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見過ごさない誠実さ_アクティブバイスタンダーとIntegrityが支えるアジャイル...

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October 04, 2025

見過ごさない誠実さ_アクティブバイスタンダーとIntegrityが支えるアジャイル文化 / integrity-and-active-bystander

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Aki

October 04, 2025
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  1. © Kumu Inc. 『The Great ScrumMaster』共同翻訳 • スクラムギャザリング東京実行委員会理事 • 日本Rubyの会理事

    • スクラムフェス大阪実行委員(代表) • スクラム道関西ファウンダー • ほか色々 Aki (spring_aki) Catalyst, Coach • 組織変容コーチ • 関係性そのものを扱うコーチ (ORSC® システム・コーチング®) • エグゼクティブコーチ • リーダーシップ・サークル・プロファイル/集 合的リーダーシップアセスメント 認定プラク ティショナー(LCP/CLA) • パーソナルコーチ (Co-Active® Coaching) • スタートアップ支援、PoC支援 • Management 3.0 ファシリテータ • LEGO® SERIOUS PLAY® メソッドと教材活用ト レーニング修了認定ファシリテータ • Certified Scrum Professional(CSP)
  2. © Kumu Inc. • Integrityとはなんなのか...みたいな事をたまに考える ≒ 高潔さ、誠実さ 高い倫理観を持ち、自らの原則や信念に忠実に、正直かつ公正に行動する態度や資質を指しま す。 •

    プログラミングする時でもリーダーシップを発揮する時にも当てはまる ことがなんかある • プライベートでも仕事をしている時でも、関係性においても • アクティブバイスタンダーっていうのも似たような態度みたいなものが ありそう • アクティブバイスタンダーっていいアイデアだと思うのでみんなに知っ てもらいたい。使ってほしい なぜこの話をしたいと思ったか
  3. © Kumu Inc. よくある日常  見過ごすと大変なことに? • 会議で特定メンバーの意見が繰り返し遮られる。非難 される • ふりかえりで個人に対して執拗な言及がされる •

    強い口調の人が場を独占し、他の人が発言できない。 • 誰かの提案が茶化されて笑いにされる。 冒頭からつらいね...
  4. © Kumu Inc. • 2012年:Right To Be は、バイスタンダー介入プログラムの Green Dot

    と協力。Green Dot はもともと「3D」— Distract (気をそらす)、Delegate(他の人に頼む)、Direct(直接 介入する)—を提唱していた。 • 2015年:ここに Delay(あとで声をかける) を追加。 • 2017年:さらに Document(記録する) を加えて、現在の 「5D」となりました。 アクティブ・バイスタンダー 5つのD
  5. © Kumu Inc. • 会話が険悪になりかけた時に「そういえば、この前のプロジェクトどうなった?」と別の 話題に切り替える。 • 電車で絡まれている人がいたら、小銭を落として注意をそらす • 飲み会で不快な冗談が続いた時に「そうだ、写真撮ろう!」と場を変える。

    • いじめの標的にされている同級生に「次の授業一緒に行こう」と声をかけてその場から離 れる。 • チャットで皮肉っぽいやりとりが始まったら「ところでこのタスクの期限確認した?」と 話をずらす。 Distract(注意をそらす)
  6. © Kumu Inc. • 上司からのハラスメントが続いているのを見て、人事や信頼できる管理職に相談する。 • 電車で酔っ払いが暴れている時に、駅員に知らせる。 • 授業中に差別的な発言が出たら、担任やスクールカウンセラーに報告する。 •

    オンラインコミュニティで荒らし行為があったら、知人に相談してみたり、モデレーター に連絡する。 • 会議中に強い口調で誰かが責められていたら「ファシリテータに進行を一旦整えてもらえ ませんか」と頼む。 Delegate(第三者に助けを求める)
  7. © Kumu Inc. • 会議後に「さっきのコメント、気になってない?大丈夫?」と個別に声をかける。 • 飲み会の後に「さっきのジョーク、不快に感じたなら一緒に相談できるよ」とLINEす る。 • 授業で笑われた同級生に「さっきのこと気にしなくていいよ」と休み時間に声をかける。

    • SNSで攻撃されている人にDMで「サポート必要なら言ってね」と伝える。 • 公共の場でトラブルを見た後、「さっきの出来事、もし必要なら通報を一緒に考える?」 と声をかける。 Delay(あとでフォローする)
  8. © Kumu Inc. • 職場で不適切な発言があった場面を日時と一緒にメモに残す。 • SNSでの嫌がらせコメントをスクリーンショットで保存する。 • トラブルを見かけた場所や時間を日記アプリに記録する。 •

    授業中の不適切なやり取りをこっそり記録し、必要に応じてスクールカウンセラーに共有 する。 • 会議議事録に「攻撃的な発言があった」とニュートラルな形で残す。 その場で介入できなくても、記録があれば後から相談や報告が可能です。 学校の先生、モデレーター、法的機関に伝える際に「いつ、どこで、何が起きたか」が具体的 に示せる。 → 口頭だけだと「証拠がない」と片付けられてしまうことも、記録があれば動きやすい。 Document(記録する)
  9. © Kumu Inc. • 「その言葉は失礼です。やめてください」と伝える。 • 「彼/彼女を責めるのは適切ではありません」と会議で指摘する。 • 「そのジョークは笑えないからやめよう」と飲み会で言う。 •

    「今の発言は差別的に聞こえるよ」と友人に指摘する。 • オンライン掲示板で「ここは誹謗中傷をする場ではありません」とコメントする。 Direct(直接介入する)
  10. © Kumu Inc. • 会議で特定メンバーの意見が繰り返し遮られる。非難される – Distract:飲み物をこぼす、モノを落とす、時間を理由に別の話題に移す、「そういえば あの件どうなった?」など – Delegate:ファシリや上司に「特定の人が遮られているので進行でフォローしてほしい」

    と依頼する。 – Delay:会議後にその人へ「厳しいこと言われてたように思えたけど大丈夫?」「意見よ かったよ、途中で切られてしまって残念だったね」と声をかける。 – Document:議事録に「◯◯という発言があった」と事実を記録。または録音しておく。 – Direct:「今の意見を最後まで聞いてから議論しましょう」とその場で指摘 よくある日常  見過ごすと大変なことに?
  11. © Kumu Inc. 「必ず直接介入しなければならない」わけではありません。 5Dの選択肢(Distract / Delegate / Delay /

    Document / Direct)があるのは、状況やリスクに応じて行動を選べるように するためです。 自分の安全を守ることは「弱さ」ではなく、持続可能な支援者で いるための条件です。 無理はしないで
  12. © Kumu Inc. (A)リスクを見極める • 相手が酔っている/暴力的 → 直接介入は危険。 • 自分の立場が弱い(部下→上司など)

    → 第三者に委ねる方が現実的。 (B)小さな行動から始める • 直接「やめてください」と言わなくても、 – 話題をそらす(Distract) – 後で被害者をフォローする(Delay) など、安全な範囲の小さな行動でも十分な支援になる。 (C)「一人で背負わない」 • 自分だけで止めようとせず、チーム・組織・制度に頼る。 • アジャイル現場なら「心理的安全性」を高める文化や、ファシリテータ・スクラムマス ターが仲間になる。 無理はしないで
  13. © Kumu Inc. • 本当はこれがなくても安心・安全な世界であるといいんだけど、現実はそうではない • クリーンな環境を願い、目指しつつも、無菌室のような完璧な場を世界規模で展開するに はまだまだ時間がかかる • だから知っておく。みんなで身を守るために

    • 人の価値観は多様で相容れないものもたくさんある。どれかだけが正しいわけじゃない • そして人間は間違い、失敗するのである。そして学んで行く。 • だからクリーンな環境を作ってからスタート ! じゃなくて、前に歩きながら是正していく ためにその方法を知っておく • 「これさえ知っていれば、アイツに痛い目を見させられる」 • 「ふふふ、これで立場は逆転したな ! 」 – ではない。 – 復讐・リベンジの為の智慧ではない – あくまで、自分や周囲の人が安心・安全な場を確保する為に 誰かを攻撃、リベンジする為の手段ではなく、安全を確保する為の手段として 2025.10.4 追記
  14. © Kumu Inc. TDD のこころ by Takuto Wada https://www.slideshare.net/slideshow/the -spirit-of-tdd/5544003

    acts_as_professional (プロとしての振る舞う) テストを書くのはつらい。Uncle Bob(Robert C Martin) も “acts_as_professional” と刻 んだグリーンバンドを身につけ て、「辛いときにはグリーンバ ンドを見てプロであること思い 出す」
  15. © Kumu Inc. リーダーシップの資質 (Leadership Circle Profile) • 定義:率直さと誠実さをもって、困難な会話や不快な真実 を伝える力。人間関係の問題に率直に対処する。

    「対立や不快な問題を避けずに向き合う」 「難しいフィードバックを思いやりを持って伝える」 「自分の信念に基づいて行動する」 「周囲が望むことに流されず、必要なことを勇気を持って 言う」 • スコアが高いリーダーは、チームメンバーから「信頼」 「尊敬」を強く得ている。 • 低い場合は、回避的傾向(Avoiding, Complying)が強く 現れ、 「何を考えているのかわからない」「大事なことを 言わない」と評価されやすい。組織成果との相関研究で は、チームの心理的安全性 および イノベーション能力 と 高い関連を持つ。
  16. © Kumu Inc. Do the right thing ( (人として)正しいことをする )

    Do the right thing とは、「(人として)正しいことをする、当 然のことをする」という意味の言葉。 特にアメリカ人が非常に好 んで使うフレーズで、「理屈や損得ではなく、まっとうなことを する、まともじゃないことはしない」という意味で使われる。