あまてくLT会 2024/10/16
「体験をデザインする」とはどういうものか、身近な体験デザインを通して紹介してみました。
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(要約)
タスクが「つい」進捗してしまうほどタスクを上手く分解したり洗い出したりするにはどうすればよいか。やらないといけないのに「つい」進まないことや、やる必要はないのに「つい」やってしまうことを見比べると、つい進捗してしまうにはタスク自体の「おもしろさ」が重要なのかもしれないという仮説が浮かぶ。しかし、別におもしろくはないが、ついやってしまうこともある。
「ついやってしまう」仕組みはどのようなものか。これを知るために、「ついやってしまう」体験のつくりかた、という本を参照する。この本は任天堂の元社員でWiiの最初期からの企画開発者である著者が、ゲームの「体験デザイン」を日常生活に 応用するための考え方を解説してくれる内容である。
この本によると、仮説→試行→歓喜の短い自発的な体験の繰り返しを通して自身の力で直感的に理解するという体験が「ついやってしまう」直感のデザインの仕組みとして説明されている。そして、実はゲームは、別におもしろくはないがついやってしまうことの繰り返しでできていることが明かされている。
“人はなぜ、タスクを進捗するのか?タスク自体がおもしろいからではなく、作業者自身が直感する体験そのものがおもしろいから、進捗する。”
この本文からの引用を参考にすると、タスクに関しても以下のようにいえるだろう。
“人はなぜ、タスクを進捗するのか?タスク自体がおもしろいからではなく、作業者自身が直感する体験そのものがおもしろいから、進捗する。”
つまり「つい進捗してしまう」ためのポイントは、タスク完遂までを仮説→試行→歓喜の短い体験の繰り返しで埋めることだといえる。
この考えをもとに「つい進捗してしまう」タスク分解のやり方を整理すると、まずは実現したい目的物(名詞)を明確にすることが重要である。人と物の間に無数に存在する「行為の可能性 = アフォーダンス」が自発的な仮説に繋がるが、人・物 = 名詞、行為 = 動詞、の関係であるため、タスクは「動詞(アクション)」ではなく 「名詞(アウトプット)」を明確にすること、言葉を尽くすより映像的・空間的に 直感できる表現を目指すことが重要といえる。そしてその名詞(アウトプット)は、不完全な中間アウトプットを定義することで細分化する。不完全なものを肯定する勇気を持って、機能や精度を大胆に落とした不完全な中間アウトプットを明確に定義する ことが自発的な仮説に繋がる。そのうえで、「つい進捗してしまう」か全体を俯瞰する。仮説については、操作対象(作成・利用・変更・削除する物や必要な情報)は明確か?(すべて存在を簡単に知覚できてすぐ手の届く範囲に集めておくようにする)を確認する。試行については、簡単な行動か?(最大でも1日以内に終わる粒度にする)を確認する。歓喜については、完了状態は明確か?(概念的なアウトプット(例:メンバーの共通認識)よりも、 目に見えるアウトプット(例:議事録)に変換する。「調査する」よりも「調査結果を記録する」のように 生み出すべき名詞を抽出して明示する)を確認する。
進捗は「体験デザイン」が9割と心得ると良いだろう。進捗中も継続的に「つい進捗してしまう」か全体を俯瞰し続けることがコツである。自分はもちろん、ほかの人にタスクを依頼するときも意識すると良い。まずは、タスク分解の結果を記載する予定の場所を周囲に共有して、 タスク分解自体を進捗させるところから始めよう。