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技術書を書く技術 JAWS DAYS 2024

技術書を書く技術 JAWS DAYS 2024

JAWS DAYS 2024の発表資料です
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自身の持つ技術知識を、どのようにして一冊の本に変えることができるのでしょうか?

本セッションでは、商業誌、技術同人誌、Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシングを通じて出版した経験を生かし、技術書執筆の全過程を詳細に解説します。アイデアの見つけ方から、効果的な執筆方法、出版プロセスまで、具体的なテクニックをAWS本の執筆例を元に公開します。

このセッションを通じて、あなたの技術知識を価値ある技術書に変える第一歩を踏み出しましょう。

Takuro SASAKI

March 04, 2024
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Transcript

  1. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 自己紹介 佐々木拓郎 2 AWS Ambassadors 2019-2022 ◼

    執筆 NRIネットコム株式会社 クラウドテクニカルセンター センター長
  2. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 我々はなぜ本を書くのか?1/2 3 執筆に関する不都合な真実 (例)印税の計算式 3,000(円)× 3,000部 ×

    8% = 72万円 (本体価格) 初版部数 印税率 印税 ⚫ 書籍のページ数は300ページ前後が多い ⚫ 1ページあたり2,400円 ⚫ さて、1ページを書くのに必要な時間は? →3〜4時間は掛かる 増刷がかからないと、時給600〜800円 事実、日本には専業の技術書の著者は殆どいない
  3. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 我々はなぜ本を書くのか?2/2 4 それでも、なぜ書くのか? ⚫ Pay it Forward!!

    自分の知識を誰かにつなぐため? ⚫ 著者になることで、その分野の有名人になりたい? ⚫ 本業以外の収入を得たい? ⚫ 理由はなくても、一度は自分の名前を冠した本を書きたい? ⚫ 挑戦してみたい? 理由があろうがあるまいが、 世の中に本を書いてみたい人は尽きない
  4. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 出版の流れ 5 企画 執筆 編集 組版 校正

    印刷/ 製本 販売 出版社 著者 (印刷会社) (制作会社) 本日のテーマ 本を送り出すために必要な工程
  5. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a ターゲットの決定 9 正解はないが、確実な失敗はある ⚫ 市場が育ってない分野では、ターゲットの大きい初心者向き ⚫ 大きな市場では、競合が少なく大きめのニッチを狙う

    ⚫ (残念ながら)上級者向けは茨の道 ⚫ 一定以上の売上(3,000部程度)が見込まなければ、商業誌で出版はできない ⚫ 技術同人誌であれば、数十部から書く事も可能 商業誌であれば、失敗の少ない道を選ぶ 技術同人誌であれば、心躍る道を選ぶ
  6. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 実際の企画書の例 10 Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド 一番大切な知識と技術が身につく

    https://www.amazon.co.jp/dp/B00UWCYRZK/ 目標部数 潜在読者 読者のペルソナ 対象レベル 2015年3月発売 商業誌であれば、 ここで編集者と調整する
  7. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 企画を目次レベルに詳細化する 11 章番号 章 節 項 タイトル

    説明 コラ ム ページ数 0 はじめに はじめに 本の概要と対象読者 1 1 AWSの基本 1 AWSとは? AWSの概要説明。 機能カットからのAWSの紹介 2 1 1 1 クラウドとは? クラウドの概念の説明。 簡単な歴史から利用のされかたまでを簡単に 2 1 1 2 物理サーバとAWSの違い 物理サーバ(オンプレミス)とAWSの違いの説明 所有と利用という観点を中心に説明 2 1 1 3 レンタルサーバとAWSの違い レンタルサーバとAWSの違いの説明 1台の仮想(物理)コンピュータをユーザに分割する レンタルサーバとユーザごとに仮想コンピュータを 作成するAWS。さらに仮想コンピュータ以外にも 様々なサービスを提供 2 1 1 4 プライベートクラウドとAWS パブリック・クラウドとプライベートクラウドの説明 AWSの位置づけ 2 1 1 5 AWSのサービス全体像 執筆時点のAWSサービスの全体図 本の中で紹介するサービスの簡単な説明 EC2,AutoScaling,Elastic Load Balancing, S3,Glacier,EBS,RDS,ElastiCache,VPC, CloudFront,Direct Connect, SNS,SQS,SES,IAM,CloudWatch, Elastic Beanstalk,CloudFormation, CloudTrail,AWSサポート,TrustedAdviser Route53(10/25:林追加) 4 1 2 AWSのネットワーク機能 AWSのネットワーク関連機能の説明。 0.5 目次に落とし込む ⚫ タイトルを置いていく ⚫ 章→節→項と詳細化していく ⚫ 説明で2〜3行程度の概要をま とめる ⚫ ページ数の想定を入れる ここまでできると、企画完了
  8. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 執筆ツール 13 執筆する際は、何を使って書けばよいのか? ◼ Microsoft Word 一定の確率で、出版社に指定される。悪くはない

    ◼ テキストファイル ⚫ Markdown ・・・ Githubで管理しやすい ⚫ Re:View形式 ・・・ 後述する電子・紙書籍制作ツールで利用できる 商業誌であればMarkdown 技術同人誌であればRe:Viewがおすすめ ※MarkdownをRe:Viewに変換するという手もある
  9. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 執筆の心得 14 白紙のファイルから1行目を書くのが一番難しい ◼ はじめの1行を書く心理的負荷を下げる ⚫ まずは章・節・項のタイトルをコピーする

    ⚫ 文章をいきなり書くのではなく、まず箇条書きで書く ⚫ 箇条書きをみて、全体の流れがあるか見る ⚫ 問題なければ、箇条書きを文章に変えていく ◼ ChatGPTに相談 ⚫ 前提条件を書くと、それっぽい文章が返ってくる ⚫ 内容は方向違いや間違った内容が多い ⚫ そうじゃないんだよと直してあげる ⚫ 元の文章と全く違ったものになるが、原稿は進む
  10. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 校正補助ツール 15 原稿が書けたら校正!! ◼ Textlint ⚫ 人間は必ず間違える。校正はITの力に頼る

    ⚫ 最初に頼るべきは、Textlint ⚫ WEB+DB PRESSで整備された稲尾ツール(通称)がお勧め ◼ ChatGPTで校正 ⚫ 校正ツールとしてのChatGPTは有用 ⚫ 編集者 > ChatGPT > 素人(著者)くらいの優秀さ ⚫ オプトアウトの考慮をしておくこと https://github.com/azu/textlint-rule-web-plus-db
  11. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 出版社のビジネスモデル 書籍制作費 = 初版部数 × 販売価格 ⚫

    増刷しないと、出版社の利益は殆どない ※ ⚫ 増刷する書籍は、体感としては2冊に1冊くらい ※初版数はどんどん少なくなっている。ビジネスモデルが変わってきている可能性もある 書籍販売価格と出版部数の関係 17 著者としても、初版を売り切ることが何より大事!!
  12. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 著者がすべきこと 18 本が1冊でも売れるように、あらゆる努力をすべき ◼ ブログを書く ⚫ 著者がブログで紹介しないで、誰が紹介するのか!?何度も書く

    ◼ SNSで宣伝する ⚫ 何度もつぶやく。ツイートは1度では殆ど届かない。しつこいくらいで良い ⚫ 何度か目にすると、書店で見かけた時に手を伸ばしてもらう確率が高まる ⚫ エゴサーチ&リツイートは必須 ◼ 書店でポップを書く ⚫ 大きな書店は、著者にポップを書いてもらうためのセットが用意している ⚫ 恥ずかしがらず勇気を出して 執筆にかける労力の1/10は費やすくらいの覚悟で
  13. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 出版社に声を掛けてもらうには? 20 企画の種類 ◼ 出版社主導 ⚫ 編集者が企画を立てて、執筆できる人を探しているケース

    ⚫ (おそらく)次の優先順位で執筆者を探す。どれかの網に掛かるようにする 1. 過去に執筆を依頼した著者 2. その著者に書けそうな人を紹介してもらう 3. テーマに関する技術同人誌やブログ等を書いている人を探す ◼ 著者主導 ⚫ 企画書/技術同人誌を出版社に持ち込む ブログや技術同人誌で実績を積んでいることが重要
  14. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 出版の流れ 22 企画 執筆 編集 組版 校正

    印刷/ 製本 販売 出版社 著者 (印刷会社) (制作会社) 技術同人誌は、自分で全部やる
  15. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 電子・紙書籍制作ツール 23 https://reviewml.org/ja/ Re:View ◼ オープンソースの電子・紙書籍制作ツール ⚫

    技術同人誌界のデファクトスタンダード ⚫ Re:View記法という独自の書式で記載 ⚫ 実態はLaTeXをオーバーラップするエンジン ◼ 出力フォーマット ⚫ PDF ⚫ ePub ⚫ 同人誌印刷の入稿用のPDF
  16. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 技術同人誌の販売は? 25 個人でも Kindle direct publishing https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/

    Amazon、[Kindle direct publishing]及びそれらのロゴは Amazon.com, Inc.またはその関連 会社の商標です。 Booth https://booth.pm/ja 頒布会 オンラインショップ 技術書典 https://techbookfest.org/ 技術書同人誌博覧会 https://gishohaku.dev/
  17. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a AWS本を書いてみよう!! 27 AWS本を書くとすると? ◼ 市場の特性 ⚫ マーケットは極めて大きい

    ⚫ 技術の変化のスピードが速く、書籍の寿命は短くなりがち ⚫ 細分化したターゲットでも、市場として十分なりたつ(運用・コスト) ⚫ 技術同人誌の人気の分野 ◼ チャンスが大きい ⚫ ニッチを狙っても十分に大きな市場がある ⚫ 陳腐化が早いので、同一テーマでも後発の参入余地がある 本を書くには普段からの素振りが大事 そしてチャンスがあれば、躊躇なく打席に立とう!!
  18. ハッシュタグ:#jawsdays2024 #jawsug #jawsdays2024_a 技術本の著者からみた商業誌と同人誌の違い https://blog.takuros.net/entry/2020/03/26/084358 執筆のテーマ選びについて #技術書典 参加に寄せて https://blog.takuros.net/entry/2019/09/30/070956 #技術書典

    の生産管理 印刷数の最適化を考える https://blog.takuros.net/entry/2019/09/28/173958 一介のブロガーが技術書を書くに至った経緯。或いは自分戦略 https://blog.takuros.net/entry/2015/12/15/081656 上級者向けの技術書が少ない理由 https://blog.takuros.net/entry/2015/04/22/064412 関連ブログ 28