ICH S5 生殖・発生毒性の検出 4

ICH S5は非臨床研究における生殖・発生毒性研究（DART: Developmental and Reproductive toxicity）についてのガイドラインです。4では用量・投与経路・投与期間についてまとめています。

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1. ICH S5 生殖・発生毒性の検出 4 2020/11/10 Ver. 1.0
2. 用量・投与経路・投与期間 それぞれが実験系を構築する上で重要な要素となる • 薬理・動態・毒性・用量決定研究を参考に決定する • 用量設定方法はM3とS6に記載 • 十分な情報がなければ用量範囲を決定する研究を推奨
3. 用量の決定 5つの決定方法がある • 毒性研究に基づく用量設定 • 全身曝露の飽和に基づく用量設定 • 暴露マージンに基づく用量設定 • 実行可能な最大用量（MFD） • 制限用量 MFD: Maximum Feasible Dose
4. 毒性に基づく用量設定 母体に毒性を引き起こさない最大の用量 • 体重による影響の発生 • 過度の鎮静・低血糖などの薬理学反応 • 毒性による応答 を避けることを考慮した用量とする
5. 全身曝露の飽和に基づく用量設定 全身曝露での血中濃度から決定する場合 • それ以上処方しても血中濃度が上がらない用量
6. 暴露マージンに基づく用量設定 ヒトでの最大用量にマージンを含めた用量のこと • ヒト最大用量でのAUC、C max の数倍を達成する用量 • ヒト最大用量の25倍程度が通常用いられる • プロドラッグでは活性化物質を基に決定する • EFDでの用量を決めるときには動態データが必要 EFD: Embryo-Fetal Development
7. 暴露マージン: 生物学的製剤の場合 生物学的製剤に関してはS6に定める • 薬理学的に最大効果をもたらす用量 • ヒト臨床用量の10倍 の高い方を選択する
8. 実行可能な最大用量（MFD） 物理・生理学的特性が最大用量を決定する場合 • 用量ではなく暴露量を最大とする • 投与回数を調節して最大用量を達成することもできる ＊基本的にはM3 Q&Aに従ってMFDを決定する
9. 制限用量（Limited Dose） 1g/kg/dayを用量とする方法 • 他の方法での用量決定が達成できない場合に使用
10. 低用量の選択 DARTでは危害が全く無いことが望ましい • 毒性や薬理学的特性によっては最大用量以外を使用する • ヒトの一日最大用量の1－5倍程度を指す ＊No observed adverse effect level (NOAEL)を達成することがDARTでの期待される結果となる
11. 投与経路 投与経路は基本的に臨床使用と同じものとする • 十分な暴露を満たせない場合は他の経路を用いる • 十分な全身曝露の試験で、複数経路での使用を担保できる
12. 投与のスケジュール 暴露のプロファイルを決定する重要因子 • 臨床使用を模倣するもので十分 • やや多い・少ない投与頻度でも問題はない • 頻度が高いときは動物のストレスなどを考慮する
13. ワクチンの用量と研究デザイン ワクチンの使用状況と対象を考慮し決定する • 新生児・幼児・老人が対象なら、DARTは必要ない • ヒトでの最大用量で、臨床と同じ投与経路で検証する • 母体の抗体価を最大にする研究デザインを取る • 胚・胎児発生時に1用量での試験を行う