て「ゴール」ではない • インタビューを通じて、現時点で「B」に居る企業が感じる課題感・⽬指したい⽅向性も伺えた ★現状 ★ ⽬指す姿 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 「B からの移⾏」 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 ★ ★
B 】が好ましい • 【 D → A → B 】は、D→A、D→Bでそれぞれ全く質の異なる⼤きな変化を伴う • 【 D → C → B 】は、D→Cにおける変化に時間を要するが、そこを越えるとC→Bは進めやすい A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → A → B 】シナリオ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い 【 D → C → B 】シナリオ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい
B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → C → B 】シナリオ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい 【 D → A → B 】シナリオ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い
• 【D→A】【A→B】でそれぞれ全く質の異なる⼤きな変化を伴う(考察1) • ⼀⽅、このルートが「間違い」なわけではなく、適したケースは存在する(考察2) A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → C → B 】シナリオ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい 【 D → A → B 】シナリオ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い 考察1︓【D→A】の壁、【A→B】の壁 考察2︓【D→A→B】に適したケース
【A→B】の壁︓ 「正しい理解」から「深い共感」へ l ジョブ型の雇⽤契約(Staff)、成果主義へのシフト(System)、 専⾨能⼒の評価(Skill)、権限移譲されたリーダーによる意思決 定(Style)など、7Sの多くの⾯で組織を抜本的に作り変える必要 がある l 逆に⾔えば、「ジョブ型の導⼊」だけを推進しても全体としては 効果が⾒込みづらい l AにおけるMVVは、権限移譲を⽀えるための「共通の判断基準」 や「意思決定の拠り所」を提⽰する側⾯が強い l BにおけるMVVは、⼀⼈⼀⼈が深く共感し、貢献したいという内 発的な想いと繋がるものとしての側⾯が強い l ⾔い換えると、Aで求められるのはMVVを「正しく理解する」こ とであり、Bで求められるのはMVVに対して「深く共感する」こ とである 考察1︓【D→A】の壁、【A→B】の壁 「成功のジレンマ」が発⽣しやすい l 【D→A】の変化は「論理的な正しさ」が中⼼ l 【A→B】の変化は「内発的な共感」が中⼼ l 【D→A】に続いて【A→B】を⽬指すことは、 過去の成功体験からの脱却を意味するが、最初 の成功体験が⼤きいほど変化への抵抗が⼤きく なりやすい
l 企業としてグローバルで統⼀した組織作りを志向する場合、Aの組織形態と相性が良いことが多い l グローバル展開している⼤⼿⽇本企業におけるCHRO主導の組織変⾰にはD→Aの流れが⾒られる (ただしD→Aまでの話であり、A→Bを志向するとは限らない) l 企業の業績回復や財務体質の改善など、短期間で急激に組織の体質を変⾰する際にもD→Aが⾒られる l その場合、離職者が増える、社員のエンゲージメントが下がる、などの「痛み」を伴うことが多い 考察2︓【D→A→B】に適したケース
B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → C → B 】シナリオ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい 【 D → A → B 】シナリオ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い
n これがその後の【C→B】において、組織の⼟台として機能する A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → C → B 】の移⾏ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい 【 D → A → B 】の移⾏ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い 考察1︓【D→C】の2つの変化 考察2︓次の移⾏の⼟台作り
⼤切にする価値観・信念を明確にする l また、Dでは組織構造が安定的であり、部署・チームごとの役割も明確であることが多いが、Cではプロジェクや部署・ チーム横断の仕事も増える l その結果、組織内で扱われる情報の量や速さが⾶躍的に⾼まる l 情報を共有する仕組みがなければ、「特定の⼈たち」だけに情報が集まり、そこに負荷が集中する l 明⽂化はできたとしても、⼀⼈⼀⼈が個⼈的な情熱・信念と結びつけることが必要 l これまで暗黙的に「ある程度理解していた」ため、⼀⼈⼀⼈の⾏動や意思決定として体現されるまでに時間がかかる l 暗黙的に共有されていた価値観を明⽂化することが必要となる l 「ローコンテキスト⽂化」から「ハイコンテキスト⽂化」への転換とも⾔える 深い浸透の「逆説的な難しさ」 ⾃律的な意思決定への変化 l 暗黙知や価値観を共有したすり合わせ(D)から、MVVに基づいた⾃律的な⾏動・意思決定へ(C)移⾏する l ⼀⼈⼀⼈が⾃律的に⾏動・意思決定を⾏えるために可能な限りの情報の透明性が必須 ⾏き交う情報量の増⼤ 考察1︓【D→C】の2つの変化
l D→Cの移⾏に必要な「MVVの浸透」と「情報の透明性」は、流動的な所属の⼟台としてそのまま活かされる l ⼟台が整っていれば、「今いるメンバーが流動的な所属に変わる(ex.副業するなど)」や「外部から流動的な所属をす るメンバーを新しく招き⼊れる」ことは、ある程度スムーズに⾏いやすい l 組織として「流動的な所属」を⾼めることは、よりよい組織状態を⽬指すための「⼿段」の1つであり、「流動性を⾼ めること」が最初から⽬的になるわけではない l ⼀⽅で、本研究の実態調査(Phase2)でも確認したように、社会的なトレンドとして「流動的な所属を望む」傾向が⾒ られる l そのような社会のトレンドに備える上で、事前に組織の⼟台を整えることに意義はある 考察2︓次の移⾏の⼟台作り
実際、今回のインタビュー対象企業で現状としてBに位置する企業の中でも、様々な課題感や、次に⽬指し たい⽅向性が語られていた • 「Bからの移⾏」については、その多様な⽅向性について発散型の議論を⾏った ★現状 ★ ⽬指す姿 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 「B からの移⾏」 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 ★ ★
「B からの移⾏」 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 ★ ★ 計画的成⻑重視型 l 事業の規模、成⻑率などを計画的に成⻑ させることを重視する l 外部ステークホルダーへの期待に応える 意向が反映されやすい l 会社のpurpose > 個⼈のpurpose(これを 受け⼊れる⼈を採⽤する) 少数基盤型 l 組織の基盤となる「少数の固定的な⼈ 材」と、専⾨性を発揮し仕事を進める 「多数の流動的な⼈材」を分ける l 基盤⼈材は能⼒よりもpurpose共感やカル チャーフィットが重要となる
l ⻑期的にカオスを前提とした成⻑においてそれ以上の経済的価値を⽣み出せる可能性もある l それぞれに個性や強み・弱みは存在し、両⽅を使い分けながら成⻑することが必要 l 組織によってどちらかへの偏り(”利き⼿”)は存在する l 秩序を前提とする成⻑は「安定した環境」「確実性」「計画性」などと相性が良い l カオスを前提とする成⻑は「不確実な環境」「⾮連続性」「偶発性」などと相性が良い 「どちらか」ではなく「どちらも」 これからの組織運営のポテンシャル l これまでは秩序を前提とした成⻑が中⼼だが、今後はカオスを前提とした成⻑のポテンシャルを活かせるのではないか l ただし、組織運営の知⾒や実例が⽐較的少ない(逆に⾔えば、今後の発展の余地がとても広い) ⻑い時間軸で成⻑を考える 考察1︓2つの成⻑モードの共存
l 良い組織状態を優先する(組織状態重視アプローチ)には、株主などのステークホルダーの合意が必須 l 「⼈・組織」を扱うだけではなく、経営全体としての⼀貫性を持つことが必要となっていく l 現状においては、「雇⽤の保証」「株式市場からの評価」「資⾦調達の⽅法」などの社会構造が「固定的な所属」や、 「サバイブモード」と相性の良い「秩序を前提とした成⻑」による成⻑を促す傾向がある l 今後、「流動的な所属」や「⾃⼰表現モード」の働き⽅がより広く実現する上では、さらに周辺の社会構造・社会規範 などが変化することとセット
切り⼝を限定する効果・逆効果 l 今回のように組織を捉える切り⼝を限定することの効果として、短期間で議論の⼟台を揃えられる、他 社との⽐較を容易にする、などが挙げられる l ⼀⽅、逆効果として、それぞれが切り⼝に違った解釈を乗せる(結果的に解釈がズレる)ことが本プロ ジェクトの検討メンバー内でも発⽣した 「良し悪し」ではなく「選択」
フラット型・プロジェクト型)が変わるとともに、組 織全体を流れる情報の量・スピード・流れも変化する l この情報の流れに適した情報インフラを整えなければ、個⼈の経験値や属⼈的な関係性に依存せざるを 得ない(結果的に新しい⼈が活躍しづらい) ⾃⼰表現を⽀える情報インフラ 「流動的な働き」の⼟台作り l 情報のインフラを整えることは、結果的に⼀⼈⼀⼈が組織と多様な関わり⽅を持つことを可能にする l 組織として流動性を⾼めたいか否かは「選択」すべきテーマだが、多様な働き⽅の⼈を受け⼊れられる という選択肢を持てることの意義は⼤きい
- このときの2軸は「集権型デザイン←→分散型デザイン」と「セルフモチベーション←→コーポレートミッション」 - 検討のプロセス全てにおいて「流動性」という切り⼝は全く登場していない l 流動化への流れが続くとは限らないが、15年前には全くなかった組織の可能性が広がっていると⾔える 「なぜ」流動性を⾼めるのか︖ l 流動性を⾼めること⾃体が「⽬的化」されるわけではなく、「⽬指す組織の姿」に対する「⼿段」とし て選択されることが望ましい l ただし本研究を通じて捉えると、「流動性を⾼める」ことと「⾃⼰表現をしやすくする」ことはセット で考えると相性がよく、さらに「⾃⼰表現」は「組織の共通の⽬的(Purpose)」と連動している l Purposeを純度⾼く追求することで、流動性は「結果的に⾼まる」ことに繋がりやすいとも捉えられる 「流動性」との向き合い⽅
その際に、組織として「どんな組織を」「なぜ」⽬指すのか︖に対して、組織としてのスタンスを明確 にする必要がある 「選択」を⽀える考え⽅ l 本研究において、組織の特徴を「2軸に絞る」ことは、結果的に議論の⼟台を作ることに貢献したと⾔え るが、今回の軸が万能なわけではない l 本来的には、「どんな組織を」「なぜ」⽬指すのかを考えるに当たり、それぞれの組織において⾃組織 にとって⼤事な切り⼝を導き出せることが必要だと⾔える