あまてくLT会 2024/10/16
人工知能のようなタスク指向なものが安直に流行しやすい時代だからこそ、「何をつくるべきか」を広い視野で考える姿勢について紹介してみました。
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(要約)
よくある「便利で豊かな社会を」といったキャッチフレーズの通り、効率化・自動化は工学の最優先課題であり、その背景には「人々は手間いらずで頭を使わずに済む社会を
求めている」「客観的・定量的に評価できなれけば
成果じゃない」「便利になるのはいいことだ」という価値観がある。
しかし、便利は必ず有益なのか?
冷静に考えると、便利と不便、益と害は独立しているため、それぞれの組み合わせで便利益、便利害、不便益、不便害が定義できる。
不便益には、主体性向上、身体能力の回復・維持、気づき・学びなど様々なものがあり、不便益にはどんなものがあるか、どうすれば不便益を システムデザインに活用できるかが「工学」で研究されている。
便利のみ追求する姿勢は、注目しているタスクさえ良ければ良い = 保守的、客観的・定量的に評価できる価値だけが成果だ = 理論的、特定の文脈に沿うことを要求する = モーダル、といえる。
一方、不便益も追求する姿勢は、まだ見ぬ周辺タスクも含めて良くしたい = 進歩的、主観的な経験から発見される価値も成果だ = 実験的、多様な文脈に合わせた試行錯誤を認める = モードレス、といえる。
便利の盲信には、不便益や便利害を見落とすリスクがある。
不便益は、不便であることの効用(益)を再認識して、
それをシステムデザインの糧にしようとするスローガンである。
便利が溢れる時代だからこそ、不便をもっと作り出そう!