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英語論文の書き方 -LLM を正しく使いこなそう-

英語論文の書き方 -LLM を正しく使いこなそう-

本スライドは筆者の経験に基づき、LLM の力を借りながら英語論文を執筆する方法をまとめたものです。LLM に翻弄されない使い方をまとめたものであり、LLM の Tips をまとめたものではありません。

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Tsuboya Akane

March 24, 2026
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Transcript

  1. はじめに 筆者について • 現在、博士課程3年の学生 • ジャーナルは日本語論文1編、英語論文1編 ◦ 英語論文の執筆時、主に翻訳作業で ChatGPT を使用

    実際に LLM を使用して英語論文を書いたときに思ったこと • 単に LLM を利用して、日本語→英語に訳すのは簡単 • ただし、読みやすい文章や自分の主張を正しく伝えられる文章を作るには、 一定のテクニック・知識が必要 今からでも、気をつけるだけで (筆者の主観ですが)英文のクオリティが向上する方法を紹介します
  2. 概要 【対象者】 • LLM を使用して英語論文を書きたい日本人の研究者 ◦ 特に英語に苦手意識を持つ人 (筆者もそうです) • LLM

    に翻弄されない力を身につけたい人 ※ LLM のこういったサービスがすごい!使ってみた!という話ではない 【内容】 • 日本語でジャーナル論文の初稿を書き上げたとして、その後どのような点に気 をつけて英訳を進めていけば良いか • 実際の例
  3. 日本語の文章を英訳しやすい形式に修正する • 複数の意味で受け取れる文章は、 読み手への負荷が高く、研究文書 としても不適切 • また誤訳を引き起こしやすく、文 章が長くなるほど、その危険性は 高まる 1.

    LLM に誤訳させない 以下のポイントに注意して、日本語の段階で修正をする • 同じような意味を持つ動詞、形容 詞でも若干ニュアンスが異なる • 些細なニュアンスの違いで、主張 が伝わりにくくなる 2. 意図を明確にする ここでは英訳の際につまづきやすいポイントを紹介!
  4. 単文・短文にしよう 極力、単文 (主語と述語が1つずつ) にしたり、短い文章にしよう • ⭕ 文章の構造がシンプルなので正確に訳されやすい • 例: 私は本を読む 述語が2つ以上登場する場合

    • 重文: 文章を分けても意味が通ることが特徴 ◦ 対処法は、素直に文章を分けること ◦ 例: 私は本を読み、彼は映画を観る。→ 私は本を読む。彼は映画を観る。 • 複文: 文章を分けると意味が通らないことが特徴 ◦ 実は、こちらも工夫次第で分けることは可能 ◦ 例: 外が雨なので、私は家で本を読む。→ 私は家で本を読む。なぜなら外 が雨だから。 論文内の文章は 長くなりがちなので、 案外重要なポイント
  5. 主語は注目させたいこと・動詞は動きをつける 主語 • 強調したいこと・言いたいことを文章の頭(主語)に持ってくる ◦ 【手法を強調】 Aという手法は、B という成績を達成した ◦ 【結果を強調】

    B という成績は、A によって達成した 動詞 • be 動詞は極力使わない ◦ 日本語でいうと、「〜である」「〜になる」は使わない ◦ be 動詞は静的な印象を与えるため、他の動詞に置き換えると動きが出て 情報量が増える 伝えたいことを意識しながら書く
  6. 日本語の修正を終えたら、英訳をしましょう 文章単位の修 正 単語単位の修 正 日本語論文 • 好きな LLM を使用

    • 長くて 1 パラグラフごと、 短くて 1 文ごとに渡す ① 英訳 ② 読みにくかったら、そもそもの 日本語の文章を再度練り直す 納得するまで繰り返す
  7. 文章単位から単語単位への修正へ 文章単位の修 正 単語単位の修 正 日本語論文 • 好きな LLM を使用

    • 長くて 1 パラグラフごと、 短くて 1 文ごとに渡す ① 英訳 ② 読みにくかったら、そもそもの 日本語の文章を再度練り直す Next
  8. 適切なニュアンスで使用できているか • 多くの単語には類語が存在している ◦ LLM は我々の求めているニュアンスに最も適した単語を選んでいるとは限 らない ◦ 例: 「また」は「Furthermore, /

    In addition」などに訳される ▪ Furthermoreは、前文を引き継いで「さらに」こういうことがあると 重ねるときに使う ▪ In additionは、補足的な意味で単に付け加えるときに使う 対処法: ニュアンスが違うかも?と思ったら • LLM にその語がどういう意味合いで使われるか聞く • 自分が言いたいニュアンスを伝えて、それに適しているか確認する
  9. 回りくどい表現は避けよう 受動態ではなく、能動態で • 通常、受動態は遠回りの表現になりやすい • 日本語の段階から能動態を心掛けてほしいが、英訳した時点で勝手に受動態にさ れることがある ◦ なので今一度確認を •

    あえて受動態にして、動作の受け手を強調する技法は時々ならあり 無闇に接続詞を使わない • 日本語では接続詞を使うことで、文章を柔らかく・滑らかにするが、英語ではほぼ 必要なし ◦ 構造化された文章は、接続詞がなくても十分繋がるため • 対処法: 接続詞が多いと感じた場合は、削る or 文頭にこないように書き換える
  10. 実際の例: 修正前後による文章の違い 1. 主語が不明瞭 • × It was confirmed that the

    error decreased. ◦ 誤差が減少したことが確認された • ⭕ Our method reduces the error. ◦ 本手法は誤差を低減する 2. 修飾が長い • × Our method is an effective method that can classify data with high accuracy. ◦ 本手法は、高い精度でデータを分類することができる有効な手法である • ⭕ Our method classifies data with high accuracy. ◦ 本手法はデータを高精度に分類する 3. 具体的じゃない • × This result is important. ◦ この結果は重要である • ⭕ This result shows a reduction in error. ◦ この結果は誤差の減少を示す
  11. まとめ 【本スライドの対象者】 LLM を使用して英語論文を書きたい日本人の研究者 【内容】どのような点に気をつけて英訳を進めていけば良いか • LLM に誤訳させない・意図が明確な文章を心掛ける • 文章単位・単語単位で各項目に注意しながら修正をおこなう 【メリット】

    • 文章能力/研究説明能力の向上 ◦ 日本語はフワッとしがち (読者に行間を読ませる、お茶を濁す) ◦ 英語はパラグラフライティングが根付いており、主張を明確化させる ◦ なので英語前提の文章は何を主張したいかを自然と意識しやすい