日本薬局方－一般試験法 2.52 熱分析法

熱分析法とは、試料に徐々に熱をかけ、その変化を調べる方法です。熱分析法には加熱前後の重量を測定する熱重量測定法と、加熱中の試料の熱吸収・熱放出を測定する示差走査熱量測定法（Differential Scanning Calorimetry, DSC）の2つがあります。

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1. 日本薬局方－一般試験法 2.52 熱分析法 2020/5/18 Ver. 1.0
2. 熱分析法とは？ 試料に熱をかけて、その変化を調べる方法 の2種類がある • 熱重量測定法 • 示差走査熱量測定法
3. 熱重量測定法 試料を加熱しながら、試料重量の変化を測定する方法 • 乾燥減量測定法の別法 • 基本的な仕組みは乾燥減量測定法と同じ • 温度の校正と天秤の校正の方法に指定がある 温度校正は常磁性物質のキュリー温度*、電子天びんはシュウ酸カルシウム1水和物標準品で校正する ＊常磁性物質のキュリー温度: ニッケルなど、磁性を帯びる金属が磁性を失う温度
4. 示差走査熱量測定法 Differential scanning calorimetry (DSC) と呼ばれる • 試料を徐々に加熱し、試料の熱吸収・放出を測定する方法 • 融解熱・相転移・水分蒸発などの温度がわかる • 純度や化学変化、結晶化度などの試験に用いられる 日本分析機器工業会（社）DSCの原理と応用 https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/cta/dsc/
5. DSCの装置 熱保証型と熱流束型の2種類がある • 熱保証型 • 熱流束型 試料用と標準用のセルのヒーターが独立で、2セルの温度差が ゼロになるときのヒーターへの電流を測定する 試料用と標準用のセルのヒーターは同一で、2セルの温度差を 測定する
6. 熱曲線 試料の熱的変化をグラフにしたもの • 横軸は温度、縦軸は熱流量 • 温度は徐々に上げていく • 下がると熱吸収、上がると熱発散
7. 熱変化と相変化 熱的変化は、試料の相変化に対応する 変化元・変化先の相 主な現象 固体－固体転移 同素体－結晶多形，脱溶媒和，非晶質－結晶 固体－液体転移 融解，ガラス転移 固体－気体転移 昇華 液体－固体転移 凍結，再結晶，ガラス転移 液体－気体転移 蒸発 不純物が交じると相変化温度が変化する 純度の測定にも使える
8. 校正と操作法 使用前には校正が必要 • 標準物質を使った温度・熱量の校正 操作時には試料と空のセルを準備する • 普通は自動測定される • 測定結果に併記するデータの指定がある＊ ＊測定時の雰囲気、諸条件、校正の記録、試料の量と来歴、温度変化の方向と速度、装置と記録計の感度
9. DSCからわかること 日局には、DSCの解析からわかることが記載されている • 相変化 • 化学組成変化 • 相図への応用 • 純度の測定 相図（Wikipediaより） https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E5%9B%B3
10. 純度の計算 試料の融点T 0 と測定された温度ピークTは以下の関係にある = 0 − 0 2 ∆ × 2 R: 気体定数、ΔH f : 純粋な試料のモル融解熱、x 2 : 不純物のモル分率 • 不純物があれば、不純物側に温度ピークがずれる • 測定できないものもある （アモルファス、不安定な多形を示すもの、固溶体、不要な不純物）