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都市交通マスタープランとその後への期待@熊本商工会議所・熊本経済同友会
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Traffic Brain
January 15, 2026
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都市交通マスタープランとその後への期待@熊本商工会議所・熊本経済同友会
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January 15, 2026
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Transcript
1 (株)トラフィックブレイン 代表取締役 太田恒平 2026/01/15 2025年度熊本商工会議所都市戦略委員会・熊本経済同友会まちづくり委員会 第2回合同委員会 「熊本都市圏・都市交通マスタープラン」勉強会ならびに意見交換会 都市交通マスタープランとその後への期待
2 目次 1. 良い点 2. 過去計画の振り返り 3. 都市交通マスタープランの役割 4. 今後に向けて
(株)トラフィックブレイン 代表取締役 太田恒平 2026/01/15 2025年度熊本商工会議所都市戦略委員会・熊本経済同友会まちづくり委員会 第2回合同委員会 「熊本都市圏・都市交通マスタープラン」勉強会ならびに意見交換会 都市交通マスタープランとその後への期待
3 1.良い点|①目標値が「車1割削減、渋滞半減、公共交通2倍」 県市調整会議に続き 都市圏共通の目標として明記。 ただし… 「概ね20年後を目標年次」 ⇕ 県市調整会議では 10年以内(2034年度) 協議会でも
「20年は長い、10年にすべき」と 指摘が散々あった。なぜ20年?
4 1.良い点|②サービス向上策がある(増便・増結・運賃) • 従来はハード整備が多かった(延伸・バスレーン・結節点) • 増便・増結が入ったのは良いが、具体的なレベルが不明確 • 「市電は3連節に統一」「バス本数1.5倍」「JR本数2倍」くらい言わないと • 料金施策も入ったのは今後の足がかりに
大西市長も 「信用乗車」の検討を明言 ・改札不要 ・全扉で乗降 ・◦時間券、◦日券を普及 太字が今回の新提案
5 1.良い点|③実現に向けた方策がある(公費投入・運営体制) 投資による輸送力強化 • 運転士・車両確保にコミットは良い • 免許取得、採用、広報?? • 「事業者の問題をちょっと行政が支援」 という態度が透けて見える
• 本丸の「人件費不足」の解消に どう公費を入れていくか提案がほしい 運営体制などの整備(運輸連合) • 必要な存在ではある • 「一括管理」「一元的な調整」という 事業者間協調に過度な期待がある • 「交通資源の最高効率」も同様 (ライドシェア??) • 「公費投入の受け皿」としての制度設計 という本筋を明記すべき 金の話から逃げないこと!
6 1.良い点|④モニタリング機関がある • 一過性の計画立案ではなく、実施を継続的に管理する組織が提案されたのは良い • 協議会×2 +モニタリング組織 の3つも運営できないのでは? 指揮系統はシンプルに •
市町村×分野(公共交通/道路/警察/都市)に横断的に働きかける組織が必要では? • 参考)メトロポール@フランス による交通政策 • 交通状況や事業進捗を常にオープンにし、政治・市民と対話し続けるプロセスにしたい • 今、市民から交通政策は「期待すらされていない」
7 2.振り返り|2000年の都市交通マスタープラン 1997年のパーソントリップ調査に基づく「熊本都市圏の都市交通マスタープラン(2000)」 公共交通利用倍増(13.5→25.1万)が目標だった 鉄軌道 4倍 車に近い 速達性 高頻度 運行
車を 5%削減
8 2. 振り返り 2000年版 パンフ レット
9 2.振り返り|公共交通利用目標値のV字回復 目標値はOK、バックキャスティングでの計画と実行が次の課題 計画 現況 目標 2000年度 都交マスタープラン 1997年度:13.5万人 2020年度:25.1万人
2倍計画だった!! 2015年度 都交マスタープラン 2012年度:15.7万人 2035年度:17.0万人 15年でスケールダウン… 2018年度 総合交通戦略 2025年度:15.0万人 実行計画は現状維持… 2025年度 都交マスタープラン 2023年度:14.0万人 2045年度:27.9万人 再び2倍へ! 2026年度 総合交通戦略 ????年度:xx万人 県市調整会議の 2034年度に公共交通2倍 を具体化できるか? 遠過ぎ
10 2.振り返り|なぜ実現できなかったのか? (8%増しか目指さなかった)現行版の達成状況 コロナの1割減を差し引いても 現状維持すらならず これはその通り 実行責任の分解は重要 しかし極貧公共交通予算では実行不能 公共交通予算を数倍に増やす 政治的コミットが最重要では?
野心的な2000年版の 振り返りも重要では?
11 3.役割|国交省の計画体系を見ると パーソントリップ調査の 後工程のような位置づけ 「都市交通調査は、我が国の都市づくりや交 通政策の根幹を支えてきた調査である。この 調査は、中長期的・総合的な都市交通マス タープランの策定を主たる目的として、人の 移動を包括的に捉えるパーソントリップ調査 を含む総合都市交通体系調査というパッケー
ジとして設計、実施されてきた。」 ハード整備以外の実効性は概して乏しく 近年は調査・分析が目的化して見える 総合交通戦略は形骸化しつつある 国の補助金の要件に見えて、実は下位計画 (立地適正化・地区交通戦略)があればよい 代わりに台頭した「地域公共交通計画」は 低予算・横ばい・高齢者/高校生向け・IT中心 元々過疎地向けの体系が努力義務化されたが、 車を減らす都市交通としてのメニューは貧弱 目標2.公共交通機関の 年間利用者数 目標5.利用者1人あたりの 公共交通への公的資金投入額 ※熊本市の現行計画(来年度更新予定) 日本中で都市公共交通計画・政策は機能不全。国ありきでなく自ら考える必要がある
12 3.役割|太田私案のコンセプト 目標設定の根拠・ 政治的コミットメント 数字を伴った 主要な具体策 費用と効果を概算 財源と推進体制を提案 専門家以外の市民・政治家にもわかる政策提案リーフレットをめざした 最重要
13 3.役割|都市交通マスタープランの役割を再考 1. 広域・長期・上位計画 2. 市民・政治による政策選択メニュー 3. 道路と公共交通の「ベストミックス」計画 4. 総合計画・定量評価
各観点でレビュー
14 3.役割|広域・長期・上位計画として、公共交通計画全体の立て直しへ 都市圏 都市交通マスタープラン 2000年版は実現しなかった夢、2016年版は夢ですらない 「2倍」復活。施策へのバックキャスト、目標年次、定量評価が課題 市 総合計画 内容はポエム。目標値は横ばい 「2倍」を市の最上位計画へ
都市圏 都市総合交通戦略 横ばい計画(道路は着々と) 高い目標の維持と、実現性が課題 県 地域公共交通計画 過疎値向け、横ばい計画 都市圏は「2倍」へ刷新中 市 まちなか駐車場適正化計画 市 自転車活用推進計画 市 地域公共交通計画 横ばい計画 根本的に作り直し 市 中活・ウォーカブル・市庁舎 市 立地適正化計画 10年で台数16%減計画 効率化でなく積極的削減へ 10年で利用2割増計画 実際は減少。実現性が課題 立地誘導が形骸化、減便を放置 アメとムチで実効性向上 交通となんともな距離感 「2倍」の交通まちづくり 熊本市 以外 田 舎 の 高 齢 者 向 け 交 通 政 策 ▼ 都 市 交 通 政 策 に 転 換 計画・施策に追われる割に 現実は変わらず やってる感政策を排してシンプルに 市町村・分野横断的に目標値と進捗管理
15 3.役割|市民・政治による政策選択メニューになっているか? 費用 → 施策 → 効果 → 目標 の関係が不明なので、政策選択ができない
失敗の歴史が重なっていて、お任せする信頼もない 施策 効果 目標 各施策の費用・効果が全く不明で 政策選択ができない 道路⇔公共交通、ハード⇔ソフト、強化する交通手段… 目標達成状況が不明で バックキャスティングではない 目標値とリンクした指標が1つのみ 観点が断片的・適用施策が曖昧 ※適用施策・推計精度については後述 しかもなぜか 20km/h「以上」と曖昧
16 3.役割|道路と公共交通の「ベストミックス」:交通分担率 市街地/周辺部/郊外部 流動別 対周辺部は70%:2%が目標!? 市区町村 別 郊外は公共交通2倍でも影響小 年齢 別
65~79歳の車分担率が 10pt以上増加し現役以上に 市町村やターゲット別に分担率目標をブレークダウンしたい
17 3.役割|道路と公共交通の「ベストミックス」:予算 熊本市 熊本県 一般会計(R7当初):4,193億円 都市公共交通 (調査・計画以外) 23.2億円 0.55% 道路
195.4億円 4.66% おでかけIC(高齢・障がい者) 8.4億 地方バス路線維持費助成 8.9億 市電の安全運行に向けた取組 5.9億 都市公共交通 4.5億円 以下 0.05% 以下 道路(全県) 384億円 4.55% 地方公共交通バスの維持・確保 3.9億 総合交通体系整備推進事業 0.6億 ただしほぼ 都市圏以外 一般会計(R7当初) :8,448億円 予算も「ベストミックス」しないと現実は変わらないのに 都市交通マスタープランも総合交通戦略もノータッチ 人員の数・専門性も公共交通は道路に大きく劣る
18 3.役割|総合計画・定量評価:推計の精度は? 施策 公共交通転換 渋滞削減 【期待される効果の前提条件など】 • 提案施策が実行された場合を交通 需要予測モデルにより推計した値 •
幹線バスの増便は現在の約1.5 倍 の本数を設定、料金は半額の運賃 を設定 • 都市機能の誘導、居住の誘導は、 誘導区域における目標の密度まで 集約(立地適正化計画の策定自治 体における目標の密度) • 市電の増便、増結は、現状のダイ ヤを踏襲し、その全便に対し3両 編成導入 • 基幹公共交通8軸全部にバスレー ンを整備 • JR増便、市電延伸、結節点は? • 市電の増便・速達化は? • バスレーンはどの程度速達化? 検討資料には楽観的な数字が散見 【2025/3の勉強会資料】 公共交通分担率を2倍にするには バスでは現状の1.6倍の便数が必要 →そんな楽観的にはいかないはず 【2025/6の協議会資料】 ・所要時間: 45→40分 ・料金 :550→400円 ・便数 :160→180便 計1.74倍の改善で1.8倍の利用増 →感度0.5なら1.32倍程度のはず 施策毎の効果が不明なので検証不能 全体の公共交通増・車削減数すら不明 • 交通手段選択の式・当てはまりは? • 車保有の有無を考慮しているか? • バス/市電の遅れを考慮しているか? シミュレーションで 渋滞を再現できているのか? • 前回計画までは終日で概算、 今回からやっと時間帯別に • 速度の再現精度をビッグ データで確認しているか? • 交通量と速度の関係式は? • 「神の目」での理想的な経路 選択を前提としてないか? 年々渋滞しやすくなっている のを反映しているか? • 熊本市の一般道は 2015→2021年で 日中交通量が6.9%減なのに 日中速度が5.3%低下 混雑速度も5.2%低下
19 3.役割|総合計画・定量評価:渋滞の原因を把握できているか? 平均時間交通量 旅行速度 日中12時間 混雑時 日中12時間 2015年 984 台/h
19.1 km/h 24.0 km/h 2021年 916 台/h 18.1 km/h 22.7 km/h 6年増減 -6.9% -5.2% -5.3% 平均時間交通量 旅行速度 日中12時間 混雑時 日中12時間 2010年 731 台/h 25.7 km/h 29.7 km/h 2015年 719 台/h 21.5 km/h 26.6 km/h 2021年 705 台/h 20.0 km/h 25.3 km/h 11年増減 -3.6% -22.2% -14.8% 7時台 8時台 9時台 10時 台 11時 台 12時 台 13時 台 14時 台 15時 台 16時 台 17時 台 18時 台 2015 1,163 1,070 954 942 922 875 896 916 966 1,023 1,127 1,052 2021 1,114 1,025 910 884 876 851 853 867 921 967 1,075 988 減少率 4.2% 4.2% 4.6% 6.1% 5.0% 2.8% 4.8% 5.4% 4.6% 5.5% 4.6% 6.1% 0 200 400 600 800 1,000 1,200 平均時間交通量[台/h] 熊本市 一般道 熊本県(DID・市街地) 一般道 ※集計結果整理表のため 各年度の対象道路は異なる ※両年に共通する区間のみ 熊本市一般道 平均時間交通量の時間変動 定点全数調査の道路交通センサスでは 交通量減少にもかかわらず速度低下 全時間帯で5%前後交通量低下 PT調査に基づき渋滞の原因に 「朝ピークへの集中」が 挙げられているが、 実際は終日で5%前後減少 住民サンプル調査ゆえの偏り? PT調査以外の道路データを 活用できているのか? エコ運転、安全運転支援、高齢化、スマホ・ナビの普及等 により車間が空くようになったのが原因と言われる
20 4.今後|書き足りない施策 ~処方箋・要望書との比較~ 対象 施策 太田 財界 バス 鉄道 JR鹿児島本線の増便
• ※ 熊本電鉄のLRT化(本数増等) • • 市電 運転手の待遇改善・確保 • • 増便 • • ※ 速達化(ダイヤ・信用乗車・信号・電停間引き) • • ※ バス 軌道敷乗り入れ(神水) • • • 結節点 健軍方面の市電⇔バス結節点 ◦ • 駅へのデジタルサイネージ増設 ◦ • • 運賃 オフピーク割引、若年向け割引、金額定期、上限運賃、 免許返納割引との統一、乗継割引、サブスク 等 • • • 交通 運用 信号サイクル短縮 ◦ • • 中心部の車線削減、歩行者・公共交通空間化 ◦ • 駐車場 駐車場削減 自転車 中心部の駐輪場増設 財源 公共交通財源の確保 • ◦:処方箋 以外で言及 ※:フィーダー化の 前提として要望 同友会・商工会議所・県バス協会は委員の立場がある パブコメに、法人または法人代表として提案する?
21 4.今後|予算爆増へ政治・市民とのコミュニケーション ◼ 県市調整会議の打ち出しとの統合 • 「2034年度に2倍」「2027年度にバス22%増・市電16%増」を掲げたが裏付けなし • 首長がコミットする実行策として都市交通MP・総合交通戦略を位置づけていく • 効果と費用の概算を示して選択を迫っていく
◼ 議員向け・メディア向け説明会 • 市電の益城延伸で話題になったのは良かったが、位置づけの説明が不十分なまま広がった • 今日のようにコメンテーターがいた方が理解が深まるのでは ◼ 市民向け営業活動 • 「道路整備が渋滞対策の唯一解」「車社会の熊本で公共交通は無理」と思っている市民が大多数 • ビジョンを示して賛同を求め、疑問に答えていく必要がある • 「10分・20分構想」の営業活動に見習うべき(シンポジウム・パネル展示・オープンハウス) ◼ 財界との連携 • 市民向け営業の際に、財界も機運醸成に一役買ってほしい • 「熊本市中心市街地グランドデザイン2050」も「公共交通2倍」目線に模様替えが必要では?
22 4.今後|総合交通戦略に向けて ◼ 目標値の死守・脱横ばい • 県市調整会議の 「2034年度までに公共交通分担率2倍」がベースでは? ◼ 「いつか検討 or
短期既存事業」 「みんなで考える」から卒業 • 大きな策を、いつ誰が具体化していくのか明確に ◼ 具体化し、効果と費用を概算し、政策選択可能にする • 1/2~2倍くらいずれても構わない。決めてから見積ではなく、決めるために概算 ◼ 推進組織と財源を整えていく • 「運輸連合/交通連合/マネジメント組織」は3年越しでようやく本格検討になりそう • 総合交通戦略の協議会と、「モニタリング組織」のその後の運用が重要 • 増税、付け替え、国費獲得、起債、どれで実行するのか? 税の設計は? ◼ できることは計画を待たず事業化 • 私が来てから4年半、億単位の施策は一度も打たれなかった。 • 2026年度も目立った実効策は無さそう。2027年度に策を打たないと県市調整会議の目標達成不能