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消滅可能性都市「加賀」の生き残り策

 消滅可能性都市「加賀」の生き残り策

2021年度卒業研究論文

d-lab 北陸大学

December 10, 2021
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  1. 2021 年度 経済経営学部 卒業研究 題名 消滅可能性都市「加賀」の生き残り策 学科名 学籍番号 氏名 マネジメント学科

    2018m033 岡本隼 2018m144 堂川大貴 2018m149 中川秀人 2018m206 本多遥大 2018m235 森永海斗 卒業研究担当 ◦ 印 ( 月 日) [教員署名・捺印・確認日]
  2. 要旨 近年、日本の多くの地域では少子高齢化が問題となっており、加賀市もそのうちの一つ の地域である。加賀市の人口は昭和 60 年(1985 年)の 80,877 人をピークに減少が続い ており、現在の総人口は 64,588

    人である。平成 26 年度に「消滅可能性都市」に位置付け られている。これから加賀市はどのように人口減少を食い止めていくのかを考える必要が ある。 そこで本研究では、スーパーシティ構想と e-市民制度という加賀市が市を挙げて力を入 れている政策と、加賀市で活動している公益財団法人あくるめの助成活動を取り上げた。 それぞれのヒアリング調査などから今後加賀市がどう発展してくのか明らかにすることを 試みた。IT 化が進む中でのスーパーシティ構想、e-市民制度によって加賀市にくるきっか けを作り、将来的に人口増加に繋げる。公益財団法人あくるめの助成活動の一つである子 どもたちの遊び場の提供を行うプレイパークの開催など、加賀市の問題と向き合い活動し ている団体や人が多く、加賀市をより良い市にしようという強い思いが見られた。これら の活動を継続できれば、加賀市はより発展していくと考えられる。 本研究では扱えなかったが、若者の流出がとても顕著な加賀市では、やりたい仕事や入 社したい企業がないなどの問題に対してもより詳細な検討が望まれる。
  3. 目次 第 1 章 はじめに ........................................................................................................... 1 第 2 章

    加賀市について ................................................................................................ 3 第 1 節 加賀市の概要 ................................................................................................. 3 第 2 節 加賀市の現状 ................................................................................................. 4 第 3 章 加賀市人口推移について .................................................................................. 7 第 1 節 これまでの人口推移 ...................................................................................... 7 第 1 項 加賀市の人口の概要 .................................................................................. 7 第 2 項 過去 25 年間の人口推移 ............................................................................. 8 第 2 節 人口減少の原因 ............................................................................................. 9 第 1 項 少子高齢化の進行 ...................................................................................... 9 第 2 項 若者の流出 ................................................................................................ 11 第 3 項 その他の要因 ........................................................................................... 12 第 3 節 これからの人口推移 .................................................................................... 14 第 1 項 今後 20 年間の人口推移 ........................................................................... 14 第 2 項 これからの加賀市 .................................................................................... 15 第 4 章 スーパーシティ構想について ......................................................................... 17 第 1 節 スーパーシティ構想の概要 ......................................................................... 17 第 2 節 加賀市が提言するスーパーシティ構想 ....................................................... 19 第 1 項 加賀市の目指す姿 .................................................................................... 19 第 2 項 加賀市の取り組組み ................................................................................ 19 第 3 項 加賀市スーパーシティ ............................................................................. 21 第 3 節 海外におけるスマートシティ構想 .............................................................. 22 第 1 項 スマートネーションシンガポール ........................................................... 22 第 2 項 e-エストニア ............................................................................................ 23 第 5 章 公益財団法人あくるめの助成活動について .................................................... 25 第 1 節 公益財団法人あくるめの概要 ...................................................................... 25 第 1 項 公益財団法人あくるめの成り立ちとビジョン ......................................... 25 第 2 項 公益財団法人あくるめの活動 .................................................................. 26
  4. 第 2 節 柴山潟のゴミ問題に取り組んでいる「ももたろうプロジェクト」 ............. 28 第 1 項 ももたろうプロジェクトの概要

    ............................................................... 29 第 2 項 ももたろうプロジェクトの活動 ............................................................... 29 第 3 項 ヒアリング調査 ....................................................................................... 30 第 3 節 多世代交流から作る萬松園のグランドデザイン ......................................... 32 第 1 項 萬松園再生プロジェクト概要 .................................................................. 32 第 2 項 ヒアリング調査 ....................................................................................... 34 第 4 節 子供をまんなかに置いたまちづくりに取り組む「かが子ども未来プロジェク ト」 35 第 1 項 かが未来プロジェクトとは ...................................................................... 35 第 2 項 プレイパークとは .................................................................................... 36 第 3 項 かが子ども未来プロジェクトの概要 ....................................................... 36 第 4 項 ヒアリング調査 ....................................................................................... 39 第 6 章 結論 ................................................................................................................ 43 謝辞 47 参考文献 49
  5. 図目次 図 2.1 加賀市の地図 ................................................................................................ 3 図 3.1 加賀市地域別の人口推移 ..............................................................................

    8 図 3.2 加賀市人口増減率 ......................................................................................... 9 図 3.3 加賀市人口推移 ........................................................................................... 10 図 3.4 加賀市年齢階級別移動数の時系列分析 ........................................................ 11 図 3.5 加賀市転出数内訳(2020 年) .................................................................... 13 図 4.1 スーパーシティ構想候補地 ......................................................................... 18 図 5.1 公益財団法人あくるめホームページ ........................................................... 25 図 5.2 加賀市の宮元陸市長と公益財団法人あくるめの皆さん .............................. 28 図 5.3 ももたろうプロジェクトの様子 .................................................................. 30 図 5.4 萬松園再生プロジェクトの様子 .................................................................. 33 図 5.5 萬松園グランドデザインの作成を行った鈴木さん ..................................... 34 図 5.6 2019 年に行われたみんなのアソビバ@山代アートマーケットの様子 ....... 37 図 5.7 3 世代遊び場 MAP こどものあそびはどう変わった?~加賀市大聖寺編~ ........................................................................................................................... 38 図 6.1 PLUS KAGA からあくるめ財団への流れ .................................................. 44
  6. 1 第1章 はじめに 執筆担当:中川秀人・本多遥大 近年、日本では地方の過疎化がとても顕著になり少子高齢化などが問題となっている。 石川県の南西部に位置する加賀市もその例外ではない。しかも加賀市は現在、消滅可能性 都市とまでなっている。消滅可能性都市とは将来消滅する可能性がある自治体のことを指 し、20~39 歳の女性の数が 2010

    年から 40 年にかけて 5 割以下に減る自治体が選ばれて いる。 私たちは三年次から大学・地域連携アクティブフォーラムにおけるゼミ活動で加賀市の 公益財団法人あくるめの方々と協働して加賀市をより良い町にするために通称「加賀プロ ジェクト」という名称で活動してきた。活動自体は新型コロナウイルスの影響もあり活発 な活動はできずオンラインが大半だった。活動の内容は大きく分けて 3 つある。まず加賀 市の人口分析である。類似他市との比較を BI ツールの「Tableau」でグラフ化した。ちな みに 「Tableau」 とはデータドリブンな課題解決を変革し、 組織のデータを最大限に活用す ることを可能にするビジュアル分析プラットフォームである。次に、加賀市には何がある のかを見るためのフィールドワークを行った。最後に、自分たちが司会・パネリスト・広 報を分担して、分析結果の発表・地域創生に関係のあるゲストを招いたオンライン講座を 開催した。年度の最後に大学・地域連携アクティブフォーラムでの発表を行った。 私たち加賀プロジェクトチームは他県出身者や石川県出身でも加賀市に関連のないメ ンバーしかいなかった。だが活動をしていく中で地域における活動、そして加賀市そのも のへの関心を持つようになった。これまで触れ合うことのなかった地域のために活動する 方々に多く出会え、そのような点にも興味を持った。本研究では、1 年間活動してきた加 賀市について更に深く掘り下げる。 なぜ加賀市は少子高齢化が進み消滅可能性都市に選ばれるほどになったのか。若者が都 市部へ流出していること、加賀市が様々な対策をしていることは分かった。これらが人口 推移にどのように関係していて今後どのようになるのかを予測する。 本研究の目的は、人口減少の原因をデータから用いた情報や関係していそうな要因から
  7. 2 予測する。次に今後の加賀市が発展するために行っている「e‐市民制度」を始めとしたス ーパーシティ構想、公益財団法人あくるめが主体となって行っているももたろうプロジェ クトやプレイパーク開催などの活動を調べた。それらの活動がどのように影響し良い方向 に進んでいくのかという考察を目的とした。 本論文の構成は、まず第 2 章では、加賀市の概要や現状を述べる。次に第 3 章で

    BI ツ ール 「Tableau」 で作成した人口推移のグラフから人口減少の原因を明らかにする。 そして 今後の加賀市の人口について予測を行う。そこから関係する要因などを当てはめ更に細か く人口推移について調べた内容を元に予測する。次に第 4 章では、加賀市が実現しようと しているスーパーシティ構想について扱う。 その中で加賀市が計画している 「e-市民制度」 やデータ社会の推進化など細かく掘り下げ、どのような影響をもたらすのかを予測する。 第 5 章では、公益財団法人あくるめの助成活動での影響の考察や助成活動の代表者へのヒ アリングを行った。最後に第 6 章で、ここまで出した予測データから加賀市の人口や経済 がどう発展してくのかを予測する。
  8. 3 第2章 加賀市について 担当執筆:堂川大貴 第1節 加賀市の概要 加賀市は石川県の南西部に位置し、福井県と接する市である。南東部から発する大聖寺 川、動橋川が日本海に注ぎ、それぞれの流域にひらけた森や湖に恵まれた地域である。 面積は約 305.87

    ㎢で、 中央部は平野が広がるほか、 市街地や集落などが分布しており、 南部は市面積の約 7 割を占める山林が広がっている。 図 2.1 加賀市の地図 (出所:加賀市スマートシティ課)
  9. 4 1958 年に江沼郡の 9 町村(大聖寺町、山代町、片山津町、動橋町、橋立町、三木村、三 谷村、南郷村、塩屋村)が合併・市政施行し、旧・加賀市が誕生した。2005 年に旧・加賀 市富山中町が新設合併・市政施行し、新・加賀市が発足した。 加賀温泉郷と呼ばれる 3

    つの温泉(山中温泉・片山津温泉・山代温泉)があり、日本海・ 大日山、富士写ヶ山、鞍掛山に囲まれている加賀市はかつて大聖寺藩十万石の城下町とし て栄えた城下町や日本遺産に認定された北前船の舞台としても知られ、豊かな自然と趣深 い歴史が市内の各所に息づいている。 3 つの温泉を中心に多くの観光客が訪れ、2020 年度の宿泊施設入込客数は 105 万人を 超えている。また、温泉の他にも九谷焼や山中漆器は日本を代表する伝統工芸として今に 伝わっている。農業、漁業では、日本最高峰のブドウ「ルビーロマン」や、新鮮なカニ、 甘エビなどが多く採れる。 2024 年春には、北陸新幹線加賀温泉駅が開業する予定だ。現在、北陸新幹線の金沢・福 井県敦賀間の線路延長工事が行われており、加賀市の加賀温泉駅にも新幹線が止まるよう になる。敦賀以西についても、小浜、京都、松井山手駅付近を経由して市の小坂駅につな がるルートが採用されている。新幹線の最高速度は、260km/h で、加賀温泉駅〜東京まで 約 3 時間(現行約 4 時間) 、加賀温泉駅〜大阪駅まで約 1 時間(現行約 2 時間 20 分)での 移動が可能になる。 第2節 加賀市の現状 加賀市の人口は昭和 60 年(1985)年の 80,877 人をピークに減少が続いており、現在の 総人口は 64,588 人である。そのうち、高齢者(65 歳以上)の人口は 22,699 人である。ま た、日本創生会議が平成 26 年に発表した試算によると、 「消滅可能性都市」に位置づけら れた。人口の減少のみならず、観光入込客の減少も問題視されている。昭和 61 年には加賀 市への観光客数が 400 万人だったものの、令和 2 年には 100 万人にまで激減している。 また、企業の産性の低さにも厳しい現状が見られる。市内の企業の規模の割合の 99%が 中小企業であり、全体の企業の内 31.4%を製造業が占めている。その製造業の 1 従業員あ たりの付加価値額は県平均の 1,035 を下回る 826 となっている。 現在、高齢化、人口の減少が進んでいるが、 「消滅可能性都市から、挑戦可能性都市へ」 を合言葉にいち早く都市の DX (デジタルトランスフォーメーション) を取り入れている。
  10. 6

  11. 7 第3章 加賀市人口推移について 執筆担当:岡本隼・中川秀人・本多遥大 第1節 これまでの人口推移 第1項 加賀市の人口の概要 消滅可能性都市にも指定され、人口減少が問題となっている加賀市の人口は 64,588

    人 である(令和 3 年 10 月 1 日時点) 。加賀市は平成 17 年 11 月 1 日に山中町との合併し一 時的に人口増加したものの、それ以降は人口が減少している。 図 3.1 のグラフを見てわかるように、加賀市人口の最大の特徴は「人口集中地区」が存 在しているということである。つまり人口の偏りが激しいのだ。大聖寺地区は市役所があ る地域であり、比較的人口が集まりやすい地域である。人口増減は激しいものの、加賀市 の中でトップクラスを維持している。 温泉地のある山代地区、 片山津地区、 山中地区では、 山代地区は大聖寺地区と並んで目立つが、 片山津地区や山中地区の人口は減少傾向にある。 北陸新幹線敦賀延伸により新設される加賀温泉駅のある作見町は他の地区が人口減少する 中で唯一人口が増加してきた地区である。 近年は増加傾向が止まり横ばいとなっているが、 東京都から電車 1 本でいけると好条件ということもあり、移住する人が増加する見込みが ある。
  12. 8 図 3.1 加賀市地域別の人口推移 (出所:加賀市歴史的風致維持向上計画) 第2項 過去 25 年間の人口推移 人口減少が問題となっている加賀市は過去

    25 年間で、 増加傾向にあったのは 1996 年か ら 1997 年の間と 2005 年から 2006 年の 2 度だけである。
  13. 9 図 3.2 加賀市人口増減率 図 3.2 は「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」から過去 25 年分のデ ータを用いて作成した人口増減率の割合を表したものである。

    2005 年から 2006 年の 1 年 間は、2005 年 10 月に行われた江沼郡山中町との合併の影響を大きく受けており、人口増 加率は大きく跳ね上がり 10%となっている。 しかし、 それ以外を見ると 1996 年から 1997 年の 1 年間の微増を除けば、全て減少していることが見て取れる。 第2節 人口減少の原因 第1項 少子高齢化の進行 図 3.3 のグラフは加賀市の人口推移を総人口・年少人口・生産年齢人口・老年人口の 4 つの項目に分け、過去から未来を表したものである。
  14. 10 図 3.3 加賀市人口推移 (出所:RESAS 地域経済分析システム) 加賀市の少子高齢化は図 3.3 を見ても分かるようにとても進行している状況である。ま ずオレンジ色は加賀市の総人口の推移で

    1985 年から減少していることが分かる。特に 2000 年代頃から急激に減少している。 青色の年少人口はなだらかに減少し、 緑色の生産年 齢人口も急速的に減少している中で黄緑色の老年人口だけが増加している。しかし、老年 人口より下の割合が減少しているため老年人口も必然的に減少していくことが考えられる。 このような少子高齢化現象は全国的にももちろん見られていることだが、加賀市も例外 ではなくむしろ顕著に表れていて少子高齢化社会が進んでいるといえる。医療技術が進歩 し寿命が延びることで人口は増加しそうだが、若者も減少し出生率が死亡率を下回ってい るため人口は減少している。しかしそのような要因も人口が減少し、消滅可能性都市とな っている理由の一つに過ぎないのである。 それ以外の理由をまた順を追って予測していく。
  15. 11 第2項 若者の流出 ① 図 3.4 加賀市年齢階級別移動数の時系列分析 (出所:RESAS 地域経済分析システム) 図

    3.4 のグラフは年齢階級別に加賀市の純移動数を 1980 年から 2015 年までを算出し たデータである。移動数とは転入数から転出数を差し引いた数のことである。 総人口が推移しているため 1980 年から 2015 年まで同じとは言えないが、どの年代も 線の動き的には似たようなものになっていることが分かる。0 歳から 4 歳と 5 歳から 9 歳 の層ではオレンジの 1980 年から 1985 年は転入超過であった。 しかし、 そこからは減少し ていき、 紫色の 2010 年から 2015 年では転出超過となっている。 ここで考えられるのは子 供を産んですぐに加賀市から転出している人が多くなっているということである。 この中でも特に 15 歳から 19 歳と 20 歳から 24 歳の若年層が転出超過であることが読 み取れる。この理由として考えられることは 2 つある。1 つ目は 15 歳から 19 歳の高校進
  16. 12 学や大学進学である。加賀市は大学が 1 校もなく、高校は 4 校とあまり多くない。そのた め、石川県以外や金沢市にある高校や大学に進学し実家を離れる者がいる。2 つ目は就職 である。この要因は高校卒業後に就職する 15

    歳から 19 歳の層、そして大学卒業後に就職 する 20 歳から 24 歳の層のどちらにも該当することである。 加賀市以外に進学した者はそ の地で就職することや、地方ではできない職業に就くため都会に転出するなども多くある だろう。このようなことから若者が流出しているため加賀市の第一次産業では後継ぎがい なくなり、年々衰退している要因となっているといえる。 50 歳以降はどの年のデータでもほとんど変化がないことが読み取れる。 これは当然のこ とだが、若者が加賀市の外に流出し高齢の方々は移動することは無いことで少子高齢化は 加速度的に進んでいく。 第3項 その他の要因 このように加賀市の総人口や年少人口が減少していることにはいくつもの原因がある と考える。加賀市の小学生の人数は年々減少しており、平成元年(1989 年)には 6,262 人 だった小学生の人数は現在 2021 年では 2,955 人となっており、平成元年に比べて半数以 上も減少していることが分かる。もちろん出生率も年々減少しているため当然のことだ。 この年代が次の生産年齢人口となる可能性が高いのだから、現在減少し続けている生産年 齢人口の減少に拍車をかけることになる。 しかし、加賀市は石川県内で完全失業率の割合が 1 番高い市でもある。これは働きたい と思い意欲があるにも関わらず定職に就くことができずに就職活動をしている人が石川県 内で最もいるということだ。加賀公共職業安定所であるハローワーク加賀令和 3 年 2 月の データによれば、有効求職者数は 1,126 人で前年である令和 2 年 2 月のデータと比較する と 10.3%の増加となっている。 このように定職に就きたくてもつけない人、そして加賀市にある企業ではやりたいこと がない人などは加賀市に固執はせず県外や石川県内の他市へと転出していく。加賀市の盛 んな産業というのは工業や製造業である。しかし、石川県外や石川県内の他市にある大学 へ通っている学生は本気で地元でしたいことがない限り進学先で就職活動をすることが多 いように思う。
  17. 14 第3節 これからの人口推移 第1項 今後 20 年間の人口推移 図 3.6 は「国立社会保障・人口研究所」による

    2045 年までの人口予測したデータを BI ツールの 「Tableau」 でグラフ化したものである。 2015 年の加賀市総人口は 67,186 人で、 2020 年は 65,020 人と 5 年で 2,000 人程減少していることが分かる。グラフでは 2025 年 の予測人口は 62,369 人となっているが、2021 年 10 月 1 日の最新データによれば加賀市 の総人口は 62,346 人となっており 2025 年予測人口よりも少ないことになっている。 この ことから 2025 年は予測人口よりも更に減少している可能性が高いと考えられる。そして 予測人口では 2030 年には 60,000 人を下回り 59,458 人となっている。 2035 年には 56,377 人となり 2015 年の 67,186 人という総人口から 10,000 人以上減少していることになって いる。20 年で 10,000 人減少するということは消滅してしまうことに近づくということで ある。2040 年には 53,202 人、2045 年には 50,169 人で 50,000 人を下回る可能性も出て くる。 2045 年の 50,169 人は 2015 年の総人口からは 20,000 人近く減少していることにな る。このままの状態では人口減少が益々進んでいくと考えられる。 ただ一概に加賀市の総人口が減少していくとは限らない。現在の減少が続けばグラフの ような数字になることが考えられるが、打開策などがあれば総人口が徐々に増加していく ことなども十分に考えられることである。そのようなことも踏まえて次に今後の加賀市が どうなっていくのかを予測していく。
  18. 15 図 3.6 加賀市人口予測 (出所:国立社会保障・人口問題研究所) 第2項 これからの加賀市 これまで見てきたデータから、加賀市の人口は年々減少しており少子高齢化も進んでい ることが分かった。更に第 3

    節第 1 項で出した今後の加賀市総人口予測グラフでもあるよ うにこのまま行けばもっと大きく減少していくと思われる。そしてその原因としてはいく つかあり、何か 1 つや2つの大きな原因があるというわけでは無いはずである。 その 1 つとして若年層の近隣地域や都会への流出、加賀市内での産業衰退による完全失 業率の増加などが考えられるとこの第 3 章では述べてきた。このような現状が 1 つずつで も解決していくことが出来れば人口減少を食い止めることが可能である。 もちろん加賀市ではこれらの原因については理解しており、すでに解決策として行政の 力で様々な対策をしている。加賀市における人口減少対策の担当課として、加賀市役所の 市民生活部で人口減少対策室というものがあり、活動としては婚活セミナーなど地域の未 来を考えた活動をしている。 また、企業誘致室などを設けての企業誘致での産業の活性化を促している。この企業誘 致では企業が新増設した工場や整備などの固定資産税や都市計画税を最大で 10 年間免除
  19. 17 第4章 スーパーシティ構想について 執筆担当:堂川大貴・森永海斗 第1節 スーパーシティ構想の概要 スーパーシティとは、最先端技術を活用して第四次産業革命後に国民が住みたいと思う より良い未来社会を包括的に先行実現することを目的とした都市の概念である。これまで 日本でも内閣府国家戦略特区(以下、国家戦略特区と表記)が民間企業や地方公共団体に 近未来技術を実証する為の「近未来技術実証特区におけるプロジェクト」の募集の取り組

    みがあった。しかし、エネルギーや交通などの個別の最先端技術の実証しか行われなかっ た。スーパーシティはこれらと異なり、個別分野だけの取り組みではない。生活全般に対 して、最先端技術の実証を一時的に行うのではなく、未来社会での生活を先行して現実に する。その際に、供給者や技術者の目線で見るのではなく、住民の目線になってより良い 暮らしの実現を目指すことが重要視されている。 世界各国でも地域問題などを解決する為、未来都市の設計に向けて類似の問題意識での 取り組みが行われている。また、スーパーシティには新規開発型と呼ばれるグリーンフィ ールド型と既存都市型と呼ばれるブラウンフィールド型がある。グリーンフィールド型は 都市の一部区域や工場跡地などで新たな都市開発を行い、新たな住民を集める。ブラウン フィールド型はすでにある街で住民合意を形成し、必要な再開発・インフラ整備を行う。 日本では、昨年 5 月 27 日に人工知能などの先端技術を活用した「スーパーシティ」構 想を実現する為に、改正国家戦略特区法が参院本会議で与党などの賛成多数によってスー パーシティ法が成立された。このことで物流、医療、教育などの様々な分野の先端技術を 組み合わせ、その相乗効果で住みやすいまちに変化していくことが期待される。また、複 数の規制改革事項を一括して進めることが可能となる。例えば、先端技術を活用した医療 機関の設置と通院予約や通院のためのタクシーの配車予約を連動させることなどができる。 これらが実行されるまでの流れとして、国家戦略特区の指定を受けた自治体は国や民間企 業と区域会議を設けて必要な規制緩和を含む事業計画書を作成する。次に、住民の同意を 得た上で国に申請し、首相が規制緩和の特例を担当省庁に求める。そして新たな手続きの
  20. 18 導入で迅速に進められる。また、国家戦略特区の「 「スーパーシティ」構想の実現に向けて 最終報告 pdf」の内容と、図 4.1 にスーパーシティの候補地は以下の通りである。 • 移動:自動走行、データ活用による交通量管理・駐車管理、マルチモード輸送など •

    物流:自動配送、ドローン配達など • 支払い:キャッシュレスなど • 行政:パーソナルデータストア(PDS) 、オープンデータプラットホー ムワンスト ップ窓口、API ガバメント、ワンスオンリーなど • 医療・介護:AI ホスピタル、データ活用、オンライン(遠隔)診療・ 医薬品配達 など • 教育:AI 活用、遠隔教育など • エネルギー・水:データ活用によるスマートシステムなど • 環境・ゴミ:データ活用によるスマートシステムなど • 防災:緊急時の自立エネルギー供給、防災システムなど ・防犯・安全: ロボット 監視など 図 4.1 スーパーシティ構想候補地 (出所:内閣府国家戦略特区-地方創生事務局(2021) )
  21. 19 第2節 加賀市が提言するスーパーシティ構想 第1項 加賀市の目指す姿 実際に加賀市が目指す姿やこれまで行ってきたことについて知るために、加賀市役所政 策戦略部スマートシティ課企画調整グループの池田優貴氏とヒアリング調査を行った。 加賀市は「e-加賀市民制度」を幹とした加賀市スーパーシティ制度の実現を目指してい る。加賀市はマイナンバーカードの普及率が全国で見ても非常に高いと言うところを武器 に、マイナンバーカードの活用をいかすような取り組みを積極的に提案している。

    目指す姿として大きく 5 つの分野に分けられ、1 つ目が、 「国内外の高度人材が集う街づ くり」である。内容は、旅館や空き家を活用したワークステーション、法人登録の代行等 のワンストップサービス、 耕作放棄土地の可視化と営農情報の提供などが挙げられる。 2 つ 目は「移動最適化都市の実現」である。内容は、市内交通を連携させた MaaS アプリの導 入、最適なデマンド送迎サービス、ドローンによる物流サービスなどが挙げられる。3 つ 目は「情報銀行を書くとした先端的医療サービスの実現」である。内容は、健康データに よるフレイル予防とロコモ対策などの健康維持・未病改善、アプリによる医療情報の確認 や遠隔医療サービス、建物 O S による患者及びその家族の通院負担軽減・安心感の醸成な どが挙げられる。4 つ目は「インターネットによる電子投票の実現」である。内容は、電 子投票による住民等の意向調査、公職選挙法に基づく電子投票などが挙げられる。5 つ目 は「RE100 を目指したレジリエントな地域の創造」である。内容は、再エネ収益の再投資 による地域循環環境生圏の確立、ドローン活用による自然災害・獣害への対応。この主な 5 つを目指す姿として挙げ、スーパーシティに選定されることを目指している。 第2項 加賀市の取り組組み ヒアリング調査の中で出てきた加賀市がスマートシティ、スーパーシティの実現に向け て取り組んできたことを 「第四次産業を見据えたイノベーション施策」 「官民連携による挑 戦のフィールド」 「デジタル化の推進」 「ポストコロナ社会への挑戦」の 4 つに分けて説明 する。
  22. 20 第四次産業を見据えたイノベーション事業 加賀市には、ITベンダーはおらず、SIer(エスアイヤー)と呼ばれるシステム開発を専 門に行う企業もなく、高度な大学などの研究機関もない。なので、このような人や機関を 自分たちで誘致するか、自分たちで新しく生み出すかの2つの選択肢しかなかった中で、 IoTを使える人材を市内に生み出すための人材育成をすることに決めた。それと同時に市 内の企業のIoT導入、 活用に向けた普及啓発活動を行っており、 市内企業の生産性や技術開 発力の強化を目指した。この取り組みが、経済産業相から地方版IoTラボの第1弾として選

    定され、その後の活動に国からのバックアップを得られるようになる。現在24の企業が加 賀市と連携協定をしている。人材育成の取り組みとしては、小学生から高校生までが参加 するロボットプログラミングの世界大会「ロボレーブ」を開催、市内の高校生がNASAの プロジェクト(STARRプロジェクト)に参加するなど将来を担う若い世代への教育に力を 入れている。ロボレーブがきっかけとなり、プログラミング教育に関しては市を挙げて開 催しており、総務省の「若年層に対するプログラミングの普及促進モデル事業」に採択。 2017年からは、 全小中学校でプログラミング教育の必修化の実施をしており、 国のプログ ラミング必修化(2020年)に三年先駆けて取り組んできた。総合的な学習の時間には、 STEAM教育を推進し、 算数・理科でのプログラミング的思考、 渋滞緩和のための信号制御 プログラミングなどを行なっている。 官民連携による挑戦のフィールド 加賀市では官民が連携して挑戦できるフィールドをいくつも提供している。 まず、 ドローンを活用した空の産業集積を目的に市内の生活圏全域に3Dマップを製作中 (令和3年度完成予定)この3Dマップを民間企業に積極的に活用してもらうことで新たな 産業を加賀市に誘致、雇用の創出につなげ、将来的には人口の増加というところまで目指 している。 2つ目ははMaaSの取り組みである。MaaSとはバスや電車、タクシーといったあらゆる 交通機関でITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、便利に使えるようにする システムのことである。加賀市では民間企業とコンソーシアムを組み、MaaSアプリによ るデジタルチケットやキャッシュレス支払いなど、より交通サービスを最適化させること で、市民の交通を便利にするための取り組みを行っている。
  23. 21 3つ目は、 農業分野のデジタル化である。 ルビーロマンなどの栽培データを見える化し、 そのデータを活用し、品質と商品化率を向上させた。実際に商品化率は50%から70%に向 上させることが可能となった。また、新しい通信技術である「Wi-Fiヘイロー(長距離通信 のWi-Fi技術)」を加賀市の梨園で使った実証実験、環境に配慮した特別栽培米「加賀ほま れ」の育成に関して作業の省力化事業への支援として自動給水処理システムを助成してい る。 デジタル化の推進

    加賀市はブロックチェーン都市宣言を機に様々なデジタル化を進めてきた。行政内部の デジタル化としては、現在マイナンバーカードの普及率が全国の市区で1番となっている のでデジタル化を行うインフラが全国のどこよりもダントツで整っているという状況にあ る。この強みを生かし、マイナンバーカードを活用したスマホによる個人認証を使い、現 在170以上の行政手続きの電子化を実現している。将来的には、電子投票の実現まで目指 している。他にも、加賀市の関係人口を増やすための施策として、e-加賀市民制度の導入 を行っている。e-加賀市民制度とは、「市民と市民以外」という従来のカテゴリーの中か ら新たにe-加賀市民という新しいカテゴリーを新設し、これまで市民限定で提供してきた 公的なサービスをe-加賀市民にも開放することにより、加賀市に来るきっかけを作り、将 来的な人口増加につなげるものである。 ポストコロナ社会への挑戦 ポストコロナ社会への挑戦として加賀市でも幾つかの取り組みが行われている。 ANAホールディングスと連携を行い、遠隔分身ロボットの「アバター」の活用をし、遠 隔による入院患者へのお見舞いや行政相談、遠隔地からの卒業式等の参加が可能となる取 り組みを行なっている。また、医療センターの中では安全な紫外線を照射することでウイ ルスを不活化する取り組みや、公共施設では三密を回避するため、混雑状況を可視化する システムの導入などが行われている。 第3項 加賀市スーパーシティ 以上のような取り組みを行っている加賀市は、2020年に「スマートシティ加賀宣言」を 行った。これはサービスありきではなく、あくまでも人間中心の社会づくり、まちづくり
  24. 22 を進めていくという基本理念のもと人間中心の未来社会の実現に向けて進めてきた取り組 みである。 スマートシティ加賀の基本理念は、人間中心の未来社会の実現であり、 1. データ駆動型のまちづくり(デジタルファースト) 2. 創造的なまちづくり(クリエイティブ) 3. 市民との共創によるまちづくり(スマートシチズン)

    の3つの戦略を設けている。 これらの取り組みが評価され、 加賀市は G20 のスマートシティパイオニア都市として日 本では 4 地域(前橋、浜松、加古川、加賀市)の 1 地域として認定を受けた。G20 とはア ルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イ ンドネシア、イタリア、日本、メキシコ、韓国、南アフリカ共和国、ロシア、サウジアラ ビア、トルコ、英国、米国の 19 ヶ国に加え、欧州連合(EU)の首脳が参加して毎年開催 される国際会議のことである。 これまでに説明してきたように、人口減少など新たに発生する地域課題に対して先端技 術を活用することで市民生活の質の向上を目指すスマートシティ加賀の活動を進めてきた。 国では、 2030年ごろの未来社会の先行実現するスーパーシティ型国家戦略特区の公募をし ている。加賀市はスマートシティ加賀の早期実現に向けて、事業の提案を行っている 第3節 海外におけるスマートシティ構想 第1項 スマートネーションシンガポール スマートネーションシンガポールは2014年に発表されたたシンガポールの構想である。 目標、ビジョンは 3 つある。1 つ目が技術革新によるシンガポールの変革、2 つ目がイノ ベーションを起こす仕組み、文化の醸成、3 つ目が ASEAN の都市との国際的なコラボレ ーションである。主な取り組みとしては、 「国家センサーネットワークの設置」 「デジタル 決済の普及」 「国家デジタル未便証明システム」が挙げられる。
  25. 23 国家センサーネットワークの設置 監視カメラやセンサーを多数設置し、人や車などの交通、気象や都市インフラの状況等の 各種データを収集、便利で安全な公共さービスを目指す。センサーから収集された情報等 を国民に広く活用してもらうため、ポータルサイト等で情報を公開している。 デジタル決済の普及 2017 年にモバイル決済サービス PayNow 開始。地場系・外資系の

    7 銀行が提携、他銀行 送金も無料で、 タイ国のモバイル送金インフラとも提携を行った。 2018 年には複数の電子 決済に対応できる国内統一の QR コード「S G Q R」を世界で初めて導入された。永住権 取得者や、国内居住外国人も使用可能となった。 国家デジタル身分証明システム 法人向け身分証番号サービスの新設などがある。 この 3 つ以外にも、 「MyInfo」 (個人情報のデータプラットフォーム)の導入、ワイヤレ スセンサ・スマートコネクテッド該当の整備(実証中) 、自動運転(実証中) 、MOL アプリ の導入(β版導入中)などが行われている。 第2項 e-エストニア e-エストニアは、 2000 年に開始されたエストニア共和国の電子政府プロジェクトである。 ほぼ全ての分野にわたり、電子化を推進(住民情報、法人登記、税金、医療、教育、防犯 など) 主な取り組みは、 「国民 ID カード・データベースの連携・e-Residency」 「e-Business Register」である。それぞれの内容は以下の通りである。 国民 ID カード・データベースの連携・e-Residency 全てのエストニア国民が電子身分証を所持しており、ポータルサイトによりアクセスが可 能である。医療サーニス情報なども参照可能となった。2001 年に開始された「X-Road」 と呼ばれる電子データ共有システムは 650 を超える機関と企業、500 以上の公的機関など と連携が可能だ。世界で初めての電子国民制度(e-Residency)は外国からの企業誘致等促 進のため導入された。外国人も国外から電子政府システムを使用可能である。
  26. 25 第5章 公益財団法人あくるめの助成活動について 執筆担当:岡本隼・森永海斗 第1節 公益財団法人あくるめの概要 第1項 公益財団法人あくるめの成り立ちとビジョン 公益財団法人あくるめ(以下、あくるめ財団と表記)は、2017 年

    8 月 1 日石川県加賀市 で代表理事の霜下順子氏が設立した。霜下氏は加賀市がこのままでは地域コミュニティの 機能が低下し、活力は失われていくと考えた。そこで、加賀市の子どもたちの未来のため の事業の展開や、そのような活動を行っている個人や団体の手助けをすることが加賀市の 未来に繋がるのではないかという思いで霜下氏はこの財団は立ち上げた。あくるめ財団の メンバーは、代表理事の霜下順子氏、理事の山口美幸氏・飯貝誠氏、事務局の山田真名美 氏、飯貝真美子氏、小杉真澄氏である。 図 5.1 公益財団法人あくるめホームページ (出所:公益財団法人あくるめホームページ)
  27. 26 そしてあくるめ財団は現在、石川県唯一のコミュニティ財団である。コミュニティ財団 とは、地域社会に対する知識や関心を持つ市民が代表として選ばれ、その市民によって構 成される役員会が運営する社会貢献機関である。主な活動としては、個人・企業・団体な どから寄付や遺贈された多数の個別基金を管理することである。 あくるめ財団のビジョンは「若者一人ひとりの小さな想いを支援し、持続可能な未来に 向かって子ども達の笑顔がいきかう元気な地域をつくる」である。このビジョンには 3 つ の意味が込められている。まず

    1 つ目は「子どもたちの未来のために」である。石川県加 賀市は県内で 1 番人口減少が進んでいる地域であり、 「消滅可能性都市」に該当する。子ど もの貧困や格差、自然教育の衰退、後継者不足など、人口減少は加賀市の未来脅かし続け る大きな問題である。 あくるめ財団は子どもたちの未来のために繋がる地域事業の展開や、 そのような活動している個人や団体の手助けを行い、地域の活性化を図っている。 2 つ目のビジョンは「地域の課題は、地域の手で」である。あくるめ財団は石川県加賀 市に特化した民間の財団法人である。あくるめ財団は加賀市の課題を解決するのは加賀市 民一人ひとりの想いや活動であると考えている。その理由として、加賀市にエリアを絞る ことでお互いの顔が見え、信頼関係を育んでいくことができ、人々の繋がりを大切にして 様々な活動を地域に浸透させていくことができると考えているからである 3 つ目のビジョンは「力を合わせて、一緒に作り上げる」である。あくるめ財団の活動 は助成活動費の支援だけではない。例を挙げると、 「数年後このように継続・発展させてい きたい」という自主財源化も視野に入れた活動を行っている人に対し、手助けとなるよう 一緒に相談しながら作り上げていく。つまりお金だけに留まらない支援を目指しているの である。 これらのビジョンを掲げ、石川県で唯一のコミュニティ財団として今後加賀市の更なる 発展と活性化に期待がかかる。 第2項 公益財団法人あくるめの活動 あくるめ財団は主に 3 つの事業を軸に活動している。1 つ目は助成事業である。あくる め財団は毎年テーマに沿った募集をかけ、採択された事業に対して補助金支給やアドバイ ス、 相談を行いながら事業者の方々と一緒に活動を行っている。 助成事業は分野が幅広く、 地域資源を守る活動から料理教室まで取り扱っている。2 つ目は自然体験事業である。 「あ
  28. 27 くるめ森の探検隊」を立ち上げ、加賀市内の保育園や幼稚園を対象として自然体験活動を 行っている。自然体験活動に精通している市内の任意団体と協力し、子どもたちに自然体 験の素晴らしさと郷土への理解や関心を深め、心身ともに豊かな人間性が涵養されること を目的として活動している。3 つ目は教育事業である。加賀市内の高校生を集め、教育や 未来を支える事業として「高校生マイプロジェクト in 加賀」を開催している。この事業は 高校生が将来関わってみたいことや何となく浮かんだアイデアを自分なりにチャレンジで

    きるプロジェクトである。他校の高校生や地域の大人の考えも取り入れた上で、自分で問 いを立て、調べ、行動し、伝え、振り返ることで、探求学習を実践することを目的として いる。 そしてあくるめ財団が行う大きなプロジェクトとして「かがやき塾」という市民を対象 としたまちづくり塾がある。かがやき塾は「心惹かれることや地域のことについて共有し あいながら自分自身を掘り下げることができるまちづくり学校」と題し、月に 1 度、半年 間の連続講座を開いている。 講座ではチームでそれぞれの興味や関心があることを共有し、 自分自身でどうアクションを起こせばいいかを考え、それを行動に移し、最終的に自分の 心と向き合った半年間を発表するといった流れで行われている。アドバイザーやスタッフ は参加者の要望に応えることができるよう、講演会やイベントの実施や外部連携コーディ ネートなどに対応している。 これまでの参加者は性別、 年齢、 職業問わず様々な人がいる。 これまで交えることがなかった人たちが交える機会でもあり、様々な考えや思いを共有で きる場所でもある。 その他にも、 あくるめ財団のメンバーである山口氏、 飯貝氏、 山田氏などが関わる 「PLUS KAGA」という大学生がまちづくりを考えるプロジェクトがある。PLUS KAGA は地域と 大学生が協働し、加賀市の新しい魅力と暮らしの豊かさをつくるプロジェクトを提案・実 行していく取り組みである。主催は加賀市人口減少対策室で、企画・運営は運営チームの メンバーである三島由樹氏が代表取締役を務める株式会社フォルクである。2016 年に始 まって以来 2020 年まで 29 のプロジェクトが活動を行ってきた。PLUS KAGA は石川県 内の大学生だけではなく、関東地方や九州地方など、日本全国の大学に通う学生が活動を 行っていることが大きな特徴なプロジェクトとなっている。
  29. 28 図 5.2 加賀市の宮元陸市長と公益財団法人あくるめの皆さん (出所:公益財団法人あくるめホームページ) 今年 5 月 18 日には加賀市役所へ加賀市の宮元陸市長への表敬訪問も行った。表敬時に

    あくるめ財団から伝えた内容としては、休眠預金事業として石川県初の採択財団に選ばれ たこと、公益財団法人あくるめが市内で活躍する個人・団体へと支援した助成実績が合計 60 件、助成総額約 930 万円に達したこと(2021 年 5 月 18 日時点) 、教育事業の成果が着 実に挙がっていること、交流事業についてかがやき塾との連携を強化していくこと、自然 体験事業が着実に広がっていること、以上 5 点である。宮元市長からは「コミュニティ財 団として行政の手の届きにくい社会問題や活動を積極的に進めている点について大いに応 援したい。 」というお言葉をいただいたという。 第2節 柴山潟のゴミ問題に取り組んでいる「ももたろうプロジェクト」 本章第 2 節、第 3 節、第 4 節ではあくるめ財団がこれまで助成してきた 26 団体の中か ら 3 つの団体・活動を取り上げる。取り上げる 3 つの団体は、現在も継続して活動を行っ ている。これらは加賀市の発展に大きく関わった団体や印象深い団体の中から、あくるめ
  30. 29 財団の山田氏に選んでいただいた団体である。この 3 つの団体は加賀市の発展にどう関わ っているのかを概要・活動内容・ヒアリング調査を用いて取り上げる。 第1項 ももたろうプロジェクトの概要 ももたろうプロジェクトは、観光資源であり、貴重な水質資源である加賀市の柴山潟の ゴミ問題を対策するプロジェクトである。柴山潟流域の生活が柴山潟のゴミ問題につなが っていることを子ども達に体験して学んでもらう教育的取り組みや可視化されたデータを

    もとにゴミを減らす方法について考える活動を行っている。この問題となっているゴミに ついて、ゴミがどこから流れてどこに流れ着くのかを調査するために、ゴミに見立てたウ キを小中学校の授業で川に流し、それを回収して結果的にどこに流れ着いているかを地図 上で可視化した。 第2項 ももたろうプロジェクトの活動 掃除方法考案の取り組みでゴミ問題の解決を目指して2019年度から活動を行っている。 2020 年度からは、新たに「くじらプロジェクト」と名付け活動を行っている。活動を通し て見えたゴミの流れについて川、潟、海の専門家とどのようにゴミを減らせるかを子ども たちに今後ゴミ問題に取り組んでもらうか育的観点、掃除の際にどのようにしたら効率よ くゴミを回収できるのかを清掃の観点から考えた。しかし、新型コロナウイルスの影響に より動橋小学校等の加賀市内の小中学校で授業を行うことが難しくなり、ゴミを減らすた めのゴミ回収網の考案と製作に絞り清掃の負担を減らすことに取り組んだ。 8 月にはゴミ回収用の網のフレームを作成した。そして、9 月にはそのフレームを網に 編み付ける作業を、漁師の窪川氏と中外製網株式会社が行い、ゴミ回収網の第一号機が完 成した。今年はそれをどうように使っていくかを考案する活動を行う予定だったが、コロ ナウイルスの影響によって 4 月が最後の活動だった。11 月には加賀市に訪れて、参加され る方と今後の活動を考えていくことが今後の活動となる。
  31. 30 図 5.3 ももたろうプロジェクトの様子 (出所:公益財団法人あくるめホームページ) 第3項 ヒアリング調査 今回本論文を書くにあたり、このプロジェクトの主催者である九州大学大学院人間環境 学府空間システム専攻修士 1

    年の石本大歩さんにヒアリング調査を行った。プロジェクト の経緯や今後の展望、そしてこの活動を通して加賀市に関わった 1 人として、加賀市に対 する思いや将来的な加賀市のあるべき姿を聞き、今後の問題点や課題を整理するというこ とが目的である。ヒアリング内容は以下の通りである。 ① 公益財団法人あくるめを知ったきっかけと助成を申請した理由 ② 新型コロナウイルス流行前と現在の助成活動に対する心境の変化 ③ この活動の最終目標と伝えたいこと ④ 加賀市が「消滅可能性都市」となっている現状をどう考えているか ⑤ 今後加賀市がどのような市になってもらいたいか 以下、ヒアリング調査結果として、ヒアリング内容等を記載する。
  32. 31 ① 公益財団法人あくるめを知ったきっかけと助成を申請した理由 • PLUS KAGA に関わっていたあくるめ財団の方と出会い、存在を知った。 • あくるめ財団に助成を申請した理由は 3

    つある。 • 1 つ目は大学生で活動を自分で起こすような資金力がなかったこと。 • 2 つ目はこのような活動は収益を生むような活動では無いので、収益を生まな い活動にお金を出して支援をしてもらえる団体だったこと。 • 3 つ目は加賀市のみと限定付きの支援をしてもらえる団体だったこと。 ② 新型コロナウイルス流行前と現在の助成活動に対する心境の変化 • このような活動は直接加賀市に通って行うことが醍醐味な活動であるが、新型 コロナウイルスの影響を受けてからはできなくなった。 • しかし、大学生が関わって活動を行っていけなくなっても、地域の方々だけで 活動を行っていけるようにしていくことが必要だと考えるようになった。 ③ この活動の最終目標と伝えたいこと • 最終目標は柴山潟がきれいになることも挙げられるが、今後も持続可能な活動 にしていきたい。 • 例えば、柴山潟で暮らしている人たちだけで、ゴミなどの問題を達成できるの かというと難しい。様々な地域が環境問題というと、海の綺麗さは山と関係し ていると考えるように、複合的にしか解決できない問題であり、同じ街でも別 の地域だから関係ないと思わずに自分ごとだと捉えてもらえる人が増えて欲 しい。 • 一時的に綺麗になるのではなく、継続的にずっと綺麗に柴山潟を使い続けられ るような仕組みや、地域の方々の意識を少し変えることが大きい目標だが一番 重要なことである。 ④ 加賀市が「消滅可能性都市」となっている現状をどう考えているか • 消滅可能性都市であるから若者の移住者を増やす政策はどの消滅可能性都市 でも起こっていることだと思うが、日本全体で見れば人口が減っていくのが当 たり前である。 • 例えば、近隣の市から若者が来たとしても加賀市は増えるが近隣の市は減少す
  33. 32 るなど、人口の取り合いになってしまうと意味がない。 • 地域の問題意識を高めて、どのように対策していくのかを考える必要があると 加賀市だけではなく全国的に思う。 ⑤ 今後加賀市がどのような市になってもらいたいか • 加賀市は北陸ではない他の県の人でも活動がしたいと申請すると支援をして もらえるような環境があり、そういう活動は活動をする側からしてもありがた

    い。 • そして、加賀市にとっても今まで関わったことが無いような出会いがある活動 になるため、これからも続けていただきたい。 • それが結果的に魅力ある面白い事に繋がるのではないかと考えている。 第3節 多世代交流から作る萬松園のグランドデザイン 第1項 萬松園再生プロジェクト概要 萬松園再生プロジェクトは、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻都市デザイン研 究室修士 2 年の鈴木直輝さんが加賀市の山代温泉総湯近くにある公園「萬松園」を訪れた 際、放置され繁茂した草木、昼間でも薄暗い環境、イノシシ・熊の出没、廃業した温泉旅 館など、人との繋がりが希薄化していることが問題だと感じ、歴史的文脈のある萬松園が 山代温泉のまちや人々との関わりを恢復し、未来の暮らしの豊かさを創出したいという思 いで 2018 年度に「PLUS KAGA」の 3 期生として始めたプロジェクトである。 2018 年度は温泉旅館経営者や清掃活動を行う地域住民などの山代の方々へのヒアリン グ調査や文献・石碑の調査を行った。主な活動として、萬松園のアカマツの木材を九谷焼 の燃料にしたり、萬松園で子どもたちが遊んだりと、今まで萬松園で行われなかったこと を活動として行った。鈴木直輝さんは「萬松園と山代温泉のまち・人々が多様な循環の中 で重層的で有機的な繋がりを持っていたことがわかった。 」と述べた。
  34. 33 図 5.4 萬松園再生プロジェクトの様子 (出所:PLUS KAGA ホームページ) 2019 年度からは公益財団法人あくるめから助成を受け、活動範囲を広げていった。鈴 木直輝さんは昨年の活動を通して萬松園の未来に向けて活動できることを考え、2

    つの活 動を行った。まず 1 つ目は「薬師山探検隊 2019 by まちこや」と題し、子ども学習支援 団体の「山代まちこや」とコラボし、探検隊を結成して小学生と萬松園へのフィールドワ ークと宝探しを行った。この活動は小学生が自然と触れ合うこと、山代文化遺産との関わ りや加賀市の歴史・文化を紐解くきっかけを掴んでもらいたいという目的がある。鈴木直 輝さんは「探検隊を通して、萬松園の自然や歴史・文化を体感し、生き生きとする子ども たちの姿に感激した。 」と述べた。 2 つ目は山代温泉と萬松園の将来ビジョンを描く「萬松園グランドデザイン」の作成で ある。このプロジェクトは鈴木直輝さんの卒業制作として取り組んだものであり、昔から 紡がれてきた山代の「地域性」をたよりに解き、30 年後に向けたまちと萬松園のあるべ き姿を提案したものである。これからの萬松園、山代温泉に求められる目標像やそれを具 現化する空間を明らかにすることを目的として行った。
  35. 34 図 5.5 萬松園グランドデザインの作成を行った鈴木さん (出所:PLUS KAGA ホームページ) 第2項 ヒアリング調査 今回本論文を書くにあたり、このプロジェクトの主催者である東京大学大学院工学系研

    究科都市工学専攻都市デザイン研究室修士 2 年の鈴木直輝さんにヒアリング調査を行った。 プロジェクトの経緯や今後の展望、 そしてこの活動を通して加賀市に関わった 1 人として、 加賀市に対する思いや将来的な加賀市のあるべき姿を聞き、今後の問題点や課題を整理す るということが目的である。以下、ヒアリング内容は第 2 節第 3 項のものと同じである。 ① 公益財団法人あくるめを知ったきっかけと助成を申請した理由 • PLUS KAGA で交流した地域住民の方々にあくるめ財団の存在を教えてもら った。 • PLUS KAGA での活動は 1 年程度であり、 長期的に継続してこの活動をしたい と思いあくるめ財団に助成を申請した。 ② 新型コロナウイルス流行前と現在の助成活動に対する心境の変化 • 活動に対する心境の変化はないが、イベントを開催しづらいことや、イベント
  36. 35 を開催できても皆さんでご飯を頂くなどの密になる行事は出来なくなった。 • 新型コロナウイルスが収束してから、観光客などの長期滞在者の子どもを巻き 込んだ体験プログラムを実施したいという目標ができた。 ③ この活動の最終目標と伝えたいこと • 加賀市には歴史もあって魅力的なものがたくさんあるため、それらを放置せず に磨いていってほしい。

    • 地域の方が自分ごとだと捉える人が多くなってほしい。 • 萬松園で地域の方が遊んだり集まったりする場所となってほしい。 ④ 加賀市が「消滅可能性都市」となっている現状をどう考えているか • 消滅可能性都市となっているが、魅力が詰まった市であるためネガティブでは 捉えるのではなく、加賀市に行きたくなる、暮らしたくなる市にして行くきっ かけを頂いたとポジティブに捉え、どうすれば魅力的なまちづくりができるか を一緒に考えていきたい。 ⑤ 今後加賀市がどのような市になってもらいたいか • 加賀市は海から山まであり温泉地もあるので、観光客に魅力を知ってもらって 活気溢れる市になってもらいたい。 第4節 子供をまんなかに置いたまちづくりに取り組む「かが子ども未来プロ ジェクト」 第1項 かが未来プロジェクトとは かが子ども未来プロジェクトは、プレイパークに取り組むプレイワーカーと共同し、加 賀市内の自然を活用した1日プレイパークの実施と検証を中心に活動している。2019 年 度には、 「みんなのアソビバ@山代アートマーケット」と題したプレイパークを開催した。 落書きできる壁や地面、プールなど子どもが自由に遊ぶことができ、子どもたちの創造性 を豊かにできる場所を 8 月 17 日、8 月 18 日の 2 日間に渡って行われた。
  37. 36 第2項 プレイパークとは かが子ども未来プロジェクトの活動の 1 つであるプレイパークについて、その歴史や特 徴を説明する。世界で最初の冒険遊び場「プレイパーク」が誕生したのは 1943 年第二次 世界大戦中にデンマークのコペンハーゲン市郊外につくられた

    「エンドラップ廃材遊び場」 が始まりだ。デンマークの造園家ソーレンセン教授が綺麗な遊び場より空き地や資材置き 場で子どもたちが遊んでいると長年の観察にもとづき提案された。この提案をもとにエン ドラップ廃材遊び場は建築家ダン・フィンクがデザインし、初代プレーリーダーであるジ ョン・ベルテルセンと子どもたちによって作られた。 1945 年にこの遊び場を訪れたイギリ スの造園家アレン・オブ・ハートウッド卿夫人(以下、アレン卿夫人と表記)がこのアイ デアに関心を持ちロンドンの爆撃跡地に冒険遊び場をつくった。このことで冒険遊び場は イギリスで流行りとなった。冒険遊び場づくりは発祥の地デンマークが中心に、スウェー デン、スイス、ドイツ、フランス、イタリア、アメリカ、オーストラリアと広がった。現 在ではヨーロッパ全体で約 1,000 カ所の冒険遊び場がある。 日本では 1970 年にアレン卿夫人の著書「都市の遊び場」が翻訳や紹介がされて、冒険 遊び場づくりは日本全国に広がった。1990 年からは活動団体が増えて地域住民による運 営が広がった。これは世界的に見ても日本の冒険遊び場づくりの特徴である。 そして、プレイパークは、子どもたちが思いきって遊べるように、極力禁止事項を無く して自分の責任で自由に遊ぶことを理念としている。特徴は、自分の責任で遊ぶことを前 提にした自由な遊びができることだ。現代では出来なくなった泥遊び、ロープブランコ、 焚火、工作など公園内の地形や樹木を利用した遊びを通じて子どもの自主性や冒険心を育 むことを目的としている。また、プレイパークには子どもを見守ることや常に変化する遊 び場の状況を管理しているプレイワーカーが必要だ。そして、プレイパークは地域活動や ボランティアを中心とした市民団体による非営利の自主的な市民活動である。個人や団体 の誰もが自由に利用することができる。 第3項 かが子ども未来プロジェクトの概要 かが子ども未来プロジェクトはルロワ東出康江氏が 2006 年にフランスから帰国し、加 賀市で国際交流の活動をしたいという思いから始まる。加賀市には国際交流の団体が無く
  38. 37 事務所を立ち上げようとした。しかし、事務所を借りるためには、NPO 法人になって法人 格を持っていることが必要であった。そこで東出さんは加賀市独自システムのまちづくり や地域の活動をまとめている「まちづくり推進協議会」を回り、地域の問題や加賀市各地 区の個性を学び、最終的に地域にどのように外国人を招くのかという活動を中心とした地 域活動に参加した。その後、地域と大学生が協働して人口減少が進む地域に魅力と暮らし の豊かさをつくるプロジェクト「PLUS KAGA」に声をかけられた。そこであくるめ財団 の方々と出会った。その同時期に「Next

    Commons Lab」という全国の地域活性化を目指 した団体の土肥潤也氏と出会い、ルロワ氏は「プレイパーク」の存在を知った。ルロワ氏 は PLUS KAGA で様々な方との出会いがあり、 あくるめ財団の助成を受ける形で 「かが子 ども未来プロジェクト」が誕生した。代表者には土肥氏が就き、2019 年度より活動が始ま った。 図 5.6 2019 年に行われたみんなのアソビバ@山代アートマーケットの様子 (出所:かが子ども未来プロジェクト Facebook) 10 月 31 日には「プレイワーカーから学ぶ、ゼロからはじめる遊び場づくりの“あ” 」と 題し、一般社団法人 TOKYO PLAY の嶋村仁志代表を招いて公開講座を開いた。 2020 年度は小学校 3 か所でのワークショップを検討していたが新型コロナウイルスの 影響により開催は困難だと判断し、 「3 世代遊び場 MAP こどものあそびはどう変わった?
  39. 38 ~加賀市大聖寺編~」と題した冊子を作成した。加賀市大聖寺地区の 10 代、40 代、70 代 の 3 世代にヒアリングを行った。 大聖寺地区は

    70 代から 40 代の間に小学校が1校から2 校に変化した地区であり、子どもの遊びに関しても何か影響を及ぼしていると考え大聖寺 地区が選ばれた。作成に至った経緯は嶋村氏が講演中に「東北やイギリスなどで遊びの環 境が変わっていることをマップにして変化を確認する方法がある」という発言を聞き、ル ロワ氏はこれを加賀市で行うことができれば、これから未来に対して何をやらなければい けないかが見えてくるのではないかと考え、 3 世代遊び場マップを作成することとなった。 冊子はあくるめ財団の 2020 年度助成金で作成された。数に限りはあるが一冊 300 円で販 売されている。 図 5.7 3 世代遊び場 MAP こどものあそびはどう変わった?~加賀市大聖寺編~ (出所:公益財団法人あくるめ Facebook) 2021 年度はコロナ禍であるが、加賀市で 1 日プレイパークを開催するために新地プレ イパークの準備を行っている。9 月に嶋村仁志さんを招き、2019 年度に開催した山代温 泉地区のプレイパークの場所を見ていただくなどの活動を 2 日間行った。これらの活動
  40. 39 を通してルロワ東出康江さんは、 「今までの活動の中で、新型コロナウイルスで制限を受 けながらも地域や団体の方と繋がっているのはあくるめ財団さんのおかげであり、そのこ とが信頼関係にもなっている。 」と主張している。 第4項 ヒアリング調査 今回本論文を書くにあたり、このプロジェクトの主催者であるルロワ東出康江氏とあく るめ財団の山口美幸氏にヒアリング調査を行った。プロジェクトの経緯や今後の展望、そ

    してこの活動を通して加賀市に関わった 1 人として、加賀市に対する思いや将来的な加賀 市のあるべき姿を聞き、今後の問題点や課題を整理するということが目的である。以下、 ヒアリング内容は第 2 節第 3 項のものと同じである。 ① 公益財団法人あくるめを知ったきっかけと助成を申請した理由 • 当時参加していた「PLUS KAGA」の方々があくるめ財団の理事やメンバーの 方と関わりがあり、存在を知った。 • あくるめ財団が主催する「かがやき塾」に参加した際、あくるめ財団の山田氏 と出会い、子どもの活動を行う上での相談を行った • その後「かがやき塾」の活動などを通して、自分たちの思いを共有してもらえ ると感じることができたため、あくるめ財団の「はじめの1歩コース」の申請 を行った。 ② 新型コロナウイルス流行前と現在の助成活動に対する心境の変化 • 1 年目の活動である山代温泉のマーケットといった遊び場に人を集めることは 難しくなったが、あくるめ財団に申請書を出す中で、コロナ禍でも進めていけ るものを考えた。 • コロナ禍によって「子供たちが外で自分たちの責任の下に遊べる遊び場」への 思いは強くなったという現状が見えてきた。現在 70 代の方が子どもの時は人 形の着せ替え遊び以外はほとんどが外での遊びであったのに対し、令和 2 年の 10 歳の子供たちは室中での遊びが増加している。 • 一般社団法人 TOKYO PLAY の嶋村仁志代表の言葉である 「子どもは遊んだ街 に帰ってくる」とあるが、そのような傾向が人口減少にも結びついているので
  41. 40 はないかと推測しており、コロナ禍でより問題が顕著化したと考えている。 ③ この活動の最終目標と伝えたいこと • 活動の最終目標は子どもの遊びについて何かアクションを起こし、同じ思いを 持った人が繋がれるようにしたい。 • ルロワ氏の個人的な最終目標は、 大聖寺での活動

    (2020 年度の冊子作成) で 「か が子ども未来プロジェクト」と「プロ」の力が加われば地域の方の考え方を変 えられることがわかったので、今後は山代地域を変えていくことである。 • かが未来プロジェクトに関わるあくるめ財団の山口氏の最終目標は、新型コロ ナウイルスの影響で子どもたちの遊び場が家の外から中に変わってきている ので、外での遊びを再生させていくことである。 • 今後の活動として行いたいことは、コロナ渦だからこそ加賀市民で「遊び」に 対して考え直す機会をつくりたいと考えている。例えば、かが子ども未来プロ ジェクトが核となって作る遊び場をどれだけたくさんの加賀市民の方と共有 できるかや、自然関係の方や児童センターなどの現場の人にプレイパークにつ いて知ってもらい巻き込んだ活動をしていくことである。 • この活動を通して伝えたいのは、先程も述べた「田舎ほど顕著に子どもが外で 遊ばなくなった」という現状は全てとは言えないが親などの大人の責任ではな いのかと考えた。どちらかというと子供は変わっておらず、大人の方が変わっ たのではと考えている。大人が動くことで変わるかもしれないと期待も込めて これから伝えられたらと考えている。 ④ 加賀市が「消滅可能性都市」となっている現状をどう考えているか • ルロワ氏は、加賀市が消滅可能性都市となっている現状を活動する上でポジテ ィブに利用できるのではないかと検討している。なぜなら、加賀地方で唯一消 滅可能性都市になったことで危機感が共有できると考えているからである。 • あくるめ財団の山口氏は、加賀市が消滅可能性都市になるとともに PLUS KAGA が始まったことで、 「PLUS KAGA は未来を作る」というイメージを持 つことができ、活動の中でも躍動感を感じていた。 • 消滅可能性都市になったことで PLUS KAGA などが加賀市で活動を行うよう になってからは外部の方からの加賀市に好奇心を持ってくれる人が増えたこ
  42. 41 とや、加賀市は個性のある街の集合体であり、それぞれの地区で活動している 人のことをお互い知ることができていなかったが、 「消滅可能性都市」 という言 葉で危機感が芽生え共同作業を行うようになったという変化ももたらしてく れた。 ⑤ 今後加賀市がどのような市になってもらいたいか •

    加賀市は保育園での待機児童の問題もほぼなく、子育ての面でも力を入れてい る。 このことを踏まえてルロワ氏は、 「加賀市で育った子供が加賀市から離れて も忘れずに自分の故郷であると誇りを持っているような市であってほしい。 」 と述べた。 • あくるめ財団の山口氏は、 「若者が世の中について学ぶために加賀市から出て 行ってしまうので、もう一度帰ってきたくなるような魅力ある市になってほし い。 」と述べた。 最後にルロワ氏から大学生に向けてメッセージを頂いた。 活動の中で子どもが大学生と遊ぶ時とおじちゃんおばちゃんと遊ぶときでは子どもの 目の色が違う。加賀市には大学がないが、大学がない市だからこそ大学生がとても重要な 役割を果たしている。しかし、近年は金沢市など大学がある都市でも大学生が子どもたち と活動をすることが増加し、加賀市では「山代まちこや」というプロジェクトがあった が、大学生が参加しなくなり休止の事態となった。このことから、かが子ども未来プロジ ェクトは大学が無い地域における大学生の活動は子どもに影響を及ぼすことを実感した。 小学生や中学生、高校生たちは憧れるというものが強いが、憧れの対象は年齢が離れてい る人はなれない。したがって大学生の方には、様々な地域でこれからも活動を頑張ってほ しい。 加賀市には大学が存在しない。だが、様々な活動を通して石川県の大学生だけではな く、日本全国、世界中の大学生とも繋がれる可能性がある市である。今後大学生が様々な 形で加賀市に関わってほしいと感じさせるものであった。
  43. 42

  44. 43 第6章 結論 執筆担当:岡本隼・本多遥大 本論文では、加賀市の現状から、人口分析、人口予測、スーパーシティ構想、あくるめ 財団の助成活動について述べてきた。 第 1 章では、私たちが昨年 1

    年間加賀市について学びを深めたことを記した。第 2 章で は加賀市の概要や現状について記した。第 3 章では加賀市の人口推移や人口予測をデータ から読み取り、加賀市の人口問題は厳しいということがわかった。第 4 章ではスーパーシ ティ構想について記した。加賀市のスーパーシティ構想は現在取り組みが始まっているも のやこれから始まるものまでしっかりとした構想で、今後の加賀市が楽しみになる内容と なった。第 5 章ではあくるめ財団の助成活動について記した。あくるめ財団の活動、そし て助成活動ともに昨年 1 年間より深く理解することができた。取り上げた 3 つの助成団体 以外にも素晴らしい団体がいくつもあり、 今後のあくるめ財団の活動により期待がかかる。 第 1 章でも述べた通り、私たちは大学 3 年時から加賀市に関わり、フィールドワークや 人口分析などを行いながら加賀市の人口減少問題を中心に学びを深めてきた。私たちは昨 年 1 年間の活動で加賀市の人口減少問題の原因は、都会にあり人が集まるショッピングモ ールやその周辺に作られる新興住宅地がないことにあるのではないかと考えていた。しか し今回本論文を書くにあたってより深く加賀市のことについて調べたことや、加賀市役所 に勤めている方や加賀市に住んでいる方のお話を聞く機会を頂き、自分たちの今までの考 え方は浅はかなものであったと感じた。 IT 化が進む日本の中でトップクラスの計画である 加賀市スーパーシティ構想や、若者の流出が多い加賀市の中で子どもたちに遊び場の提供 を行うプレイパークの開催など、加賀市の問題をしっかり理解した上で今何をするべきか を見極めて活動している団体や人が多いと感じ取ることができた。そして何より加賀市内 の人だけではなく、市外、県外から外部の方が加賀市をより良い市にしようと奮闘してい る姿があった。そのような活動はショッピングモール建設などよりも暮らしやすい市にす る近道だと考えた。
  45. 44 図 6.1 PLUS KAGA からあくるめ財団への流れ そしてもう 1 つ気づくことができたのは、あくるめ財団の助成活動にはある一連の流れ があるということである。それは図

    6.1 のように、県内外の大学生が PLUS KAGA でプロ ジェクトを行った後に、あくるめ財団に助成を受けるケースが多いということだ。PLUS KAGA は大学生が主役となって行う新たなまちづくりの取り組みである。その中で、長期 的なプロジェクトや大きなプロジェクトとなり、資金面や人手不足に苦しむ学生があくる め財団の助成を受けるケースが多くなっているのだ。今回あくるめ財団の助成活動として 取り上げた「ももたろうプロジェクト」と「萬松園再生プロジェクト」も PLUS KAGA で プロジェクトを行い、その後にあくるめ財団の助成を受けている。そして、あくるめ財団 から助成を受けた後にも 2 つの活動パターンがある。1 つ目は、今回第 5 章で取り上げた 3 つの活動団体のように、今後も引き続きあくるめ財団から助成を受けながら活動を行っ ていくパターンである。そして 2 つ目は、あくるめ財団から助成を受けず、独立して活動 を行っていくパターンである。あくるめ財団から助成を受けた団体は、様々な形で加賀市 での活動を行っている。今後も「PLUS KAGA からあくるめ財団へ」という流れを期待し たい。 そして今回ヒアリング調査を実施し印象に残っているお話が 2 つある。九州大学石本さ んの「日本全体で見れば人口が減っていくのが当たり前である。例えば、近隣の市から若 者が来たとしても加賀市は増えるが近隣の市は減少するなど、人口の取り合いになってし まうと意味がない。地域の問題意識を高めて、どのように対策していくのかを考える必要 があると加賀市だけではなく全国的に思う。 」というお話しと、ルロワ氏の「大学が無い地 域における大学生の活動は子どもに影響を及ぼすことを実感した。小学生や中学生、高校
  46. 45 生たちは憧れるというものが強いが、憧れの対象は年齢が離れている人はなれない。した がって大学生の方には、 様々な地域でこれからも活動を頑張ってほしい。 」 というお話であ る。石本さんのお話から、私たちは加賀市が人口減少問題の解決から人口増加に繋げてい くことが目的だと考えていたが、人口減少問題は加賀市だけではなく全国的にも問題とな っていることであり、仮に加賀市が人口増加したとしても他の市は人口減少してしまうと いう事態が起きてしまい、全国的に見れば何も解決できていない状態であることだと気づ

    かされた。ルロワ氏のお話からは、小学生から高校生の憧れである大学生の役割は非常に 大きく、今後の若者の流出を食い止めることができるキーマンは大学生なのではないかと 考えた。現在市内に大学はないため北陸大学をはじめとする石川県内の大学生や、九州大 学大学院の石本さんや東京大学大学院の鈴木さんのような県外の大学生が加賀市に訪れて 様々な活動を行っている。将来的にではあるが、加賀市内にも大学の誘致ができると若者 の流出を食い止めることができる理由の 1 つにもなり、実現してほしいと感じた。 一方、私たちが加賀市を深堀するにあたって、今後の課題も見つかった。 まずは北陸新幹線敦賀延伸の影響についてである。北陸新幹線開業時の金沢の経済効果 はとても大きかった。開業後 1 年で観光客数が以前の3倍となり、金沢駅周辺や金沢市の 中心部では多くのホテルなどが建設され、以前の街並みとは全く違うものとった。企業な ども金沢市に移転するなど多くの良い変化が生まれ、経済に大きく影響した。加賀温泉駅 に新幹線が停まることで、 金沢駅に新幹線が開業した時同様盛り上がることが期待される。 しかし、盛り上がったとしても加賀温泉駅周辺だけ発展することも考えられる。それでは 根本的な人口減少などの問題は解決できないことになる。北陸新幹線敦賀延伸による波及 効果が加賀市中心部以外にどのように影響するのか疑問が残るところである。 そしてもう 1 つの課題は、若者の流出がとても顕著な加賀市ではやりたい仕事や入社し たい企業がないなどの問題がある。そこで第 2 章の人口分析で出したように現在加賀市で は企業誘致などをしておりその活動の効果がどう出るのかが鍵である。そして加賀市では IT 化に力を入れており、いち早く小学生時からのプログラミング教育を行っていた。その ことから、IT 知識を持った次世代の生産年齢層である子ども達が IT 系企業を起業するな ど、加賀市に新たなアイデアをもたらすことがとても期待できる。第 3 章で述べた e-市民 制度を初めとしたスーパーシティ構想などが軌道に乗り、全国的に加賀市の知名度が上が れば有名企業なども注目し経済効果がありそうである。このようなことがあれば加賀市に U ターンする学生が増加し問題となっている若者の流出を防ぐことができ、同時に少子高
  47. 48

  48. 49 参考文献 朝日新聞(2021 年) 「高齢化に悩む加賀市がめざす「電子国家」マイナカード交付率は 1 位」,(https://www.asahi.com/sp/articles/ASP966T52P8FULFA019.html) (2021 年 1

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