ICH M10 生物学的分析法バリデーション 5

ICH M10は生物学的な分析方法に対するバリデーションについてのガイドラインです。バリデーションの種類や方法、報告について述べられています。5はリガンド結合測定法のバリデーションについての続きになります。

Transcript

1. ICH M10 生物学的分析法バリデーション 5 2021/2/16 Ver. 1.0
2. リガンド結合測定: 正確性と精度 既知濃度の検出対象を含むQCサンプルを準備する • 検量線用とは独立のQCの希釈系を作成する • 濃度は最低でも5つ準備する • 下限濃度、下限濃度の3倍、平均値が3つ • 上限濃度と上限濃度の75%が残り2つ
3. リガンド結合測定: 正確性と精度 個々の測定、測定間での精度をQCを用いて調べる • 各QCサンプルで3度ずつ測定して調べる • 6回測定、2日以上の測定期間で調べる • 個々の測定ごとの正確性と精度を報告する • 測定間の正確性と精度は個々の測定結果から求める
4. リガンド結合測定: 正確性と精度 個々の測定、測定間での精度をQCを用いて調べる • 測定間、測定内正確性が±20%となるようにする • 上限と下限では±25%を限度とする • 精度も同じ範囲となるようにする • 値とのズレの合計が30%以下となるようにする
5. リガンド結合測定: キャリーオーバー リガンド結合では通常問題とならない • 測定系の特徴として起こるのであれば評価する • 検量線用上限サンプルの後のブランクで評価する
6. リガンド結合測定: 希釈とフック効果 測定範囲が狭いため、通常希釈が必要となる • 希釈系での直線性を確認する • 高濃度測定によるシグナル抑制＊が起こる可能性を検証する • 基本的にQCを希釈して確認する ＊これをフック効果（Hook effect）と呼ぶ
7. リガンド結合測定: 安定性 サンプルの準備、加工、保管時の安定性を調べる • 基本的にはクロマトグラフィーでの安定性評価と同じ • 文献情報だけで安定性を証明することはできない • 安定性評価用のQCを保管環境ごとに最低でも3つ準備する • 検量線用サンプルとの比較で安定性を評価する
8. リガンド結合測定: サンプルの分析 基本的にバリデーション完了後に分析を実施する • ブランク、検量線、QCを2セット測定してから行う • ブランクは検量線作成には含めない • 個々のプレートに1セットずつ検量線、QCを含めて分析する • サンプルが多い・ウェルが少ないときにはQCだけ含める ＊マイクロプレートを用いることを想定していると思われる
9. リガンド結合測定: サンプルの分析 分析の許容条件、棄却は計画書、SOPに従い行う • バッチごと、測定ごとに許容条件を設ける • 許容値は検量線の許容条件とほぼ同じ • QCの測定値、正確性、精度にも許容条件を設ける
10. リガンド結合測定: 検量線の範囲 最低でも2つのQCは検体の濃度の範囲に収まるようにする • 検量線の片側に検体濃度が偏る場合は処置を取る • QCを変える/加える、検量線範囲を狭めるのいずれかを取る
11. リガンド結合測定: サンプルの再分析 再分析の決定、条件等は計画書・SOPに定めておく • 再分析したサンプルの記録を残し、報告する • クロマトグラフィーの場合とほぼ同じ条件で再分析を行う