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アウトカムを生むための、組織で取り組むプロダクトディスカバリー / Product Discovery for organizational efforts to generate outcomes

アウトカムを生むための、組織で取り組むプロダクトディスカバリー / Product Discovery for organizational efforts to generate outcomes

2022年6月28日ProductZineウェビナー登壇資料「アウトカムを生むための、組織で取り組むプロダクトディスカバリー」Rettyプロダクト部門執行役員VPoP 野口 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000208.000034873.html

Hiroki Noguchi

June 28, 2022
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Transcript

  1. 3 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 自己紹介

    野口 大貴 のぐち ひろき Retty株式会社 Webマーケティングのコンサルタントやチケットアプリの プロモーション担当、ディレクターを経て、 Rettyに転職8年目 2019年10月からプロダクト部門執行役員 VPoPとして、 大規模スクラムLarge Scale Scrum(LeSS)のプロダクトオーナー Retty料理担当は粉もん。趣味はサウナ 󰩶 Regional Scrum Gathering℠ Tokyo 2021:「全社でLeSS移行して1年」Retty執行役員が全て答えます pmconf2021:プロダクトマネジメントを Rettyの開発組織にインストールした話 @roki_n_
  2. 7 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 組織メンバー構成

    開発以外 98名 開発 67名 社員 165名 PM ・プランナー11名(マーケティング、分 析、営業、ゲームプロデューサー、 新卒等出身様々) デザイナー4名 データアナリスト6名 エンジニア36名 CS・コミュマネ・QA等10名
  3. 8 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 大規模スクラム(LeSS)

    BackLog SM Engineer Engineer めいじ SM Engineer Engineer きりん SM Engineer Engineer ももてん SM Engineer Engineer はらみ PO 野口 PM Planner Planner デジタルマーケティング PM Planner Designer 投稿・お店探しコア体験 PM Planner Designer ネット予約 PM Planner Designer for 飲食店 プロダクト部門 エンジニアリング部門 WhatとWhyに責任を持つ Howに責任を持つ 全員で ユーザーに価値を届ける プロダクトバックログを作る Feature Team User Story(KPI) Team
  4. 10 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトバックログが1つ→ユーザーストーリーが重要

    https://less.works/jp/less/framework プロダクトバックログが1つだからこそ、質の高いユーザーストーリーが並んでいれば 良いが、そうでなければ高速でゴミを生み出してしまう。
  5. 11 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 外部環境の変化から、絶え間ない課題の探究と仮説検証が必要

    感染症影響に加え、直近では世界情勢や円安を起因とした原価高騰によるコスト増加問題も。ユーザー サイドでも外食習慣自体への変化、情報収集や購買価値観の多様化が起きている。 新型コロナウイルスによる 営業自粛・時短営業 Horizontalなプロダクトの 普及とお店探しの多様化 テイクアウト・デリバリーの 普及で中食・外食に変化
  6. 12 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. スター級のCEOやPMのセンスに頼っていては、良くて一発屋

    Rettyに限らずだが、不確実性の高い現代でスタープレイヤーのセンス頼みは非常に危険。 仮にうまくいってホームランを一度打てたとしても、継続的な価値提供は難しい。
  7. 15 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトディスカバリーとデリバリー

    INSPIREDの著者であるSVPG(Silicon Valley Product Group)のMarty Cagan氏 ・プロダクトディスカバリー 素早く仮説検証を行うことで、顧客について 解像度高く学習し、ソリューションを発見すること ・プロダクトデリバリー 堅牢でスケーラブルな実装を行い、顧客が常に 信頼できる価値を届けること https://www.svpg.com/discovery-vs-delivery/ より意訳
  8. 16 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 難しく複雑な課題解決のためには、二刀流で取り組むべき

    https://aktiasolutions.com/product-discovery/ 継続的なディスカバリー(仮説検証)が質の高い価値提供(デリバリー)を生む。
  9. 17 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトディスカバリーに取り組むまでの課題

    開発物のWhyを考えられるようになり、 コツコツアウトカムを出せるようになってきた。 しかし中期的にユーザーさんの 課題を解決できるだろうか・・・ 中期的にユーザーリサーチを行っても、 開発物への反映がうまくいかないぞ。 何ならリサーチしていることと違うもの 開発してる!?
  10. 18 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトディスカバリーに取り組むまでの課題

    開発物のWhyを考えられるようになり、 コツコツアウトカムを出せるようになってきた。 しかし中期的にユーザーさんの 課題を解決できるだろうか・・・ 中期的にユーザーリサーチを行っても、 開発物への反映がうまくいかないぞ。 何ならリサーチしていることと違うもの 開発してる!? プロダクトディスカバリーに注力することで改善していく!!!
  11. 20 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトディスカバリーのプロセス

    1 2 3 4 5 6 ディスカバリーの対象を決める 既知・未知や因果を整理する 問いを立てる 問いを検証する 既知になったことを整理する ソリューションをデリバリー ③〜⑤を繰り返す
  12. 21 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 問いを立てる前の重要なプロセス

    1 2 ディスカバリーの対象を決める 既知・未知や因果を整理する どのスコープの課題を解決するか、 ソリューションを提供するか。 ディスカバリーしたい対象を見定める。 以下の3つの順番で明らかにしていく a. ターゲットユーザー b. 課題 c. ソリューション もちろんa、bが明確な場合もある。 既知・未知や課題の因果を整理。 Rettyではmiroやfigmaを活用するチームが 多い。 💡 ディスカバリーを始める時のポイント • 必ず事業計画やビジョンを踏まえる ◦ 期日やコスト感も • トップダウン・ボトムアップどちらが 起点でも必要
  13. 22 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 既知と未知

    事実 直感 疑問 発見 既知 未知 既知 未知 質問・検証すべき ことが明確なので、ディス カバリーで 良い問いになる ソリューションが 明確なので デリバリーが容易 参考:書籍『プロダクトマネジメント ― ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』 自分が知らないことが わからない。まだ精度 高く検証できないが、 良い問いの卵になりうる 継続的なディスカバリー(仮説検証)が質の高い価値提供(デリバリー)を生む 認知 ソリューションは 思いついているが 課題が検証できてない 事象
  14. 23 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. ソリューションは

    思いついているが 課題が検証できてない 既知と未知 事実 直感 疑問 発見 既知 未知 既知 未知 質問・検証すべき ことが明確なので、ディス カバリーで 良い問いになる ソリューションが 明確なので デリバリーが容易 参考:書籍『プロダクトマネジメント ― ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』 自分が知らないことが わからない。まだ精度 高く検証できないが、 良い問いの卵になりうる 継続的なディスカバリー(仮説検証)が質の高い価値提供(デリバリー)を生む 既知・未知の認識がズレると悲劇
  15. 24 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 「問いを立てる」には既知・未知が大事

    3 問いを立てる ②で整理したことをベースに 左の例はセグメント分類ができてターゲットが選定できて いるケース • 質が高い問いである場合 ◦ 前提についてわかっているなら既知 ◦ その上で、掲げた問いが既知かつ未知の 「疑問」である • 質が低い問いである場合 ◦ もしZ世代について知識やリサーチで わかった既知が何もない ここでアンチパターンなのは開発組織内の既知・未知が 擦り合ってない状態で問いを立てること。 ここが噛み合わないなら②に戻るべき。 💡 コスメサイトの例 ターゲット:Z世代 問い:新しいコスメを買う時、信頼するインフル エンサーや友達から選ぶ 前提となる既知かつ既知の事実 ▪ 「Z世代は広告を警戒している」 ▪ 「Z世代は誰かしら信頼するインフルエン サーがいる」 ▪ 「Z世代はマスメディアの情報より友達の 評価を気にする傾向がある」
  16. 25 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 問いを検証↔既知の整理

    4 問いを検証する 5 既知になったことを整理する 💡 Rettyで活用しているプロトタイプ検証方法の例 • ユーザーインタビューでの Figma検証 ◦ 意図したコンセプトが伝わっているか ◦ A・B・Cどれを選ぶか ◦ 購買するか、購買するなら XXX円か • 社内でのβ版検証 • メールでのソリューション検証 • ニーズの大きさを確かめるためのアンケート 検証:数十〜数百 問いを確かめるための検証を設計し、実行する。 そして、②と同様に既知になったことを整理。 ③〜⑤を繰り返す。
  17. 26 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. いよいよデリバリー

    6 ソリューションをデリバリー デリバリーを開始してからも、 新しい学びがあれば直ちに反映していく。 プロトタイプを開発しながらも フィードバックをもらうべき。 どこまで検証すべきか問題がつきまとうが、 確実性とスケジュールについて開発チーム内や経 営陣と解像度高く擦り合わせる必要あり。 (Rettyも苦戦することが多い・・・)
  18. 27 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトディスカバリー事例

    to C 自社サービス「ならでは」の作り方〜プロダクトの再 PMFに挑んだプロセス紹介〜 書籍「顧客起点マーケティング」を参考に ユーザーさんを分類→ニーズを整理→ターゲット特定→ソリューション検証の流れ。 10〜30人のユーザーインタビューを行い、学びの整理を繰り返した。 ニーズの大きさ検証には1,000人規模のアンケートを実施。
  19. 28 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトディスカバリー事例

    to B 飲食店さんの集客ニーズをセグメント分類 新商品や新規事業のためのディスカバリー Rettyで飲食店インタビューを立ち上げるまで 過去商談やユーザーインタビューから注力セグメントを 選定し、有効なソリューションを検証していく。 to Cの流れに加えて、購買意欲や金額感を測っていく。 まだ型ができておらず、これから強化していきたい。 💡 Rettyでの過去の流れ  アンケートでニーズの大きさ図る 🔽  ソリューションアイデアの言語化 🔽  インタビューでの検証 🔽  プロトタイプの作成 🔽  インタビューでの検証
  20. 30 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. •

    同じ方向性のテーマなら、プロダクトディスカバリーと デリバリーは同じPMが担当する ◦ ディスカバリーの学びを伝達する学習コストを避ける ため:ベストプラクティスとは限らない ◦ ディスカバリーとデリバリーの主担当が異なる場合も、ディスカ バリー終盤にはデリバリー担当PMが参加する ◦ MBO組織なので、◯◯のディスカバリー60%、◯◯の デリバリー40%のように目標として明示する • LeSSを活用する中規模組織だからという理由もあり、エンジニアは ディスカバリーにチームメンバーとしては参加しない ◦ フィーチャーチームとして、特定の 専門領域に限らず顧客の課題を解決するチームであって欲し いため ◦ ディスカバリーの情報へのアクセスや インタビューへの参加はしやすくする ◦ 0→1ではエンジニアも参加してもらいたい ディスカバリーはPM・デザイナー・アナリストで行う PM Planner Designer 投稿・お店探しコア体験 PM Analyst Designer ネット予約 PM Planner Analyst for 飲食店 ディスカバリーチーム
  21. 31 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. ディスカバリーチームを担うメンバーたち

    プロダクトマネージャー (PM) デザイナー デザインという手段を用いて User Happyを実現する役割。 体験設計のハブとなる動きをしつつ、プロトタイピングで プロダクトディスカバリーを加速させる。 データアナリスト データ分析やUXリサーチで意思決定を支援する。 Rettyのプロダクトディスカバリーでは、ユーザーアンケートや インタビューを主導することが多い。 プランナー (プロジェクトマネージャー,PjM) プロダクトの理想を実現するための具体策を企画・実行し、デザインやエンジ ニアの実装を伴走する役割。デリバリー比重が高いが、 ディスカバリーにも参加する。 プロダクトのあるべき理想を描き、プロダクトのロードマップや 優先順位を決定・実行する役割。ディスカバリーのリーダーを務めることが多 い。
  22. 32 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. PMスキル

    ディスカバリー力
 意思決定
 推進力
 最後の砦
 英知
 プロダクトの課題を突破するために必要なノウハウ プロダクトを守る最後の砦 信頼を受けながら、周りを巻き込み、推進する 課題を突破するための意思決定 課題のWhyとWhatを明確にするための仮説検証力
  23. 33 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. ディスカバリー力

    ディスカバリー力 問いを立てる力 検証設計力 検証実行力 ・背景を理解して、あるべき状態と現状を正しく理解できる ・あるべき状態に到達するために、知るべきことを定義できる ・意思決定するために、検証して、優先して知るべきことを決められる ・定性定量問わず、知りたいことに対して、適切な手法を選定できる (インタビュー / アンケート / ユーザビリティテスト / ログ分析など) ・選定した手法を用いて、検証方法を設計できる(検証対象や指標) ・検証を正しく実行することができる ・検証結果を、問いに答えられる形でアウトプットできる
  24. 34 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. 個と組織のディスカバリー力を上げる仕掛け

    ディスカバリーの学びやディスカバリーノウハ ウを共有する社内勉強会 定量・定性分析の民主化 • ユーザーインタビューのオペレーションのフロー化 • Big Queryを活用したデータ分析のためのトレーニング https://note.com/tnkdaito/n/n8f8017352ddb
  25. 35 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトディスカバリーに取り組むまでの課題

    開発物のWhyを考えられるようになり、 コツコツアウトカムを出せるようになってきた。 しかし中期的にユーザーさんの 課題を解決できるだろうか・・・ 中期的にユーザーリサーチを行っても、 開発物への反映がうまくいかないぞ。 何ならリサーチしていることと違うもの 開発してる!?
  26. 36 Copyright © 2022 Retty, Inc. All Rights Reserved. プロダクトディスカバリーに取り組むまでの課題を解消途上

    開発物のWhyを考えられるようになり、 コツコツアウトカムを出せるようになってきた。 しかし中期的にユーザーさんの 課題を解決できるだろうか・・・ 中期的にユーザーリサーチを行っても、 開発物への反映がうまくいかないぞ。 何ならリサーチしていることと違うもの 開発してる!? プロダクトディスカバリーをやることを 目標・組織として明確にして取り組む。 ディスカバリー手法も洗練させていく べく、チームで学んでいく。 ディスカバリーとデリバリーを PMと チームで兼任しリンクさせることで、 学びを開発優先度やプロダクトバックログアイ テムに素早く反映する体制に。