ASDoQ大会2023で発表されたものです。
2001年、アジャイルソフトウェア開発宣言によって、“アジャイル”という言葉が生まれたとき、その宣言の中で、“包括的なドキュメントには価値を置きながら、動くソフトウェアにより価値を置く”という考えを示しました。(1) しかし、具体的にドキュメントに何処まで価値を置くのかは述べていません。つまり、アジャイル開発でのシステム開発文書ドキュメントをどうするべきか、これは今でも論争の種になっています。
今回ご紹介していきたいのは、サイボウズでのあるアジャイル開発チームでの事例です。この事例は、アジャイル開発のドキュメントの代表例ではありません。ドキュメントに対するアプローチは、組織、ドメイン、プロセス、コンプライアンスなどの条件により、違っています。
このチームでは、機能仕様書を核としてドキュメントを作り、それを利用しています。彼らが作っているドキュメントは、イテレーションごとに、逐次的に作られています。核になる機能仕様書は、逐次、修正保守されています。その作業は、“動くソフトウェア”を開発するうえで、必要十分であり、さらに、開発の多くの場面で参照、使用されて無駄とは考えられていません。
この事例から、ソフトウェア開発におけるドキュメントの考え方、何のために、だれのためにドキュメントを作るのかということを議論しています。