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日本薬局方-一般試験法 4.02 抗生物質の微生物学的力価試験法
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July 05, 2020
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日本薬局方-一般試験法 4.02 抗生物質の微生物学的力価試験法
抗生物質とは、細菌などの生物の増殖・成長を抑える物質のことです。抗生物質の力価測定とは、抗生物質による抗菌活性を培地上での菌の増殖抑制から判定するものです。
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July 05, 2020
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Transcript
日本薬局方-一般試験法 4.02 抗生物質の微生物学的力価 試験法 2020/6/23 Ver. 1.0
抗生物質の力価とは? 抗生物質の抗菌活性の指標のこと • 試験用の菌を播種した寒天培地を準備する • 寒天培地の一部に抗生物質を乗せる • 抗生物質により菌の繁殖が抑えられた面積を調べる • 面積から力価を求める
試験の種類 培地・方法・試験菌には様々なものがある • 培地は試験菌に対応したものを準備する • 方法として円筒平板法、穿孔平板法がある • 使用する器具、試薬等はすべて滅菌する
試験菌 主に2種類で、その他を用いる場合には各条に規定される • Bacillus subtilis ATCC 6333 • Saccharomyces cerevisiae
ATCC 9763 枯草菌の仲間。原核細菌。病原性はほぼ無い。芽胞*を形成 する 出芽酵母。真核細菌。ビール酵母で、発酵に用いられる *芽胞: 環境耐性の高い菌の形態のこと。休眠型細胞 *ATCC: American Type Culture Collection、生物材料リソースを収集、販売する団体。番号は型番 https://www.atcc.org/en.aspx
培地 菌に栄養を与え、成長の土台となる固形ゲルのこと • B. subtilis用* • S. cerevisiae用* ペプトン 肉エキス
寒天 水 5.0g 3.0g 15.0g 1000mL ブドウ糖 ペプトン 肉エキス 酵母エキス 寒天 水 1.0g 6.0g 1.5g 3.0g 15.0g 1000mL 普通はオートクレーブ滅菌した後、シャーレなどに広げる *共に1例。他にもある。他の菌を用いるときは指定された培地を用いる
斜面培地と平板培地 試験管に斜めに培地を入れたものと、ペトリ皿のものがある • 試験管に斜めに入れたものを斜面培地と呼ぶ • 内径16mmの試験管に斜めに寒天培地9mLを入れる • ペトリ皿に入れたものを平板培地と呼ぶ • 内径90mmのペトリ皿に寒天培地20mLを入れる
試験芽胞液と試験菌液 Bacillusの芽胞液・酵母の菌液を試験に用いる • 芽胞液 培地で32-37ºC、16-24時間培養する。クエン酸を含む培地に移し、さ らに1週間培養する。生理食塩水に懸濁後、65ºCで30分加熱し、遠心分 離で集める。3回生理食塩水で洗い、水で懸濁し、65ºCで30分加熱して 芽胞液とする • 菌液
培地で25-26ºC、40-48時間、3回継代培養する。別の培地に移し、さら に40-48時間培養する。生理食塩水に懸濁して菌液とする その他の菌についても菌液とほぼ同様に作成する
基層寒天培地と種層寒天培地 培地は菌を含まない基層と含む種層を用いる • 基層 基層用寒天培地20mLをペトリ皿に入れる • 種層 45-51ºCの種層用寒天培地に芽胞液(0.1-1.0%)または菌液(0.5- 2.0%)を加える 基層の上に種層を4-6mL広げ、試験用の培地に利用する
円筒寒天平板と穿孔寒天平板 試験用培地に円筒を置く、もしくは円形の穴を開けたもの (穿孔) (円筒) • 共にペトリ皿に4つずつ円を作る • 円筒はステンレス製で、外形7.9-8.1mmのもの • 穿孔も7.9-8.1mmのサイズで作成する
円筒寒天培地: 操作法 円筒に高濃度・低濃度の試料*を入れて試験を行う *抗生物質を含む試料溶液のこと • 培地5枚を一組として用いる • 2個の円筒に高・低濃度試料をそれぞれ入れる • 同様に高・低濃度標準溶液も別の培地に入れる
• 32-37ºCで16-20時間培養する
阻止円と力価 Wikipedia: 抗生物質 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%97%E7%94%9F%E7%89%A9%E8%B3%AA 抗生物質のために菌が増えられない部分を阻止円と呼ぶ 阻止円の直径から力価を求める = log + d:
直径、P: 力価、αとβは定数
試料の力価の計算 力価は試料と標準溶液の阻止円から求める 採取した試料中の力価=A× 高濃度標準溶液1mL中の力価× 高濃度試料溶液の希釈倍率 Aは標準溶液、試料の阻止円直径から計算する係数 *Aの計算は複雑なので、ここには記載しません
穿孔寒天培地: 操作法 基本的に円筒と同じだが、液は穿孔に入れる • 方法、阻止円、力価計算は円筒とほぼ同じ
比濁法 菌の発育を濁度で調べる方法 • 生物学ではこちらが一般的 • 液体培地を用いる • 試験管培養後、透過率/吸光度を測定する
比濁法: 操作法 試験管で振盪培養し、530nmの光で測定する • 標準、試料溶液、水を1mLずつ試験管各3本に取る • 菌液9mLを加え、35-37ºCで3-4時間培養する • ホルムアルデヒド溶液0.5mLを加える •
530nmの透過率、吸光度を測定する
比濁法: 力価の計算法 標準溶液の吸光度から検量線を作成し、試料の力価を計算する • 等比的5段階濃度の標準溶液を用いることが多いようだ • 等比的標準溶液を用いた場合の検量線作成には指定方法がある