シャレイア語入門 10 : 助詞句の順序

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November 02, 2017

シャレイア語入門 10 : 助詞句の順序

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  1. 10 第 課 助詞句の順序 文法書 23, 38

  2. 1 話題と新情報 lôq dev 貸す 筆記具 第 2 課で説明したように、 動詞の後に並べる助詞句の順番に

    制約はありません。 しかし、 助詞句の位置によって多少の ニュアンスの違いが生じます。 シャレイア語では、 一番最初にある助詞句はその文の話題を 表していると捉えられます。 上の文では、 最初に a tel という 助詞句があるので、 相手に 「今から私 (tel) について話します よ」 ということを暗に伝えることになります。 残りの助詞句は、 その話題に対する読み手 (もしくは聞き手) にとっての新しい情報になります。 上の文では、 a tel の後に ca ces e dev と続いているので、 話題として提示した 「私」 に対して 「彼に筆記具を貸した」 という情報を与えています。 a tel . ca ces e dev lôqes 話題 新情報
  3. 2 文末の助詞句 一番最初の助詞句以外は、 その最初の助詞句に対する新情 報を表していると説明しましたが、 特に文末に最も大事な情 報が置かれます。 上の 1 番目の例文では

    e dev が文末にあるので、 「私が貸し たのは筆記具なのだ」 ということが強調されます。 一方で 2 番目の文では ca ces が文末にあるので、 「私は彼に貸した のだ」 ということが強調されます。 a tel . e dev lôqes ca ces a tel . ca ces lôqes e dev 私は彼に筆記具を貸した。 私は筆記具を彼に貸した。
  4. 3 助詞句の配置による文の流れ I 1 文目では e dev が文末に置かれているので、 「筆記具を貸 した」

    という情報が読み手 (もしくは聞き手) に与えられます。 そして、 2 文目では e cit が初めに置かれています。 こうする ことで、 1 文目の段階で 「筆記具」 という情報が頭に残って いる読み手 (もしくは聞き手) は、 すんなりと 「次はさっきの筆 記具について何か述べるんだな」 と理解できます。 文章は、 前の文の新情報が次の文の話題になることが多い ので、 新情報を文末側に置き、 話題を文頭側に置くことで、 それを読む (もしくは聞く) 人が流れるように話を理解すること ができるわけです。 . e dev lôqes a tel ca ces e cit séqes ca tel a fax. 私は彼に筆記具を貸した。 それは母が私にくれたものだ。 fax 母
  5. 4 助詞句の配置による文の流れ II 2 文目の助詞句を上のように並べ替えてみましょう。 1 文目の時点では 「筆記具」 という情報が読み手 (もしくは

    聞き手) の頭に残っています。 しかし、 2 文目は a fax から始 まっているので、 「母親」 という話題を提示していることになり ます。 すると読み手 (もしくは聞き手) は、 「筆記具は置いてお いて今度は母親の話か」 と全く別の話が始まったと勘違いし てしまう可能性があります。 このような順序で助詞句を並べると、 読み手 (もしくは聞き手) は 2 文目が 1 文目の 「筆記具」 について述べていることにす ぐ気づけず、 混乱を招いてしまいます。 . e dev lôqes a tel ca ces e cit séqes a fax ca tel . 私は彼に筆記具を貸した。 母が私にそれをくれた。
  6. 5 助詞句の順序のまとめ ここまでの話をまとめると、以下のようになります。 • 「その文が何について述べたいのか (=話題)」 を表す助詞 句は先頭に置かれる • 「話題に対して何を言いたいのか

    (=新情報)」 がその後に 置かれる • 文末の助詞句には特に重点が置かれる なお、 第 2 課で主語 (a 句) が最初に置かれやすいと説明し たのは、 主語が話題になることが多いからです。 ここで説明 したように、 最初に置かれるのはその文の話題を表す助詞句 なので、 必ずしも a 句であるとは限りません。
  7. 6 助詞句を省略したときの意味 シャレイア語では、 助詞句を省略すると 「何らかのもの」 や 「何らかの人」 などが省略されたと捉えられます。 例えば、 上の

    2 文目は 1 文目から vo 句が省略されていま す。 したがって 「腕時計を何らかの場所に隠した」 という意味 になります。 同様に 3 文目は 「山奥に何らかのものを隠した」 という意味になります。 qopates a tel . e sokiq 私は腕時計を山奥に隠した。 vo kùd i hinad qopates a tel . e sokiq 私は腕時計を隠した。 qopates a tel . 私は山奥に隠した。 vo kùd i hinad qopat sokiq kùd hinad 隠す 腕時計 奥 山
  8. 7 助詞句を省略するときの注意 日本語では 「私」 などの主語はよく省略されますが、 シャレイ ア語では助詞句が省略されたときの意味に注意して、 助詞句 を省略しなければなりません。 助詞句を省略すると、

    「何らかの人」 などがもともとはあった と解釈されることを思い出してください。 上のように a tel を省 略すると、 この文は 「何らかの人が公園に入った」 という意 味になるので、 公園に入ったのが 「私」 とは限らなくなります。 したがって、 「私が入った」 ということをきちんと伝えるには a tel を省略してはいけません。 kûves ca naflat acik. 私はその公園に入った。 kûves ca naflat acik. a tel その公園に入った。 kûv naflat cik 入る 公園 その
  9. 8 受動態相当表現 I 「叱られる」 のような 「~される」 という受け身に相当する表 現は、 シャレイア語にはありません。 その代わりに、

    最初の助 詞句が話題になることを利用します。 例えば 「先生が私を叱った」 を受け身の表現にすると 「私は 先生に叱られた」 となりますが、 シャレイア語では、 この 2 つ の文は、 話題が 「先生」 にあるか 「私」 にあるかだけが違うと 考えます。 話題はどの助詞句が一番最初にあるかで指定でき るので、 「先生が私を叱った」 は 「先生」 を先に置き、 「私は 先生に叱られた」 は 「私」 を先に置けば良いわけです。 selbutes . a zissác 先生が私を叱った。 ca tel selbut 叱る selbutes . a zissác 私は先生に叱られた。 ca tel
  10. 9 受動態相当表現 II この文には a 句がありません。 したがって、 助詞句が省略さ れたときの意味の規則から、 この文は

    「何らかの人が私を駐 車場で殴った」 という意味で、 誰が殴ったかに特に言及して いないことになります。 また、 この文の最初の助詞句は e tel なので、 話題は 「私」 です。 これにより、 この文を日本語に訳 すなら、 話題の 「私」 を主語にして 「私は駐車場で殴られた」 となります。 以上のように、 日本語の受け身の文章は、 最初の助詞句が 話題になることを利用して訳されます。 これは、 シャレイア語 の特殊な構文というわけではないのですが、 受動態がある他 の言語と比較して 「受動態相当表現」 と呼ばれることがあり ます。 bozetes vo zîdloq. 私は駐車場で殴られた。 e tel bozet zîdloq 殴る 駐車場
  11. 10 感情動詞 I 「興奮する」 や 「悲しい」 などの感情は、 シャレイア語では基 本的に動詞で表現しますが、 この動詞を使うときは少し注意

    が必要です。 例えば、 cavef は 「(e 句の人を) 興奮させる」 という意味で、 「興奮する」 ではありません。 では 「興奮する」 はどう表現す るかというと、 「興奮させられる」 だと考えて受動態相当表現 を使います。 上の例文が受動態相当表現にしたものです。 「何らかのもの が私を興奮させている」 すなわち 「私は興奮している」 という 意味になっています。 e tel. 私は興奮している。 lebakat lebak 興奮させる
  12. 11 感情動詞 II 感情動詞の主語 (a 句) には、 その感情を抱くことになった原 因が kin

    節で置かれます。 上の文は、 直訳すれば 「私が友達と喧嘩したということが私 を悲しませている」 となり、 それはすなわち 「私は友達と喧嘩 したので悲しい」 を意味しています。 dod baldet 悲しませる 喧嘩する e tel 私は友達と喧嘩したので悲しい。 dodat a kin baldetes a tel e refet .