ケーススタディで学ぶ企業運営〜クラスメソッドの新型コロナ対応〜

 ケーススタディで学ぶ企業運営〜クラスメソッドの新型コロナ対応〜

2020年6月16日にDevelopers.IO 2020 CONNECTにて発表した「ケーススタディで学ぶ企業運営〜クラスメソッドの新型コロナ対応〜」の資料です。

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smokeymonkey

June 16, 2020
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  1. ケーススタディで学ぶ企業運営 〜クラスメソッドの新型コロナ対応〜 2020/6/16 Developers.IO 2020 CONNECT クラスメソッド株式会社 取締役 佐々⽊⼤輔

  2. ⾃⼰紹介 •佐々⽊⼤輔 (@smokeymonkey) • クラスメソッド株式会社 • 取締役 / AWS事業本部 本部⻑

    • 北海道江別市在住 • インフラエンジニア出⾝ • 趣味︓筋トレ、ランニング、サウナ 2
  3. 3 会社概要 代表者 設 ⽴ 本 社 拠 点 資本⾦

    従業員 横⽥ 聡 2004年7⽉7⽇ 東京都千代⽥区神⽥佐久間町1丁⽬ 11番地 産報佐久間ビル8階 東京、札幌、⼤阪、福岡、上越、沖 縄 ベルリン、バンクーバー等 1億円 400名(2020年3⽉) 事業内容 関連会社 認定 • クラウド(AWS)に関するコンサルティング、設計、構築、運⽤ • ビッグデータ分析基盤に関するコンサルティング、設計、構築、運⽤ • モバイルアプリケーションに関する企画、デザイン、開発、運営 • オムニチャネル基盤構築サービス「カスタマーストーリー」の企画、 開発、運⽤ • ⾳声認識(Amazon Alexa)技術に関するコンサルティング • サーバーレスアーキテクチャに関するコンサルティング、構築、運⽤ アノテーション株式会社(http://an.classmethod.jp/) プリズマティクス株式会社(https://prismatix.jp/) オープンな発想と⾼い技術⼒によりすべての⼈々の創造活動に貢献し続ける クラスメソッド株式会社
  4. 4 ⽉間290万PVを誇る技術ブログ Developers.IO • http://dev.classmethod.jp/ ⽉間290万PV、80万UUを誇る、社員が執筆するIT技術に特化し たオウンドメディアです。 AWS、ビッグデータ、モバイル、IoT などの記事を掲載中です。 ユーザに有益な情報であれば社内のノウハウも

    余すところなく記事化 現在20,000本以上の記事を掲載(2020年3⽉現在) AWS関連の技術記事を約9,000本掲載 憶測やセオリーだけでなく、 実地検証に基づく「やってみた」記事を公開 ⽇次で記事⼀覧を取得できるRSSの提供 [RSS] https://feed.classmethod.jp/blog/daily.rss
  5. 5 新型コロナウイルス(COVID-19)の振り返り

  6. 6 発⽣ •2019年12⽉、中国湖北省武漢市におい て、集団での急性呼吸器疾患が発⽣ • この時点では原因不明のウイルス性肺炎 として報道 •1⽉5⽇の中国発表では59⼈との報告 •1⽉9⽇、WHOは新種のコロナウイル スが原因であると発表

  7. 7 拡⼤ •1⽉13⽇、中国外初となる感染者をタ イで確認 •1⽉16⽇、⽇本での初の感染者を確認 •1⽉19⽇、韓国での初の感染者を確認 •以降、世界各国で感染者を確認

  8. 8 ⽇本国内の状況 •2⽉5⽇、ダイヤモンド・プリセンス号 の隔離措置を開始 •2⽉8⽇、武漢市で⽇本⼈初の死亡者 •2⽉11⽇、WHOがCOVID-19と命名 •2⽉13⽇、⽇本国内で初の死亡者

  9. 9 ⽇本国内の状況 •2⽉28⽇、北海道が独⾃で緊急事態を 宣⾔ •3⽉11⽇、WHOがパンデミックを宣⾔ •3⽉13⽇、新型コロナウイルス対策特 別措置法成⽴ •3⽉24⽇、東京オリンピック延期声明

  10. 10 緊急事態宣⾔発令 •4⽉7⽇、東京/神奈川/埼⽟/千葉/⼤阪/ 兵庫/福岡を対象に緊急事態宣⾔ • 4⽉16⽇、対象を全国に拡⼤ •5⽉14⽇、北海道/東京/神奈川/埼⽟/ 千葉/⼤阪/京都/兵庫を除いて解除 • 5⽉21⽇、⼤阪/京都/兵庫が解除

    • 5⽉25⽇、全国的に解除
  11. 11 その頃のクラスメソッド

  12. 12 2019年12⽉、岡⼭オフィスを拡⼤

  13. 13 2020年2⽉、東京オフィスを拡⼤

  14. 14 タイ現地法⼈設⽴を計画中

  15. 15 NTT東⽇本様との合弁会社設⽴を計画中

  16. 16 どのような判断をしてきたのか

  17. 17 テレワーク推奨宣⾔ •1⽉16⽇に⽇本で初の感染者を確認し たことを受け、対応の検討を開始 •1⽉27⽇、テレワーク推奨を宣⾔ • 混雑が予想される場所への外出の⾮推奨 • 在宅勤務の推奨 •

    オフィス・⾃宅における感染予防のマス ク、⼿洗い、除菌の徹底 • 主催するセミナーを延期、またはオンラ インセミナーに切り替え
  18. 18 テレワーク推奨宣⾔の背景 •2011年の東⽇本⼤震災を契機にテレ ワーク制度を導⼊ •コロナ以前でも⼤多数の社員がテレ ワークを活⽤ • 週の半分をテレワークする社員が半分以 上 •多くの社員がテレワークに馴染みが

    あったが、危機感を共有することを⽬ 的として、改めて宣⾔
  19. 19 テレワーク推奨宣⾔の影響 •特に混乱も無くテレワーク推奨体制に 移⾏ •この時点では出社は禁⽌しておらず、 家庭の都合等でテレワークが難しい場 合は出社を許可

  20. 20 警戒レベル引き上げ •⽇本国内で死者が発⽣し、感染者が急 激に増加 •2⽉20⽇、事業継続計画(BCP)に基づ き警戒レベルを引き上げ • 全社員在宅勤務とし出社禁⽌ • 出張禁⽌、海外渡航の禁⽌

    • 来客や顧客訪問の禁⽌ • 全営業活動をオンラインに • ⼤⼈数が集まる場への参加⾃粛推奨 • 全セミナーをオンラインへ切替
  21. 21 警戒レベル引き上げの背景 •社員と家族の安全を最優先に •エンジニアや営業についてはこれまで もテレワークを活⽤していたため、業 務上⽀障がないと判断 •バックオフィスは郵送物や荷物の受け 取りがあるため、週1の出社シフトを 構成滞在 •

    可能な限り近隣在住者にて対応 • 検討の結果、私設私書箱を契約
  22. 22 警戒レベル引き上げの影響 •開設したばかりの岡⼭オフィスや新東 京オフィスが使われないままとなった •設⽴計画中だったタイ現地法⼈のマ ネージャーがビザ更新で帰国中にタイ がロックダウン • タイに戻れないまま現在も⽇本滞在 •新会社設⽴に関する打ち合わせは全て

    オンラインで
  23. 23 事業継続計画(BCP)の⻑期化宣⾔ •4⽉7⽇に緊急事態宣⾔が発令 •4⽉17⽇に事業継続計画(BCP)の⻑ 期化を宣⾔ • 9⽉末まで出社禁⽌、以降状況に応じて 判断 • 12⽉末まで出張禁⽌

    • 12⽉末まで海外渡航禁⽌ • 12⽉末までイベント参加禁⽌
  24. 24 ⻑期化宣⾔の背景 •COVID-19のワクチン開発に18ヶ⽉か かるだろう、という識者の予測 • ワクチンが開発されるまでは、沈静化す ることはあれど根本的な解決はされない と判断 •2⽉以降完全テレワーク化したが、事 業影響がないことが確認出来た

    •社員とその家族の安全のためには⻑期 的な対応が必要であると判断
  25. 25 ⻑期化宣⾔の影響 •通勤⼿当の廃⽌を決断 • 元々テレワーク中⼼のメンバーには通勤 ⼿当を⽀給していなかった • ⻑期的に通勤が発⽣しないことが確定し たため、公平性を考え判断 •

    交通機関の利⽤が発⽣した場合は都度実 費精算 • 併せて⾃転⾞通勤⼿当の廃⽌
  26. 26 ⻑期化宣⾔の影響 •海外イベント参加⽤積⽴資⾦の中⽌ • AWS re:Invent等、社員が海外イベント に参加するために、毎年資⾦を積⽴し準 備 • 今年は海外渡航禁⽌を決めたため、積⽴

    を中⽌ • その分は賞与や投資等で社員に還元
  27. 27 ⻑期化宣⾔の影響 •オフィス解約を決断 • これまではエンジニアの要望で、開発プ ロジェクト単位で固定席を⽤意していた が、完全テレワークでも影響がないこと が確認出来た • 完全フリーアドレス化することで、オ

    フィス利⽤が効率化され縮⼩が可能と判 断 • ⼤阪1フロア、東京2フロアを解約 • 1フロアしか無い地⽅オフィスは維持
  28. 28 オフィスは完全廃⽌するべきではない •家庭の都合などでテレワーク出来ない 社員は⼀定数いる •完全廃⽌は、社員に対して「出社す る」という選択肢を奪うことになる • 出社したい⼈も、出社しない⼈も、両⽅ のが働きやすい環境を作るのが、経営メ ンバーの仕事

    •オフィスで働いても良いし、働かなく ても良いというのが福利厚⽣の最良解
  29. 29 ⻑期化を前提とした施策の実施

  30. 30 テレワーク整備費を制定 •テレワークにあたり、そもそも⾃宅に 机や椅⼦がないメンバーがいた • 外付ディスプレイやブロードバンド回線 がない⼈もいた •テレワーク整備費として⼀律5万円を 既存社員全員に⽀給 •

    以降⼊社した社員全員に⼊社時に⽀給 • 特に⽤途にルールはなく、会社への報告 義務も(もちろん)無い • (余談)僕はPS4買いました
  31. 31 オフィス備品の貸し出し •テレワークにあたり、可能な限り社員 に新しい負担はかけたくない • 当⾯使う予定のないオフィスの備品を有 効活⽤することで、社員の負担を軽減で きるのではないか •希望者に備品貸し出し •

    椅⼦、ディスプレイ、マイクスピーカー、 モバイルWi-Fi、その他 • ただし運搬は各個⼈にて⾏うこと • オフィスが再開した際に返却すること
  32. 32 特別介護休暇を制定 •緊急事態宣⾔により休校・休園となり、 ⼦育て世帯が⼤きな影響を受けた • 特に⼀番影響があったのは共働き⼦育て 世帯 • ⼦育て世帯の情報交換⽤Slackチャンネ ルがあったので経営メンバーも参加

    • 定期的にヒアリングし、悩みや課題を聞 き取り、対応策を検討 •特別休暇を5⽇間追加付与 • 育児、介護、看護等で利⽤可能
  33. 33 休⽇勤務可能ルール •休校・休園により、共働き世帯で育児 のゼロオペが発⽣ •「⼟⽇も勤務して良い」ようルールを 改定 • それまでは業務上の都合でどうしても勤 務せざるを得ない場合のみ上⻑承認にて 許可

    • 夫婦で勤務⽇をズラすことで育児のゼロ オペを減らせるように
  34. 34 休⽇勤務可能ルール •ゴールデンウィークも出社可能に • 緊急事態宣⾔にて外出ができないため • 後⽇好きなタイミングで振替休⽇OK • 結果的に多くの社員がこのルールを活⽤

  35. 35 健康⾯の懸念・・・ •緊急事態宣⾔下で経営メンバーが⼀番 気にしていたのは健康⾯ • 外出⾃粛等にて⼼⾝のストレスが発⽣し ていることをSlackやSNSでキャッチ アップ • 必要あれば仕事中でもどんどん休憩を取

    るように全社員に周知 • 社⻑⾃⾝が毎⽇⼣⽅に家族で散歩する姿 をSNSにアップ
  36. 36 有給の追加 •健康⾯の懸念やストレスの解消を⽬的 として、全社員に5⽇間の有給を追加 • 有給なので特に⽤途に指定はなく、好き に休んで良いし(当然)報告義務もない

  37. 37 全員⼀律昇給 •テレワークに付随して個⼈の負担が増 えた • 冷房、暖房、電気、通信、e.t.c. •個⼈の事情は千差万別であり、完全に 平等な環境⽀援制度は難しい •個⼈の事情を加味しない形で、個⼈の 負担を軽減したい

  38. 38 全員⼀律昇給 •全員⼀律昇給 • 以降⼊社する⼈の給与の基準も併せて改 定 • 個別の環境⽀援制度は作らないことを決 定、周知 •細かく⽤途を決めた福利厚⽣は使い勝

    ⼿が悪い • 汎⽤的で公平性が⾼いのが昇給と判断
  39. 39 コミュニケーションの懸念・・・ •緊急事態宣⾔下でも毎⽉社員が⼊社 • 4⽉には新卒社員が⼊社 •顔を合わせることがない • 社員同⼠のコミュニケーションが減り、 特に新しい社員についてわからなくなっ た

  40. 40 社員プロフィールツールの導⼊ •社員同⼠のコミュニケーション促進として、社員プロ フィールツールを開発 • 各社員が趣味や得意なことを登録することで、会話やコミュ ニケーションのきっかけとなる情報を得る場に •後⽇サービスとして外部公開予定

  41. 41 社内LT⼤会の毎⽉開催 •出社禁⽌となり、雑談したり、新しく ⼊社した社員の⼈となりを知る機会が 減った •これまで半年に1回のペースで開催し てきた社内LT⼤会を毎⽉開催し、みん なで集まる機会を増やした • 業務時間内に開催

    • コミュニケーションの促進に
  42. 42 Youtube施策 •出社禁⽌となり、社員同⼠のコミュニ ケーションが激減 •佐々⽊がインタビュアーとなって⾊々 なメンバーとのインタビューを撮影、 限定公開でYoutubeにアップロード • 同じ会社の⾊々な⼈を知ってもらう機会 に

  43. 43 年次イベントの開催懸念・・・ •クラスメソッドの年次技術イベント Developers.IO • 例年は10⽉頃に東京及び各地域にてオフ ラインで開催 • エンジニアの登壇機会として活⽤ •

    コロナにより年内オフライン開催は無理 と判断
  44. 44 Developers.IO 2020 CONNECT •フルオンライン、かつライブと録画を 組み合わせて開催 • 社員の居住地に関係なく全員参加出来る • 時間の束縛無く⼀⼈複数セッションでも

    やれる • イベントに参加する機会も減ったし、エ ンジニアのモチベーション向上のために もすぐやりたい •みなさん楽しんでください
  45. 45 判断を⽀えた組織カルチャー

  46. Classmethod Leadership Principle 46

  47. 47 やってみる “より早く始め、より 多く失敗し、⾼速に 改善を繰り返すこと が私たちの最⼤の⽣ 存戦略です”

  48. 48 やってみる •未曾有の危機に対して企業運営の正解 なんて分かるわけがない •⼤きなリスクがないのであればとにか く判断スピードを上げて実施してみる • 失敗したのなら取り下げればいい •企業運営も「やってみる」の⼀つであ ることが社員に共有されていることが

    ⼤事
  49. 49 フィードバック “お客様やチームから のフィードバックを ⼤切にします。前向 きに捉えて⾼速に改 善を繰り返します”

  50. 50 フィードバック •経営メンバーの独断だけで物事を進め ない •社員からのフィードバックを積極的に 回収し、失敗は素直に認め反省し、必 要なことはまた施策として実施する •フィードバックは経営メンバーのパ ワーになる •

    経営メンバーも⼈間なので、ポジティブ なフィードバックは嬉しい
  51. 51 ダイバーシティ ”出産・育児・介護な どのライフステージ に寄り添い、互いに 助け合い、これを強 みとします“

  52. 52 ダイバーシティ •⼈にはそれぞれ事情があり、背景が違 い、成果の出し⽅が違う •何もかも平等には出来ないけれど、画 ⼀的に対応するのではなく、可能な限 り多くのメンバーのパフォーマンスが 上がる施策を考える •施策に汎⽤性をもたせる •

    ルールを厳密に運⽤しない • 不平等でない限り、例外は運⽤でカバー
  53. 53 情報発信 “⾃らの経験や知⾒が 誰かの役に⽴つと信 じ、次の世代に繋げ る活動として続けま す”

  54. 54 情報発信 このセッションです

  55. 55 これからのクラスメソッド

  56. 56 Withコロナは続く •ワクチンが普及しない限り厳戒態勢 • 可能な限りCOVID-19のリスクを避ける ように企業運営する •出張・海外渡航の禁⽌を早期解除する 予定は無い • オフィス出社は状況に併せて柔軟に判断

    •命に関わることは臆病なくらいで丁度 良い
  57. 57 そしてアフターコロナへ •ワクチン普及は2021年7⽉以降、と ざっくり予想 •テレワークでパフォーマンスが向上す る⽅法を全社員でチャレンジしていく • 施策はトライ・アンド・エラーでクイッ クに実施 •経営メンバーは常にアンテナを⾼く持

    ち、社員のフィードバックを得ながら、 状況判断し続けていく
  58. 58 まとめ

  59. 59 まとめ •最優先されるのは社員と家族の安全 • 命に関わることは過剰なくらい臆病に •情報は可能な限りオープンに • 経緯、根拠、結果を全社員に共有する •企業運営も失敗しやすいことが⼤事 •

    失敗する可能性を前提として全社員に共有しておく •社員のフィードバックを積極的に受け取る • 要望を参考にし、効果の薄い施策は勇気を持って廃⽌ •ルールを厳密に運⽤せず例外には柔軟に対応 • ルールを根拠に切り捨てるような対応はしない
  60. Let's get over together 60

  61. None