Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

The history of NetBSD/atari and support for ATARI compatible Milan / OSC2018Osaka

The history of NetBSD/atari and support for ATARI compatible Milan / OSC2018Osaka

OSC2018 大阪の NetBSDセミナーで発表した『NetBSD/atari の歴史と ATARI互換機 Milan サポート』のスライドです。

7fe50ce1ac047336d7804e47aec56391?s=128

Izumi Tsutsui

January 27, 2018
Tweet

Transcript

  1. NetBSD/atari の歴史と ATARI互換機 Milan サポート オープンソース カンファレンス2018大阪 ひさしぶりの「謎マシン起動しました」展示 Izumi Tsutsui

    tsutsui@NetBSD.org
  2. 去年のOSC大阪  PC-6001実機展示と PC6001VX エミュのデモ

  3. pkgsrcに入れてしまえば なんでもNetBSD関連と 言い張れる という手法 ♪〜(´ε`)

  4. いつものブース説明  「OSとは」 •「OSの展示」というのが実に難しい • 作る人はシングルユーザ起動で満足しがち • 見る人にとっては、ブートメッセージとか  ログインプロンプトとか見ても意味不明 ➔

    外観勝負の謎マシン展示 or テストを兼ねた mikutter 等のアプリ展示 というのが定番の説明
  5. 今回のOSC大阪 ♪〜(´ε`) https://twitter.com/tsutsuii/status/954750277642416128

  6. ひさしぶりに ガチの NetBSDカーネルネタです ふつーの方にウケるかは 非常に謎です……

  7. NetBSDとは  えびはらさん「NetBSDのご紹介」より NetBSDは、4.3/4.4BSD&386BSDベースの OSです。プロジェクトは1993年3月21日か ら開始していて、現在も活発に開発が進ん でいます。60種類以上のハードウェアを、 単一ソースツリーでサポートしています。

  8. 今も60種類以上?  2018年1月現在 acorn32 algor alpha amd64 amiga amigappc arc

    atari bebox cats cesfic cobalt dreamcast emips epoc32 evbarm evbmips evbppc evbsh3 ews4800mips hp300 hpcarm hpcmips hpcsh i386 ibmnws hppa iyonix landisk luna68k mac68k macppc mipsco mmeye mvme68k mvmeppc netwinder news68k newsmips next68k ofppc playstation2 pmax prep rs6000 sandpoint sbmips sgimips shark sparc sparc64 sun2 sun3 vax x68k zaurus
  9. ATARI とは  Wikipediaより引用 アタリ(ATARI)は、アメリカ合衆国のビデオ ゲーム会社で、ビデオゲームを作ることを主眼に 創立された会社としては世界初。 ノーラン・ブッシュネルにより1972年に創業。 囲碁の日本棋院初段を持つブッシュネルが 囲碁用語「アタリ」から社名を取った。

    https://ja.wikipedia.org/wiki/アタリ_(企業)
  10. ATARI のコンピュータ  ATARI ST • 1985年発売 …80386やHP300登場の年 • MC68000

    8MHz 採用 • 外部バス16ビット(Sixteen) 内部演算32ビット(ThirtyTwo) から ST の名に • NetBSDは非サポート(MMU無し) だが、後の ATARI 機種の原型 https://en.wikipedia.org/wiki/Atari_ST © Bill Bertram, 2006 CC-BY-2.5 Attribution
  11. ATARI 用OS  “The Operating System” • DOSに似た GEMDOS と

    GUI の GEM で構成 • CP/M作成元のデジタルリサーチにより開発 • Free版の “EmuTOS” が今でも開発継続 https://en.wikipedia.org/wiki/Atari_TOS
  12. ATARI のコンピュータ  ATARI TT030 • 1990年発売 …なおX68030は1993年 • MC68030

    32MHz 採用 • 外部バス32ビット(ThirtyTwo) 内部演算32ビット(ThirtyTwo) から TT の名に • 当初からUNIX Workstation を 目指したが、開発遅れで振るわず https://en.wikipedia.org/wiki/Atari_TT030
  13. NetBSD/atari の始まり  「NetBSD移植勢」としては古参 •1994年の NetBSD/amiga 1.0 をベースに Leo Weppelman

    氏により TT030 を対象に移植作業開始 •1995年3月にNetBSDに正式portに •同年11月の NetBSD 1.1 が最初のリリース 当時は amiga, atari, mac68k, x68k 等々の68k勢が活発でした http://www.netbsd.org/ports/atari/history.html
  14. NetBSD/atari と TT030 と 私 https://twitter.com/tsutsuii/status/954767562893479936

  15. 2009年 OSC関西@京都 http://www.ceres.dti.ne.jp/tsutsui/osc2010kobe/img02.html  とりあえず展示しました

  16. 2010年 OSC関西@神戸 http://www.ceres.dti.ne.jp/tsutsui/osc2010kobe/SMC_TT-OSC2010Kobe.html  謎NIC作成 + ドライバ作成 して展示

  17. 2011年 OSC関西@神戸 http://www.ceres.dti.ne.jp/tsutsui/osc2011kobe/NetBSD-EtherNEC.html  謎NICその2 + ドライバ作成 + セミナー

  18. その後はメンテナンスモードに  リリース区切りで動作確認 •NetBSD 6.0: 2012/10/17 •NetBSD 7.0: 2015/9/25 •NetBSD

    8 ブランチ 2017/6
  19. KOF2017での転機 https://twitter.com/tsutsuii/status/929229302146596865  NWS-800 メインボード画像の差し入れ

  20. NetBSD/news68k 8.0_BETA

  21. zlib NULLチェックの罠 ふたたび •zlib が展開先アドレスのNULLチェックしてる •NetBSD/news68kカーネルはアドレス0にロード ➔NULLチェックでコケる罠

  22. NetBSD/atari もテスト https://twitter.com/tsutsuii/status/930768218553122816

  23. いろいろおかしい(´・ω・`) https://twitter.com/tsutsuii/status/930796600741453825 https://twitter.com/tsutsuii/status/930797987529342976

  24. インストールFD 1.44MB問題  複数フロッピーサポートが待たれる…… •NetBSD/atari のインストーラは 2HD FDにファイルシステムが入っている •いろいろバイナリが太るとあふれる •デイリービルドを通すために

    使ってなさそうなコマンドを消す人がいる •実は使われてて落ちる罠 ⇒実機テスト重要……
  25. とりあえず 8.0_BETA は直しました https://twitter.com/tsutsuii/status/931170150929199104

  26. とかいうやりとりを port-atari@NetBSD.org のメーリングリストに 投げていたら

  27. port-atariメンテナからのメール  デジャヴュ MLのメールやりとりが一段落した11/25 「Milan (ATARI clone) いらない?」 「持ってたけどずっと作業してなくて」 「実際に作業する人に送りたい」

  28. お、おぅ

  29. Milanとは http://www.uweschneider.de/en/projects_milan.php

  30. Milanとは  非x86な ATマザーボードの謎マシン •ドイツ Milan-Computer-Systems社による ATARIクローン •MC68040 と安価なPC用パーツを使用して ATARI機とソフトコンパチなマシンを作る

    ……というコンセプト
  31. Milanとは • 1997年10月頃アナウンス、1998年登場? • PC-ATフォームマザーボード • MC68040 25MHz (68060オプションも存在) •

    72pin EDO SIMM x4 (max 512MB) • モトローラ 68901 MFP (タイマ、シリアル他) • Intel 82371 サウスブリッジ + SuperIO ➢PCI×4, ISA×3, IDEx2, FDD ➢PS/2キーボード・マウス ➢シリアル、パラレル
  32. NetBSD/atari での Milan サポート •2000年 2月:MLで最初の問い合わせ •2000年 8月:MLで TODOリストに挙がる •2001年

    4月:カーネルコンフィグ追加 •2001年 6月:Milanテスト用カーネル公開 •2002年 3月:PCIサポートカーネル公開 •2002年 9月:NetBSD 1.6 で正式サポート http://mail-index.netbsd.org/port-atari/oindex.html
  33. NetBSD/atari その後  続けるのは大変…… 2003年12月を最後に、Milan その他 NetBSD/atari に精力的にコミットしていた Leo Weppelman

    氏のアクティビティが低下 なお NetBSD 2.0 リリースは 2004年12月
  34. https://twitter.com/tsutsuii/status/575350376796405761

  35. https://twitter.com/yojiro/status/575350578982735872

  36. ◯| ̄|_

  37. というわけで今度はイギリスから https://twitter.com/tsutsuii/status/944590685327339520

  38. とりあえず 動かしてみる

  39. ATケースは高い (´・ω・`) https://www.amazon.co.jp/dp/B00JJ7UF7I

  40. こいつで代用 https://twitter.com/tsutsuii/status/944598980746293249

  41. さらに発掘 https://twitter.com/tsutsuii/status/944607656144117760

  42. これも必要 https://twitter.com/tsutsuii/status/944607041728823299

  43. AT電源 Tips https://twitter.com/tsutsuii/status/944614712154644480

  44. とりあえず起動はOK

  45. カーネル起動にはFDDも必要

  46. ケーブルも発掘が大変 https://twitter.com/tsutsuii/status/952490340740603904

  47. FDDもヘッド固着してたり…… https://twitter.com/tsutsuii/status/952490597171916800 https://twitter.com/tsutsuii/status/952499725248315392

  48. IDE HDD 8GB の壁 https://twitter.com/tsutsuii/status/952571925431181312

  49. PCI PIO NIC https://twitter.com/tsutsuii/status/952537950037803008

  50. NetBSD/atari 1.6.2 からテスト https://twitter.com/tsutsuii/status/952515661552480262

  51. 1.6.2 のカーネルは起動

  52. ……が、panic https://twitter.com/tsutsuii/status/952517934429057024

  53. 2.1 のカーネルも起動 https://twitter.com/tsutsuii/status/952527952419287040

  54. ……が、途中でハングる https://twitter.com/tsutsuii/status/952529526885462016

  55. netbsd-3 ブランチのカーネルも NetBSD 2.1 とほぼ同じ感じ ちなみに NetBSD 3.0 リリースは 2005年12月

  56. netbsd-4 ブランチカーネル なぜか一部のデバイスが アクセスできていない? (HDDも見えていない) なお NetBSD 4.0 リリースは 2007年12月

  57. NetBSD 5.2.3 のカーネルも netbsd-4 と同じくおかしい NetBSD 5.0 リリースは 2009年 4月

  58. NetBSD 6.1.5 のカーネル なお NetBSD 6.0 リリースは 2012年10月 起動直後のVGAの初期化の デバッグメッセージの後で

    ハングアップ?
  59. 前途多難

  60. なぜ動かなくなるのか  「何もしてないのに」「何もしないから」 なぜ時とともに動かなくなるのか? ➔ NetBSDのソース構成を見る必要がある ➢「機種依存部分」(Machine Dependent, MD) ➢「機種独立部分」(Machine

    Independent, MI)
  61. MI/MD構成 OS共通部分 メモリ管理 タスク管理 ファイルシステム ネットワークプロトコル …… 共通(MI) デバイス ドライバ

    SCSI ATA Ethernet …… CPU 固有部 割り込み アドレス変換 …… 機種依存(MD)部 ←OSの全体の5%くらい?
  62. MI/MD構成 OS共通部分 メモリ管理 タスク管理 ファイルシステム ネットワークプロトコル …… 共通(MI) デバイス ドライバ

    SCSI ATA Ethernet …… CPU 固有部 割り込み アドレス変換 …… 機種依存(MD)部 ←OSの全体の5%くらい? 「移植」というのはこの部分の実装 ポートメンテナが作業するのもここ
  63. MI/MD構成 OS共通部分 メモリ管理 タスク管理 ファイルシステム ネットワークプロトコル …… 共通(MI) デバイス ドライバ

    SCSI ATA Ethernet …… CPU 固有部 割り込み アドレス変換 …… 機種依存(MD)部 ←OSの全体の5%くらい? OS全体共通部分が変わった場合、 機種別の接続I/Fも書き直す必要がある
  64. MI/MD構成 OS共通部分 メモリ管理 タスク管理 ファイルシステム ネットワークプロトコル …… 共通(MI) デバイス ドライバ

    SCSI ATA Ethernet …… CPU 固有部 割り込み アドレス変換 …… 機種依存(MD)部 ←OSの全体の5%くらい? 共通のドライバのI/Fが変わった場合も 機械的な置き換えだけをすると 機種固有の問題にハマることが……
  65. MI変更の例 NetBSD 2.0:M:Nスレッド SMPサポート (Scheduler Activation) NetBSD 4.0:VMレイアウト変更、gcc 4.1 NetBSD

    5.0:SMP構成変更、softint(9) NetBSD 6.0:gcc 4.5 メンテナ的にはインパクトあっても ユーザーには見えない変更も多くあります
  66. NetBSD 4, 5 それぞれの VM変更、SMP変更では atari, x68k, luna68k 等々 持ってないマシンのコードを

    直すのが結構大変でした…… なぜか今はどれも持っていたり
  67. まずは NetBSD/atari が まだ活発だったころの NetBSD 2.1 をベースに デバッグを開始 デバッグ開始

  68. クロスビルド環境 https://twitter.com/tsutsuii/status/952557435700494337

  69. NFS root 設定 https://twitter.com/tsutsuii/status/952564344436408320

  70. デバッグサイクル  適当に修正したカーネルをビルド  カーネルを gzipする  gzipカーネルをDOSフォーマットFDに書く  Milanを起動して

    TOSを立ち上げる  "loadbsd.ttp” のローダーアプリを起動  フロッピーからgzipカーネルをロード  NetBSDカーネルが起動
  71. デバッグサイクル  適当に修正したカーネルをビルド  カーネルを gzipする  gzipカーネルをDOSフォーマットFDに書く  Milanを起動して

    TOSを立ち上げる  "loadbsd.ttp” のローダーアプリを起動  フロッピーからgzipカーネルをロード  NetBSDカーネルが起動 数秒〜数十秒 ほぼ一瞬 約30秒 約2分 フロッピー入れ替えと ダブルクリックと コマンドタイプ 約2分 ⇒ 合計 5〜6分
  72. デバッグ用に カーネル内部に printfを足して 様子を見るだけでも 5〜6分かかる しかもフロッピーを入れ替える必要あり

  73. つらい (ヽ´ω`)

  74. ドイツ語キーボード問題  NetBSD/atari の起動後に再起動すると なぜかNVMの設定が壊れる  NVM設定が初期化されるとTOSの表示と キーボード配列がドイツ語設定になる  ‘-’

    を打とうとすると 'ß' になる  netbsd.gz の ‘z’ を打つと ‘y’ になる 起動するのも一苦労になったり……
  75. None
  76. None
  77. NVMドライバをいじって 初期化しないように修正 /* XXX: Milan's firmware seems to use different

    check method */ if ((machineid & ATARI_MILAN) == 0) { if (!nvram_csum_valid(nvram_csum())) { printf(": Invalid checksum - re-initialized"); for (nreg = MC_NVRAM_START; nreg < MC_NVRAM_CSUM; nreg++) mc146818_write(RTC, nreg, 0); nvram_set_csum(nvram_csum()); } }
  78. HDD起動できるように CD-ROMからHDDに バイナリを展開してみる

  79. https://twitter.com/tsutsuii/status/952583345468203008

  80. https://twitter.com/tsutsuii/status/952594463569805312

  81. 負荷をかけると 確率的にハングするので ブートローダーと カーネルだけを 入れてみる

  82. ブートストラップ

  83. フローピーの呪縛からは 開放されたので、 -current に追従するため NetBSD 4.0以降で おかしい問題をチェック

  84. netbsd-4でデバイスが見えない問題 なぜか一部のデバイスが アクセスできていない? (HDDも見えていない)

  85. netbsd-4でデバイスが見えない問題  タイマやキーボードは検出されている  PCIもデバイス検出はできているが レジスタアクセスができていない  見えているデバイスと見えないものとでは アドレスのマップ方法が違う? 

    NetBSD 3 → 4 で VM APIが変わっている
  86. netbsd-4でデバイスが見えない問題  仮想アドレスを見えているデバイスと 同じ領域にしてみる ⇒ダメ  見えているデバイスと見えないものとで ページテーブル設定を比べてみる ⇒見えていない方は PMAP_WIRED

    設定? ↓ pmap_enter(9) で PMAP_WIRED を 外したらうごくようになりました (3.0ではなんで動いてたのか不明)
  87. netbsd-6で起動直後に止まる問題 起動直後のVGAの初期化の デバッグメッセージの後で ハングアップ?

  88. netbsd-6で起動直後に止まる問題  コンソール初期化付近にデバッグprintfを 入れつつ、怪しい関数をコメントアウト という手法で探索  ISAのコンソールデバイス(キーボード)の 初期化でハングしているっぽい?  5.0

    と 6.0 の差分を確認 ⇒デバイス構造体変更でNULLアクセス発生  そこを修正して起動まで進むように
  89. その他の雑多な問題  ISA割り込みを設定したらハング ⇒locore.s のハンドラに typo 入ってた  FDDが検出されない ⇒MIドライバ変更でATARI固有設定の

     変更漏れ  tar ball 展開でハングする問題 ⇒存在しないメモリをアクセスしている?  メモリ量を16MBのみとすることで  とりあえずそれなりに動いている?
  90. -current動作確認とコミット  netbsd-6 と同様の修正で 8.0_BETA も -current も無事に起動して動作

  91. -current動作確認とコミット  結局修正したのは実質 5つのファイルだけ  都度メンテしないと調査が大変……

  92. 今後の課題  メモリ検出の問題 各SIMMの物理アドレス配置調査が必要? 直せれば 512MB なビルドマシンも可能!?  高負荷でハングする問題 とにかく

    race condition っぽいところを 調べるしか無い?  各PCIデバイス動作の検証
  93. まとめ • カーネルデバッグは大変ですが 自分で調べて動くと楽しいです • 放置してると動かなくなるので 定期的なメンテが重要です • OSC展示駆動がおすすめです 「-currentが動いたら

    OSC大阪展示するよ!」 と元オーナーに宣言してたのでした