Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
コード再利用のしくみ ライブラリ
Search
Satoru Takeuchi
PRO
September 29, 2024
Technology
3
130
コード再利用のしくみ ライブラリ
以下動画のテキストです。
https://youtu.be/Su6LnDaJOxM
Satoru Takeuchi
PRO
September 29, 2024
Tweet
Share
More Decks by Satoru Takeuchi
See All by Satoru Takeuchi
ファイルシステム
sat
PRO
1
14
低レイヤソフトウェア技術者が YouTuberとして食っていこうとした話
sat
PRO
7
6k
ポーリングと割り込み
sat
PRO
1
73
Rook: Intro and Deep Dive With Ceph
sat
PRO
1
140
会社員しながら本を書いてきた知見の共有
sat
PRO
3
860
デバイスにアクセスするデバイスファイル
sat
PRO
1
57
ファイルシステムのデータを ブロックデバイスへの操作で変更
sat
PRO
1
46
デバイスドライバ
sat
PRO
0
76
マルチスレッドの実現方法 ~カーネルスレッドとユーザスレッド~
sat
PRO
2
170
Other Decks in Technology
See All in Technology
Backlog AI アシスタントが切り開く未来
vvatanabe
1
170
Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure セキュリティ、ネットワーク、および管理について
oracle4engineer
PRO
1
320
サイボウズフロントエンドの横断活動から考える AI時代にできること
mugi_uno
2
450
[kickflow]20250319_少人数チームでのAutify活用
otouhujej
0
150
Infrastructure as Prompt実装記 〜Bedrock AgentCoreで作る自然言語インフラエージェント〜
yusukeshimizu
1
160
JAWS-UG のイベントで使うハンズオンシナリオを Amazon Q Developer for CLI で作ってみた話
kazzpapa3
0
120
MCP認可の現在地と自律型エージェント対応に向けた課題 / MCP Authorization Today and Challenges to Support Autonomous Agents
yokawasa
5
2.5k
生成AIによるソフトウェア開発の収束地点 - Hack Fes 2025
vaaaaanquish
34
16k
意志の力が9割。アニメから学ぶAI時代のこれから。
endohizumi
1
100
ウォンテッドリーのアラート設計と Datadog 移行での知見
donkomura
0
130
Amazon Q と『音楽』-ゲーム音楽もAmazonQで作成してみた感想-
senseofunity129
0
170
LLM 機能を支える Langfuse / ClickHouse のサーバレス化
yuu26
9
2.6k
Featured
See All Featured
Java REST API Framework Comparison - PWX 2021
mraible
33
8.8k
The World Runs on Bad Software
bkeepers
PRO
70
11k
Rebuilding a faster, lazier Slack
samanthasiow
83
9.1k
Become a Pro
speakerdeck
PRO
29
5.5k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
I Don’t Have Time: Getting Over the Fear to Launch Your Podcast
jcasabona
33
2.4k
Git: the NoSQL Database
bkeepers
PRO
431
65k
Art, The Web, and Tiny UX
lynnandtonic
301
21k
Automating Front-end Workflow
addyosmani
1370
200k
Distributed Sagas: A Protocol for Coordinating Microservices
caitiem20
333
22k
Writing Fast Ruby
sferik
628
62k
Faster Mobile Websites
deanohume
309
31k
Transcript
コード再利用のしくみ ライブラリ Sep. 29th, 2024 Satoru Takeuchi X: satoru_takeuchi 1
はじめに • 「ライブラリ」という、プログラムのコードをまとめて再利用可能にした塊について説 明 • 注意 ◦ ライブラリには実行ファイルと同様、コードとデータ両方が入っているが、説明を簡略化するため コードをどう扱うかのみ説明する 2
ライブラリとは • 多くの人が使うコードを一つにまとめてファイル化したもの • 有名どころ: GNUのCライブラリ、glibc ◦ 標準Cライブラリ+その他山盛りの便利コード • 実行ファイルとの違い
◦ ライブラリファイルを直接実行するわけではない ◦ 実行ファイル内のコードから何らかの形でライブラリのコードを呼ぶ • 「静的ライブラリ」と「動的ライブラリ」の2種類がある 3
静的ライブラリと共有(動的)ライブラリ • 静的ライブラリ ◦ 実行ファイルにライブラリのコードを組み込む ◦ ライブラリが提供する関数の中から、実行ファイルが使うものだけ組み込む ◦ 拡張子は”.a” •
共有(動的)ライブラリ ◦ 実行ファイルには「ライブラリ内の関数を呼び出す」という情報だけ記憶 ◦ 実行ファイルから作ったプロセスのメモリにライブラリのコードを「動的」にマップしてから呼び出す ◦ 同じライブラリを複数の実行ファイルから実行時に「共有」できる ◦ 拡張子は”.so” 4
こういうソースファイルがあった場合… 5 main() { foo() } main.c foo() { …
} bar() { … } foo.c 呼ぶ
静的ライブラリの場合 6 main() { foo() } main.c foo() { …
} bar() { } foo.c main()のコード main.o foo()のコード libfoo.a main()のコード main (実行ファイル) リンク コンパイル コンパイル&静的ライブラリ化 mainプロセスのメモリ空間 bar()のコード foo()のコード main()のコード foo()のコード map 呼ぶ 呼ぶ • 実行前にリンク(静的リンク) • 使用する関数だけをリンク可能
共有(動的)ライブラリの場合 7 main() { foo() } main.c foo() { …
} bar() { } foo.c main()のコード main.o foo()のコード libfoo.so main()のコード main (実行ファイル) リンク コンパイル コンパイル&共有ライブラリ化 mainプロセスのメモリ空間 bar()のコード main()のコード foo()のコード map 呼ぶ 呼ぶ bar()のコード libfoo.soを動的 リンクしていると いう情報 実行開始後にリンク(動的リンク)
実行ファイルのサイズ • 静的ライブラリ ◦ ライブラリ内のコード (の一部)をコピーするので、一般に大きくなる • 共有(動的)ライブラリ ◦ 「実行時にライブラリを動的リンクすべし」というメタデータだけを持ち、ライブラリ内のコードそのも
のは持たないので、一般に小さくなる 8 main()のコード main (実行ファイル) foo()のコード main()のコード main (実行ファイル) libfoo.soを動的 リンクしていると いう情報 静的ライブラリの場合 共有ライブラリの場合 一般に大きい 一般に小さい
ライブラリ変更の実行ファイルへの影響 • 静的ライブラリ ◦ ライブラリ修正後に再リンクした際に実行ファイルに影響が出る • 共有(動的)ライブラリ ◦ ライブラリ変更後、即座に実行ファイルに影響が出る ◦
変更の影響がライブラリを使用する全実行ファイルに及ぶので管理が大変 9 静的ライブラリの場合 共有ライブラリの場合 main()のコード main (実行ファイル) foo()のコード (バグ未修正) foo()のコード (バグ修正済) libfoo.a bar()のコード main()のコード main (実行ファイル) libfoo.soを動的 リンクしていると いう情報 foo()のコード (バグ修正済) libfoo.so bar()のコード
ライブラリファイル破損時の実行ファイルへの影響 • 静的ライブラリ ◦ 無い • 共有(動的)ライブラリ ◦ プロセスを起動してもライブラリの関数が使えないため、機能しない 10
main()のコード main (実行ファイル) foo()のコード foo()のコード libfoo.a bar()のコード あっそ 静的ライブラリの場合 共有ライブラリの場合 foo()のコード libfoo.so bar()のコード main()のコード main (実行ファイル) libfoo.soを動的 リンクしていると いう情報 死んだ! 死んだ! 俺も死んだ! リンク後はlibfoo.aに関係ない
ライセンスの観点 • ライブラリを動的リンクするか静的リンクするかで扱いが異なるライセンスがある ◦ 例: LGPL • とても難しい話なので詳しいことは省略 • 興味があればLGPLの全文を読んでください
◦ https://www.gnu.org/licenses/lgpl-3.0.html.en 11
使い分けは? • 長短あるので、どっちも使われている • 好きなのを使えばいい • 全体的には共有ライブラリのほうが広く使われている(主観) ◦ 静的ライブラリを使うよりサイズが圧倒的に小さくて済む ◦
ただし、実行ファイルが特定バージョンのライブラリでしか動かないケースを避けるために、実行 ファイルと共有ライブラリを同梱して提供する、本末転倒なケースもある • コンテナ環境では静的ライブラリによって作られたシングルバイナリが人気 ◦ アプリケーションコンテナでは共有ライブラリの利点を活かしにくい 12
まとめ • ライブラリはプログラムのコードをまとめて再利用可能にした塊 • 静的ライブラリ、共有(動的)ライブラリの二種類がある • 長短あるので好きなのを使えばよい 13