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【組織再考計画】Phase3サマリー資料

 【組織再考計画】Phase3サマリー資料

令三社 / r3s.jp

April 04, 2022
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  1. - 2 - 【Phaes3】 提⾔の⽴案 n 提⾔における3つの「前提」 n 2通りの提⾔ n

    4象限(A,B,C,D)の典型的な組織運営 n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→A→B) n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→C→B) n 提⾔②「B」の多様性 n 全体総括 n Appendix
  2. - 3 - 提⾔の前提1︓「個⼈の変化」に焦点を当てる n 組織運営に関する具体的な施策は、「個⼈の変化」に焦点を当てて検討する • Phase2の実態調査のデータにおいて、「社会の変化」に対する⾒⽴てと、⾃社の従業員に望む「個⼈の変 化」の組み合わせにバラツキがあったこと •

    組織運営の具体的な打ち⼿を考えるに当たっては、⾃社の従業員に望む変化がより強く影響すると考えら れること 「個⼈の変化」に焦点を当て、 それに応じた組織運営について検討する
  3. - 4 - 提⾔の前提2︓象限に「優劣」「良し悪し」はない n どの象限にも「優劣」「良し悪し」はなく、組織としての選択である • ⾃分たちの組織の置かれている事業環境、ビジネスモデル、組織の規模やフェーズなど、様々な要因に よって組織の⽬指す⽅向性は決まる •

    A,B,C,Dのどこが良い(or 悪い)のではなく、同様に象限をまたいだ移動も良い(or 悪い)ということは⼀ 概には判断できない ︖ どの象限にも「優劣」「良し悪し」はなく、 組織としての選択である
  4. - 6 - (参考)【個⼈の変化】回答 / 全体傾向 / 現在→将来 n 実態調査(Phase2)における結果を⾒ると、「現在の姿

    → 将来の⽬指したい⽅向性」においては、総じて 【D︓⽇本型経営2.0】から【B︓分⼈的な仕事観】への傾向が⾒られる - 6 - (参考)【個⼈の変化】回答 / 全体傾向 / 現在→将来 16.1% 11.3% 0.9% 1.3% 1.1% 5.7% 25.7% 6.6% 2.5% 1.1% 3.1% 15.8% 1.1% 1.8% 1.7% 4.3% 流動的な所属 固定的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ 現在の姿 【A︓アスリート】 14.5% 【B︓分⼈的】 21.0% 【D︓⽇本型】 40.5% 【C︓私たち】 24.0% ⾃⼰表現 10.1% (-1.2) 1.4% (+0.5) 0.5% (-0.8) 2.0% (+0.9) 2.5% (-3.2) 23.2% (-2.5) 5.1% (-1.5) 1.4% (-1.1) 2.1% (+1.0) 4.6% (+1.5) 22.7% (+6.9) 2.1% (+1.0) 2.5% (+0.7) 1.9% (+0.2) 2.4% (-1.9) 15.5% (-0.6) 将来の⽬指したい⽅向性 【A︓アスリート】 14.0%(-0.5) 【B︓分⼈的】 31.5%(+10.5) 【D︓⽇本型】 32.2%(-8.3) 【C︓私たち】 22.4%(-1.6) 流動的な所属 固定的な所属 サバイブ  ಺͸ʮݱࡏͷ࢟ʯͱͷࠩ෼
  5. - 7 - 【Phaes3】 提⾔の⽴案 n 提⾔における3つの「前提」 n 2通りの提⾔ n

    4象限(A,B,C,D)の典型的な組織運営 n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→A→B) n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→C→B) n 提⾔②「B」の多様性 n 全体総括 n Appendix
  6. - 8 - 2通りの提⾔ n 今回の提⾔では、「DからBへの移⾏」と「Bからの移⾏」の2つを中⼼に扱う • 「提⾔の前提3」の通り、Phase2の実態調査で最もニーズが⾼かったのが「D→B」への移⾏であった • ⼀⽅で、「提⾔の前提2」に記載したとおりどの象限にも良し悪しはなく、【B︓分⼈的な仕事観】も決し

    て「ゴール」ではない • インタビューを通じて、現時点で「B」に居る企業が感じる課題感・⽬指したい⽅向性も伺えた ★現状 ★ ⽬指す姿 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 「B からの移⾏」 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 ★ ★
  7. - 9 - 【Phaes3】 提⾔の⽴案 n 提⾔における3つの「前提」 n 2通りの提⾔ n

    4象限(A,B,C,D)の典型的な組織運営 n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→A→B) n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→C→B) n 提⾔②「B」の多様性 n 全体総括 n Appendix
  8. - 10 - 4つの象限における「典型的な組織運営」とは︖ n 各象限によって「典型的な組織運営」は異なる • 提⾔を検討するために、A,B,C,Dの各象限における「典型的な組織運営」の議論を深めた • この議論では、プロジェクトメンバーである唐澤俊輔⽒の書籍「カルチャーモデル」を参照した

    • また、議論の過程で縦軸(流動的な所属←→固定的な所属)、横軸(⾃⼰表現←→サバイブ)の意味合い について深く議論した ※次ページ参照 検討の前提としてA,B,C,Dの 各象限の典型的な組織運営を検討した ︖ ︖ ︖ ︖
  9. - 11 - (参考)縦軸・横軸の詳細に関する検討 - 8 - 2つの変化のベクトル 右から左 (サバイブ→⾃⼰表現へ)

    下から上 (固定的な所属→流動的な所属) - 13 - 2つの変化のベクトル 右から左 (サバイブ→⾃⼰表現へ) 下から上 (固定的な所属→流動的な所属) 1) どのような切り⼝・指標から固定的(or流動的)と捉える か︖は様々な考え⽅がある • どの切り⼝・指標でも企業規模、事業領域、事業フェーズなどに よって適正な⽔準も様々 1) 基本的には「右から左」(サバイブ→⾃⼰表現)への移⾏ • マズローの欲求5段解説が(ある程度)当てはまりそう ˞ৄࡉ͸ר຤ͷ"QQFOEJYΛࢀর 2) 固定的・流動的どちらにも特性や活かされる強みがある • 流動的 → 多様な⼈材(≒知識、経験、etc)にアクセスしやすい。 ただしそれを活かすには⼯夫が必要。 • 固定的 → 暗黙知やPurposeが共有しやすい。 仕組みの必要性が乏しく、意図的な設計がされづらい。 2) 「右から左」の中で、⼤きく分けると2通りの変化がある • A) 組織における「役割の中」の⾃⼰表現 • B) ⾃分⾃⾝の「⼈⽣」としての⾃⼰表現 3) 個⼈は「右から左」のトレンドであることを「与件」として、 組織は対応のスタンスを決める必要がある • 左側(⾃⼰表現)に個⼈が移⾏すると、⾃らの「表現」として働 き⽅を選ぶ - Purposeに深く共感する組織があれば、⾃⼰表現としてその組織 に深くコミットする(=固定的な所属) - 多様な形での⾃⼰表現を望む⼈は、様々な組織に関わる⽅向を 選ぶ(=流動的な所属) 3) サバイブは組織における価値観が(ある程度は)共通であり、 ⾃⼰表現は価値観が様々 • 様々な価値観を束ねるアプローチは⼤きく2つありそう - それぞれを尊重する ≒ 多元型(グリーン)組織 - ソースがpurposeを提⽰する ≒ 進化型(ティール)組織 4) 「⾃⼰表現←→サバイブ」と「実験的←→仕組み化」は本来 は別の観点だが、混同されやすい • 特に「⾃⼰表現」を⼤切にしながら「仕組み化」するときに、具 体的なやり⽅を模索するケースが多い
  10. - 12 - 検討の枠組み(書籍「カルチャーモデル」より) n 典型的な組織運営の検討に当たっては「カルチャーモデル」にて提唱される7Sに基づき、組織 全体の特徴を網羅的に整理した オペレーション Product Development

    プロダクト開発 Proposition プロポジション Sales セールス Value Chain バリューチェーン Promotion プロモーション Business Development ビジネス開発 Strategy ストラテジー ビジネスモデルの7要素 Structure ストラクチャー Stance スタンス Style スタイル Staff スタッフ Skill スキル System システム Shared Value シェアドバリュー ピープルマネジメント カルチャーモデルの7S 出典︓「カルチャーモデル 最⾼の組織⽂化の作り⽅」(唐澤俊輔) マッキンゼーの7SにあるStrategyは ビジネスモデル側で扱われる 代わりに経営のスタンス を含める
  11. - 13 - (参考)Stanceのマトリクス 安定志向 変化志向 中央集権型 分散型 チームリーダー経営 •

    経営陣がチームで意思決定 • ⻑く働くことですり合わせ スキルを⾼める カリスマリーダー経営 • 1⼈のカリスマが変化を起 こす • 強⼒なトップダウン • 創業経営者に多い 全員リーダー経営 • MVVを決め、個⼈に委ねる • 個の多様性を尊重 • ⾃律とリーダーシップが求 められる 複数リーダー経営 • 各責任者に権限移譲 • 責任者のレベルに成果が依 存 • 権限移譲しつつレポーティ ングを適切に求める Facebook,ソフトバンク NTT,花王 Google,メルカリ GE,マクドナルド,P&G 出典︓「カルチャーモデル 最⾼の組織⽂化の作り⽅」(唐澤俊輔) n 「カルチャーモデル」における7Sでは、スタンスを取ることの重要性が語られている n 経営のスタンスは、「中央集権型←→分散型」「変化志向←→安定志向」の2軸で分けられる
  12. - 14 - (参考)Stanceごとのカルチャーモデル Stance Structure Shared Value Staff System

    Skill Style カリスマリーダー経営 • トップの意思を反映しやすく するためにピラミッド構造が 多い • リーダーの経営哲学や価値観 が起点 • やり遂げる実⾏⼒がある • トップの⽅針変更への耐性や 対応⼒ • 良くも悪くもトップ次第 • 規模が⼤きいと独⾃⾊のある 制度設計になりやすい • 組織の強みはトップに準拠 • 積極的な変化やカオスを好む チームリーダー経営 • 合議による意思決定 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒ • 定期的な会議による合議 • オフィスで顔を合わせること を好む 複数リーダー経営 • HDが中⼼のヒエラルキー • 階層ごとの権限等を明確に設 計する • 事業/機能へ積極的な権限移譲 • それらを束ねるMVVが重要 • ジョブ型の雇⽤形態 • より⼤きい職責を担うことを 通じて成⻑する • 成果主義の徹底(Up or Out) • JDの明確な定義 • 専⾨性の⾼い⼈材を評価する • アサインを通じたリーダー育 成 • 権限移譲されたリーダーによ る意思決定 • プロ意識の⾼い社員が多い 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定をすることが前提 • 判断軸を合わせるためのMVV が重要 • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • すべてMVVと紐づけて設計 • 成果主義が前提となる • 専⾨性が⾼い⼈材を評価する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 • 重視されるのは「MVVに沿っ た⾏動」と「成果」 • 細かなプロセスは問われない 出典︓「カルチャーモデル 最⾼の組織⽂化の作り⽅」(唐澤俊輔) 安定志向 変化志向 中央集権型 分散型 中央集権型 変化志向 分散型 安定志向
  13. - 15 - 4象限の組織運営と「Stance」の組み合わせ カリスマリーダー 全員リーダー 複数リーダー チームリーダー … リーダーのタイプ次第で、どこにでも当てはまる

    n 各象限において相性の良い経営のスタンスは以下の組み合わせで捉えた n この組み合わせを前提に、7Sに沿って各象限における「典型的な組織運営」の議論を深めた (詳細は次ページ参照)
  14. - 16 - ビジネスアスリート A ABCDごとの典型的な組織運営 Stance Structure Shared Value

    Staff System Skill Style チームリーダー経営 • 共有されたMVVを前提とした ⾼い集団凝集性 • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 採⽤時はMVVへの深い共感を 慎重に⾒極める • 新卒・中途どちらも採⽤する • MVVを共有する仕組みや習慣 が根付いている • 多様な⼈材が活躍するための 仕組み作りが重要 • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 意思決定は合議と⾃律のハイ ブリッド • オフィスで顔を合わせること を好む 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • MVVへの深い共感によって組 織の求⼼⼒が保たれる • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 中央集権型 変化志向 分散型 安定志向 複数リーダー経営 • 階層・役割ごとの権限等を明 確に設計する • ピラミッド型構造が好まれる (事業や規模により異なる) • 事業/機能へ積極的な権限移譲 • それらを束ねるMVVが重要 • ジョブ型の雇⽤形態 • より⼤きい職責を担うことを 通じて成⻑する • 成果主義の徹底(Up or Out) • JDの明確な定義 • 専⾨性の⾼い⼈材を評価する • アサインを通じたリーダー育 成 • 権限移譲されたリーダーによ る意思決定 • プロ意識の⾼い社員が多い 安定志向 分散型 チームリーダー経営 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 縦割りの構造が基本であり、 ミドルのすり合わせが中⼼ • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む 中央集権型 安定志向 分⼈的な仕事観 私たちの組織 ⽇本型経営2.0 B C D 書籍からの変更箇所 • MVVが共有されることで、PJ 等で進めてもズレにくい 「カルチャーモデル 最⾼の組織⽂化の作り⽅」(唐澤俊輔)をもとに、本プロジェクトの議論を踏まえて加筆
  15. - 18 - ビジネスアスリート A 考察1︓【C︓私たちの組織】と【D︓⽇本型経営2.0】の違い Stance Structure Shared Value

    Staff System Skill Style チームリーダー経営 • 共有されたMVVを前提とした ⾼い集団凝集性 • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 採⽤時はMVVへの深い共感を 慎重に⾒極める • 新卒・中途どちらも採⽤する • MVVを共有する仕組みや習慣 が根付いている • 多様な⼈材が活躍するための 仕組み作りが重要 • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 意思決定は合議と⾃律のハイ ブリッド • オフィスで顔を合わせること を好む 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • 判断軸を合わせるためのMVV が重要 • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 中央集権型 変化志向 分散型 安定志向 複数リーダー経営 • 階層・役割ごとの権限等を明 確に設計する • ピラミッド型構造が好まれる (事業や規模により異なる) • 事業/機能へ積極的な権限移譲 • それらを束ねるMVVが重要 • ジョブ型の雇⽤形態 • より⼤きい職責を担うことを 通じて成⻑する • 成果主義の徹底(Up or Out) • JDの明確な定義 • 専⾨性の⾼い⼈材を評価する • アサインを通じたリーダー育 成 • 権限移譲されたリーダーによ る意思決定 • プロ意識の⾼い社員が多い 安定志向 分散型 チームリーダー経営 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 縦割りの構造が基本であり、 ミドルのすり合わせが中⼼ • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む 中央集権型 安定志向 分⼈的な仕事観 私たちの組織 ⽇本型経営2.0 B C D • MVVが共有されることで、PJ 等で進めてもズレにくい 【C】と【D】の違い②︓意思決定のメカニズム l 【D】の意思決定は定期的な会議の場などを通じた「すり合わせ」 が中⼼(ミドル層が担うことが多い) l 【C】の意思決定は、MVVの共有・共感を前提に、⼀⼈⼀⼈の⾃律 的な判断により広く委ねられる 【C】と【D】の違い①︓MVVの重視と明確化 l 【C】ではMVV (Mission/Vision/Value) の浸透や共感を重視し、その ためのSystem(仕組み、習慣など)に投資する l 【D】では、⼤切な価値観や考え⽅などは、⽇々のすり合わせを通 じて暗黙的に共有されることを前提としている l 【D】はハイ・コンテキスト、【C】はロー・コンテキストとも⾔ い換えられる 書籍からの変更箇所
  16. - 19 - ビジネスアスリート A 考察2︓A,B,C,Dによる7Sの「重み付け」 Stance Structure Shared Value

    Staff System Skill Style チームリーダー経営 • 共有されたMVVを前提とした ⾼い集団凝集性 • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 採⽤時はMVVへの深い共感を 慎重に⾒極める • 新卒・中途どちらも採⽤する • 勤続年数が⻑いことが評価さ れる • MVVを共有する仕組みや習慣 が根付いている • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 意思決定は合議と⾃律のハイ ブリッド • オフィスで顔を合わせること を好む 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • 判断軸を合わせるためのMVV が重要 • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 中央集権型 変化志向 分散型 安定志向 複数リーダー経営 • 階層・役割ごとの権限等を明 確に設計する • ピラミッド型構造が好まれる (事業や規模により異なる) • 事業/機能へ積極的な権限移譲 • それらを束ねるMVVが重要 • ジョブ型の雇⽤形態 • より⼤きい職責を担うことを 通じて成⻑する • 成果主義の徹底(Up or Out) • JDの明確な定義 • 専⾨性の⾼い⼈材を評価する • アサインを通じたリーダー育 成 • 権限移譲されたリーダーによ る意思決定 • プロ意識の⾼い社員が多い 安定志向 分散型 チームリーダー経営 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 縦割りの構造が基本であり、 ミドルのすり合わせが中⼼ • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む 中央集権型 安定志向 分⼈的な仕事観 私たちの組織 ⽇本型経営2.0 B C D • MVVが共有されることで、PJ 等で進めてもズレにくい 7Sの「重み付け」の違い(例︓Structureの違い) l A,B,C,Dの4つにおいて、7Sのどこがより重要かは分かれる l 例えばStructure(組織の構造)では、事業領域、ビジネスモデル、 事業・組織のフェーズなどによって振れ幅が⼤きく、必ずしも4つ のStanceの違いと密結合するとは限らない 書籍からの変更箇所
  17. - 20 - 考察3︓MVVの意味合いの違い Stance Structure Shared Value Staff System

    Skill Style 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • 判断軸を合わせるためのMVV が重要 • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 変化志向 分散型 チームリーダー経営 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 縦割りの構造が基本であり、 ミドルのすり合わせが中⼼ • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む 中央集権型 安定志向 分⼈的な仕事観 ⽇本型経営2.0 B D ビジネスアスリート A チームリーダー経営 • 共有されたMVVを前提とした ⾼い集団凝集性 • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 採⽤時はMVVへの深い共感を 慎重に⾒極める • 新卒・中途どちらも採⽤する • 勤続年数が⻑いことが評価さ れる • MVVを共有する仕組みや習慣 が根付いている • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 意思決定は合議と⾃律のハイ ブリッド • オフィスで顔を合わせること を好む 中央集権型 安定志向 複数リーダー経営 • 階層・役割ごとの権限等を明 確に設計する • ピラミッド型構造が好まれる (事業や規模により異なる) • 事業/機能へ積極的な権限移譲 • それらを束ねるMVVが重要 • ジョブ型の雇⽤形態 • より⼤きい職責を担うことを 通じて成⻑する • 成果主義の徹底(Up or Out) • JDの明確な定義 • 専⾨性の⾼い⼈材を評価する • アサインを通じたリーダー育 成 • 権限移譲されたリーダーによ る意思決定 • プロ意識の⾼い社員が多い 安定志向 分散型 私たちの組織 C • MVVが共有されることで、PJ 等で進めてもズレにくい MVV(Mission/Vision/Value)の意味合いの違い l 【A】におけるMVVは、⾃律的な働き⽅を実現するための「判断基 準の共通化」「意思決定の拠りどころ」としての意味合いが強い l 【C】におけるMVVは「⼀⼈⼀⼈が内発的に共感する」「個⼈と組 織でAlignされる」ものとしての意味合いが強い(Purposeと呼ばれ るものに近い) l 策定のプロセスにおいて、【A】はトップが描き伝えること、 【C】は参加型で作り上げることと相性が良い 書籍からの変更箇所
  18. - 21 - 【Phaes3】 提⾔の⽴案 n 提⾔における3つの「前提」 n 2通りの提⾔ n

    4象限(A,B,C,D)の典型的な組織運営 n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→A→B) n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→C→B) n 提⾔②「B」の多様性 n 全体総括 n Appendix
  19. - 22 - 提⾔①「D→B」の移⾏ n 「DからBへの移⾏」について、2つのシナリオを検討した • 「提⾔の前提3」の通り、Phase2の実態調査で最もニーズが⾼かったのが「D→B」への移⾏であった • 今回の検討では、2つのシナリオについて詳細に検討した

    ★現状 ★ ⽬指す姿 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 「B からの移⾏」 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 ★ ★
  20. - 23 - 提⾔①「D→B」の移⾏ 2つのシナリオ n 「DからB」へ⾄るシナリオとしては、【D → C →

    B 】が好ましい • 【 D → A → B 】は、D→A、D→Bでそれぞれ全く質の異なる⼤きな変化を伴う • 【 D → C → B 】は、D→Cにおける変化に時間を要するが、そこを越えるとC→Bは進めやすい A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → A → B 】シナリオ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い 【 D → C → B 】シナリオ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい
  21. - 24 - 提⾔①「D→B」の移⾏ 【D→A→B】シナリオ n 【D→A】の移⾏にあたっては、7Sの多くの側⾯から組織を変⾰する必要がある n その次の【A→B】では、主としてMVVの意味合いの本質的な変化に直⾯する A

    B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → C → B 】シナリオ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい 【 D → A → B 】シナリオ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い
  22. - 25 - 【D → A → B】シナリオ n 【D→A】の移⾏にあたっては、7Sの多くの側⾯から組織を変⾰する必要がある

    n その次の【A→B】では、主としてMVVの意味合いの本質的な変化に直⾯する A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 Stance Structure Shared Value Staff System Skill Style MVVの変化 (判断基準から深い共感へ) ⾃律性をより重視した採⽤ ⾃律的な活躍を評価 フラットな組織構造へ 意思決定スタイルの変更 (⼀⼈⼀⼈の⾃⼰決定) 【D】 【B】 【A】 【D→A】 【A→B】 MVVの変化 (暗黙的な共有を明⽂化) 採⽤基準の変更 (専⾨性の評価) 評価制度の変更 (成果主義へのシフト) 雇⽤形態の変更 (ジョブ型の雇⽤) 育成⽅針の変更 (専⾨性・リーダーシップの開発) 意思決定スタイルの変更 (リーダーへの権限移譲) 経営スタンスの変更 (チームリーダー経営 → 複数リーダー経営) 経営スタンスの変更 (複数リーダー経営 → 全員リーダー経営) … 変化の⼤きい箇所
  23. - 26 - (参考)7Sに沿ったシナリオ【D → A → B】 Stance Structure

    Shared Value Staff System Skill Style 全員リーダー経営 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • MVVへの深い共感によって組 織の求⼼⼒が保たれる • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 変化志向 分散型 チームリーダー経営 • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る 中央集権型 安定志向 複数リーダー経営 • 事業/機能へ積極的な権限移譲 • それらを束ねるMVVが重要 • ジョブ型の雇⽤形態 • より⼤きい職責を担うことを 通じて成⻑する • 成果主義の徹底(Up or Out) • JDの明確な定義 • 専⾨性の⾼い⼈材を評価する • アサインを通じたリーダー育 成 • 権限移譲されたリーダーによ る意思決定 • プロ意識の⾼い社員が多い 安定志向 分散型 • 階層・役割ごとの権限等を明 確に設計する • ピラミッド型構造が好まれる (事業や規模により異なる) • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 ★ D A D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 D A A D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 B D A B
  24. - 27 - (参考)7Sに沿ったシナリオ【D → A】 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い •

    外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • 判断軸を合わせるためのMVV が重要 • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 変化志向 分散型 • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 A D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 B D A B Stance Structure Shared Value Staff System Skill Style チームリーダー経営 • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る 中央集権型 安定志向 複数リーダー経営 • 事業/機能へ積極的な権限移譲 • それらを束ねるMVVが重要 • ジョブ型の雇⽤形態 • より⼤きい職責を担うことを 通じて成⻑する • 成果主義の徹底(Up or Out) • JDの明確な定義 • 専⾨性の⾼い⼈材を評価する • アサインを通じたリーダー育 成 • 権限移譲されたリーダーによ る意思決定 • プロ意識の⾼い社員が多い 安定志向 分散型 • 階層・役割ごとの権限等を明 確に設計する • ピラミッド型構造が好まれる (事業や規模により異なる) • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 ★ D A D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 D A 総じて、7Sの多くの⾯から組織を変⾰する 必要がある 【組織開発】MVVの明確化 - すり合わせを通じた暗黙知から、権限移譲 された⾃律的な働きを束ねる明確なMVVへ 【評価制度】成果主義へのシフト - ジョブ型の雇⽤に合わせ、成果をよ り重視する評価制度へ変化する 【採⽤】専⾨性を評価する採⽤ - JDに期待される能⼒を基準に採⽤ - 新卒よりも中途が中⼼に変化 【育成】リーダーシップと専⾨性 - 権限移譲された事業/機能を担える リーダーの育成にシフト - 専⾨能⼒を伸ばすことも期待される 【意思決定】リーダーへの権限移譲 - ⾃ら意思決定することが期待される 【雇⽤形態】ジョブ型の雇⽤へ - メンバーシップ型中⼼から、ジョブ 型中⼼へのシフト - JobDiscriptionも明確にされる
  25. - 28 - Stance Structure Shared Value Staff System Skill

    Style チームリーダー経営 • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る 中央集権型 安定志向 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 ★ D (参考)7Sに沿ったシナリオ【A → B】 複数リーダー経営 • 事業/機能へ積極的な権限移譲 • それらを束ねるMVVが重要 • ジョブ型の雇⽤形態 • より⼤きい職責を担うことを 通じて成⻑する • 成果主義の徹底(Up or Out) • JDの明確な定義 • 専⾨性の⾼い⼈材を評価する • アサインを通じたリーダー育 成 • 権限移譲されたリーダーによ る意思決定 • プロ意識の⾼い社員が多い 安定志向 分散型 • 階層・役割ごとの権限等を明 確に設計する • ピラミッド型構造が好まれる (事業や規模により異なる) A D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 D A 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 変化志向 分散型 • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 A D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 B D A B 【組織開発】MVVへの深い共感 - MVVが「意思決定の拠りどころ」から、1⼈1⼈が「深 く共感する」MVV(もしくはPurpose)へと変化する - D→Aへのシフトとは質的に異なるため、連続して変化 を進めることは難易度が⾼い • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • MVVへの深い共感によって組 織の求⼼⼒が保たれる その他の⾯でも変化はあるものの、 それほどインパクトは⼤きくない
  26. - 29 - 【D → A → B】シナリオに関する「2つの考察」 n このルートで【D→B】に⾄ることについて、2つの観点から考察した

    • 【D→A】【A→B】でそれぞれ全く質の異なる⼤きな変化を伴う(考察1) • ⼀⽅、このルートが「間違い」なわけではなく、適したケースは存在する(考察2) A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → C → B 】シナリオ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい 【 D → A → B 】シナリオ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い 考察1︓【D→A】の壁、【A→B】の壁 考察2︓【D→A→B】に適したケース
  27. - 30 - 【D → A → B】に関する2つの考察① 【D→A】の壁︓ 全⽅位的な組織変⾰

    【A→B】の壁︓ 「正しい理解」から「深い共感」へ l ジョブ型の雇⽤契約(Staff)、成果主義へのシフト(System)、 専⾨能⼒の評価(Skill)、権限移譲されたリーダーによる意思決 定(Style)など、7Sの多くの⾯で組織を抜本的に作り変える必要 がある l 逆に⾔えば、「ジョブ型の導⼊」だけを推進しても全体としては 効果が⾒込みづらい l AにおけるMVVは、権限移譲を⽀えるための「共通の判断基準」 や「意思決定の拠り所」を提⽰する側⾯が強い l BにおけるMVVは、⼀⼈⼀⼈が深く共感し、貢献したいという内 発的な想いと繋がるものとしての側⾯が強い l ⾔い換えると、Aで求められるのはMVVを「正しく理解する」こ とであり、Bで求められるのはMVVに対して「深く共感する」こ とである 考察1︓【D→A】の壁、【A→B】の壁 「成功のジレンマ」が発⽣しやすい l 【D→A】の変化は「論理的な正しさ」が中⼼ l 【A→B】の変化は「内発的な共感」が中⼼ l 【D→A】に続いて【A→B】を⽬指すことは、 過去の成功体験からの脱却を意味するが、最初 の成功体験が⼤きいほど変化への抵抗が⼤きく なりやすい
  28. - 31 - 【D → A → B】に関する2つの考察② 「グローバル共通化」の流れ 短い期間での組織変⾰

    l 企業としてグローバルで統⼀した組織作りを志向する場合、Aの組織形態と相性が良いことが多い l グローバル展開している⼤⼿⽇本企業におけるCHRO主導の組織変⾰にはD→Aの流れが⾒られる (ただしD→Aまでの話であり、A→Bを志向するとは限らない) l 企業の業績回復や財務体質の改善など、短期間で急激に組織の体質を変⾰する際にもD→Aが⾒られる l その場合、離職者が増える、社員のエンゲージメントが下がる、などの「痛み」を伴うことが多い 考察2︓【D→A→B】に適したケース
  29. - 32 - 【Phaes3】 提⾔の⽴案 n 提⾔における3つの「前提」 n 2通りの提⾔ n

    4象限(A,B,C,D)の典型的な組織運営 n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→A→B) n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→C→B) n 提⾔②「B」の多様性 n 全体総括 n Appendix
  30. - 33 - 提⾔①「D→B」の移⾏ 【D→C→B】シナリオ n このルートでは、【D→C】に際しての内的な変容(MVVの変化)が特に重要となる n これがその後の【C→B】において、組織の⼟台として機能する A

    B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → C → B 】シナリオ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい 【 D → A → B 】シナリオ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い
  31. - 34 - 【D → C → B】シナリオ n このルートでは、【D→C】に際しての内的な変容(MVVの変化)が特に重要となる

    n これがその後の【C→B】において、組織の⼟台として機能する A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 Stance Structure Shared Value Staff System Skill Style ⾃律的な活躍を評価 フラットな組織構造へ 意思決定スタイルの変更 (⼀⼈⼀⼈の⾃⼰決定) 【D】 【B】 【C】 【D→C】 【C→B】 MVVの変化 (明⽂化と深い共感) 情報共有の仕組みの変更 (多様な⼈材の活躍を⽀える 仕組みの構築) 意思決定スタイルの変更 (合議と⾃律のハイブリッドへ) … 変化の⼤きい箇所 MVVへの深い共感を慎重に ⾒極める 経営スタンスの変更 (チームリーダー経営 → 全員リーダー経営) 採⽤基準の変更 (⾃律性の評価) ⾃律的に活躍できる⼈を 評価する
  32. - 35 - (参考)7Sに沿ったシナリオ【D → C → B】 Stance Structure

    Shared Value Staff System Skill Style 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • 判断軸を合わせるためのMVV が重要 • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 変化志向 分散型 チームリーダー経営 • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る 中央集権型 安定志向 • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 チームリーダー経営 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 共有されたMVVを前提とした ⾼い集団凝集性 • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 採⽤時はMVVへの深い共感を 慎重に⾒極める • 新卒・中途どちらも採⽤する • MVVを共有する仕組みや習慣 が根付いている • 多様な⼈材が活躍するための 仕組み作りが重要 • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 意思決定は合議と⾃律のハイ ブリッド • オフィスで顔を合わせること を好む 中央集権型 安定志向 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 ★ D D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 D C D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 B D C B
  33. - 36 - D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ

    バ イ ブ 固定的 B D C B (参考)7Sに沿ったシナリオ【D → C】 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • 判断軸を合わせるためのMVV が重要 • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 変化志向 分散型 • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 Stance Structure Shared Value Staff System Skill Style チームリーダー経営 • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る 中央集権型 安定志向 チームリーダー経営 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 共有されたMVVを前提とした ⾼い集団凝集性 • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 採⽤時はMVVへの深い共感を 慎重に⾒極める • 新卒・中途どちらも採⽤する • MVVを共有する仕組みや習慣 が根付いている • 多様な⼈材が活躍するための 仕組み作りが重要 • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 意思決定は合議と⾃律のハイ ブリッド • オフィスで顔を合わせること を好む 中央集権型 安定志向 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む 【組織開発】MVVの明確化と深い共感 - すり合わせを通じた暗黙知から、内発的 な深い共感を伴うMVVの明確化が必要 【仕組み構築】情報の透明性の担保 - MVVへの共感を前提として、⼀⼈⼀⼈ の⾃律的な働きを促すためには、情報 の透明性を⾼めることが必須 D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 ★ D D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 D C
  34. - 37 - D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ

    バ イ ブ 固定的 ★ D Stance Structure Shared Value Staff System Skill Style チームリーダー経営 • 集団凝集性が⾼い • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 新卒⼀括採⽤が中⼼ • 中途も和を乱さない⼈材が重 視されやすい • 年功序列で勤続年数が⻑いこ とが評価される • 減点主義が好まれやすい • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る 中央集権型 安定志向 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 定期的な会議の場で合議によ る意思決定を⾏う • オフィスで顔を合わせること を好む (参考)7Sに沿ったシナリオ【C → B】 全員リーダー経営 • フラットな組織構造が多い • 外部⼈材なども積極的に招く • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定することが前提 • 判断軸を合わせるためのMVV が重要 • ⾃分で考え実⾏する⼒が求め られる • プロ⼈材である中途が多く、 新卒でも即戦⼒が期待される • MVVに沿った⾏動を重視 • ⼀⼈⼀⼈がリーダーとして意 思決定する 変化志向 分散型 • すべてMVVと紐づけて設計す ることで⼀貫性を保つ • 流動的に多様な⼈材が活躍で きるための仕組み作りが重要 • ⾃律的に活躍できる⼈を評価 する • マネジメントの役割は社員の パフォーマンス発揮の⽀援 チームリーダー経営 • 安定したヒエラルキーを作る ためのピラミッド構造 • 権限・責任はやや曖昧 • 共有されたMVVを前提とした ⾼い集団凝集性 • ⽇々のすり合わせを通じて暗 黙知を共有する • 採⽤時はMVVへの深い共感を 慎重に⾒極める • 新卒・中途どちらも採⽤する • MVVを共有する仕組みや習慣 が根付いている • 多様な⼈材が活躍するための 仕組み作りが重要 • 社内⼈脈や調整能⼒を評価す る • 意思決定は合議と⾃律のハイ ブリッド • オフィスで顔を合わせること を好む 中央集権型 安定志向 【D→C】の移⾏が本当に進められた ならば、【C→B】の移⾏に伴う変化 は多くない 【意思決定】⾃律的な判断 - 流動的な働き⽅が増えるほど、⼀⼈⼀⼈ が⾃ら考え、意思決定することが求めら れる D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 D C D 流動的 ⾃ ⼰ 表 現 サ バ イ ブ 固定的 B D C B
  35. - 38 - 【D → C → B】シナリオに関する「2つの考察」 n このルートでは、【D→C】に際しての内的な変容(MVVの変化)が特に重要となる

    n これがその後の【C→B】において、組織の⼟台として機能する A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 【 D → C → B 】の移⾏ l 【D→C】の移⾏においては、暗黙的に共 有されていた価値観をより明確にし、⼀ ⼈⼀⼈がより深く共感していく必要があ る l また、⾃律的な働き⽅を⽀える情報共有 の仕組みが必要 l この2つの移⾏が進むと、【C→B】は⽐ 較的進めやすい 【 D → A → B 】の移⾏ l 【D→A】では、7Sの多くの⾯で変化が必 要であり、抜本的に組織を作り変える必 要がある l 【A→B】では「判断基準」としてのMVV (A)から「内発的なつながり」として のPurpose(B)へと変化が求められる l この2つの変⾰の推進はとても難易度が ⾼い 考察1︓【D→C】の2つの変化 考察2︓次の移⾏の⼟台作り
  36. - 39 - 【D → C → B】に関する2つの考察① MVVの明⽂化と、深い浸透 情報の透明性を⾼める仕組み

    ⼤切にする価値観・信念を明確にする l また、Dでは組織構造が安定的であり、部署・チームごとの役割も明確であることが多いが、Cではプロジェクや部署・ チーム横断の仕事も増える l その結果、組織内で扱われる情報の量や速さが⾶躍的に⾼まる l 情報を共有する仕組みがなければ、「特定の⼈たち」だけに情報が集まり、そこに負荷が集中する l 明⽂化はできたとしても、⼀⼈⼀⼈が個⼈的な情熱・信念と結びつけることが必要 l これまで暗黙的に「ある程度理解していた」ため、⼀⼈⼀⼈の⾏動や意思決定として体現されるまでに時間がかかる l 暗黙的に共有されていた価値観を明⽂化することが必要となる l 「ローコンテキスト⽂化」から「ハイコンテキスト⽂化」への転換とも⾔える 深い浸透の「逆説的な難しさ」 ⾃律的な意思決定への変化 l 暗黙知や価値観を共有したすり合わせ(D)から、MVVに基づいた⾃律的な⾏動・意思決定へ(C)移⾏する l ⼀⼈⼀⼈が⾃律的に⾏動・意思決定を⾏えるために可能な限りの情報の透明性が必須 ⾏き交う情報量の増⼤ 考察1︓【D→C】の2つの変化
  37. - 40 - 【D → C → B】に関する2つの考察② 「流動的な所属」の増加を⽀える⼟台 流動性という「選択肢」のための準備

    l D→Cの移⾏に必要な「MVVの浸透」と「情報の透明性」は、流動的な所属の⼟台としてそのまま活かされる l ⼟台が整っていれば、「今いるメンバーが流動的な所属に変わる(ex.副業するなど)」や「外部から流動的な所属をす るメンバーを新しく招き⼊れる」ことは、ある程度スムーズに⾏いやすい l 組織として「流動的な所属」を⾼めることは、よりよい組織状態を⽬指すための「⼿段」の1つであり、「流動性を⾼ めること」が最初から⽬的になるわけではない l ⼀⽅で、本研究の実態調査(Phase2)でも確認したように、社会的なトレンドとして「流動的な所属を望む」傾向が⾒ られる l そのような社会のトレンドに備える上で、事前に組織の⼟台を整えることに意義はある 考察2︓次の移⾏の⼟台作り
  38. - 41 - 【Phaes3】 提⾔の⽴案 n 提⾔における3つの「前提」 n 2通りの提⾔ n

    4象限(A,B,C,D)の典型的な組織運営 n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→A→B) n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→C→B) n 提⾔②「B」の多様性 n 全体総括 n Appendix
  39. - 42 - 「B からの移⾏」 n 「Bからの移⾏」については、多様な⽅向性が存在する • 全体としてD→Bへの移⾏が強かったが、決してBが「ゴール」でも「最善」でもない •

    実際、今回のインタビュー対象企業で現状としてBに位置する企業の中でも、様々な課題感や、次に⽬指し たい⽅向性が語られていた • 「Bからの移⾏」については、その多様な⽅向性について発散型の議論を⾏った ★現状 ★ ⽬指す姿 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 「D から B への移⾏」 「B からの移⾏」 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 ★ ★
  40. - 43 - 「B からの移⾏」 n 計画的成⻑重視型は、成⻑に対する⼀定の確実性・計画性を追求する n 少数基盤型は、組織の基盤となるコアなメンバーは絞り、その分、全体としては流動的な関わり⽅の⼈の裾 野を広げる

    「B からの移⾏」 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 ★ ★ 計画的成⻑重視型 l 事業の規模、成⻑率などを計画的に成⻑ させることを重視する l 外部ステークホルダーへの期待に応える 意向が反映されやすい l 会社のpurpose > 個⼈のpurpose(これを 受け⼊れる⼈を採⽤する) 少数基盤型 l 組織の基盤となる「少数の固定的な⼈ 材」と、専⾨性を発揮し仕事を進める 「多数の流動的な⼈材」を分ける l 基盤⼈材は能⼒よりもpurpose共感やカル チャーフィットが重要となる
  41. - 44 - 「B からの移⾏」 n Bの象限の中でも、「さらに先」の進化の多様な⽅向性が模索されている n この多くは、「組織」の話だけではなく、「事業」「財務」「法⼈形態」などに通じる 「B

    からの移⾏」 A B C D 流動的な所属 ⾃⼰表現 サバイブ ★ ★ 固定的な所属 ★ ★ 仕組み構築型 l 多様な⼈の活躍できる仕組みを構築する PLG (Product Lead Growth)アプローチ • プロダクトを起点とした事業成⻑を⽬指す • 「事業スケール」と「組織スケール」は分け て捉える • 例)basecamp Transparency(情報の透明性)アプローチ • 流動的な⼈材が早期に活躍できる「仕組み」 に投資する • 例)Gitlab, Valve オルタナティブ型 l 新たな「成⻑」の⽅向性を模索する 組織状態重視アプローチ • 健全な組織の状態を損なわないことを優先し、 その上で事業の成⻑「も」⽬指す(事業成⻑ を「⽬指さない」わけではない) • 例)平安伸銅 資本構成設計アプローチ • 追求するミッションに共感する出資者を募る • 例)eumo
  42. - 45 - 「B からの移⾏」に関する2つの考察① 秩序を前提とした成⻑←→カオスを前提とした成⻑ 「カオスを前提とした成⻑」の可能性 組織はこの2つのモードを⾏き来しながら発展する l 短期間であれば、秩序を前提とした成⻑で成果が出しやすいことが多い

    l ⻑期的にカオスを前提とした成⻑においてそれ以上の経済的価値を⽣み出せる可能性もある l それぞれに個性や強み・弱みは存在し、両⽅を使い分けながら成⻑することが必要 l 組織によってどちらかへの偏り(”利き⼿”)は存在する l 秩序を前提とする成⻑は「安定した環境」「確実性」「計画性」などと相性が良い l カオスを前提とする成⻑は「不確実な環境」「⾮連続性」「偶発性」などと相性が良い 「どちらか」ではなく「どちらも」 これからの組織運営のポテンシャル l これまでは秩序を前提とした成⻑が中⼼だが、今後はカオスを前提とした成⻑のポテンシャルを活かせるのではないか l ただし、組織運営の知⾒や実例が⽐較的少ない(逆に⾔えば、今後の発展の余地がとても広い) ⻑い時間軸で成⻑を考える 考察1︓2つの成⻑モードの共存
  43. - 46 - 「B からの移⾏」に関する2つの考察② 考察2︓「組織」を越える必要性 ⻑期で考えるほど、「財務」や「事業構造」の話とセット 社会の⼟壌との相性 l プロダクト中⼼の事業成⻑(PLGアプローチ)の実現にはビジネスモデルや事業戦略からの検討が必須

    l 良い組織状態を優先する(組織状態重視アプローチ)には、株主などのステークホルダーの合意が必須 l 「⼈・組織」を扱うだけではなく、経営全体としての⼀貫性を持つことが必要となっていく l 現状においては、「雇⽤の保証」「株式市場からの評価」「資⾦調達の⽅法」などの社会構造が「固定的な所属」や、 「サバイブモード」と相性の良い「秩序を前提とした成⻑」による成⻑を促す傾向がある l 今後、「流動的な所属」や「⾃⼰表現モード」の働き⽅がより広く実現する上では、さらに周辺の社会構造・社会規範 などが変化することとセット
  44. - 47 - 【Phaes3】 提⾔の⽴案 n 提⾔における3つの「前提」 n 2通りの提⾔ n

    4象限(A,B,C,D)の典型的な組織運営 n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→A→B) n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→C→B) n 提⾔②「B」の多様性 n 全体総括 n Appendix
  45. - 53 - 全体を通した考察/本研究における⽰唆1 「提⾔の前提」の再確認 l 「提⾔の前提2」において⾔及したが、ABCDのいずれかが「良い」「優れている」わけではない l 今回の研究では「D︓⽇本型経営2.0」から離れたいトレンドがあることを⽰しているが、同じ象限の中 で組織運営を洗練させる⽅向も当然ある

    切り⼝を限定する効果・逆効果 l 今回のように組織を捉える切り⼝を限定することの効果として、短期間で議論の⼟台を揃えられる、他 社との⽐較を容易にする、などが挙げられる l ⼀⽅、逆効果として、それぞれが切り⼝に違った解釈を乗せる(結果的に解釈がズレる)ことが本プロ ジェクトの検討メンバー内でも発⽣した 「良し悪し」ではなく「選択」
  46. - 54 - 全体を通した考察/本研究における⽰唆2 なぜ「Purpose」が注⽬されるか l 今回の検討を通じて、A,B,C,Dの象限によってMVV(Mission / Vision /

    Value)の位置付けや果たす役割が 異なることを確認した - 例)「A︓ビジネスアスリート」では判断の拠りどころ、「C︓私たちの組織」では内発的な動機とのつながり l ⾃⼰表現として働くことが増える中では、⼀⼈⼀⼈が内⾯から共感するPurposeによって組織の求⼼⼒が 保たれることが重要になる Purposeの重要性の再解釈 「⾃⼰表現」の2つのアプローチ l ⾃⼰表現には、組織における既存の「役割の中」に⾃らの表現したいことを⾒つけ出していく⽅向性 (ジョブ・クラフティング)と、組織の輪郭に捕われずに⾃分の「⼈⽣すべて」において表現する⽅向 性の2通りがある l 組織の⽬線から考えたときに、⾃社で働く⼈にとってより適したアプローチを選択することも必要にな る
  47. - 55 - 全体を通した考察/本研究における⽰唆3 多様な⾃⼰表現の共存 l 組織に関わる多くの⼈の⾃⼰表現が共存することは、⼀⼈⼀⼈の⾃律的な働きが増えることも意味する l それに適した組織の構造(例︓階層型・縦割り →

    フラット型・プロジェクト型)が変わるとともに、組 織全体を流れる情報の量・スピード・流れも変化する l この情報の流れに適した情報インフラを整えなければ、個⼈の経験値や属⼈的な関係性に依存せざるを 得ない(結果的に新しい⼈が活躍しづらい) ⾃⼰表現を⽀える情報インフラ 「流動的な働き」の⼟台作り l 情報のインフラを整えることは、結果的に⼀⼈⼀⼈が組織と多様な関わり⽅を持つことを可能にする l 組織として流動性を⾼めたいか否かは「選択」すべきテーマだが、多様な働き⽅の⼈を受け⼊れられる という選択肢を持てることの意義は⼤きい
  48. - 56 - 全体を通した考察/今後に向けた検討点 「今」だからこそ問われる切り⼝ l 複業や多所属などの「多様な働き⽅」を取り巻く環境は、この数年で著しく変化した - たとえばリクルートワークス研究所による「⼈材マネジメントを可視化する」(2006年)では、企業の⼈事の根底思想を 解き明かすことを⽬指した調査を⾏い、本調査のように2軸で企業をプロットしている

    - このときの2軸は「集権型デザイン←→分散型デザイン」と「セルフモチベーション←→コーポレートミッション」 - 検討のプロセス全てにおいて「流動性」という切り⼝は全く登場していない l 流動化への流れが続くとは限らないが、15年前には全くなかった組織の可能性が広がっていると⾔える 「なぜ」流動性を⾼めるのか︖ l 流動性を⾼めること⾃体が「⽬的化」されるわけではなく、「⽬指す組織の姿」に対する「⼿段」とし て選択されることが望ましい l ただし本研究を通じて捉えると、「流動性を⾼める」ことと「⾃⼰表現をしやすくする」ことはセット で考えると相性がよく、さらに「⾃⼰表現」は「組織の共通の⽬的(Purpose)」と連動している l Purposeを純度⾼く追求することで、流動性は「結果的に⾼まる」ことに繋がりやすいとも捉えられる 「流動性」との向き合い⽅
  49. - 57 - 全体を通した考察/今後に向けた検討点 「どんな組織を」「なぜ」⽬指すのか︖ 「フレームワーク」を考える「フレームワーク」 l 先ほども述べたように、象限の移⾏が「⽬的」ではない。同じ象限の中で「さらに良い組織運営へと洗 練させる」こともある l

    その際に、組織として「どんな組織を」「なぜ」⽬指すのか︖に対して、組織としてのスタンスを明確 にする必要がある 「選択」を⽀える考え⽅ l 本研究において、組織の特徴を「2軸に絞る」ことは、結果的に議論の⼟台を作ることに貢献したと⾔え るが、今回の軸が万能なわけではない l 本来的には、「どんな組織を」「なぜ」⽬指すのかを考えるに当たり、それぞれの組織において⾃組織 にとって⼤事な切り⼝を導き出せることが必要だと⾔える
  50. - 58 - 【Phaes3】 提⾔の⽴案 n 提⾔における3つの「前提」 n 2通りの提⾔ n

    4象限(A,B,C,D)の典型的な組織運営 n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→A→B) n 提⾔①「D→B」の移⾏(D→C→B) n 提⾔②「B」の多様性 n 全体総括 n Appendix
  51. - 59 - Phase3 プロジェクトメンバー 検討メンバー 瀧澤 暁 Thinkings株式会社 代表取締役会⻑

    (プロジェクトリーダー) ⼭⽥裕嗣 株式会社令三社 代表取締役 ⼀般社団法⼈⾃然経営研究会 発起⼈/世話⼈ (プロジェクトファシリテーター) 岩⽥佑介 社会保険労務⼠、IPO・内部統制実務⼠ 岩本卓也 株式会社Polyuse 代表取締役CEO 嘉村賢州 場づくりの専⾨集団NPO法⼈「場とつながりラボhome’s vi」代表理事 東京⼯業⼤学リーダーシップ教育院特任准教授 『ティール組織』(英治出版)解説者 唐澤俊輔 Almoha LLC 共同創業者COO、デジタル庁 ⼈事・組織開発 関美穂⼦ アラワス 代表 (グラフィックレコーディング) やつづかえり (ライター) プロジェクトサポート
  52. - 62 - 所属の志向性(固定的←→流動的) 正社員⽐率 ⾼い 低い 複業⽐率 低い ⾼い

    離職率 低い ⾼い 在籍年数 ⻑い 短い ??? ??? ??? (被雇⽤者の) どんな指標を重視するのか︖ (そもそも指標化出来るものなのか︖) 1) どのような切り⼝・指標から固定的(or流動的)と捉えるか︖は様々な考え⽅がある • また、どの切り⼝・指標でも企業規模、事業領域、事業フェーズなどによって適正な⽔準も様々 その適切な⽔準は︖ 流動的 固定的
  53. - 63 - 所属の志向性(固定的←→流動的) 2) 固定的・流動的どちらにも特性や活かされる強みがある • 流動的 → 多様な⼈材(≒知識、経験、etc)にアクセスしやすい。ただしそれを活かすには⼯夫が必要

    • 固定的 → 「暗黙知」や「Purpose」が共有しやすい 流動的 固定的 特性・強み 多様な⼈材(≒知識や経験)に アクセスしやすい 「暗黙知」や「Purpose」が 共有しやすい 仕組み 短期間で仕組みやpurposeを 共有する⼯夫がないと 「バラバラ」になりやすい ⻑い時間を⼀緒に過ごすことを 通じて⾊んなことを擦り合わせる
  54. - 64 - 所属の志向性(固定的←→流動的) 3) 個⼈は「右から左」のトレンドであることを「与件」として、組織は対応のスタンスを決める必要がある • 左側(⾃⼰表現)に個⼈が移⾏するほど、「働き⽅」を選ぶようになる - Purposeに深く共感する組織がある⼈は、⾃⼰表現として深くコミットする(=固定的な所属)

    - 多様な⾃⼰表現を望む⼈は、様々な組織に関わる⽅向を選ぶ(=流動的な所属) 流動的な 所属を望む 固定的な 所属を望む ⾃⼰表現を 重視 サバイブを 重視 ⾃⼰表現として 深くコミットする (=固定的な所属を望む) 多様な組織で、⾊々な ⾃⼰を表現をする (=流動的な所属を望む) ︖ ︖ 個⼈ 組織 どういうバランスや ポートフォリオで 組織を作るか︖
  55. - 67 - 働くドライバー(⾃⼰表現←→サバイブ) 2) 「右から左」の動きの中で、⼤きく分けると2通りの変化の表現がある • A) 組織における「役割の中」の⾃⼰表現 •

    B) ⾃分⾃⾝の「⼈⽣」としての⾃⼰表現 ⾃⼰表現 サバイブ 組織 役割 組織 役割 • 受動的な働き⽅ • 決まった役割を全うする • 仕事は外から「与えられる」 • 能動的な働き⽅ • ⾃ら役割を変える・広げる • 仕事は⾃ら「作る」 ⾃分⾃⾝の「⼈⽣」としての⾃⼰表現 組織 役割 • 組織・役割を通じて考える 組織 • ⾃分と組織を「別」に考える 組織における「役割の中」の⾃⼰表現
  56. - 68 - 働くドライバー(⾃⼰表現←→サバイブ) 3) サバイブは組織における価値観が(ある程度は)共通であり、⾃⼰表現は価値観が様々 • 様々な価値観を束ねるアプローチは⼤きく2つありそう • それぞれを尊重する

    ≒ 多元型(グリーン)組織 • ソースがpurposeを提⽰する ≒進化型(ティール)組織 ⾃⼰表現 サバイブ ⼤切にする価値観が (ある程度は)共通する ⼀⼈ひとりの価値観を尊重する =多元型(グリーン)組織 ソースがpurposeを提⽰する =進化型(ティール)組織
  57. - 69 - ︖ ︖ 働くドライバー(⾃⼰表現←→サバイブ) 4) 「⾃⼰表現←→サバイブ」と「実験的←→仕組み化」は本来は別の観点だが、混同されやすい • 特に「⾃⼰表現」を⼤切にしながら「仕組み化」するときに、具体的なやり⽅を模索するケースが多い

    仕組み化 実験 • ⼀⼈⼀⼈が⾃らの熱量 ドリブンで試⾏錯誤を する • 全体の成果を最⼤化す るための仕組みを作り、 運⽤する • ⼀⼈⼀⼈の熱量を活か しながら、全体の仕組 みを整える • 新たなチャレンジを通 じて成果を出す 本当はこっちを 実現したいが こっちの変化が イメージされがち ⾃⼰表現 サバイブ
  58. - 70 - サマリー - 8 - 2つの変化のベクトル 右から左 (サバイブ→⾃⼰表現へ)

    下から上 (固定的な所属→流動的な所属) - 13 - 2つの変化のベクトル 右から左 (サバイブ→⾃⼰表現へ) 下から上 (固定的な所属→流動的な所属) 1) どのような切り⼝・指標から固定的(or流動的)と捉える か︖は様々な考え⽅がある • どの切り⼝・指標でも企業規模、事業領域、事業フェーズなどに よって適正な⽔準も様々 1) 基本的には「右から左」(サバイブ→⾃⼰表現)への移⾏ • マズローの欲求5段解説が(ある程度)当てはまりそう 2) 固定的・流動的どちらにも特性や活かされる強みがある • 流動的 → 多様な⼈材(≒知識、経験、etc)にアクセスしやすい。 ただしそれを活かすには⼯夫が必要。 • 固定的 → 暗黙知やPurposeが共有しやすい。 仕組みの必要性が乏しく、意図的な設計がされづらい。 2) 「右から左」の中で、⼤きく分けると2通りの変化がある • A) 組織における「役割の中」の⾃⼰表現 • B) ⾃分⾃⾝の「⼈⽣」としての⾃⼰表現 3) 個⼈は「右から左」のトレンドであることを「与件」として、 組織は対応のスタンスを決める必要がある • 左側(⾃⼰表現)に個⼈が移⾏すると、⾃らの「表現」として働 き⽅を選ぶ - Purposeに深く共感する組織があれば、⾃⼰表現としてその組織 に深くコミットする(=固定的な所属) - 多様な形での⾃⼰表現を望む⼈は、様々な組織に関わる⽅向を 選ぶ(=流動的な所属) 3) サバイブは組織における価値観が(ある程度は)共通であり、 ⾃⼰表現は価値観が様々 • 様々な価値観を束ねるアプローチは⼤きく2つありそう - それぞれを尊重する ≒ 多元型(グリーン)組織 - ソースがpurposeを提⽰する ≒ 進化型(ティール)組織 4) 「⾃⼰表現←→サバイブ」と「実験的←→仕組み化」は本来 は別の観点だが、混同されやすい • 特に「⾃⼰表現」を⼤切にしながら「仕組み化」するときに、具 体的なやり⽅を模索するケースが多い