日々 Copyright © 2021, Oracle and/or its affiliates, 47 内閣官房

    https://corona.go.jp/dashboard/ 朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASND475DSND4ULBJ013.html THE WALL STREET JOURNAL https://jp.wsj.com/articles/SB12250169213134644233904586408960452244594
  21. ヘルスケアデータサイエンスの現状 Copyright © 2021, Oracle and/or its affiliates, 48 理想

    医療ビッグデータ 電子カルテ レセプト コホート センサー 現実 ・電子カルテは病院の運用、記入する医師によって内容の粒度が大きくばらつく ・診療報酬の解釈方法よって、同じ運用を行ったとしてもレセプトの内容が異なる ・問診票等のフォーマットが統一されておらず、データの項目に差異がある ・結果のみが入力され、過程や理由に係るデータが無い ・データの入力ミス、転記ミスがある程度の頻度で発生している ・同じ条件下における同じ機器の測定値がそれぞれ異なることがある ・システムのバグにより、実態と異なるデータが存在することがある ・上記のような現実がありながら、入力後のデータをチェックする体制が充分でない リアルワールドデータの信頼性は高くない ヘルスケアデータサイエンスによる新たな知見の創出のためには、データの信頼性を高める工夫が必要
  22. 信頼性の高い成果の創出のために Copyright © 2021, Oracle and/or its affiliates, 49 リアルワールドデータの信頼性は高くない

    KURAMAコホート Oracle 信頼性の高いデータ 信頼性の高い クラウドデータ基盤 机上の空論で終わらない、確かな成果の創出 ・共通問診票の使用 ・精度を高めたOCRによるデータの確実な取込み ・薬の変更等、判断に至った理由についても記録 ・不備を無くすための人によるチェック体制 ・データの破損検知・修復を自動化 ・データブロックの破損を伝搬させない仕組み ・データの更新履歴を使った確実なデータ修復 ・データベースの細部に至るまでのサポート
  23. Copyright © 2021, Oracle and/or its affiliates, 51 治るのにいつまでかかるのだろう? 薬が高くてこの先払っていけないかも…

    最近薬の効果がないようだけど大丈夫かな… 関節リウマチ診療におけるAI研究開発 山本景一先生の研究をオラクルが支援 課題 ・治療の長期化 ・患者の離脱 ・高価な薬代 研究概要 個人に最適な診療をAIで判定するための研究開発 ・適切な治療時期、投与薬、投与量などをAIで予測し、 医師の判断のサポートを行えるようなアルゴリズムを開発する ・バイオ医薬品をバイオシミラーにおきかえた場合の薬剤経済 効果を明確にする 実現した場合のメリット ・患者 -治療のゴールがわかるため、モチベーションを維持できる -治療にかかるおおよその費用の目処がつく -医療費が高価になる場合は、バイオシミラーの処方を リクエストすることができる ・医師 -個人の知見や経験の差による治療方法の差異が小さくなる -業務効率化により、人手不足を補える可能性がある -従来では考えられなかったアプローチ方法により、治癒に至る 期間を最短化できる期待がある
  24. Copyright © 2021, Oracle and/or its affiliates, 52 医 師

    の 知 見 AI の サ ポ ー ト 治療スケジュール 1. xxxxx 2. xxxxx 3. xxxxx 今回の投薬: xxx 投薬の量: xxx 次回の診察: xxx 次回の状態: xxx 必要な期間、費用感が分かるので治療 モチベーションを維持できる! 関節リウマチ診療におけるAI研究開発 実現した場合のイメージ
  25. Data Center Oracle Cloud Infrastructure データ分析に最適なオラクルのクラウド環境 Copyright © 2021, Oracle

    and/or its affiliates, 54 データベースの運用管理を自律化し、データ分析・活用の時間を最大化 Oracle Autonomous Database OCI Data Science AIにより運用管理 を自律化した データベース 最適なアルゴリズムの 選定を自動化した 分析サービス 物理コアを専有できるため、オンプレと 同等のパフォーマンスを発揮するインフラ 毎月10TBまで無料の データアウトバウンド 強制暗号化をはじめとした 強固なセキュリティ