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自分自身に生じた「不安」をきっかけとした認知錯誤の気づきと対話のデザイン

 自分自身に生じた「不安」をきっかけとした認知錯誤の気づきと対話のデザイン

ScrumFestNiigata 2026

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antmiyabin

May 09, 2026

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Transcript

  1. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 自分自身に生じた「不安」をきっかけとした 認知錯誤の気づきと対話のデザイン ~その善意が相手のメンタル負荷に~ 2026年5月9日

    NTTドコモソリューションズ株式会社 技術革新本部 システム技術部 DevTechセンタ 鹿嶋 雅 Scrum Fest Niigata 2026
  2. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 2 自己紹介 NTTドコモソリューションズ株式会社 エバンジェリスト(Agile)

    @antmiyabin 【属性】 #生まれと育ちは北海道 #2児(娘と娘)の父 #KASHIMA Antlers(Jリーグ) #渋谷ABEMAS(Mリーグ) #味噌ラーメン #LeSS‘ Morning スタッフ 【モットー】 柔らかな芯を持つ 鹿嶋 雅(かしま まさし) 入社以来、主にシステム開発(主に金融業界のイントラネット /Webサービス)に従事。全社人材育成の企画・運営に関する キャリアを積み上げる中で「アジャイル開発」の重要さと楽し さに感銘を受ける。その後はScrum Masterとしてアジャイル 開発に従事してきた。 現在は、アジャイルコーチとして社内外へのアジャイル開発の 普及活動や案件支援の活動、また、アジャイル開発を担う人材 育成についても活動中。 「エバンジェリストが語るICTの未来」:https://www.nttcom.co.jp/evangelist/ より引用 ※現在エバンジェリストは5名(うち、「Agile分野」は2名)
  3. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 3 Scrum Fest での講演履歴

    ▪Scrum Fest Fukuoka 2023 福岡県(九州支店)勤務の社員による組織変革、 本社の巻き込みによる変革のキーパーソン創出 ▪Scrum Fest Osaka 2024 アジャイルコーチとしてScrumTeamの支援に入る時に、 計画駆動で開始しようとしてしまったおはなし ▪Scrum Fest Sendai 2024 謙虚なアジャイルコーチ ~「アダプティブ・ムーブ」による伴走支援 ▪Scrum Fest Niigata 2025 RSGT2025をきっかけにインポスター症候群を知ることになった ~「ありのままのアジャイルコーチ」であるために ~ 登壇資料:https://speakerdeck.com/antmiyabin
  4. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 4 会社紹介 2022年1月よりNTTドコモグループの一員に 参考1:NTTドコモグループ

    ブランディングサイト https://nttdocomo-group.com/ 参考2:会社案内 https://www.nttcom.co.jp/assets/pdf/corporate/outline/CorporateInformation_j.pdf
  5. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 5 お話しする/しない ◼話す ◼不安の問い:「良かれと思った関わりが、負荷だったかも?」

    ◼用語説明:認知錯誤、行為者-観察者バイアス ◼事例: ⚫スクラムイベントでのフィードバック ⚫スプリントプランニングでの意思決定 ◼不安を「対話のきっかけ」に変える関わり方 ◼話さない ◼医療/臨床的観点 ◼画一的な「答え」や「断定」 ※記載内容は個人の見解です
  6. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 7 認知錯誤:意図と解釈のズレ 話し手の「意図」と、受け手の「解釈(どう響いたか)」がすれ違うことで、同じ言葉でも 意味づけが変わってしまう

    ことば 話し手 受け手 君ならできる。 頑張っていこう! 期待している、 次のステップに 後押ししたい 意図 (伝えたいこと) 解釈 (響き方) 話し手 の前提 受け手 の前提 ズレは 「ことば」 ではなく 「意図 解釈」にある 評価されている? 期待あり? プレッシャーも感じる
  7. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 8 行為者―観察者バイアス:意図と影響のズレ 同じ出来事でも、行為者(言った側)は「意図・目的」で捉え、観察者(受け取った側)は 「受けた影響」で捉えるため、意味づけがズレやすい

    出来事 行為者 (話し手) 観察者 (受け手) 君ならできる。 頑張っていこう! 期待している、 次のステップに 後押ししたい 判断基準 →意図・目的 判断基準 →受けた影響 同じ出来事でも「基準」が違うと、意味づけがズレる ※「意図(目的)」と「影響(受けた圧)」の間… 会話以外の「出来事」も ・PR差戻 ・コメントの「スルー」 ・アサインの偏り 評価されている? 期待あり? プレッシャーも感じる
  8. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 9 (補足)心理的安全性との関係 ◼心理的安全性は、「ズレ」が起きない条件ではない ◼心理的安全性の確保により、「ズレ(意図

    解釈/意図 影響)」が起き たあとに話し直すことが可能。 ➔どうするか、は「事例」でお話し ※本講演は、「心理的安全性そのものは重要」が前提。 「ズレ」に気づく 心理的安全性 (土台) 対話 (話し直し) ここをどうする か?
  9. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 11 何があったか スクラムイベントでコミュニケーション改善に向けたフィードバック。 →ポジティブなリアクション。ただし、表情にちょっとだけ違和感を感じた。

    翌日以降も「気になるサイン」としてこの違和感が続いた(という「不安」) ・表情が(少しだけ)硬い ・声を掛けられる回数が(少しだけ)減った ・ファシリテーターが(少しだけ)ぎくしゃくしている など…
  10. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 12 何が起きていたか? まさに、認知錯誤の発生:意図と「響き方」のすれ違い ことば

    (フィードバック) 助かりました。次から さらに時間も意識して みよう。 (善意の)意図 (伝えたいこと) (負荷?の)解釈 (響き方) 話し手 (私) の意図 受け手 (相手) の解釈 期待?プレッシャー? うまくやらないと… 意図と解釈がず れているかも… (という仮説) 話し手 (私) のつぶやき
  11. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 13 どうする?→「シグナル」を「問い」につなげる ◼ 違和感を「相手の問題」とせず、ズレを知らせるシグナルと捉える

    ◼ 「シグナル」をトリガーにして、問いに変える(そして、確かめる)。 ◼ 「聞ける」ための土台: 心理的安全性(→そのものは重要) ◼ 事例1の場合、以下の「問い」をきっかけに、捉え方のGAPを解消する きっかけにつなげる ◼ 「昨日フィードバックしたせいか、表情が硬いように見えるけど… どう?」 ◼ 「かえってやりづらくなっている?」 話し手 (私) のこころ ◼ 実際にどういった影響を受けたかを「早めに」確かめて、解釈のズレを 解消する
  12. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 15 何があったか スプリントプランニングにおける意思決定のタイミングで、 スクラムマスターとして「提案」をした。

    →この「提案」が受け入れられて無事に意思決定につながった。 →しかし、その後のDevとのコミュニケーションで 「違和感」を感じるように…
  13. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 16 何が起きていたか? まさに、話し手の「意図」と、受け手の「解釈(どう響いたか)」がすれ違い スプリントプランニング後の関係性に影響が発生…

    ことば スクラムマスターとし ての提案(PO/Dev間 で決めてほしい) Devとは対等のつもり で接している この違和感は何 なのだろう…? (善意の)意図 (伝えたいこと) (負荷?の)解釈 (響き方) 話し手 の前提 受け手 の前提 スクラムマスターから の指示(に従って受け 入れようかな) SMとは上下関係を感 じる 話し手 (私) のつぶやき この段 階では 仮説
  14. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 17 どうする? ◼ 違和感を「相手の問題」とせず、ズレを知らせるシグナルと捉える

    ◼ 「シグナル」をトリガーにして、問いに変える(そして、確かめる)。 ◼ 「聞ける」ための土台: 心理的安全性(→そのものは重要) ◼ 事例2の場合、以下の「問い」をきっかけに、解釈のGAPを解消する きっかけにつなげる ◼ 「今、確認していい?」 ◼ 「さっきスプリントプランニングで『提案』したつもりなのだけど、 ひょっとして『指示』に聞こえた?」 話し手 (私) のこころ ◼ 「シグナル→問い→確認」という型は事例1と同じ ◼ 相手の解釈を仮説ベースで確認して、前提のズレをほどく ◼ (当然)外れる場合もある。その場合は別の仮説に置き換えて確認した り、相手に直接聞いたり、というアプローチを。
  15. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 18 実践的なかかわり「型」:2つの事例を通して 1. 前提:

    解釈は断定せず、仮説として置く(当たる/外れる がある) 2. 観察の共有(素直に): 「今こう見えた。合ってる?」 3. 許可を取る: 「今、確認(アドバイス)してもいい?」 4. 意図の可視化: 「責めたいのではなく、前に進めたい」 5. 影響の確認: 「どう響いた? どんな影響があった?」 6. 状態確認の習慣: 「今日はどんな感じ?」 ※今回はSMの事例だったが、どの立場だとしても適用可能
  16. © NTT DOCOMO SOLUTIONS, Inc. 2026 20 まとめ ◼ 善意のかかわりでも、相手には「メンタル負荷」として響くことがある

    ◼ 違和感は「相手の問題」ではなく、「ズレ」を知らせる「シグナル」 ◼ 深刻化する前に相手の解釈/影響を「問い」で確かめ、話しなおす ◼ 違和感を感じたら、「問い」を置いてみる ◼ まずは許可から:「今、確認してもいい?」