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E2Eテストのflakyと向き合う / stac2020

ぱいん
December 05, 2020

E2Eテストのflakyと向き合う / stac2020

ぱいん

December 05, 2020
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Transcript

  1. 本発表のゴール 1. flakyとそのメカニズムを理解する 2. flakyを疑似体験する 3. flakyに立ち向かう勇気 • 想定参加者 •

    テスト自動化を始めたところ • テストの実行結果の不安定性を解決できていない • 自動テストの課題を見つめ直したい ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 2
  2. 自己紹介 • ぱいん • テストアーキテクト@テストベンダー • 今は組込系のテスト自動化テックリード • Web系5年, 組込み系3年くらい

    • 一児のパパ New! • 社外活動など • JaSST Review実行委員、JaSST Online実行委員、 SeleniumConf Tokyo Organizer • ソフトウェアテスト系の勉強会に参加したり、 企画したり、発表したり • 趣味 • Twitter • カラオケ 4
  3. テスト自動化におけるflakyとは • 同じコードで成功と失敗の両方が観測できるテスト [1] • JaSST ’18 Tokyoの基調講演 “Advances in

    Continuous Integration Testing @Google”以来よく使われる言葉に • 「不安定なテスト」ではなく「不安定なテスト結果」 [2] • テストコードだけが悪いのではない • 考えられる外部要因の例 • サーバ遅延(サーバ、バッチ処理、DBアクセス) • ネットワーク遅延 • システムへの負荷(同時アクセス、割込処理) ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 5
  4. なぜ自動テストは失敗するのか? 1. テスト対象が期待動作、 期待値と外れている 2. テストコードが誤っている ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 6 合計金額 ¥3,000

    テストコードの期待値: ¥5,000 合計金額 ¥5,000 テストケース: 合計金額が¥5,000と表示されること テストコードの期待値: ¥3,000
  5. なぜ自動テストは失敗するのか? 1. テスト対象が期待動作、 期待値と外れている 2. テストコードが誤っている 3. テストケースに書いていない ことが起きる ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020

    7 合計金額 ¥3,000 テストコードの期待値: ¥5,000 合計金額 ¥5,000 テストケース: 合計金額が¥5,000と表示されること テストコードの期待値: ¥3,000 合計金額 ¥5,000 テストケース: 合計金額が¥5,000と表示されること テストコードの期待値: ¥5,000 「表示される」ってすぐに?
  6. 事例紹介 • Flakyにまつわる事例を紹介します • いつ、何が問題だったか考えてみてください • 正解はありません • [登場人物] •

    ぱいん:テスト自動化チームのリーダー(5年目, 27才) • すいか:新卒のテスト自動化エンジニア(2年目, 24才) • [状況] • とある宿泊予約のWebシステムのE2Eテスト自動化 • 毎日デプロイされてくるステージング環境に流す • 実装できたテストから、順次実行 • Failしたら、終了処理でスクリーンショットが取られる ※リアルに限りなく近いフィクションです。 ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 9
  7. 事例 (1/4) ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 10 • ある日 • 「検索結果画面で合計金額を確認する テストがFailしたんですけど」 •

    「エラーのスクショ残ってると思うから見てみて」 • 「見たんですけど、ちゃんと検索結果は表示されていて…」 • 「ん?どういうことだろう?そのテストだけもう一回流してみて くれます?」 • (15分後) • 「Passしました!なんだったんでしょうね…」 • 「通ったしOK, OK, 新しいテストの実装すすめちゃって!」 [3]
  8. 事例 (2/4) • 翌日 • 「検索結果画面で合計金額を確認するテストが • Failしたんですけど」 • 「またかー。エラーのスクショ残ってると思うから見てみて」

    • 「見たんですけど、ちゃんと検索結果は表示されていて…」 • 「ん?どういうことだろう?そのテストだけもう一回流してみてくれま す?」 • (15分後) • 「Passしました!なんだったんでしょうね…」 • 「Passしたなら、よかったよかった!」 ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 11
  9. 事例 (3/4) • 1週間後 • 「検索結果画面で合計金額を確認するテストが、 先週と同じところでFailしたんですけど。 これ、3度目ですよ」 • 「スクリーンショットみてみた?」

    • 「Loadingのぐるぐるが表示された状態でした」 • 「なるほどね、じゃあmax waitを10秒伸ばしちゃえ」 • 「了解です!」 ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 12
  10. 事例 (4/4) • 2週間後 • 「検索結果画面で合計金額を確認するテストが、 先週と同じところでFailしたんですけど」 • 「えー、まじかー。原因見てみて」 •

    「4回目なんでもうそろそろ辛いです。サーバのログとかも見てみたん ですけど、どうやら検索結果が表示されるのが先週より10秒以上 遅くなったみたいです」 • 「先週waitを10秒伸ばしたところだよね。どうなってるんだ。開発チーム に問い合わせしてみよう」 ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 13
  11. 状況の整理 • 事象 • 検索結果画面で合計金額を確認するテストがFailした • Fail時のスクリーンショットを見る限りは、最初は表示されていた • 対処 •

    ある日:実行し直す (コード修正なし) • 翌日:実行し直す (コード修正なし) • 1週間後:max waitを10s伸ばす • 2週間後:開発チームに問い合わせる ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 15
  12. Flakyの難しいところ、落とし穴 • 難しいところ 1. テストケースに明示的に書かれていないことに対して、 追い求めるべきなのか 2. 許容して良い範囲がどこまでか判断しづらい 3. 他の作業がある中で、調査時間を十分に割けるのか

    • 落とし穴 1. Failすることに慣れてしまう 2. PassさせてOKにしたことにしたい誘惑 3. Flakyの調査で時間を無駄にしている ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 17
  13. 取り組んでいる工夫 • Flakyが発生したときのルールを決める • 例) 別のビルドで2回Flakyが発生したら、開発チームに確認する • 怪しいところに時間計測ロジックを埋め込んでみる • timeライブラリ

    @python • 実行記録を調査結果付きで残す • 本体ビルドver, 日付, テストケース, 実行結果 • Flakyの原因、タグ(フィルタ用) ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 18
  14. Flakyを事前に防ぐ取り組み (中級者以上向け) • 時間がかかる処理はTATの仕様を確認し、実装する️ ⌚ • アプリ連携 • DB処理 •

    バッチ処理 • DL処理 • 開発のチケットを把握しておく️ ⌚ ⌚ • 影響しそうな変更を知ることができる • テストアーキテクチャを見直す️️️ ⌚ ⌚ ⌚ • APIテストやパフォーマンステストで検知できていたほうが良い • E2Eレベルでパフォーマンス観点は無視してよいとみなせるのであれば、 FailならRetryさせてFlakyを防ぐという戦略もOK ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 19
  15. 推しの本紹介 [2] • 筆者が全員に読んで欲しい章 • 1章: テストのピラミッド • 8章: ピラミッドを登る

    • 8.6 不安定なテストの扱い方 1. テストを書き直す 2. テストをピラミッドの下の層へ移動させる 3. 価値のないテストとみなし、 テストを止める 20 ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020
  16. 参考文献 ソフトウェアテスト自動化カンファレンス2020 24 No. Slide # ページ名 URL 1 5

    Advances in Continuous Integration Testing @Google (PDF, JaSST ‘18 Tokyo) http://jasst.jp/symposium/jasst18tokyo/pdf/A1.pd f 2 5 初めての自動テスト ―Webシステムのための自動テ スト基礎 (Jonathan Rasmusson 著、玉川 紘子 訳) https://www.oreilly.co.jp/books/9784873118161/ 3 10-13 テスト自動化学習サイト HOTEL PLANISPHERE https://hotel.testplanisphere.dev/ja/ 4 4 テスト自動化研究会ー本会につ いて https://sites.google.com/site/testautomationresea rch/about