2023年2月22日似開催したSRE Online Meetupで使用したスライドです。 https://henry.connpass.com/event/273871/
医療機関向けシステムの信頼性2023年2月22日株式会社ヘンリー SRE Kengo TODA
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医療機関向けシステムの信頼性とは- 可用性- 快適なレスポンス- 3省2ガイドライン2
ヘンリーの可用性 アクセス可能性はほぼ100%を担保できている。これは設計はもちろん、Cloud Runによる複数インスタンス同時稼働、ないしローリングアップデートの実現に依るところが大きい。機能の可用性についてはまだ計測方法を検討中だが、おおむね97~99%となっている。マスタの変更などによって算定のルールが変わった場合、新しい業務をターゲットに入れた場合、RDBのスキーママイグレーションを実行した場合に不安定になることが多い傾向にある。3
可用性 医療機関の営業時間内にはサービスが利用可能な状態が継続することが期待される。また365日ずっと同じアクセスパターンというわけではなく、例えば毎月の1日~10日は診療報酬請求作業のためアクセスが増える。計算機資源の伸縮性があるとランニングコストを最適化する余地が生まれる。2年に1度の診療報酬改定に加え、関係省庁などが断続的に更新するマスターの即時反映も求められるため、デリバリの速さも重要となる。4
快適なレスポンス ユーザ体験の基本となるもの。ユーザを何秒も待たせることなくサービスを提供する。カルテとレセコンを含むシステムのため、診察時のみならず会計や処方箋の印刷でも利用される。レスポンスが遅いと処方や会計が遅れ、患者様にご迷惑をおかけすることにも繋がる。インフラストラクチャの設計や監視に加えて、リトライの導入、同時編集機能の提供(カルテをロックしない)といった実装面でやれることも多い。なお電子カルテ・レセコンには診療報酬請求作業のような月次処理もある。アプリケーションサーバで同期的に処理するか、キューを介して非同期に処理するかなど、実行方法にも工夫が必要。5
3省2ガイドライン 厚生労働省と経済産業省、総務省が策定した2つのガイドラインのこと。1. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.2版(令和4年3月)○ 医療機関向け2. 医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン○ サービス提供事業者向け6
ガイドラインが求めるもの- 組織体制の明確化- 継続的な従業員教育の実践- 端末やネットワークの管理- VPNまたはクライアント証明書の利用- ログの保全- プログラムの変更や脆弱性の管理- 認証認可、パスワードポリシー- などなど7
ガイドラインが求めるもの~端末やNWの管理~- “法令で定められた医療機関等に対する義務や行政手続の履行を確保するために、医療情報及び当該情報に係る医療情報システム等が国内法の執行の及ぶ範囲にあることを確実とする”- “持ち出した情報を取り扱う情報機器には、必要最小限のアプリケーションのみをインストールすること。業務に使用しないアプリケーションや機能については削除又は停止するか、業務に対して影響がないことを確認する”- “オープンなネットワークにおいて、IPsec によるVPN 接続等を利用せず HTTPS を利用する場合、TLS のプロトコルバージョンを TLS1.3 以上に限定した上で、クライアント証明書を利用した TLS クライアント認証を実施する”8
ガイドラインが求めるもの~ログの保全~- “取り扱う医療情報に法定保存年限が設けられている場合は、当該医療情報に関するアクセスを記録したログについて、法定保存年限以上の保存期間を設けること”- “対象事業者は、事故発生時の対応方法及び医療機関等への報告方法として、情報セキュリティ事故が発生した場合の被害拡大防止のための対応方法や緊急時の代替手段、原因調査のためのログ等の記録の保全及び医療機関等への報告タイミングや報告フローを運用管理規程に含めること”- “アクセスログへのアクセス制限を行い、アクセスログへの不当な削除/改ざん/追加等を防止する対策を講じなければならない”9