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論点整理/rontenseiri

 論点整理/rontenseiri

Takahiro Sumiya

February 07, 2020
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Transcript

  1. 1 スライドなどの授業資料に他人の著作物を転 載利用したい場合,プリント配布やスライド投 影などについては著作者に無断で複製利用 できる(著作権法第35条)。 しかし,同じものをLMSやメールでの配布, 授業の録画配信などを行う場合は著作権者 に許諾が必要であり,教育情報化の阻害要因 になっていると考えられる。 それを是正するための法改正が行われた。

    改正著作権法の「授業目的公衆送信補償金制度」について • 授業資料のプリント配布はできるが,LMSでの配布はできないという問題があった 著作権者の許諾 なしでの利用 授業内での利用 プリント配布 ◦ スライド投影 ◦ LMSで配布 × 授業を録画配信 × 授業外での利用 インターネット公開 × 補償金付きで◦ とする法改正が おこなわれた 2020-02-07 CC-BY AXIES-csd 他人の著作物を転載利用した資料
  2. 2 2018年5月の法改正により,全ての「公衆送 信」についても無許諾でできることになった。 ただし,「公衆送信」をする場合,教育機関の 設置者が著作権者に補償金を支払うこととさ れた。 この法律は,2018年5月25日に公布され, 3年以内に施行される。 第35条1項 l

    授業目的の複製OK 第35条2項 l 授業目的の同時公衆送信OK 第35条1項 l 授業目的の 複製,公衆送信,公の伝達OK 第35条2項 l 上記の公衆送信については 教育機関の設置者が補償金を 支払うこと 第35条3項 l ただし同時公衆送信について は補償金の支払い不要 2018/5/25から3年以内に施行 改正 ü 「OK」は,授業の過程で必要ならば著作権者に 無断で複製/公衆送信できる,の意味 ü 同時公衆送信とは,主会場で実施している授業 の映像や使用している資料を副会場に送信する こと • 2018年5月の法改正で授業に関する「一般の公衆送信」ができることに
  3. 3 補償金については,改正著作権法104条で詳 細が規定された。全国でただ一つの「指定管 理団体」が作られ,その団体が補償金の収集 と分配を行う(2で示したように,補償金を支 払えるのは「教育機関の設置者」のみ)。 2019年1月に「授業目的公衆送信補償金等 管理協会 (SARTRAS)」が指定管理団体と して指定された。

    著作権等の保護に関する事業 • 補償の収集と分配は指定管理団体だけが行う 新聞教育著作権協議会 言語等教育著作権協議会 視覚芸術等教育著作権協議会 出版教育著作権協議会 音楽等教育著作権協議会 映像等教育著作権協議会 × × × 著作権 管理団体 著作権者 教育機関 教員 学生など 指定 管理団体
  4. 4 「指定管理団体」は補償金額を決める際,教育 機 関 よ り 意 見 を 聴

    か な く て は な ら な い 。 2020年2月7日現在,このための準備中。 補償金額を決めたら,文化庁に申請し,認可 を得なくてはならない。 著作権管理団体と教育機関が意見交換をす る場として「著作物の教育利用に関する関係 者フォーラム」が2018年11月に作られた。 2019年度の活動は,主にガイドラインの作成。 今回の「論定整理」はその途中経過報告。 • 今回「論点整理」はガイドライン作成の途中経過。先は長い。 SARTRAS 教育関係団体 文化庁 文化審議会 意見伺い 意見提出 補償金額決定・認可申請 補償金額 認可 諮問 答申 フォーラム 補償金制度開始 ガイドライン作成 「論点整理」 意見提出 2020/02 2020/03? 2020/06? 2020/09? 2021/04?
  5. 5 授業目的公衆送信補償金制度の実施につい て,第35条の解釈に幅があるところをできる だけ狭めよう,というのが,ガイドライン。 「教育機関とは」「授業とは」などについて,原 則と,適用例を示すことを目指す。 今回の「論点整理」では,フォーラムで教育機 関団体と著作権管理団体で共通認識が得ら れている部分を公開している。 •

    「論点整理」=ガイドライン作成に向けての議論で,共通認識が得られた部分の公開 「複製・公衆送信」できる要件 l 公表された著作物であること l 非営利の教育機関であること l 授業であること l 教育を担任する者もしくは授 業を受ける者が行うこと l 必要と認められる限度内であ ること l 著作権者の利益を不当に害し ないこと l 出所を明示すること 例えば 「授業」とは:教育機関の責任において, その管理下で教育を担任する者が学習 者に対して実施する教育活動 該当する例:講義,実習,演習,ゼミ,公 開講座,教員免許状更新講習など 該当しない例:大学説明会,オープン キャンパスでの模擬授業,FD/SD,サー クル活動など